太陽光発電が普及しない理由は?日本の課題と可能性を徹底解説
地球温暖化対策の切り札として期待されている太陽光発電ですが、現時点では十分に普及しているとは言えません。特に日本では太陽光発電の普及が伸び悩んでいますが、その原因はどこにあるのでしょうか。この記事では、日本で太陽光発電が普及しにくい理由を分析し、その課題と可能性について徹底解説します。
太陽光発電が日本で普及しにくい理由とは
日本における太陽光発電の導入は、一時的なブームになりましたが、現在は停滞期にあると言われています。その主な理由について、8つのポイントから見てみましょう。
初期費用が依然として高額
太陽光発電システムを導入する際、最初に直面するのが高額な初期費用です。ソーラーパネルやパワーコンディショナー、架台などの設備費用に加えて、設置工事費用、電気工事費用などがかかります。
システム規模にもよりますが、一般的に100万円から200万円、あるいはそれ以上の費用がかかることが少なくありません。これは一般家庭にとって大きな負担であり、導入に向けた障壁となるのです。
売電単価の低下で経済的メリットが薄れた
かつて太陽光発電の普及を後押ししたのは、固定価格買取制度(FIT制度)による高い売電単価でした。住宅用(10kW未満)の場合、2012年度の買取価格は1kWhあたり42円でしたが、2025年度の買取価格は1kWhあたり15円程度となる見込みです。FIT制度の見直しとともに売電単価は年々引き下げられ、投資目的で太陽光発電を導入する人が減っています。
天候や地域差による発電量の不安定さ
太陽光発電は太陽の力を利用して発電する仕組みのため、天候に左右されやすいという問題を抱えています。曇りや雨の日、雪の日などは発電量が低下するほか、夜間や早朝の発電も不可能です。
日照時間は地域によっても異なり、北海道や東北地方といった日照条件が良くないエリアでは、効率的な発電ができません。また、周囲に高い建物や山があって日照が遮られる場合も、発電効率が低下します。このような問題により、十分な発電量を確保できないことを理由に、太陽光発電の導入を見合わせる方も多いです。
メンテナンス・点検に手間がかかる
太陽光発電システムは一度設置すれば終わりというわけではありません。長期にわたって安定して発電し続けるためには、定期的なメンテナンスや点検が不可欠です。ソーラーパネルの汚れや破損、配線の劣化、パワーコンディショナーの故障などが、発電効率の低下やトラブルの原因となる可能性があります。
これらのメンテナンスには手間がかかるほか、専門業者に依頼すると、点検費用や修理費用を定期的に支払わなければなりません。このような手間やコストの問題も、太陽光発電が普及しにくい理由になっています。
制度や仕組みがわかりづらく参入ハードルが高い
太陽光発電の導入には、経済産業省や自治体による各種制度や補助金の申請を行ったり、電力会社との契約を結んだりなど、さまざまな手続きが伴います。これらの制度や仕組みが複雑でわかりづらいと感じる消費者は少なくありません。先述したFIT制度の内容も定期的に改定されており、制度の複雑さも参入ハードルを高くする原因になっています。
設置に向かない建物や立地の問題
太陽光発電システムはすべての土地や建物に設置できるわけではなく、立地によっては太陽光発電の導入が不向きな場合もあります。たとえば、屋根の形状が複雑だったり、日当たりが少ない北向きの屋根にしかソーラーパネルを設置できなかったりする場合は、十分な発電が見込めません。ソーラーパネルは重いため、屋根の強度が荷重に耐えきれない場合も、屋根のリノベーションを行わなければ太陽光発電の導入が困難です。
出力抑制の影響が懸念されている
出力抑制とは、電力会社が再生可能エネルギーの発電を一時的に停止するよう指示を出すことです。太陽光発電を含む再生可能エネルギーの発電量が電力需要を上回ると、電力系統のバランスが崩れて大規模な停電が起こるリスクがあるため、これを防ぐために出力抑制を行う可能性があります。
特に太陽光発電の普及率が高い九州地方では、出力抑制が頻繁に発生しています。出力抑制が頻繁に発生すると、売電収入が計画を下回る可能性が高いため、太陽光発電の導入を見合わせる人も多いです。
補助金や優遇制度の周知不足
太陽光発電の導入を促進するための補助金や優遇制度が、国や自治体によって用意されています。しかし、これらの制度が消費者に十分周知されているとは言えません。太陽光発電をお得に導入できることを知らないために、予算的な問題で太陽光発電の導入を諦めている人もいるのです。
国内と海外の太陽光発電の普及状況
太陽光発電の普及状況は、国や地域によって大きく異なります。ここでは、日本と世界の現状を比較し、その違いを見てみましょう。
日本の普及率の現状
一般社団法人 太陽光発電協会「太陽光発電の導入拡大に向けた課題と規制・制度の改革要望」によると、2022年度末時点での住宅用発電導入件数は約316万件です。全国の戸建住宅総数は約2,745万戸とされるため、導入率はごく一部に過ぎません。
戸建住宅と集合住宅の間にも導入率に大きな偏りがあります。アパートやマンションの場合、屋根は共有スペースになるため、個人で太陽光発電を導入するのは困難です。そのため、東京都や大阪府といった集合住宅の割合が高い大都市では、太陽光発電の導入率が下がる傾向にあります。
産業用太陽光は、FIT制度による売電収入を目的として、一時期「メガソーラー」と呼ばれる大規模な発電所が増えました。しかし、現在は買電単価の低下や出力抑制のリスクにより、売電事業としての魅力が薄れており、近年の新規導入は鈍化しています。
世界各国との比較
ドイツやスペインといった欧州では、再生可能エネルギーへの転換を政策に組み込んでおり、太陽光発電の導入が積極的に行われています。特にドイツはFIT制度を導入した国家の先駆けであり、民間による再生可能エネルギー事業も盛んです。
アメリカは州ごとに法律や政策が異なりますが、カリフォルニア州などの日照条件が良い地域では、太陽光発電の導入が進んでいます。テスラなどの再生可能エネルギーを活用した事業を展開する企業が多いことも特徴です。また、同じアジアでも中国は世界最大の太陽光発電導入国です。国の政策による大規模な設備投資などにより、太陽光発電事業は急速に発展しています。
太陽光発電が今後普及すると言われる背景
太陽光発電の普及には大きな課題がある一方で、今後は普及率が高まるとの予測もあります。その背景について、詳しく見てみましょう。
電気料金の上昇と再エネへの期待
近年の燃料価格高騰や円安の影響により、日本の電気料金は上昇を続けています。この問題を解消する対策として期待されているのが太陽光発電です。自家発電した電気を使うことにより、電力会社から購入する電気の量を減らし、電気代を削減しやすくなります。
自家消費型の運用が注目されている
FIT制度の売電単価低下に伴い、太陽光発電の導入目的は「売電収入を得る」ことから「自家消費によって電気代を削減する」方向へとシフトしています。余った電力を蓄電池に貯めたり、電気自動車に充電したりといった自家消費型の運用も注目されているのです。
蓄電池・V2Hとの組み合わせによる利便性向上
太陽光発電と蓄電池を組み合わせることにより、昼間に発電した電気を蓄電池に貯めておき、夜間などの自家発電ができない時間帯に使えるようになります。また、夜間の電気代が安い時間帯に購入した電気を蓄電池に貯めて日中に使い、発電した電力をすべて売電に回す方法を選ぶことも可能です。
また、電気自動車に貯めた電気を自宅で消費するV2Hも注目されています。これにより、電気自動車を「走る蓄電池」として活用できるため、電力の利便性が飛躍的に向上するでしょう。
災害時の非常用電源としての有用性
太陽光発電があれば、災害時に電力の供給がストップしたとしても、日中は自家発電を続けられます。蓄電池を併用すると、夜間でも非常用電源として活用することが可能です。非常時にスマートフォンを充電したり、照明や冷蔵庫を使ったりできることも、太陽光発電を導入するメリットです。
自治体の補助制度拡充が進行中
国のFIT制度は縮小傾向にあるものの、各自治体による太陽光発電や蓄電池導入への補助金制度が拡充されています。蓄電池との同時導入やZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)を促進する補助金など、より先進的な取り組みを支援する制度も増えています。これらの制度の活用により、導入費用を大幅に抑えることが可能です。
カーボンニュートラルへの国際的な動き
2050年までに温室効果ガスの排出量を実質ゼロにする「カーボンニュートラル」は、国際社会全体の共有目標となっています。日本もこの目標を掲げており、その達成には再生可能エネルギーの普及が不可欠です。そのため、国や自治体による新たな補助・助成制度が誕生する可能性もあるでしょう。
太陽光発電を導入する5つのメリット
太陽光発電を導入するメリットは大きく5つです。それぞれのポイントを解説します。
光熱費の削減につながる
太陽光発電システムを導入し、発電した電気を自家消費することで、電力会社から購入する電気の量が減ります。蓄電池を併用すると、夜間や早朝の電力も自家発電で賄えるようになり、さらに光熱費を削減することが可能です。
余剰電力の売電による収益化
自家消費できなかった電気は電力会社に売電できます。FIT制度の買取価格が下がったとはいえ、売電そのものは可能です。特に導入から4年目までの買取価格は高く設定されており、太陽光発電の導入にかかる初期費用を取り返しやすくなりました。
停電時の電力確保が可能に
太陽光発電は災害時の非常用電源としても有効です。太陽が昇っている時間帯は電力を自家消費でき、蓄電池があれば日中に貯めた電気を夜間に使えます。普段どおりに近い生活を維持しながら、落ち着いて電力の復旧を待てるでしょう。
環境負荷の少ないエネルギーを活用
太陽光発電は、発電時にCO₂を排出しないクリーンエネルギーです。地球温暖化対策に貢献し、持続可能な社会の実現(SDGs)に寄与できることも、太陽光発電を導入するメリットと言えます。法人が導入すると、企業のイメージアップにもつながるでしょう。
家の断熱性や資産価値が向上するケースも
屋根にソーラーパネルを設置することにより、屋根に直射日光が当たることを避けられるため、家の断熱性が上がる可能性があります。また、省エネ性能が高いと評価されるため、資産価値が向上するケースもあるでしょう。
太陽光発電をもっと身近にするには
太陽光発電をより身近にするためのアプローチがいくつかあります。ここでは、3つのポイントを見てみましょう。
PPAモデルやリース導入の検討
PPAモデルとは、専門業者が太陽光発電システムを無償で設置して、発電した電気を住宅が購入する事業モデルです。PPAモデルにより、ユーザーは初期費用を支払うことなく、太陽光発電により発電した電力を利用できます。
一方のリースは、太陽光発電システムをリース会社から借りる形式です。月々のリース料を支払うだけで太陽光発電を使用できるため、初期費用を抑えられることがメリットです。
補助金・減税制度の積極活用
国や自治体による補助金・減税制度を積極的に活用しましょう。これらの制度を利用することにより、設備の購入費や工事費の一部が負担されるため、初期費用を抑えて太陽光発電を導入できます。
相談窓口を利用する
太陽光発電を上手に活用するためには、適切な電力会社・料金プランを選ぶことや的確な工事を行える業者を選ぶことが大切です。料金プランは合計4,000種類以上にも及ぶため、ご自身に合った料金プランを選ぶのは難しいでしょう。そのため、一括見積もりサービスなどの相談窓口を利用して、太陽光発電に詳しいプロからアドバイスを受けることをおすすめします。
まとめ:課題はあるが、太陽光発電は将来有望な選択肢
太陽光発電の普及は、初期費用の高さ、売電単価の低下、天候による不安定さ、複雑な制度など、さまざまな課題を抱えているのが現状です。しかし、電気代高騰への対策として有効なことや災害時にも活用できることなど、太陽光発電が将来有望な選択肢であることは間違いありません。
FIT制度の買取価格が低下したことは事実ですが、2025年の改正によって4年目までの買取価格は上がり、初期費用を回収しやすくなりました。補助金・助成制度を活用できるほか、PPAモデル・リースといった制度も選択できるため、太陽光発電のメリットに魅力を感じられる場合は、導入を検討すると良いでしょう。
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