自家発電とは?主な種類やメリット・デメリット、導入時のポイントを解説
近年では、電気代高騰やSDGsへの関心が高まり、自家発電への注目度が向上しています。実際に、自家発電を検討している方も多いのではないでしょうか。
この記事では、自家発電の主な種類やメリット・デメリット、そして導入時に注意すると良いポイントについて解説します。
自家発電とは?
自家発電とは、自宅や企業などの敷地に発電設備を設置して、電力を自給自足することを指します。自宅の屋根に太陽電池モジュール(ソーラーパネル)を設置して発電する「太陽光発電」も、自家発電の一種です。
なぜ今、自家発電が注目されているのか
自家発電が注目されている理由は、以下のとおりです。
- エネルギー価格の高騰
- 地球温暖化に対する懸念
- 防災意識の向上
<自家発電が注目されている理由>
近年は、世界情勢の影響を受けて、エネルギー価格が高騰しています。自家発電を行うと、電力会社から購入する電力量を減らせるため、電気代を削減できる可能性が高いでしょう。
自家発電の多くは、発電時にCO₂を排出しないため、地球温暖化の抑制に寄与できることも、注目度を高めている理由のひとつです。
また、発電設備があれば停電時でも電力を使用できるため、地震や水害といった自然災害に警戒する方からも、自家発電が注目されています。
主な自家発電の種類と特徴
主な自家発電の種類は、次の5つです。
- 太陽光発電
- 風力発電
- 燃料電池
- エンジン式発電機
- 手動式発電機
<主な自家発電の種類と特徴>
太陽光発電
太陽光発電とは、建物の屋根などに、太陽電池モジュール(ソーラーパネル)を設置して発電するシステムです。装置が太陽光を吸収して発電し、パワーコンディショナーと呼ばれる装置が電気に変換します。
太陽光発電のメリット・デメリットは、次のとおりです。
【太陽光発電のメリット・デメリット】
メリット | デメリット |
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太陽光発電のメリットは、電気代を大幅に削減できるほか、売電収入が得られることです。導入時の初期費用が高いものの、補助金や優遇制度を活用できます。そのほかの自家発電と比較して、導入ハードルが低いこともメリットでしょう。
- 電気代を削減したい方
- 災害に備えたい方
- 環境に配慮したい方
- 断熱性能を高めたい方
- 屋根の強度が高く追加工事が不要な方
<太陽光発電が向いているケース>
風力発電
風力発電とは、風の力を使って風車を回し、それによって発生したエネルギーを使って発電する方法です。風力発電も、再生可能エネルギーの一種になります。
【風力発電のメリット・デメリット】
メリット | デメリット |
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太陽光発電の場合、夜間の発電が不可能ですが、風力発電は24時間発電できる可能性があることがメリットです。一方で、発電量が不安定になりがちなことや、売電できる可能性が低いことなどは、風力発電のデメリットと考えなければなりません。
- 沿岸など風況の良い地域に住んでいる方
- 24時間の自家発電を求めている方
- 売電の希望を持っていない方
<風力発電が向いているケース>
燃料電池
燃料電池とは、ガスから取り出した水素を空気中の酸素と混ぜて化学反応を生み出し、発熱させて発電する方法です。物質を燃焼させる必要がなく、高効率かつクリーンなエネルギーとして注目されています。
【燃料電池のメリット・デメリット】
メリット | デメリット |
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燃料電池は、化学反応を利用する自家発電のため、従来の燃焼式発電と比較して発電効率が良好です。運転音が静かなため、騒音トラブルにも発展しにくいでしょう。一方で、導入コストが高いことや、寿命が10年程度と短いことは燃料電池のデメリットです。
- 太陽光発電装置の設置が不可能な方
- 災害に備えたい方
- 寒冷地以外にお住まいの方
<燃料電池が向いているケース>
エンジン式発電機
エンジン式発電機とは、ガソリンなどの燃料を燃やしてエンジンを稼働させ、発電する方法です。エンジン式発電機には、以下のような特有のメリットとデメリットがあります。
【エンジン式発電機のメリット・デメリット】
メリット | デメリット |
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エンジン式発電機は10万円前後から購入できるため、初期コストが安いです。燃料も、ホームセンターなどで簡単に購入できます。一方で、稼働時には特有のにおいと騒音が発生するため、近隣住民への配慮が不可欠です。
- 初期費用を抑えたい方
- 非常用電源を確保したい方
- アウトドアなど外出時にも併用したい方
<エンジン式発電機が向いているケース>
手動式発電機
手動式発電機とは、ハンドルやペダルを回して人力で発電する方法です。電気自転車をイメージすると、わかりやすいかもしれません。
【手動式発電機のメリット・デメリット】
メリット | デメリット |
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自家発電装置のなかで最も小型であり、燃料を使わないことが手動式発電機のメリットです。持ち運びがしやすく、価格も安いため、非常時に役立つでしょう。
一方で発電量が少ないことや、人力で稼働させるため、発電以外の作業と並行できないことがデメリットです。
- 災害対策がしたい方
- 初期費用を抑えたい方
- 大型機器の充電や家電の使用を想定していない方
<手動式発電機が向いているケース>
自家発電を導入するメリット
自家発電を導入するメリットは、主に以下の4つです。
- 電気料金を削減できる
- 災害時の備えになる
- 環境負荷を軽減できる
- 売電できる場合がある
<自家発電を導入するメリット>
それぞれのポイントを解説します。
電気料金を削減できる
発電した電力を自家消費できるため、電力会社から購入する電力を減らし、電気料金を削減できます。長い目で見れば、導入時の初期費用を相殺し、黒字化できる可能性もあるでしょう。
災害時の備えになる
蓄電池を併用すると、災害時に停電が発生したとしても、普段どおりに電力を使い続けられます。特にエンジン式発電機や手動式発電機は、蓄電池がなくても稼働させることが可能です。
環境負荷を軽減できる
太陽光発電をはじめとする自家発電の多くが、CO₂を排出しない地球にやさしいエネルギーです。環境負荷を削減し、持続可能な社会の実現に貢献できることも、自家発電のメリットでしょう。
売電できる場合がある
太陽光発電など一部の自家発電では、余剰電力を売って収益を得られます。FIT制度(固定価格買取精度)の活用により、一定期間は固定価格で売電することが可能です。
自家発電のデメリット
自家発電を導入するデメリットは、主に以下の4つです。
- 初期費用が高い
- 設置スペースが必要になる
- メンテナンスが必要になる
- さまざまな法規制が存在する
<自家発電を導入するデメリット>
それぞれのポイントを解説します。
初期費用が高い
設備の購入費や工事費などの初期費用が高いことは、自家発電のデメリットです。自家発電により電気代を削減しやすくなりますが、初期費用を相殺するまでには一定の期間を擁します。
設置スペースが必要になる
発電装置などを設置するためのスペースが必要です。エンジン式発電機や手動式発電機は小型ですが、その代わりに太陽光発電などと比べて、発電量が少なくなります。
メンテナンスが必要になる
定期的なメンテナンスが必要になることも、自家発電のデメリットです。メンテナンスを怠ると、発電効率が下がる可能性があるほか、故障や火災といった思わぬリスクを高める場合があります。
さまざまな法規制が存在する
さまざまな法規制も、守らなければなりません。発電設備が一定以上の規模になる場合は、事業用電気工作物として扱われるため、電気事業法を守る必要が生じます。また、建築基準法や消防法などを遵守し、必要に応じて届け出を行うことも求められます。
自家発電の導入前に知っておくべきこと
自家発電を導入する前に、以下の4点について知っておきましょう。
- 設置に必要な条件
- 活用できる補助金・助成金制度
- 定期点検の頻度
- 維持費の目安
<導入前に知っておくべきこと>
それぞれのポイントを詳しく解説します。
設置に必要な条件
まずは、自家発電装置の設置に必要な条件を確認しましょう。
- 設備の設置スペースや強度
- 工事に向けた搬入経路の確保
- 各種法令に適合しているか
<設置に必要な条件>
確認が必要な条件は、自家発電の種類によっても異なります。一例として太陽光発電の場合は、屋根が荷重に耐えられるかどうか、日照条件に問題がないかなどを確認しましょう。
活用できる補助金・助成金制度
自家発電の導入時には、国や自治体の補助金・助成金を活用できる可能性があります。例えば「子育てエコホーム支援事業」は、太陽熱利用システムや蓄電池を設置する際に、補助金が支給される国の事業です。
補助金の内容や金額は、自治体や申請時期によって異なるため、自家発電の導入前に調べておきましょう。
定期点検の頻度
自家発電設備の点検は、法令により義務付けられています。必要な点検の種類は、設備の種類と規模により異なるため、事前の確認が必要です。
例えば、消防用設備等の非常電源として設置される自家発電設備の場合、消防法に基づき、半年ごと・1年ごとにそれぞれ点検が必要になります。
維持費の目安
導入時の初期費用に加えて、維持費も発生します。一例として太陽光発電の場合、1年間に必要な維持費の目安は、1kWあたり3,600円です。4kWの太陽光発電装置を設置する場合は、年間で約14,400円の維持費が発生します。
まとめ
自家発電を導入するメリット・デメリットは、次のとおりです。
【自家発電を導入するメリット・デメリット】
メリット | デメリット |
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自家発電を導入すると、電気代を削減しやすいほか、災害時の備えにもなります。設置に必要な条件や、定期点検の頻度などを確認したうえで、自家発電の導入を検討すると良いでしょう。

エコモは各地を飛び回って、電力・エネルギーや地球環境についてお勉強中なんだモ!色んな人に電気/ガスのことをお伝えし、エネルギーをもっと身近に感じてもらいたモ!
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