自家消費型の太陽光発電とは?種類やメリット・デメリット、自家消費率を高める方法を解説
近年、自家消費型太陽光発電という言葉を耳にする機会が増えてきました。これは、発電した電力を売電するのではなく、自家消費に回すことを目的とした太陽光発電の運用方法です。
この記事では、自家消費型の太陽光発電とは何か解説した上で、その種類や導入するメリット・デメリットをご紹介します。
太陽光発電の自家消費率を高める方法にも触れているため、光熱費の削減や非常時の対策を進めたい方は、ぜひ最後までご覧ください。
自家消費型の太陽光発電とは?
自家消費型の太陽光発電とは、発電した電力を自宅で優先的に消費する形態です。
従来の太陽光発電のあり方は、発電した電力を自家消費するとともに、電力会社に売電して収益を上げることが一般的でした。
しかし、近年はさまざまな背景により、自家消費型の太陽光発電が脚光を浴びています。
自家消費型太陽光発電が重要視されている背景
自家消費型太陽光発電が注目を集める背景には、世界と日本のエネルギーを取り巻く深刻な課題が見え隠れします。
特に次の3点は、自家消費型太陽光発電が重要視される要因となりました。
- CO2削減
- 電気料金の高騰
- 非常用電力の需要
<自家消費型太陽光発電が重要視される要因>
地球温暖化対策として、CO2排出量の削減が強く求められています。自家消費型太陽光発電は、再生可能エネルギーを自前で調達できるため、脱炭素化を加速させる上で有効です。
ロシア・ウクライナ情勢の緊迫化などが原因で化石燃料の価格が高騰し、電気料金が急激に上昇したことも、自家消費型太陽光発電が注目されている理由の一つです。
また、日本は地震などの災害が多いため、非常用電力の需要が高く、これも自家消費型太陽光発電が重要視される要因の一つに数えられます。
自家消費型太陽光発電の種類
自家消費型太陽光発電には、発電した電気の使い道によって、大きく二つの種類があります。
- 全量自家消費型
- 余剰売電型
<自家消費型太陽光発電の種類>
それぞれの特徴を見ていきましょう。
全量自家消費型
全量自家消費型は、発電した電力の全てを自宅などの敷地内で消費するタイプです。全量自家消費型の場合、電力会社への売電は一切行いません。
発電した電力を使い切ることにより、電力会社から購入する電気を最小限に抑えられます。ただし、消費量を上回る電力を有効活用するためには、別途蓄電池が必要です。
余剰売電型
余剰売電型は、発電した電力を自家消費して、余った電力を電力会社に売電するタイプです。FIT制度終了後は買電単価が下がりますが、売電自体は続けられるため、売電収入を確保できます。
電力の自家消費量は最大化できませんが、蓄電池がなくても、発電した電力を無駄なく消費できることがメリットです。
自家消費型太陽光発電のメリット
自家消費型太陽光発電を導入するメリットは、主に次の3つです。
- 電気料金を削減できる
- CO2の削減につながる
- 災害時の非常用電源になる
<自家消費型太陽光発電のメリット>
それぞれのポイントを解説します。
電気料金を削減できる
自家消費型太陽光発電で最大のメリットと言えるのが、電気料金を削減できることです。電力会社から購入する電気を減らせるため、自家消費した電力分の料金を丸ごと削減できます。
ウクライナ情勢により化石燃料価格の高騰を受け、家庭の電気代は高騰し、現時点でも下落の目途は立っていません。
大手電力会社のみならず、新電力会社の価格高騰にも歯止めが効かない状態です。このような問題を解決する手段として、自家消費型太陽光発電が脚光を浴びています。
CO2の削減につながる
CO2の削減につながることも、自家消費型太陽光発電を導入するメリットです。
一般的な火力発電のCO2排出量は、1kWhあたり約690gとされています。それに対して、太陽光発電のCO2排出量は、製造・輸送・廃棄といった全てのプロセスを含めても、1kWhあたり17~48g程度です。CO2の削減を実現することにより、地球温暖化対策に大きく貢献できます。
災害時の非常用電源になる
自家消費型太陽光発電は、災害時の電力確保という面でも大きなメリットをもたらします。
2011年に発生した東日本大震災をきっかけに、大規模停電への対策として、分散型電力供給システムの注目度が高まりました。
太陽光発電を備えていれば、災害により電力の供給がストップしたとしても、太陽光が出ている間は普段と同じように電気を使用できます。
また、蓄電池を導入することにより、夜間や雨天時にも自家発電した電力を活用できることもメリットです。
自家消費型太陽光発電のデメリット
自家消費型太陽光発電には多くのメリットがある一方で、次のようなデメリットもあります。
- 初期費用がかかる
- メンテナンス費用がかかる
- 設置するスペースが必要になる
<自家消費型太陽光発電のデメリット>
特にコストに関連する注意点が多いです。電気代の節約を目的として自家消費型太陽光発電の導入・切り替えを行ったにもかかわらず、初期費用やメンテナンス費用がかさみ、節約効果が得られない場合は、本末転倒と言わざるを得ません。
デメリットも確認した上で、自家消費型太陽光を導入するか検討しましょう。
初期費用がかかる
自家消費型太陽光発電を導入する場合は、次のような設備を導入する必要があります。これらの設備を購入する際に、高額な初期費用がかかることが、自家消費型太陽光発電のデメリットです。
- 太陽光パネル(モジュール)
- パワーコンディショナ(パワコン)
- 設置架台
- 蓄電池
- HEMS/BEMS(エネルギー管理システム)
<自家消費型太陽光発電に必要な設備一覧>
設置費用は太陽光発電設備の規模や設置場所、機能によって異なりますが、家庭用では数百万円が必要となる場合が多いです。
経済産業省が公表した「令和7年度以降の調達価格等に関する意見」によると、住宅用太陽光発電のシステム費用は約10年前と比較して下がっているものの、2024年度の平均値は28.6万円/kWでした。
自家消費型太陽光発電の初期費用を最小限に抑えるコツは、国や自治体による補助制度・助成制度を最大限に活用することです。
制度の内容は自治体や年度によって異なるため、導入の検討を本格化したタイミングで、市区町村の公式HPなどから補助制度の情報を収集しましょう。
メンテナンス費用がかかる
太陽光発電設備は、設置して終わりではありません。長期間にわたって安定した性能を維持するために、定期的なメンテナンスが不可欠です。メンテナンスの内容ごとに費用相場をまとめました。
【メンテナンス費用の相場】
| メンテナンスの内容 | メンテナンス費用の相場 |
|---|---|
| 定期点検 | 2万円/1回 |
| ソーラーパネルの清掃 | 5万~6万円/1回 |
| パワーコンディショナの交換 | 20万~30万円/1台 |
定期点検は4年に1度程度のペースで行うことが推奨されています。ソーラーパネルが鳥の糞や砂埃で汚れると、発電効率の低下を招くほか、故障を誘発するリスクもあるため、定期的な清掃が必要です。
また、パワーコンディショナの寿命は10年~15年とされており、太陽光パネルよりも早く故障する可能性が高いです。
そのため、パワーコンディショナの交換費用も、メンテナンス費用の一部として計算に含めましょう。
設置するスペースが必要になる
太陽光発電設備の設置には、十分なスペースが必要です。具体的な設置エリアとしては、次の3つから選択することが一般的と言えます。
- 住宅の屋根
- 遊休地
- カーポート
<太陽光発電設備の主な設置エリア>
もっとも一般的な設置エリアは屋根ですが、屋根の強度が足りない場合や、屋根の形状が特殊な場合は、別途改修工事が必要になります。
遊休地とは、利用していない土地のことであり、土地が広ければ広いほど大規模な発電が可能です。また、カーポート(駐車場の屋根)を使用するケースも増えています。
設置スペースが限られている場合は、そもそも太陽光発電設備を設置できない可能性があるため、施工業者に現地調査を依頼しましょう。
設置スペースを見つけられたとしても、日当たりが悪い場合は、期待どおりの発電量が得られません。目安となる発電量は、施工業者に現地調査を依頼するとシミュレーションできます。
太陽光発電の自家消費率を高める方法
自家消費型太陽光発電のメリットを最大化するためには、自家消費率を高める必要があります。そのための対策として有効なのは次の4つです。
- 日中の電気使用量を増やす
- 蓄電池を導入する
- 発電量が多い方角に設置する
- 太陽光発電と電気自動車を併用する
<太陽光発電の自家消費率を高める方法>
ここからは、上記でピックアップしたそれぞれのポイントをわかりやすく解説します。
日中の電気使用量を増やす
太陽光発電は日中に最大の発電量を得られます。そのため、日中に集中して電気を使用するようにライフスタイルや事業活動を見直すことが、自家消費率を高める上でもっとも効果的な方法です。日中の電気使用量を増やすコツをリストアップします。
- オール電化やエコキュートを使用する
- 家電の使用時間を日中に集中させる
- テレワークの作業時間を日中にシフトする
- スマートホーム機器を活用する
<日中の電気使用量を増やすコツ>
オール電化・エコキュートを使用して、昼間の発電時間帯にお湯を沸かす設定に変更すると、日中に発電した電力をそのまま消費できます。
テレワークの作業時間が縛られていない場合は、夜間の作業を避け、日中に作業を済ませるように意識すると良いでしょう。DIYなど電気を使う趣味の時間も、日中に集中させることをおすすめします。
また、家電の使い方を工夫することも、自家消費率を高めるコツの一つです。食洗機や洗濯機、乾燥機などの家電は、日中の発電時間に合わせてタイマー設定し、電力消費を昼間に集中させましょう。
スマートプラグなどを活用して、夜間の家電使用をオフにする対策も有効です。
蓄電池を導入する
蓄電池を導入すると、日中の余剰電力を貯めておき、夜間や雨天時などの発電できない時間帯に流用できます。
これにより、日中に発電した電力を無駄なく使いきれるため、自家消費率を高めることが可能です。
蓄電池の導入には初期費用がかかりますが、国や自治体による補助制度の利用を申請すると、補助金を受け取れる可能性が高いです。
災害時の非常用電源として活用できることも蓄電池を導入するメリットであり、費用対効果が高いでしょう。
発電量が多い方角に設置する
太陽光パネルを設置する方角と傾斜角を調整することにより、発電量を最大化できます。
南向きの屋根に太陽光パネルを設置するのが理想的ですが、東西に分散して太陽光パネルを設置して、朝と夕方の発電量を無駄なく確保する対策も有効です。
太陽光発電と電気自動車を併用する
電気自動車(EV)を所有している場合は、太陽光発電と併用することにより、電力の自家消費率を大幅に高められます。
電気自動車には日中の余剰電力を充電し、家庭用の電源として活用できるシステムが導入されています。
電気自動車を「走る蓄電池」として活用することにより、蓄電池の購入費用をカットしながら、電力自家消費の最大化を実現できるのです。
まとめ
自家消費型太陽光発電とは、発電した電力のすべて、あるいは大部分を自家消費に回す太陽光発電のあり方です。自家消費型太陽光発電のメリット・デメリットをまとめます。
【自家消費型太陽光発電のメリット・デメリット】
| メリット | デメリット |
|---|---|
|
|
主なデメリットは費用面ですが、国や自治体の補助金を活用することにより、初期費用を大幅にカットすることが可能です。
また、蓄電池や電気自動車を併用すると、太陽光発電の自家消費率を高められます。
エコモは各地を飛び回って、電力・エネルギーや地球環境についてお勉強中なんだモ!色んな人に電気/ガスのことをお伝えし、エネルギーをもっと身近に感じてもらいたモ!
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