太陽光パネルは本当にリサイクルできない?現状と今後の展望をわかりやすく解説

  • 更新日:2025/09/09

エコな暮らしの実現に向けて導入されることも多い太陽光発電ですが、一方で「太陽光パネルはリサイクルできない」といった声を聞くこともあります。そういった声が本当なのかどうか気になる方も多いでしょう。そこで今回は、太陽光パネルがリサイクルできないと言われる理由やリサイクルに関する現状と今後の展望について解説します。

目次

太陽光パネルはなぜ「リサイクルできない」と言われるのか?

「太陽光パネルはリサイクルできない」との認識が広まっていますが、その背景にはいくつかの理由が見え隠れします。ここでは、リサイクルできないと言われる4つの理由を見てみましょう。

1. 有害物質(鉛・カドミウムなど)が含まれているため

ソーラーパネルはシリコン製の半導体で作られていますが、製造過程において鉛やカドミウムといった有害物質が使われる場合があります。鉛は人間の神経系や腎臓に影響を及ぼす可能性があり、カドミウムは発がん性が懸念される有害物質です。

これらの有害物質が適切に処理されずに不法投棄された場合、土壌や地下水を汚染し、最終的に人体に悪影響を及ぼすおそれがあります。そのため、慎重かつ厳重な処理と管理が求められており、リサイクルのハードルを上げているのです。

2. パネルの構造が複雑で解体しにくいため

一般的な太陽光パネルには「ガラス」「封止剤」「太陽電池セル」「裏面シート」「フレーム」「配線」などが使われており、その構造は複雑です。耐久性や防水性を高めるために強く固定されており、これらを完全に分離するためには特殊な技術が必要です。分離が困難な場合、純度の高い資源としてはリサイクルできません。

3. リサイクル技術・処理体制がまだ発展途上のため

太陽光パネルが普及したのは2010年代以降であり、使用済みの太陽光パネルが廃棄されるようになったのはごく最近です。リサイクル技術の研究開発や処理体制の整備が十分とは言えません。リサイクル技術が発展途上であることも、太陽光パネルはリサイクルできないと言われる理由の一つです。

4. 対応可能なリサイクル業者が限定的であるため

先述したとおり、太陽光パネルの分解には高度な技術を要するほか、リサイクル技術や処理体制そのものが現時点では発展途上です。そのため、太陽光パネルを専門的にリサイクルする業者は、全国的に見てもごくわずかと言わざるを得ません。

特定の地域にしかリサイクルに対応できる業者が存在しないため、運搬コストが高額になりがちです。また、既存の施設が将来的に発生する大量の太陽光パネルをすべて処理できるとも限りません。これらの要因により、太陽光パネルはリサイクルできないと判断され、不法投棄されるケースも目立ちます。

実は「完全に不可能」ではない?リサイクル技術と現状の課題

リサイクルできないとみなされがちな太陽光パネルですが、完全にリサイクルできないわけではありません。ここでは、現状で有効とされる太陽光パネルのリサイクル方法や日本が抱える課題について解説します。

現在利用されているリサイクル方法

使用済み太陽光パネルからリサイクルされているのは、主に「ガラス」「アルミニウム」「銅」の3つです。それぞれのリサイクル方法を見てみましょう。

素材 主なリサイクル方法
ガラス 破砕して建材などの原料にリサイクルする
アルミニウム アルミニウム製品の原料としてリサイクルする
溶かして不純物を除き電線や配管などにリサイクルする

シリコンや有害物質のリサイクルといった点には課題がありますが、まったくリサイクルできないわけではありません。

回収・処理のコストと経済性の課題

現状の課題として特に大きいのは、回収・処理にかかるコストの高さです。ソーラーパネルの解体や分離には、特殊な技術と設備が必要なため、人件費などのコストがかさみます。設置場所からリサイクル施設までの距離が長くなることにより、運搬コストも高くなるでしょう。

結果として、リサイクルにより回収できる資源の売却益が処理コストを下回る可能性があります。これは大きな課題であり、コストをいかに低減して経済性を高めるかが、太陽光パネルのリサイクル普及に向けた鍵を握るのです。

海外の先進事例と日本の立ち遅れ

太陽光発電先進国の動向を見ると、日本よりも進んだ取り組みを行っている国や地域が多いです。ドイツやフランスといったEUでは、WEEE指令(廃電気電子機器指令)によって太陽光パネルの回収・リサイクルが製造者に義務付けられています。これにより、企業はリサイクルに必要な資金をプールする傾向が見られるほか、シリコンなどの回収技術の研究も進んでいます。

世界最大のソーラーパネル生産国である中国も、近年はリサイクルへの意識を高め、技術開発に力を入れ始めました。これらの国々の先進事例と比較すると、日本のリサイクルへの意識は立ち後れており、今後は国家レベルでの改善が期待されます。

2030年問題とは?太陽光パネル廃棄が迎える大量期

太陽光パネルのリサイクルを語るうえで避けられない話題が「2030年問題」です。これは、使用済み太陽光パネルの大量廃棄に関連する社会的な課題を表しています。ここでは、2030年問題とは何か解説します。

設置から20年超えのパネルが一斉に廃棄期へ

日本では、2012年に固定価格買取制度(FIT制度)がスタートし、多くの家庭や企業が太陽光発電を導入しました。ここで問題となるのは、太陽光パネルには寿命があるということです。寿命の目安は20年~30年とされており、FIT制度がスタートしてから20年目を迎える2030年ごろから、寿命を迎えた太陽光パネルが大量に廃棄される可能性が高まっています。

経済産業省の「再生可能エネルギー発電設備の廃棄・リサイクルについて」では、2030年代後半には年間50万トン~80万トンの使用済み太陽光パネルが発生すると予測しています。これは現在の年間総廃棄量の数十倍に上る規模であり、リサイクルできない太陽光パネルが大量に不法投棄される可能性が示唆されることが、いわゆる2030年問題です。

大量廃棄による環境リスクと社会課題

2030年問題により、太陽光パネルが大量廃棄されることが原因で予想されるのが、不法投棄の増加と処理能力の不足です。

太陽光パネルのリサイクルには高額な処理費用がかかるため、これを避けるために不法投棄を試みる業者が増えるでしょう。太陽光パネルには、先述したようにいくつかの有害物質が含まれるため、土壌汚染や地下水汚染につながり、健康被害をもたらす原因になるおそれがあります。

また、現在のリサイクル施設の処理能力は、2030年問題により予測される太陽光パネルの廃棄量に対応できるレベルではありません。現状の処理能力のまま2030年後半を迎えた場合、廃棄物の滞留や処理の遅延が発生し、新たな環境問題を引き起こす可能性もあります。

処分やリサイクルはどうすべき?選択肢と注意点

2030年問題を間近に控えた今、事業者や家庭はどのようにして太陽光パネルをリサイクルすると良いのでしょうか。ここでは、リサイクルの適切な選択肢と注意点を解説します。

産業廃棄物としての処理が基本

太陽光パネルは「産業廃棄物」として分類されます。これは、業者が処理する場合だけでなく、一般家庭からごみとして排出する場合も同様です。そのため、法的な位置付けとしては、廃棄物処理法に基づいて、太陽光パネルの所有者が処理責任を果たさなければなりません。

一方、市区町村などの自治体は、原則として産業廃棄物の回収・処理の責任を負いません。自治体によっては、処理を終えた後の太陽光パネルを粗大ごみとして回収したり、適切な処理方法に関する情報提供を行ったりする場合があります。しかし、これはあくまでも行政サービスの一環であり、最終的な処理の責任は太陽光パネルの利用者が負います。

専門業者に依頼するメリットと注意点

太陽光パネルをリサイクルする際は、専門業者に処理を依頼するのが最も安全かつ確実な方法です。業者に処理を依頼すると、有害物質の処理や解体もプロに任せられるため、感電などのリスクを低減できます。また、法令も順守して処理を行うため、思わぬトラブルに巻き込まれる心配もありません。

ただし、解体や運搬、処理に費用がかかるため、高額なリサイクル料金が発生する可能性があります。費用の相場は、撤去費用として10万円、運搬・処分費用として5万円の合計15万円が目安です。法外な料金を請求する悪徳業者には注意しましょう。

依頼前に確認すべきポイント

太陽光パネルのリサイクルを依頼する前に確認すると良いのは、業者の認可です。廃棄物処理法に基づく産業廃棄物収集運搬業および処分業の許可を取得しているか調べましょう。また、特別管理産業廃棄物の許可を得ている業者を選ぶとより安心です。

太陽光パネルの取り外しから運搬、処理までのフローをわかりやすく説明してくれる業者やマニフェストを発行する業者は、信頼度が高いです。また、見積内容から費用を細かく確認し、記載外の費用が請求される可能性があるかどうかも確認しましょう。複数の業者に見積もりを依頼して、費用相場や担当者の対応を比較することをおすすめします。

リサイクル義務化の動きと今後の展望

2030年問題に向けて、日本政府はリサイクルを促進するための動きを見せています。政府が掲げる今後の方針についてもチェックしておきましょう。

環境省・経産省の指針と今後の規制強化

日本政府は、2030年問題に対応するために、環境省や経済産業省を中心に規制強化の動きを見せています。2017年には「太陽光発電設備の廃棄物に関するガイドライン」が策定され、事業者に対して適正に処理する努力義務を課すことを明記しました。

今後は欧州や中国などの事例を教訓として、製造責任者を明確化する法制度を導入したり、リサイクル目標値を設定したりする可能性もあるでしょう。たとえば、製造段階からリサイクルしやすい設計をするよう義務付ける動きが出るかもしれません。

使用済みパネルの再活用(リユース)という選択肢

廃棄される太陽光パネルのすべてが使用不可な状態とは限りません。まだ十分な発電能力を持つ太陽光パネルに関しては、廃棄(リサイクル)ではなく再活用(リユース)する選択肢を選ぶのも良いでしょう。

たとえば、電力インフラが十分に整備されていない途上国で太陽光パネルをリユースすると、地球温暖化対策に寄与できるほか、国際貢献にもつながります。国内でリユースすることも可能であり、小規模な自家消費システムや非常用電源として、中古の太陽光パネルが流通する可能性もあるでしょう。

リユースはリサイクルと比較して環境負荷が低く、資源の有効活用にもつながります。リユースされる太陽光パネルの品質評価基準の確立や安全性の確保は必要になりますが、リサイクルと並行して推進することが推奨される、重要な選択肢であることは間違いありません。

まとめ|太陽光パネルのリサイクルは「できない」のではなく「課題が多い」だけ

太陽光パネルはリサイクルできないと言われることもありますが、実際はリサイクルできています。一方で、リサイクルに向けた課題が多いことは事実です。太陽光パネルの完全なリサイクルは、現状の技術では難しいことを理解し、適切な処理・選択をして使用済み太陽光パネルと向き合うことが重要です。

2030年代後半には、寿命を迎えた太陽光パネルの大量廃棄が予想される「2030年問題」は到来すると考えられています。この問題に対処するためには、国による法規制の強化やメーカー責任の明確化に加えて、各家庭が適切な対応を採ることが重要です。太陽光発電の出口にも目を向けることにより、クリーンエネルギーの健全な普及と、持続可能な社会の実現に貢献できるでしょう。

<この記事を書いた人>
エコモ博士

RAUL株式会社 電気プラン乗換コム運営事務局
エコモ博士のエコらいふナビ

エコモは各地を飛び回って、電力・エネルギーや地球環境についてお勉強中なんだモ!色んな人に電気/ガスのことをお伝えし、エネルギーをもっと身近に感じてもらいたモ!

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