エコキュートは災害時に役に立つ?停電時や断水時の使い方や非常用水の出し方をご紹介
日本は地域を問わず、地震や台風などのリスクが高い「災害大国」です。大きな災害に見舞われた際、電気やガス、水道といったライフラインの確保は最優先事項といえます。そうした場面で役立つ設備のひとつとして、近年注目を集めているのが、オール電化住宅などに導入されることが多い「エコキュート」です。
今回は、エコキュートが災害時に役立つ理由や、停電時・断水時にエコキュートでできることを解説します。あわせて、エコキュートの非常用水の出し方もまとめました。エコキュートの導入を検討している方はもちろん、すでに導入していて災害時の使い方を確認しておきたい方も、ぜひ参考にしてください。
エコキュートは災害時に役に立つ
一般的に「オール電化は災害に弱い」というイメージを持たれがちです。しかし、オール電化住宅で必須ともいえる給湯器のエコキュートは、災害時にも大いに役立ちます。まずは、エコキュートがなぜ災害時に役立つと言えるのか、その根拠を見てみましょう。
エコキュートが災害に強いと言われる理由
一般的なガス給湯器は、蛇口をひねって出した水をガスで加熱してお湯を作ります。そのため、瞬間的にお湯を沸かせることがガス給湯器のメリットです。しかし、お湯を貯めておく装置は備わっていません。つまり、災害などで水が出なくなったり、ガスの供給がストップしたりすると、お湯を沸かせなくなるのです。
一方のエコキュートは、お湯を沸かす「ヒートポンプユニット」と、沸かしたお湯を貯める「貯湯タンクユニット」で構成された、貯湯式の給湯器です。事前に沸かしたお湯をタンクに貯めておけるため、災害時には貯めたお湯を非常用として活用できます。エコキュートのサイズはタイプによって異なりますが、大きいタイプでは460Lに及び、満水時は500mlのペットボトル約920本分の容量です。
災害により断水が発生しても、タンク内のお湯や水は取り出せます。そのため、トイレの流し水にしたり、シャワーの代わりに浴びたりといった用途に利用可能です。
さらに、電気はガスや水道に比べて復旧が早い傾向があります。2011年に発生した東日本大震災においても、復旧まで水道が1~3週間、ガスが2~5週間を要したのに対し、電気は1週間で復旧しました。お湯が使えるようになるまでの時間が比較的早いことも、エコキュートが災害に強いと言われる理由の一つです。
停電時でもエコキュートは使える
「オール電化住宅の場合、停電するとお湯が使えなくなる」と思われがちです。しかし、一定の条件下では、停電時でもエコキュートでお湯を使える場合があります。停電時にエコキュートでできること・できないことを、3つのポイントに分けて解説します。
蛇口からお湯も出る
停電していても、水道が使用できる状態であれば、エコキュートを通してお湯を出せます。シャワーや蛇口からお湯を出す際に、必ずしも電気を使うわけではありません。水道圧によって、貯湯タンクに貯めたお湯が浴室やキッチンへ押し出されるため、電気がなくてもお湯や水を出せるのです。
ただし、新たにお湯を沸かすには電気が必要です。そのため、停電時に使える湯量は、貯湯タンクに残っている分に限られます。停電直後であれば、貯湯タンクの保温がある程度保たれているため、お湯を使える可能性が高いでしょう。一方、停電から1日以上経過すると、タンク内のお湯が冷めてしまい、水しか出なくなる可能性が高まります。
お湯はりや追い焚きはできない
お湯はりや追い焚きといった機能は、電気がなければ利用できません。そのため、停電中のお湯はり・追い焚きは、残念ながらできません。お湯はりや追い焚きに限らず、リモコンやパネル操作が必要な機能は、基本的にすべて使えなくなります。
ただし、手動で浴槽にお湯を貯めることは可能です。蛇口からお湯を出して浴槽に貯めたり、シャワーから出したお湯を浴槽に流し込んだりすれば、湯温が適温であれば停電中でも入浴できる可能性があります。ただし、後述のとおり温度調整ができないため、シャワーの使い勝手が悪くなる点には注意が必要です。
お湯の温度調整ができない
停電中にエコキュート経由でお湯を使う際、最も注意すべきなのは温度調整ができないことです。貯湯タンク内には最大で90℃前後の高温のお湯が貯まっています。通常時は、高温のお湯を水で混ぜて適温に調整してから、浴室やキッチンへ供給します。しかし停電中はこの機能が使えないため、蛇口やシャワーからいきなり高温のお湯が出る場合があります。
高温のお湯で手を洗ったり、シャワーで頭や体に浴びたりすると、やけどを負うおそれがあります。停電中にエコキュートのお湯を使う場合は、直接触れず、まず洗面器などに貯めて様子を見ることをおすすめします。温度計がある場合は、貯めたお湯の温度を測ってから使用可否を判断すると安心です。
断水時でもエコキュートは活用できる
停電時だけでなく、断水時にもエコキュートは活用できます。飲用水としては不向きですが、非常用水として使用する分には問題ありません。ここでは、断水時にできること・できないことを解説します。
タンクにあるお湯を非常用水として使える
断水時には、貯湯タンクユニットにある「非常用取水栓」からお湯や水を取り出し、非常用水として使用できます。貯湯タンク内の非常用水は、主に次のような用途で利用可能です。
<エコキュートの貯湯タンクに貯まった非常用水の主な使い方>
- トイレの流し水
- 手洗い用の水
- 食器洗い用の水
- シャワーの代替として体を洗う水
- 洗濯に使う水など
なお、上記に飲用を挙げていないとおり、非常用水は飲み水には適していません。貯湯タンク内のお湯は長時間貯湯されており、消毒も十分ではなく、衛生面で問題が生じる可能性があるためです。どうしても飲用にしたい場合は、必ず電気やカセットコンロなどで沸騰させ、煮沸消毒してください。
シャワーや蛇口からお湯を使うことはできない
断水している場合、家のシャワーや蛇口からお湯を出すことはできません。蛇口やシャワーからお湯が出るのは、水道の圧力があるためです。断水により水道圧がなくなると、貯湯タンクにお湯が残っていても自動的には押し出されません。先ほど「非常用取水栓から取り出す作業が必要」と述べたのはこのためです。
タンク内のお湯の温度調整ができない
停電時と同様に、断水中も貯湯タンク内のお湯の温度調整はできません。エコキュートのお湯は、あくまでタンク内に貯めてあるだけのため、水が流れているときに使える各種機能も利用できなくなります。
非常用取水栓から取り出すお湯は、沸き上げ直後であれば高温のまま残っている可能性があります。バケツなどで取水する際にやけどをするおそれがあるため、慎重に作業を進めましょう。
エコキュートの非常用水の出し方
災害はいつ起こるかわかりません。いざというときに慌てないように、非常用水の出し方は平常時に確認しておきましょう。ここでは、非常用水の出し方を4つのステップに分けて解説します。あわせて、メーカーごとの違いにも触れます。
①漏電遮断器を切る
最初に、漏電遮断器のスイッチをオフにします。漏電遮断器は、貯湯タンクユニットに設置されている点検口の近くに設けられています。関連するボタンが並んでいる場合もありますが、基本的にはメインレバーを下に倒すだけでOKです。
漏電遮断器を切らないまま非常用水を取り出そうとすると、作業中に電気トラブルが発生し、感電など重大な事故につながるおそれがあります。また、断水してタンク内にお湯がない状態でヒートポンプを稼働させると、空焚き状態になる可能性があります。人命にかかわる事故や故障を防ぐため、作業を始める前に必ず漏電遮断器を切りましょう。
②給水止水栓を閉める
漏電遮断器を切った後は、「給水止水栓」を閉めます。給水止水栓とは、水道管から貯湯タンクへ水を送るための設備です。一般的なエコキュートでは、貯湯タンクの足元付近に給水止水栓が設けられています。バルブを時計回りに回すと閉まりますが、長期間操作していない場合、固くなっていることがあるため注意しましょう。
給水止水栓を閉めるのは、フィルターの目詰まりや故障を予防するためです。断水が復旧すると、水道管内のサビや泥を含んだ濁り水が流れ込むことがあります。給水止水栓を開けたままだと、濁り水が貯湯タンクに入り込み、故障の原因になる恐れがあります。
③逃がし弁レバーを上げる
給水止水栓を閉めたら、貯湯タンク上部付近にある「逃がし弁」のレバーを上げましょう。貯湯タンクは密閉されているため、非常用取水栓を開けただけでは水が出ない場合があります。逃がし弁を開けることでタンク内に空気が入り、重力により水がスムーズに出やすくなります。
なお、逃がし弁レバーを上げた際に「シュー」という音がすることがありますが、これは空気が入り込む音です。故障ではないため、そのまま作業を進めてください。
④非常用取水栓にホースを付けてお湯を出す
ここまでの手順を踏んだら、いよいよ水を取り出します。貯湯タンク下部にある「非常用取水栓」を見つけ、ツマミを反時計回りにゆっくり回しましょう。非常用取水栓は地面に近い位置にあることが多く、バケツで直接汲むのは難しい場合があります。あらかじめホースを差し込んでおくと、バケツやポリタンクに誘導しやすくなります。
必要量を取り出したら、非常用取水栓のツマミを回してしっかり閉めてください。開けたままだと、その場を離れた後に水が流れ続けるおそれがあります。災害時の貴重なお湯を無駄にしないためにも、最後まで注意して作業しましょう。
メーカーによって出し方は異なる
ここまでの流れは概ね共通ですが、部位の名称やレバー形状、操作方法などはメーカーや機種によって異なります。お手持ちのエコキュートのメーカー名・品番を確認し、取扱説明書で手順を必ず確認してください。
【主要メーカー7社の取扱説明書につながるリンク】
| メーカー | 取扱説明書へのリンク |
|---|---|
| 三菱電機 | 非常時の取水方法 |
| ダイキン | 断水時の対応と非常用水の利用方法 |
| 東芝 | 取扱説明書 |
| 日立 | 断水時の処置 |
| パナソニック | もしもの備え |
| コロナ | 非常用取水栓の位置と使い方 |
| 長府製作所 | 停電・断水時の対応 |
まとめ
停電時や断水時でも、一定の条件下ではエコキュートを活用できます。停電時と断水時にできること・できないことを一覧にまとめました。
【災害時にエコキュートができること・できないこと】
| 停電時にできること・できないこと | 断水時にできること・できないこと |
|---|---|
| ・蛇口からお湯も出る ・お湯はりや追い焚きはできない ・お湯の温度調整ができない |
・タンクにあるお湯を非常用水として使える ・シャワーや蛇口からお湯を使うことはできない ・タンク内のお湯の温度調整ができない |
エコキュートは経済的なだけでなく、災害時にも強みのある給湯器です。地震や台風に備えて対策を強化したい場合は、オール電化やエコキュートの導入を検討してみるとよいでしょう。
エコモは各地を飛び回って、電力・エネルギーや地球環境についてお勉強中なんだモ!色んな人に電気/ガスのことをお伝えし、エネルギーをもっと身近に感じてもらいたモ!


















