エコキュートとエネファームの違いを12項目別にわかりやすく解説|お得な給湯システムは?
家を建てる際やリフォーム・リノベーションをする際に、多くの人が悩むのが給湯器選びです。特に、空気の熱を利用するエコキュートと、ガスで発電するエネファームは、どちらも高効率なシステムとして注目されています。どちらを選ぶべきか決めかねている方も多いかもしれません。
そこで今回は、エコキュートとエネファームの違いを12の項目で徹底比較し、それぞれの特徴をご紹介します。ご自身のご家庭にエコキュートとエネファームのどちらが適しているのか、ぜひご確認ください。
エコキュートとエネファームの違いは?
エコキュートとエネファームは、どちらもお湯を沸かすシステムです。しかし、技術や考え方には大きな違いがあります。
エコキュートは給湯を目的としつつ、「どう効率よくお湯を作るか」を追求した技術です。一方のエネファームは発電が主な目的であり、その副産物として「お湯を無駄なく使う」という考え方で作られています。
| エコキュート | エネファーム | |
|---|---|---|
| 使用するエネルギー | 電気 | ガス |
| 初期費用 | 40万円~70万円 | 100万円~200万円 |
| ランニングコスト/年 | 2万円~5万円 | 6万円~10万円 |
| 節電効果 | ない | ある |
| 湯切れする可能性 | ある | ない |
| 停電時の使用可否 | 使えない | 発電中のみ使える |
詳しい違いは、この後の項目で解説します。
エコキュートとは?
エコキュートとは、電気と空気の熱を利用して、効率よくお湯を沸かすシステムです。熱を圧縮して高温にし、その熱を水に伝えてお湯にします。電気代が安い夜間の電気でお湯を沸かし、貯湯タンクに貯めて日中に使えるため、光熱費を節約できる可能性が高いです。
導入時には、目安として40万円~70万円の初期費用がかかる点はデメリットです。ただし、国や自治体の補助金を活用でき、実質的な導入コストを抑えられます。
<エコキュートの特徴まとめ>
- 1の電気に対して3以上の熱エネルギーを生み出す効率的な仕組み
- 深夜に沸かしたお湯をタンクに貯めて日中に使う
- エネファームよりも導入コストを抑えやすい
- 国や自治体の補助金を利用できる
エネファームとは
エネファームとは、ガスから取り出した水素と空気中の酸素を使って発電するシステムです。この際に発生した熱を「副産物」として利用し、お湯を沸かします。エネルギーを無駄なく活用できる点がメリットで、光熱費を削減できるほか、地球環境の改善にも貢献できます。
いわば家庭内に「小さな発電所」を設けられる仕組みであり、導入すると電力会社から購入する電気の量を減らせます。導入コストはエコキュートよりも高めですが、補助金の活用が可能です。
<エネファームの特徴まとめ>
- 自宅を「小さな発電所」にでき、買電量を削減できる
- 24時間自動で発電し、常に一定量のお湯を確保できる
- 導入コストはエコキュートよりも高い
- 国や自治体の補助金を活用できる
エコキュートとエネファームを項目別に徹底比較
ここからは、エコキュートとエネファームを12の項目ごとに徹底比較します。まずは項目ごとの特徴をざっくりと比較しましょう。
【比較表】
| エコキュート | エネファーム | |
|---|---|---|
| 初期費用 | 〇(40万円~70万円) | △(100万円~200万円) |
| 補助金 | 〇(6万円) | ◎(16万円) |
| 節電効果 | ◎ | 〇 |
| 設置スペース | △ | × |
| 寿命 | 〇(10年~15年) | ◎(10年~20年) |
| エネルギー源 | 電気 | ガス |
| 停電時の活用 | 〇(タンクのお湯を使える) | ◎(停電時も発電可能) |
| 環境への配慮 | 〇(再生可能エネルギーを利用) | ◎(CO2削減効果が高い) |
| 騒音 | △(40db前後が多い) | 〇(40db以下が多い) |
| 市場シェア | ◎ | △ |
| 将来性 | 〇 | 〇 |
| お風呂の使いやすさ | 〇 | ◎ |
それぞれのポイントをさらに詳しく解説します。
①初期費用
エコキュートの初期費用は40万円~70万円が目安です。タンクの容量やタイプ、寒冷地仕様の有無などによって価格が変動します。いずれのモデルもエネファームと比較すると割安で、導入のハードルが低い給湯システムです。 一方のエネファームは、初期費用の目安が100万円~200万円と、エコキュートの2~3倍となる可能性が高いです。エネファームは製造コストが高く、本体価格と設置費用の合計額が100万円を上回る傾向にあります。初期費用の高さが、後述する普及率の低さにもつながっています。
②補助金
政府は「2030年度におけるエネルギー需給の見通し」の達成を目指しています。その目標達成に向け、高効率給湯器の導入支援を実施しており、エネファームとエコキュートの両方が補助金の支援対象です。一例として、580億円の予算が設けられた「給湯省エネ2025事業」の概要をご紹介します。
【給湯省エネ事業2025の概要】
| 設置する給湯器 | 補助額(基本額) | 補助上限 |
|---|---|---|
| エコキュート(ヒートポンプ給湯器) | 6万円/台 | 戸建て:2台まで共同住宅等:いずれか1台まで |
| ハイブリッド給湯器(電気ヒートポンプ・ガス瞬間式併用型給湯器) | 8万円/台 | |
| エネファーム(家庭用燃料電池) | 16万円/台 |
初期費用が割高なぶん、エネファームにはより高額な補助金が支給されます。
なお、給湯省エネ2025はすでに予算上限に達しており、新規受付が終了しています。ただし、同等の事業は2026年以降も実施される可能性が高いです。資源エネルギー庁などのHPから最新の情報を取得し、予算上限に達する前に、できるだけ早く申請しましょう。
③節約効果
エコキュートは、夜間電力を活用して節約する給湯システムです。夜間の電気料金が安いプランに切り替えて、月々の光熱費の節約を目指します。一例として東京電力の「スマートライフS」は、時間帯により次のように電力量料金が異なるプランです。
【スマートライフSの料金表】
| 基本料金(10Aにつき) | 電力量料金(1Kwh) | |
|---|---|---|
| 311.75円 | 午前6時~翌午前1時 | 午前1時~午前6時 |
| 35.76円 | 27.86円 | |
午前1時~午前6時までにエコキュートでお湯を沸かすと、1kWhあたり7.9円節約できます。
一方のエネファームは、ガスから電気と熱を同時に作るシステムです。自宅で使う電気の一部をエネファームで賄えるため、月々の光熱費を削減できます。ただし、電気代が下がる反面、ガス代が増加する傾向にある点には注意が必要です。
④設置スペース
エコキュートの導入時には、やや広いスペースが必要です。エコキュートは「ヒートポンプユニット」と「貯湯タンク」に分かれており、それぞれを設置しなければなりません。特に貯湯タンクは奥行きが必要で、設置スペースが限られる場合は薄型タイプを選ぶ必要があります。
エネファームは「発電ユニット」と「貯湯ユニット」に加えて、お湯切れに備える「バックアップ給湯器」の設置が必要な場合があります。点検用のスペースも求められるため、エコキュート以上に広い設置スペースを用意しなければなりません。結果として、都市部の狭小住宅などでは、エネファームを設置できないケースも見られます。
⑤寿命
エコキュートの寿命は10年~15年が目安です。使用頻度や使い方によっても違いますが、ヒートポンプユニットが先に寿命を迎えるケースが多く見られます。故障を防いで寿命を延ばすためには、定期的なメンテナンスの実施や寒冷地仕様・塩害地使用など、環境に適した製品の選択が必要です。
エネファームは比較的頑丈に作られており、寿命の目安はエコキュートよりもやや長い15年~20年です。ただし、経年劣化による事故防止の観点から、通電開始から20年で燃料電池ユニットの動作が停止します。メーカーによっては13年で動作が停止する機種もあり、注意が必要です。
⑥エネルギー源
エコキュートは電気のみをエネルギー源としてお湯を沸かすシステムです。ガスを使わないため、ガス代を大幅に節約できます。一方、エネファームはガスをエネルギー源として発電し、その熱を利用してお湯を作るのが特徴です。そのため、ガスを使わないオール電化住宅には、エネファームを設置できません。
エコキュートとエネファームに共通する点は、お湯を作る際に「ガスを燃焼させて直接加熱する方式」ではないことです。いずれも二酸化炭素の排出を抑えられ、環境負荷の低減に寄与します。
⑦停電時の活用
エコキュートは電気を使ってお湯を沸かすシステムです。ただし、停電してもタンク内に残っているお湯を取り出せるため、非常時の生活用水として利用できます。飲用には適しませんが、洗濯やトイレなどの用途であれば問題ありません。
一方のエネファームには、停電時発電機能付きのモデルも販売されています。この機能が付いたモデルを選ぶと、停電時も電気とお湯の供給が続き、普段どおりの給湯が可能です。テレビや照明、パソコンなどの家電、シャワーやお風呂といった設備も、平常時に近い形で使用できます。
⑧環境への配慮
エコキュートは再生可能エネルギーである「空気の熱」を活用するシステムです。CO2排出量の削減に貢献でき、環境に優しい点もエコキュートの魅力といえます。 エネファームは、本来であれば発電所でロスしてしまう「発電時の熱」を活用できるシステムです。エネルギーの無駄を極限まで抑えられ、環境意識の高い方からも支持されています。また、熱効率を高めた高効率ガス給湯器「エコジョーズ」も登場しています。
⑨騒音
エコキュートが稼働する時間帯は深夜が中心であり、独特の「ブーン」という低周波音が気になる場合があります。ただし、近年のエコキュートは静音性に優れており、稼働音は図書館と同程度の40デシベル前後です。騒音が気になる場合は、寝室から離れた場所に設置するなどの対策を講じるとよいでしょう。一方のエネファームは、一般的な機種でも稼働音が40デシベル以下に抑えられています。わずかな違いではありますが、数値上はエコキュートより静かに稼働する場合が多いです。
⑩市場シェア
エコキュートはオール電化住宅にとって標準装備ともいえる設備で、多くのメーカーが参入しています。対するエネファームは、新築の注文住宅や、ガス会社の影響力が強いエリアを中心に普及している点が特徴です。 2023年夏のデータでは、エコキュートの累計販売台数が900万台を突破した一方、エネファームの累計販売台数は50万台にとどまっています。市場シェアはエコキュートが圧倒的に高く、故障時のサポートも受けやすいでしょう。
⑪将来性
エコキュートは太陽光発電との連動性に優れており、電力の自給自足を目指すうえで有力な設備です。一方のエネファームは、水素を活用して発電するタイプも台頭しており、カーボンニュートラル社会の実現に大きく貢献すると考えられています。
⑫お風呂の使いやすさ
エコキュートはタンクに貯めたお湯を使うシステムであり、お湯を使い切った場合は再度湧き上げるまでに時間がかかります。一方のエネファームにはバックアップ給湯器があり、お湯切れの心配がありません。 追い焚き機能はどちらも利用できますが、加熱方法に違いがあります。浴槽のお湯を循環させて電気ヒーターで温め直すエコキュートに対し、エネファームはガスを利用して加熱する仕組みです。そのため、追い焚きにかかる時間は、エネファームのほうが速い傾向にあります。
エコキュート・エネファームがおすすめの人はどんな人
あらためて、エコキュートとエネファームの特徴をまとめます。
【比較表】
| エコキュート | エネファーム | |
|---|---|---|
| メリット | ・光熱費を削減しやすい・初期費用が比較的安い・オール電化に適している | ・深夜の動作音が気になる場合がある・お湯切れのリスクがある |
| デメリット | ・ガスと電気を併用できる・停電時に電気が使える機種もある・お湯切れのリスクが小さい | ・導入コストが高い・広い設置スペースが必要・20年で動作が停止する |
ここからは、それぞれがおすすめの人をご紹介します。
エコキュートがおすすめの人
以下に該当する方には、エコキュートがおすすめです。
<エコキュートがおすすめの人>
- 初期費用を抑えつつ、月々の光熱費を下げたい人
- オール電化住宅の人
- 深夜電力を有効活用できるライフスタイルの人
エネファームがおすすめの人
以下に該当する方には、エネファームがおすすめです。
<エネファームがおすすめの人>
- 電気とガスを併用したい人
- 停電時も電気を使いたい人
- お湯切れを気にせずお風呂に入りたい人
まとめ
エコキュートとエネファームには違いがあり、どちらかが絶対的に優れているわけではありません。
【それぞれが向いている人】
| エコキュートがおすすめの人 | エネファームがおすすめの人 |
|---|---|
| ・初期費用を抑えつつ、月々の光熱費を下げたい人・オール電化住宅の人・深夜電力を有効活用できるライフスタイルの人 | ・電気とガスを併用したい人・停電時も電気を使いたい人・お湯切れを気にせずお風呂に入りたい人 |
まずはご自宅の電気やガスの使用状況を振り返り、より適した給湯システムを選びましょう。いずれも省エネ性に優れているほか、災害対策としても活用できます。
エコモは各地を飛び回って、電力・エネルギーや地球環境についてお勉強中なんだモ!色んな人に電気/ガスのことをお伝えし、エネルギーをもっと身近に感じてもらいたモ!


















