家庭用蓄電池って何?仕組みや導入する目的・注意点などを解説します

  • 更新日:2025/12/22

近年、電気代の高騰や災害時の停電対策として、家庭用蓄電池が注目度を高めています。

家庭用蓄電池は、太陽光発電システムの普及とともに、家庭でのエネルギー管理を効率化するツールとして導入されてきました。

家庭用蓄電池の導入を検討している方の中には、「家庭用蓄電池はどのような仕組みで動くのか」「どんな目的で導入すると良いのか」といった疑問を抱えている方が多いかもしれません。

この記事では、家庭用蓄電池の基本的な仕組みや導入の目的や注意点、そして選び方のポイントも解説します。

目次

家庭用蓄電池とは?

家庭用蓄電池とは、一戸建てやマンションなどの家庭で使用する電力を貯めておく装置です。

太陽光発電で作った電気だけでなく、電力会社から購入した電気も貯められます。まずは家庭用蓄電池と産業用蓄電池・ポータブル電源の違いを見ておきましょう。

    <家庭用蓄電池とは?>

  • 産業用の蓄電池との違い
  • ポータブル電源との違い

産業用の蓄電池との違い

産業用蓄電池とは、工場や商業施設などに設置される、大規模な電力需要に対応する蓄電池です。

容量の目安は数十kWh~数百kWhで、家庭用蓄電池と比較して10倍以上の規模を持ちます。

産業用蓄電池は大容量のため、家庭用蓄電池とは種類が異なることも特徴の一つです。

家庭用蓄電池には主にリチウムイオン電池が採用されていますが、産業用蓄電池にはナトリウム硫黄電池が採用されることも少なくありません。

ポータブル電源との違い

ポータブル電源とは、持ち運びができる蓄電池のことです。家庭用蓄電池と比較して小型であり、容量も0.5kWh~2kWh程度に抑えられています。

家庭用蓄電池は自宅に固定して使うことを前提に設計されているため、そもそもポータブル電源とは目的が異なります。

ポータブル電源は、キャンプやアウトドアなどで短時間用いる電源として利用すると便利です。

家庭用蓄電池の仕組み

家庭用蓄電池の仕組みを理解するために重要なキーワードは「充電」と「放電」です。ここでは、家庭用蓄電池として一般的なリチウムイオン電池の仕組みについて解説します。

まず電流を流して負極へ電子を取り込ませると、正極側にあるリチウムイオンが負極へ移動します。

負極に集まったリチウムイオンを、いつでも使えるように貯めておくことが充電です。

次に、リチウムイオンを含んだ負極からリチウムイオンが放出されて正極へ移動し、それと同時に電子が回路を通って電力を使用できるようになる現象を放電といいます。

このように、リチウムイオンを負極と正極の双方向へと移動させることにより、充電と放電を繰り返すのが家庭用蓄電池の仕組みです。

家庭用蓄電池の充電方法は2つ

家庭用蓄電池の充電方法は次の2つです。時間帯によって充電方法が異なるため、それぞれの特徴を確認しておきましょう。

    <家庭用蓄電池の充電方法>

  • 太陽光発電で作った電力を貯める
  • 電力会社から買った電力を貯める

太陽光発電で作った電力を貯める

太陽光発電システムを併用している場合、昼間に太陽光発電で作った電力を蓄電池に充電します。

蓄電池に貯めた電力は、夜間や早朝、雨天時といった太陽が出ていない時間帯に使うことが可能です。これにより、電力会社から購入する電力量を減らして、電気代を節約できます。

電力会社から買った電力を貯める

太陽光発電システムを併用していない場合や、太陽光発電システムを併用してオール電化向けプランを契約している場合、夜間は電力会社から購入した電力を蓄電池に充電します。

オール電化向けプランは、深夜に購入する電力の料金が割安に設定されていることが特徴です。

電気代が安い深夜に充電し、電気代が高くなる昼間に使用することによって、電気代を節約できます。

家庭用蓄電池を導入する目的は?

家庭用蓄電池を導入する目的は、主に次の3つです。それぞれのメリットを解説します。

    <家庭用蓄電池を導入する目的>

  • ➀電気代の節約を目指す
  • ➁災害停電時の備えにする
  • ③太陽光発電とセットで設置する

➀電気代の節約を目指す

家庭用蓄電池を導入すると、電気代の節約を実現しやすくなります。

電力会社の料金プランには、電気を購入する時間帯に応じて料金が異なる「時間帯別料金プラン」があります。

電気代が安い時間帯に購入した電力を家庭用蓄電池に貯めておき、電気代が高い時間帯に消費すると、電気代の差額分を節約できるのです。

また、後述するように太陽光発電と家庭用蓄電池をセットで利用すると、電気代をより節約しやすくなります。

➁災害停電時の備えにする

災害などにより停電した場合に、非常用電源として活用できることも、家庭用蓄電池を導入するメリットです。日本は地震や台風などの自然災害が多く、さまざまな地域で定期的に停電が発生しています。

停電が発生すると、夜間に照明が使えなくなるほか、「冷蔵庫が動かなくなる」「スマホが充電できなくなる」など多くの悪影響が生じるでしょう。

しかし、家庭用蓄電池を導入すると、事前に貯めていた電力を非常時に活用できます。

普段どおりの生活を維持しながら電力の復旧を待てるため、非常時にもストレスを感じにくく、安心感が高まるでしょう。

③太陽光発電とセットで設置する

太陽光発電と家庭用蓄電池をセットで設置すると、節約効果や災害時の備えがより強力になります。

蓄電池が特に真価を発揮するのは「卒FIT後」です。卒FITとは、太陽光発電の余剰電力を電力会社が高価格で買い取ることを約束するFIT制度が終了することを意味しています。

卒FIT後は売電価格が下がりますが、家庭用蓄電池を併用すると、売電に回していた電力を貯めて夜間などに使用できるため、電気を自給自足しやすくなるのです。

また、災害などにより電力の供給がストップしたとしても、日中に発電した電力を家庭用蓄電池に貯めて夜間や雨天時に使用できるかもしれません。

このため、災害からの復旧が長引いたとしても、生活に必要な最低限の電力を確保しやすくなるでしょう。

家庭用蓄電池を導入する際の注意点

家庭用蓄電池には多くのメリットがありますが、導入する際にはいくつかの注意点があります。これからご紹介する3つの注意点を確認しておきましょう。

    <家庭用蓄電池を導入する際の注意点>

  • ➀初期の導入コストがかかる
  • ➁設置スペースが必要になる
  • ③太陽光発電との互換性をチェックする

➀初期の導入コストがかかる

家庭用蓄電池を利用する場合、初期の購入コストがかかります。特に太陽光発電と家庭用蓄電池を併用する場合は、設備の購入費と工事費を合わせて100万円単位の初期費用が発生する可能性が高いです。

ただし、太陽光発電と家庭用蓄電池を併用すると、「売電収入」と「電気代の節約」による経済効果が生まれます。

経済効果により、導入コストを何年で回収できるのかシミュレーションしてみましょう。

【経済効果のシミュレーション(夜間消費パターン)】
1~4年目 5~10年目 11年目~
経済効果 10,821円 6,189円 6,610円
投資回収率 45.59% 85.72% 12.0年目に
100%達成

※経済効果は1ヶ月あたりの平均です。経済効果は自家消費により削減できた光熱費+売電金額です。

希望の自家消費率30%、余剰売電率70%で試算しています。関東地方における4人家族が東京電力を利用した場合の経済効果と光熱費です。太陽光発電の出力(容量)は4kWです。

太陽光発電と家庭用蓄電池の導入コストを約140万円と仮定した場合、設置から12年目に導入コストを回収できます。

高額な導入コストがかかりますが、シミュレーションどおりの経済効果を得られた場合、長い目で見ればお得といえるでしょう。

また、太陽光発電と家庭用蓄電池はいずれも補助金支給の対象となる場合があります。国や自治体の補助・助成制度を確認して、機器をお得に導入できるか調べてみましょう。

➁設置スペースが必要になる

家庭用蓄電池は比較的コンパクトですが、一定の設置スペースが必要です。また、屋外に設置する場合は防水・防塵性能を有する家庭用蓄電池を購入する必要があるほか、屋内に設置する場合は換気や温度管理がしやすい場所に設置する必要があります。

業者とも相談しながら、自宅に無理なく設置できるモデルを選ぶことが大切です。

③太陽光発電との互換性をチェックする

すでに太陽光発電を導入していて、家庭用蓄電池を後付けする場合は、太陽光発電との互換性をチェックしましょう。互換性がない場合、以下のような問題が発生するリスクがあります。

    <互換性がない家庭用蓄電池を導入するリスク>

  • 家庭用蓄電池が正常に作動しない
  • 家庭用蓄電池や太陽光発電システムが故障する原因となる
  • 太陽光発電システム全体の発電効率が低下する

互換性をチェックする際のポイントは次のとおりです。

【互換性をチェックする際の3つのポイント】
項目 内容
太陽光発電システムの出力電圧 家庭用蓄電池の入力電圧と合致するか
パワーコンディショナーの種類 家庭用蓄電池に対応しているか
太陽光発電システムの設置年数 システムが古いと全体の交換が必要な場合がある

専門的なポイントが多いため、専門業者に互換性の確認を依頼することをおすすめします。現地調査や見積もりは無料で行っている業者も多いため、気軽に確認を依頼できるでしょう。

家庭用蓄電池を選ぶ際の比較ポイント

実際に家庭用蓄電池を導入する検討を始めて、マニュアルをチェックしてみても、どのモデルが自分に合っているのか分かりにくいでしょう。そこで、家庭用蓄電池を選ぶ際の比較ポイントを4つご紹介します。

    <家庭用蓄電池を選ぶ際の比較ポイント>

  • 容量:5~15kWh
  • 機能:単機能 or ハイブリッド
  • 設置場所:屋内 or 屋外
  • 供給方式:特定負荷 or 全負荷

容量:5~15kWh

家庭用蓄電池の容量は5~15kWhの間で選ぶことが一般的です。

容量は、家庭用蓄電池に充電できる電気の量を示しています。容量の決め方はさまざまですが、月々の電気代に応じて容量を決めると良いでしょう。

【電気代ごとに見た容量の目安】
月々の電気代 おすすめの容量
~5,000円 5kWh前後
5000~10,000円 5~10kWh前後
10,000円~ 10kWh以上

機能:単機能 or ハイブリッド

家庭用蓄電池の機能は「単機能」と「ハイブリッド」の2種類です。それぞれの特徴をご紹介します。

【単機能とハイブリッドの比較表】
タイプ メリット 注意点
単機能 ・価格が安い
・太陽光発電未導入でも使える
・停電時の出力が低い
・スペースを取りやすい
ハイブリッド ・発電効率が良い
・運転機能が多い
・価格が高い
・太陽光発電に後付けできない場合がある

太陽光発電システムを設置して10年未満の場合、パワーコンディショナーの交換が不要な単機能タイプを選ぶと良いでしょう。

反対に設置から10年以上が経過している場合は、寿命を間近に控えているパワーコンディショナーを交換できるハイブリッドタイプがおすすめです。

設置場所:屋内 or 屋外

家庭用蓄電池の設置場所は屋内と屋外のいずれかです。それぞれのメリットと注意点を見てみましょう。

【設置場所の比較表】
設置場所 メリット 注意点
屋内 温度管理がしやすく、寿命が延びやすい 換気ができるスペースが必要
屋外 室内が狭くならない 防水・防塵性能が求められる

住環境や設置スペースを確認し、最適なタイプを選ぶことが大切です。

供給方式:特定負荷 or 全負荷

供給方式は「特定負荷」と「全負荷」の2種類です。それぞれのメリットと注意点を見てみましょう。

【供給方式の比較表】
供給方式 メリット 注意点
特定負荷 特定の部屋や家電だけに供給する 利用できる家電が限定される
全負荷 停電時に家中で電気を使える 消費電力が大きくなる

特定負荷は、できるだけ長く電気を使いたい人に適しています。反対に、災害時などでも普段どおりに家中で電気を使いたい場合は、全負荷を選ぶと良いでしょう。

まとめ

家庭用蓄電池とは、自宅に設置する蓄電池のことです。蓄電池を導入する目的と注意点は次のとおりです。

目的 注意点
➀電気代の節約を目指す
➁災害停電時の備えにする
③太陽光発電とセットで設置する
➀初期の導入コストがかかる
➁設置スペースが必要になる
③太陽光発電との互換性をチェックする

家庭用蓄電池の導入には初期コストがかかりますが、売電と購入する電気代の差額による経済効果によって、長い目で見れば初期コストを回収できる可能性があります。

この記事でご紹介した比較ポイントも参考にしていただき、ご家庭に最適な家庭用蓄電池をお選びください。

<この記事を書いた人>
エコモ博士

RAUL株式会社 電気プラン乗換コム運営事務局
エコモ博士のエコらいふナビ

エコモは各地を飛び回って、電力・エネルギーや地球環境についてお勉強中なんだモ!色んな人に電気/ガスのことをお伝えし、エネルギーをもっと身近に感じてもらいたモ!

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エコモ博士
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補助金でお得に導入
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