太陽光発電で電気代はゼロになる?いくら安くなるのかパターン別に解説

  • 更新日:2025/10/09

近年の電気代高騰は多くの家庭の家計を圧迫しています。

その打開策として、太陽光発電を導入し、自家発電で電気代をゼロにしようと考えている方は多いかもしれません。

結論として、太陽光発電で電気代をゼロにするのは困難ですが、電気代を大幅に引き下げることは可能です。

この記事では、太陽光発電を導入すると電気代が安くなる理由を解説した上で、電気代は具体的にどのくらい安くなるのかをご紹介します。電気代をさらに安くするコツや、売電価格の詳細にも触れているため、電気代削減を目指す方はぜひ参考になさってください。

目次

太陽光発電を導入すると電気代はゼロになる?

結論から申し上げますと、太陽光発電の導入で電気代をゼロにすることは、事実上不可能です。

前提として、太陽光発電は日中に太陽の光がある間しか発電できません。夜間や早朝は発電量がゼロになるほか、曇りの日や雨の日は日中の発電量も低下します。そのため、不足した電気は電力会社から購入する必要があるのです。

しかし、太陽光発電を導入すると、電気代を大幅に削減することは可能です。目安として、月々の電気料金のうち、3割~5割程度は太陽光発電で賄えるでしょう。太陽光発電の導入により、なぜ電気代が安くなるのかについては、次の項目で詳しく解説します。

太陽光発電を導入すると電気代が安くなる理由

太陽光発電で電気代をゼロにすることは困難ですが、電気代を大幅に削減することは可能です。その理由として、次の2点を挙げられます。それぞれのポイントを見てみましょう。

<太陽光発電を導入すると電気代が安くなる理由>

  • 電気を自家消費して電気代が削減できる
  • 余剰分を売電して収入を得られる

それぞれの内容を解説します。

電気を自家消費して電気代が削減できる

太陽光発電を導入すると、発電した電気を自家消費できるため、電気代を削減できます。具体的には「従量電灯プラン」の高い部分を削減することが可能です。従量電灯プランとは、使用した電気の量(kWh)に応じて料金が決まるプランであり、一例として東京電力では以下のように従量料金を取り決めています。

【東京電力(従量電灯B)の料金単価】

使用量帯 単位 料金単価
~120kWh 1kWh 29.80円
120~300kWh 1kWh 36.40円
300kWh~ 1kWh 40.49円

例えば日中に10kWhの電力を消費すると、29.80円×10kWhで298円の従量料金がかかります。しかし、太陽光発電でそのうちの3kWhを自家消費できれば、電力会社から購入する電気を7kWhに削減できるため、電気代は29.80円×7kWhの208.60円に引き下げられるのです。

このように、太陽光発電は電力会社から購入する電気の総量を減らすことにより、電気代を節約できます。

余剰分を売電して収入を得られる

自家消費しきれずに余った電力は、電力会社に売却できます。これを「売電」と呼び、売電量に応じた収入を得られることも太陽光発電を導入するメリットです。

太陽光発電の導入から10年間は、固定価格買取制度(FIT制度)により、国が定めた価格で売電できることが約束されています。FIT制度終了後は「卒FIT」と呼ばれ、FIT制度の期間中と比べて売電価格が下がりますが、売電を続けることは可能です。

なお、売電価格の詳細については「太陽光発電の売電価格はいくら?」で後述します。

太陽光発電で電気代はいくら安くなる?

太陽光発電を導入すると、電力を自家消費できるほか、売電による収入も得られるため、電気代を大幅に削減できます。以下のように3つのパターンを想定し、太陽光発電で電気代はいくら安くなるのか、具体的にシミュレーションしてみましょう。

<太陽光発電で電気代はいくら安くなる?>

  • 「昼間によく電気を使う」家族の場合(蓄電池なし)
  • 「昼間は電気を使わない」家族の場合(蓄電池なし)
  • 「昼間は電気を使わない」家族の場合(蓄電池あり)

なお、電気代はエリアや太陽光発電の設置場所・環境・機械の性能などにより変わるため、あくまでも目安としてご参照ください。ここでは、関東地方にお住まいの4人家族が、システム容量4kWの太陽光発電を利用することを前提にシミュレーションします。

「昼間によく電気を使う」家族の場合(蓄電池なし)

テレワークなどで昼間によく電気を使う4人家族の場合、目安として月々5,953円~9,583円も電気代が安くなります。

【「昼間によく電気を使う」家族の場合(蓄電池なし)のシミュレーション結果】

項目 数値
日中使用量 293kWh
実質自家消費量 111kWh
実質買電量 259kWh
自家消費による光熱費削減額 3,360円
売電金額(~4年目) 6,223円
売電金額(5~10年目) 2,330円
売電金額(11年目~) 2,593円

※1ヶ月あたりの料金です。東京電力を利用した場合の試算結果を表示しています。発電システム容量4kW、自家消費率30%として計算しています。

光熱費削減額と売電金額を「経済効果」と考えた場合、4年目までは月々9,583円も電気代が安くなる計算です。

「昼間は電気を使わない」家族の場合(蓄電池なし)

日中は外出している時間が多く、夜間を中心に電気を使う家庭の場合、目安として月々7,043円~12,314円も電気代が安くなります。

【「昼間は電気を使わない」家族の場合(蓄電池なし)のシミュレーション結果】

項目 数値
夜間使用量 427kWh
実質自家消費量 147kWh
実質買電量 342kWh
自家消費による光熱費削減額 4,100円
売電金額(~4年目) 8,214円
売電金額(5~10年目) 2,943円
売電金額(11年目~) 3,423円

※1ヶ月あたりの料金です。東京電力を利用した場合の試算結果を表示しています。発電システム容量4kW、自家消費率30%として計算しています。

光熱費削減額と売電金額を「経済効果」と考えた場合、4年目までは月々12,314円も電気代が安くなる計算です。

「昼間は電気を使わない」家族の場合(蓄電池あり)

さらに蓄電池があると、日中に発電した電力を夜間に消費できるようになり、さらに電気代を削減しやすくなります。シミュレーション結果では、目安として月々10,580円~12,634円も電気代が安くなりました。

【「昼間は電気を使わない」家族の場合(蓄電池あり)のシミュレーション結果】

項目 数値
夜間使用量 370kWh
実質自家消費量 342kWh
実質買電量 147kWh
自家消費による光熱費削減額 9,113円
売電金額(~4年目) 3,420円
売電金額(5~10年目) 1,261円
売電金額(11年目~) 1,467円

※1ヶ月あたりの料金です。東京電力を利用した場合の試算結果を表示しています。発電システム容量4kW、自家消費率70%として計算しています。

光熱費削減額と売電金額を「経済効果」と考えた場合、4年目までは月々12,634円も電気代が安くなる計算です。

太陽光発電の売電価格はいくら?

先述したとおり、太陽光発電を導入してから10年間は固定価格買取制度(FIT制度)により、国が定めた買取価格で売電が可能です。具体的な売電価格や、FIT制度終了後(卒FIT後)の売電価格を見てみましょう。

<太陽光発電の売電価格はいくら?>

  • 10年間はFIT制度が適用される
  • 卒FIT後は売電価格が下がる可能性が高い

ポイントを順に解説します。

10年間はFIT制度が適用される

太陽光発電の導入から10年間は固定価格買取制度(FIT制度)が適用されます。この期間は以下の買取価格で売電が可能です。

【固定価格買取制度による買取価格(2025年度に導入した場合)】

期間 買取価格
~4年目 24円/1kWh
5~10年目 8.3円/1kWh

※10kW未満の太陽光発電システムを導入した場合の買取価格です。

固定価格買取制度の買取価格は定期的に見直されています。現在は4年目までの買取価格が高いことが特徴です。4年目までは売電による収入を得やすいため、太陽光発電の導入にかかった初期費用を回収しやすいでしょう。そのため、太陽光発電の導入に向けたハードルは下がっています。

卒FIT後は売電価格が下がる可能性が高い

FIT制度による買取期間が終了することを「卒FIT」と言います。卒FIT後の売電価格は、FIT制度を適用できた期間と比較すると、下がる可能性が高いです。卒FIT後の買取価格は国による制限を受けることなく、電力会社が自由に決められるため、高値での買電は期待しにくいでしょう。

多くの電力会社が卒FIT後の家庭を対象とした「卒FITプラン」を提供しています。一例として東京電力の「再エネ買取標準プラン」の買取価格は8.5円/kWhです。

FIT制度における4年目までの買取価格である24円/kWhには及びませんが、5年目~10年目の8.3円/kWhよりは高く売電できます。そのため、卒FIT後についても、安定した売電収入を得られる可能性が高いでしょう。なお、卒FIT後は蓄電池を導入し、売電から自家消費へとシフトするのも有効です。

また、卒FIT後は蓄電池を導入し、売電から自家消費へとシフトする方法を選ぶのも有効です。それまで売電に回していた電力を蓄電池に貯めておき、夜間や早朝に自家消費することにより、電力会社から購入する電気の量を抑えられ、光熱費を削減できます。

太陽光発電で電気代を安くするためのコツ

先ほどのシミュレーション結果を見れば一目瞭然ですが、太陽光発電の導入後は、月々1万円以上も電気代を節約できる可能性があります。それに加えて、以下のコツを活かすことにより、太陽光発電で電気代をさらに安くすることも可能です。

<太陽光発電で電気代を安くするためのコツ>

  • 昼間に電力消費する
  • 蓄電池と併せて活用する
  • 太陽光発電利用者向けのプランに乗り換える
  • 【補足】電気代だけでなく初期費用を抑えることも重要!

それぞれのポイントを解説します。

昼間に電力消費する

最も重要なポイントは、太陽光による発電量が多い昼間に多くの電力を消費することです。売電価格は従量料金を下回る場合が多いため、売電よりも自家消費に回す割合を増やしたほうが経済的と言えます。

家電の使い方を工夫すると昼間の電力消費量を増やしやすくなるでしょう。洗濯機・乾燥機や掃除機は、できる限り昼間に使う習慣をつけるのがおすすめです。

蓄電池と併せて活用する

太陽光発電と蓄電池を併用すると、昼間に発電した余剰電力を蓄電池に貯めておき、夜間も自家消費できるようになります。蓄電池に貯めた電気で夜間の電力を全て賄うことができれば、不足した電力を購入する必要がなくなり、電気代を大幅に削減することが可能です。

また、電力の供給がストップしたときの非常用電源として活用できることも蓄電池を併用するメリットです。災害等により電気が止まったとしても、日中に自家発電した電力を蓄電池に貯めておくと、電力を使い切るまでは夜間でも普段どおりに照明や調理器具などを使い続けられます。

太陽光発電利用者向けのプランに乗り換える

多くの電力会社は、太陽光発電利用者向けのプランを提供しています。太陽光発電利用者向けプランの特徴は、深夜の従量料金が格安に設定されていることです。電気代が高い昼間は自家消費の割合を増やし、電力が不足する夜間は安く電気を購入することにより、電気代を削減できます。

【補足】電気代だけでなく初期費用を抑えることも重要!

太陽光発電を導入する際には高額な初期費用がかかります。月々の電気代を削減することも大切ですが、長い目で見ると、初期費用を抑えることが太陽光発電のトータルコストを抑える上で重要なポイントです。初期費用を抑えるコツは主に3つあります。

<太陽光発電の初期費用を抑えるコツ>

  • 国や自治体の補助金を活用する
  • 複数の業者から見積もりをとる
  • PPAモデルやリース契約を検討する

優良業者に工事を依頼することにより、工事費を削減しやすくなるほか、補助金の申請に向けたサポートも受けやすいでしょう。

まとめ

太陽光発電で電気代をゼロにすることは困難ですが、電気代を大幅に削減することは可能です。特に蓄電池を併用すると節電しやすくなり、以下のような経済効果を得られます。

【「昼間は電気を使わない」家族の場合(蓄電池あり)のシミュレーション結果】

項目 数値
夜間使用量 370kWh
実質自家消費量 342kWh
実質買電量 147kWh
自家消費による光熱費削減額 9,113円
売電金額(~4年目) 3,420円
売電金額(5~10年目) 1,261円
売電金額(11年目~) 1,467円

※1ヶ月あたりの料金です。東京電力を利用した場合の試算結果を表示しています。発電システム容量4kW、自家消費率70%として計算しています。

【経済効果】

期間 金額
~4年目 13,634円
5~10年目 10,375円
11年目~ 10,580円

現在は導入から4年目までの買取価格が高く設定されており、売電によって得た収入で太陽光発電の初期費用を回収しやすくなっています。電気代を削減したい方は、太陽光発電の導入を検討してみてはいかがでしょうか。

<この記事を書いた人>

RAUL株式会社 電気プラン乗換コム運営事務局
エコモ博士のエコらいふナビ

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