オール電気はやめとけと言われる理由は?知っておきたいメリットや向き・不向きも解説します

  • 更新日:2025/04/14

オール電化の導入を検討するうえで参考になるのが、口コミです。ネット上には「オール電化はやめとけ」といったネガティブな評判も投稿されていますが、なぜオール電化は酷評されることもあるのでしょうか。

今回は、オール電化はやめとけと言われる理由や、それを加味したうえでも魅力的なオール電化のメリットをご紹介します。

オール電化をおすすめできるケース・おすすめできないケースも解説するため、オール電化の導入を検討する際に参考にしてみてください。

目次

オール電気はやめとけと言われる理由

SNSやYahoo!知恵袋などで評判を見ていると「オール電化はやめとけ」といった意見も投稿されています。オール電化はやめとけと言われる理由は、主に以下の7つです。

    <オール電化はやめとけと言われる理由>

  • 高額な初期費用がかかる
  • 昼間の電気代が高くなる
  • 停電時はさまざまなものが使えなくなる
  • 調理器具や調理方法に制限がかかる
  • 水圧が弱い
  • お湯切れを起こす場合がある
  • エコキュートの室外機がうるさい

それぞれを具体的に見ていきましょう。

高額な初期費用がかかる

エコキュートを導入する場合、初期費用として40万円~70万円前後がかかります。これは、ガスコンロを導入・交換する場合と比較して、2倍~3倍ほどの費用です。

また、IHクッキングヒーターや太陽光発電を導入する場合は、さらに追加で導入費用を支払わなければなりません。

ただし、ガス給湯器の耐用年数は約10年ですが、エコキュートの耐用年数は約15年と、1.5倍も長いことはメリットです。長い目で見れば、オール電化がお得になる可能性があります。

昼間の電気代が高くなる

契約する電力会社によって異なりますが、オール電化プランは夜間の電気代が安い一方で、昼間の電気代は割高に設定されることが多いです。一例として、東京電力の「スマートライフS」の電力量料金を見てみましょう。

【東京電力「スマートライフS」の時間帯別電力量料金】
時間帯 電力量料金(1kWh)
午前6時~翌午前1時 35.76円
午前1時~午前6時 27.86円

このため、昼間に電気を使う機会が多い方からは、オール電化はやめとけと言われやすいです。

停電時はさまざまなものが使えなくなる

オール電化の導入後は、調理や入浴を含むほぼすべてのエネルギーを電力でまかないます。

災害などが原因で停電が発生すると、日常生活に大きな影響がおよぶ点には注意が必要です。

ただし、エコキュートのタンクにお湯が残っていれば、飲用以外の生活水として使用できます。

調理器具や調理方法に制限がかかる

ガスコンロからIHクッキングヒーターに切り替えた後は、原則として「IH対応」以外の調理器具を使えなくなります。以下のような調理器具は、IHで使用できません。

    <IHクッキングヒーターで使用できない調理器具>

  • アルミや銅の鍋
  • ガラス製品
  • 土鍋を含む陶磁器

また、ガスコンロとIHは熱の伝わり方も異なるため、調理方法にも制限がかかります。ガスと比較して火力が弱くなるケースも多く、調理にこだわる方からもオール電化はやめとけと言われがちです。

水圧が弱い

一般的なエコキュートは、減圧弁を使って水圧を下げるため、ガス給湯器と比べて水圧が弱くなります。

【エコキュートとガス給湯器の水圧】
水圧
エコキュート 180kPa
ガス給湯器 500kPa

特にキッチンや浴室が2階、3階部分にある場合は、水圧の弱さを感じやすいでしょう。水圧の強さにこだわりたい場合は、「水道直圧式」のエコキュートなど、水圧が高い製品を選ぶことをおすすめします。

お湯切れを起こす場合がある

オール電化で使えるお湯の量は、タンク内に溜まっている容量分に限られます。瞬間湯沸かし器のように、必要なお湯を必要な分だけ作れる仕組みではありません。お湯の使い方によっては、お湯切れを起こす場合がある点にも要注意です。

お湯切れを防ぐために、家族構成に合ったタンク容量のエコキュートを選びましょう。標準的な4人家族の場合、推奨されるのは460リットルサイズ以上です。

また、こまめにお湯を沸かしてお湯切れを防ぐ「湯切れ防止機能」が付いたエコキュートの購入もおすすめできます。

エコキュートの室外機がうるさい

エコキュートの室外機は、物音がしにくい深夜に稼働することが多く、動作音がうるさいと感じる可能性があります。

ただし、一般的なエコキュートの動作音は、図書館の中と同程度の40dB~50dBです。寝室付近への設置を避けるといった工夫をすれば、室外機がうるさいと感じる心配はないでしょう。

それでもオール電化はメリットが多い

オール電化には先述したデメリットもあり、「やめとけ」と言われることもあります。しかし、オール電化ならではのメリットが多いことも事実です。

デメリットだけでなく、以下のメリットも加味したうえで、オール電化の導入が適しているかどうかを判断しましょう。

    <オール電化のメリット>

  • トータルの光熱費を下げられる可能性がある
  • 安全性が高い
  • 断水時もお湯が使える
  • 掃除や家計管理の手間が減る
  • 火災保険の割引が適用される場合がある

一つずつ解説します。

トータルの光熱費を下げられる可能性がある

オール電化の導入後は、都市ガス・プロパンガスの併用時と比較して、トータルの光熱費が下がる可能性があります。

オール電化向けの料金プランの多くが、夜間の電気代を割安に設定しているためです。

また、電気代とガス代の支払いを一本化できるため、ガスの基本料金を支払う必要もありません。

初期費用が高いせいで「やめとけ」と言われがちなオール電化ですが、ランニングコストをおさえやすく、長い目で見ればお得になりやすいです。

安全性が高い

ガスと比較して安全性が高いことも、オール電化のメリットです。オール電化導入後は、調理時に直火を使わないため、火災や火傷のリスクが下がります。また、ガス漏れも発生しないため、一酸化炭素中毒や爆発といったトラブルが起こりません。

このため、特にお年寄りや小さな子どもと同居している方は、安心して暮らしやすくなるでしょう。

断水時もお湯が使える

オール電化で使用するエコキュートには、大量のお湯を溜められるため、災害などにより断水が発生してもお湯を使い続けられます。

飲用水としては使用できませんが、入浴したり、トイレや洗濯用水として使用したりできるため、非常時も安心でしょう。

掃除や家計管理の手間が減る

ガスコンロの構造は立体的で、掃除をする際は「ゴトク」と呼ばれる器具を取り外す手間がかかります。

一方、オール電化で使用するIHクッキングヒーターは平面な構造のため、表面をサッと拭くだけで掃除が完了することがメリットです。

また、先述したように、電気代とガス代の支払いを一本化できることもメリットです。支払いや引き落としが二重にならず、家計簿への記入も減らせるため、手間を感じにくいでしょう。

火災保険の割引が適用される場合がある

契約する保険会社によっては、火災保険の割引が適用される可能性があります。オール電化の導入後は火災リスクが下がるものの、地震に対するリスクは変わりません。

地震保険に加入する場合、火災保険とセットで契約する必要があるため、火災保険の割引が適用されることは大きなメリットです。

ただし、2010年の保険法改正により、多くの保険会社がオール電化の火災保険割引を廃止しています。

契約を希望している保険会社がある場合は、事前に割引の適用が可能かどうか確認しましょう。

オール電化をおすすめできるケースは?

オール電化には、やめとけと言われる理由もあれば、ガス併用では得られないメリットもあります。オール電化の導入が特に適しているのは、以下に該当するケースです。

    <オール電化をおすすめできるケース>

  • オール電化住宅を検討している
  • 太陽光発電や家庭用蓄電池の設備がある
  • シミュレーションの結果、オール電化のほうがお得であった

それぞれを具体的に見ていきましょう。

オール電化住宅を検討している

オール電化住宅とは、家庭で必要なエネルギーのすべてを電力でまかなっている住宅のことです。ガス併用の住宅とは異なり、調理や入浴などに使うエネルギーにも電力を使用します。

オール電化住宅のメリットは、先述した「それでもオール電化はメリットが多い」と同様のため割愛しますが、トータルの光熱費を下げやすいほか、災害時に強く、地球環境にやさしいことが特徴です。

オール電化住宅のメリットに魅力を感じるならば、オール電化に切り替えて損はないでしょう。

太陽光発電や家庭用蓄電池の設備がある

すでに太陽光発電や家庭用蓄電池の設備を導入している場合は、オール電化のポテンシャルを発揮しやすい状態です。初期費用もおさえやすいため、オール電化を導入すると良いでしょう。

オール電化はやめとけと言われる理由の一つに「お湯切れ」のリスクがありますが、太陽光発電があれば日中にもお湯を沸かせるため、お湯切れのリスクがありません。

さらに、家庭用蓄電器を併用すると、夜間の安い料金で購入した電力をより多く活用できるほか、災害時にも安心です。

シミュレーションの結果、オール電化のほうがお得であった

オール電化とガス併用の料金を比較したシミュレーションを行った結果、オール電化のほうがお得でした。

【年間光熱費の比較表(2人家族の場合)】
使用した器具 給湯器 コンロ
オール電化の年間光熱費 72,716円 44,393円
都市ガスの年間光熱費 71,025円 26,925円
プロパンガスの年間光熱費 139,658円 52,573円

プロパンガスとの比較では、オール電化を導入した場合、年間光熱費が大幅にお得になることが分かります。

一方で、オール電化と都市ガスを比較すると、給湯器の年間光熱費ではほぼ差がありませんでした。このため、オール電化のメリットに魅力を感じる場合は、オール電化への切り替えがおすすめです。

なお、シミュレーションに用いた前提条件は、次のとおりです。

【オール電化の前提条件】
契約プラン 東京電力 スマートライフS 東京ガス 都市ガスプラン プロパンガス 関東平均
使用湯量(L) 360
水道水温度(℃) 9
希望供給温度(℃) 42
エコキュートタンク内水温(℃) 90
エコキュート加熱能力(kW) 4.5
エコキュート消費電力(kW) 1.53
ガス給湯器号数 20
急騰ガス消費量(kcal/h) 32,300
調理時間(分) 50

詳しくは「オール電化とガス併用のコスト比較!オール電化の方が安くなる?!」でご紹介しているため、この記事と併せてご覧ください。

オール電化はやめておいたほうがいいケースは?

オール電化との相性が良くないのは、以下のケースです。オール電化に対するメリットをあまり感じられない場合は、ガス併用を維持しながら、より安いガス会社への切り替えを検討することをおすすめします。

    <オール電化はやめておいたほうがいいケース>

  • 昼間に電気を多く使う
  • 今の生活スタイルを変えたくない
  • ランニングコストよりも初期費用をおさえたい

それぞれを具体的に見ていきましょう。

昼間に電気を多く使う

先述したとおり、オール電化の料金プランは昼間に割高となるケースが多いです。

そのため、昼間に家事をする機会が多い方や、在宅ワークをする方は、オール電化への切り替えで今よりも電気代が高くなる可能性があります。

今の生活スタイルを変えたくない

電気代が安い夜間に料理を作り置きしたり、入浴時間を深夜にずらしたりすると、オール電化導入後の電気代が安くなります。

しかし、生活スタイルを変えたくない・変えられない方も多いでしょう。その場合は、オール電化の導入にあまり適していません。

ランニングコストよりも初期費用をおさえたい

初期費用が高い代わりに、ランニングコストが安いのがオール電化の特徴です。そのほかのリフォームやリノベーションも並行したい場合など、金銭的な事情で初期費用をおさえたい場合、オール電化はやめておいたほうがいいでしょう。

まとめ

オール電化はやめとけと言われる理由は、高額な初期費用がかかったり、昼間の電気代が高くなったりするためです。

ただし、トータルの光熱費を下げられる可能性があるなど、オール電化ならではのメリットも多くあります。

オール電化住宅を検討している方や、太陽光発電・家庭用蓄電池の設備を持っている方は、特にオール電化の導入に適しています。

「やめとけ」と言われる理由とメリットの両方を確認しながら、ご家庭にとって最良の決断をしましょう。

<この記事を書いた人>

RAUL株式会社 電気プラン乗換コム運営事務局
エコモ博士のエコらいふナビ

エコモは各地を飛び回って、電力・エネルギーや地球環境についてお勉強中なんだモ!色んな人に電気/ガスのことをお伝えし、エネルギーをもっと身近に感じてもらいたモ!

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