産業用太陽光発電とは?個人で購入できる?企業が導入するメリット・デメリットを解説

  • 更新日:2026/03/26

電気代の高騰や脱炭素経営の推進といった事情により、産業用太陽光発電を導入する企業が急速に増加中です。産業用太陽光発電は、家庭用のソーラーパネルと比較して大規模なシステムであり、工場や倉庫、商業施設、遊休地などに設置されます。

それでは、産業用太陽光発電を企業が導入するメリットやデメリットには、どのようなものがあるのでしょうか。この記事では、産業用太陽光発電の概要をご紹介したうえで、設置方法や設置にかかる費用相場などを解説します。

産業用太陽光発電とは

目次

産業用太陽光発電とは、出力が10kW以上の太陽光発電システムです。主に企業や法人が事業目的で導入し、工場や倉庫、商業施設、遊休地などに設置します。

産業用太陽光発電の規模はさまざまです。事業所の屋根に設置するコンパクトなものもあれば、1,000kW以上のメガソーラーも産業用太陽光発電に含まれます。

家庭用太陽光発電との違い

一般的な家庭用の太陽光発電との違いを表にまとめます。

【産業用太陽光発電と家庭用太陽光発電の比較表】

種類 産業用太陽光発電 家庭用太陽光発電
出力 10kW以上 10kW以下
設置場所 工場、倉庫、商業施設、遊休地など 戸建て住宅
固定価格買取制度 20年間 10年間
目的 ・売電収入
・事業用電力の自家発電
・企業イメージ向上
・電気代の削減
・売電収入
・災害対策

産業用太陽光発電はより規模が大きく、固定価格買取制度の期間も2倍です。家庭用の利用目的が個人の利益確保に特化することに対して、産業用は企業イメージ向上を目的に設置するケースも目立ちます。消費者が「地球環境に配慮する企業」といったポジティブなイメージを持ちやすく、ブランディングにつながります。

産業用太陽光発電の設置方法

産業用太陽光発電は、敷地状況に応じて「地上設置型」もしくは「屋根設置型」のいずれかを選択します。それぞれの特徴を見てみましょう。

地上設置型

地上設置型(野立設置型)とは、地面に直接架台を設置して、太陽光発電を取り付ける方法です。地上設置型には、次のメリット・デメリットがあります。

【地上設置型のメリット・デメリット】

メリット ・広い土地を確保しやすく、大規模な太陽光発電が可能
・設計がしやすく、効果を最大化できる方角や角度に設置できる
デメリット ・農地から転用する場合などは、法規制対応が必要となる
・災害や獣害に備えて土地を管理しなければならない

所有する土地の全域を太陽光発電に活用できる点が地上設置型の特徴です。大規模発電が可能であり、売電収入を主な目的とする場合に適しています。

一方、事前に法的な手続きを踏む必要に迫られる可能性がある点は、地上設置型のデメリットです。また、災害・獣害に備える必要があるほか、近隣住人とのトラブルに発展する可能性もあります。

屋根設置型

屋根設置型とは、一般的な住宅と同じように、工場や商業施設などの屋根に太陽光発電を設置する方法です。地上設置型とはメリット・デメリットが異なります。

【屋根設置型のメリット・デメリット】

メリット ・新しく土地を取得する必要がなく、既存スペースを有効活用できる
・発電した電力を直下の建物内で消費しやすい
デメリット ・屋根の耐荷重や構造によっては、そもそも設置ができない
・ソーラーパネルを理想的な方角や角度に設置できない場合がある

既存の建物を無駄なく活用でき、初期費用を抑えやすい点が屋根設置型のメリットです。事業所内で自家消費する場合、遠方から送電せずに済み、効率的に電気を活用できます。

一方、屋根の形状や耐荷重に問題がある場合は、物理的な問題でソーラーパネルを設置できません。なお、太陽光発電を設置するのに最適な方角は南向きです。しかし、屋根の平面が南側を向いていない場合は、最適な方角に設置できず、発電量を最大化できない場合があります。

「個人で」産業用太陽光発電は購入できる?

結論から申し上げますと、個人でも産業用太陽光発電の導入が可能です。副業や資産運用を目的として、個人で所有する遊休地や農地に産業用太陽光発電を設置するケースは増えています。

最大のメリットは、20年間にわたり固定価格買取制度を適用できる点です。住宅用と比較して適用期間が2倍に延び、長期間にわたり安定した売電収入を確保できます。

【固定価格買取制度(FIT制度)による売電価格】

容量 期間 売電価格
10kW未満(家庭用) 最初の4年間 24円
残りの6年間 8.3円
10kW~50kW(産業用) 最初の5年間 19円
残りの15年間 8.3円

※10kW未満の売電価格は税込です。10kW~50kWの売電価格は税抜です。

広い土地を所有している場合は、産業用太陽光発電の導入を検討するのもよいでしょう。

産業用太陽光発電を設置するメリット6選

産業用太陽光発電を設置するメリットは主に6つです。ここでは、企業・法人が設置するメリットに焦点を当てて解説します。

電気代の削減になる

発電した電力を自家消費すると、電力会社からの買電量が減り、電気代の削減につながります。特に工場や倉庫のように、日中の電力消費が多い企業・法人は効果的です。また、電気料金の高騰による影響も受けにくく、安定した経営を実現しやすくなります。

売電収入が得られる可能性もある

FIT制度やFIP制度により、余剰電力を電力会社に売却し、売電収入が得られる可能性もあります。制度の適用期間は20年間と長く、安定した売電収入を確保しやすいです。

ただし、FIT・FIP制度終了後の買電価格は高くなく、将来的には売電収入が下がる傾向にあります。基本的には発電した電力を自家消費し、買電量を減らしたほうがお得です。

災害時の非常電源になる

災害時に非常電源として活用できる点も、産業用太陽光発電を導入するメリットです。地震や台風による影響を受け、電力の供給がストップしても、日中の太陽光をエネルギーに変換して事業所や工場の稼働を継続できます。蓄電池を併用すると、数日間の事業継続も可能でしょう。

節税対策になる

産業用太陽光発電の設置にかかった費用は、減価償却費として経費に計上でき、節税対策になります。設備のメンテナンスなど、維持管理にかかる費用も経費として計上が可能です。さらに、中小企業の場合は「中小企業経営強化税制」を適用できる可能性もあります。

脱炭素企業としてPR可能

脱炭素企業としてPRでき、ブランドイメージの向上に役立つ点もメリットの一つです。持続可能な社会の実現に取り組む「SDGs」の一環として、産業用太陽光発電を導入する企業もあります。

近年では、企業の環境への取り組みに対する、投資筋の関心も高まっています。「ESG投資」は代表例であり、脱炭素企業としてPRした結果、資金調達を円滑に行える可能性もあるでしょう。

補助金が活用できる

産業用太陽光発電を導入する際にかかるコストの一部は、補助金で補てんできる可能性が高いです。政府は脱炭素社会の実現に向けた施策として、事業者に向けた補助制度を充実させています。

たとえば「民間企業等による再エネの導入及び地域共生加速化事業」は、産業用太陽光発電のPPAリースで5万円/kW、購入で4万円/kWの補助金を受け取れる制度です。

その他にも「脱炭素技術等による工場・事業場の省CO2化加速事業(SHIFT事業)」や「一般廃棄物処理施設の整備」など、事業者を対象とする補助制度が多数用意されています。これらの制度の活用により、導入コストの大幅な削減が可能です。

産業用太陽光発電を設置するデメリット4選

産業用太陽光発電には多くのメリットがある一方で、設置する前に知っておくべきいくつかのデメリットもあります。4つのデメリットにも注目し、導入後のリスクを最小化しましょう。

導入には初期費用がかかる

産業用太陽光発電の導入には高額な初期費用がかかります。詳しくは後述しますが、導入コストの目安は1kWあたり18.8万円~26.5万円です。屋根の改修工事や土地の取得が必要な場合は、別途工事費や取得費も支払わなければなりません。

産業用太陽光発電の設備は、家庭用と比較して規模が大きく、導入コストも高額になりがちです。補助制度を積極的に活用し、初期費用を削減しましょう。

メンテナンスのコストもかかる

初期費用に加えて、メンテナンスのコストが定期的に発生する点もデメリットです。金銭面で元を取れるか計算する際は、初期コストだけでなくメンテナンスコストも計算に含める必要があります。ランニングコストの詳細は後述します。

「元が取れる」とは限らない

産業用太陽光発電の投資コストを回収できるとは限りません。初期費用とメンテナンス費用の合計が、稼働終了までに得た経済効果(売電収入と節電により得られた利益の合計)を上回るケースもあります。固定価格買取制度が20年後に終了する点にも留意しましょう。

ただし、産業用太陽光発電には経済的利益以外のメリットも多いです。災害等による非常時の備えになるほか、ブランディングに直結する可能性もあり、間接的な利益を得られる可能性があります。

設置スペースが必要

産業用太陽光発電の設備は大規模であり、必然的に広大な設置スペースが必要です。

また、設置スペースを確保できても、状況によりそのままでは設備を設置できない場合があります。地上設置型の場合は強い地盤が、屋根設置型の場合は耐荷重に強い屋根が必要です。現場に地盤沈下や崩落のリスクがある場合は、事前の補強工事が必須と判断される可能性があります。

産業用太陽光発電の設置にかかるコスト

先述のとおり、産業用太陽光発電の設置には初期コストのほかランニングコストがかかります。また、導入後に税金が発生する点にも注意が必要です。今後の産業用太陽光発電導入に備えて、設置費用の目安も細かく確認しましょう。

初期コスト

資源エネルギー庁は、2024年12月に公表した資料の「太陽光発電について」において、事業用太陽光発電の設置コストを掲載中です。この資料をもとに、産業用太陽光発電の初期コストをご紹介します。

【産業用太陽光発電の初期コスト】

ソーラーパネル 9.4万円
パワーコンディショナ、架台 6.4万円
工事費 7.8万円
土地造成費 1.2万円
接続費 1.7万円

※全案件の平均値です。単位はすべて1kWあたりです。

合計で26.5万円/kWが初期コストの目安です。100kWの産業用太陽光発電を導入する場合、初期コストの目安は2,650万円と考えましょう。これはあくまでも平均値であり、産業用太陽光発電の規模や工事の内容により、金額が大幅に増減する可能性があります。

ランニングコスト

ランニングコストの相場は、地上設置型で4,100円~5,200円/kW/年、屋根設置型で3,700円~5,200円/kW/年とされています。仮に100kWの産業用太陽光発電を設置する場合、年間のメンテナンス費用の概算は37万円~52万円です。

税金

産業用太陽光発電の設置は、原則として事業目的とみなされ、課税対象となります。産業用太陽光発電の税金は、設置方法によって異なるほか、減価償却も可能であり複雑です。ケースによって税額が大きく異なるため、税理士などの専門家への事前相談をおすすめします。

まとめ

産業用太陽光発電の導入には、電気代削減や災害・節税対策、環境への貢献といった多面的なメリットがあります。ブランディングに活用できる可能性も高く、企業にとって価値のある投資です。

導入には高額な初期費用がかかります。しかし、補助制度の活用により、初期コストを大幅に削減できる可能性が高いです。事業所や工場の屋根が広い場合や、使用していない土地を所有している場合は、産業用太陽光発電の導入を検討してはいかがでしょうか。

<この記事を書いた人>
エコモ博士

RAUL株式会社 電気プラン乗換コム運営事務局
エコモ博士のエコらいふナビ

エコモは各地を飛び回って、電力・エネルギーや地球環境についてお勉強中なんだモ!色んな人に電気/ガスのことをお伝えし、エネルギーをもっと身近に感じてもらいたモ!

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