太陽光パネルの寿命はどれくらい?耐用年数・劣化原因・長持ちさせるコツを解説
太陽光パネルの導入には高額な費用がかかるため、設置後の寿命が気になる方は多いでしょう。太陽光パネルを長く使い続けるためには、性能劣化の原因を知る必要があります。
この記事では、太陽光パネルの寿命と長持ちさせるコツ、そして寿命を迎えた後の撤去方法について解説します。
太陽光パネルの寿命とは?耐用年数と実際の使用年数
太陽光パネルの寿命についての考え方はさまざまです。平均的な寿命としての「法定耐用年数」や「期待寿命」と、それを超えて長持ちしている太陽光パネルの事例をご紹介します。
法定耐用年数と期待寿命の違い
法定耐用年数とは、税務上の減価償却計算に使われる年数です。一方の期待寿命は、実際に太陽光パネルを使い続けられる期間を示しています。
法定耐用年数を超過すると、税務上の資産価値はゼロになりますが、太陽光パネルが使えなくなるわけではありません。
太陽光パネルの法定耐用年数は17年
太陽光パネルの法定耐用年数は、17年に設定されています。企業の場合、法定耐用年数に応じて経費を計上する必要がありますが、家庭用として使用する場合は意識する必要がありません。
期待寿命は20~30年以上
太陽光パネルの期待寿命は、20年~30年以上です。コンディションにもよりますが、法定耐用年数の約2倍は使い続けられる可能性があります。
実際に長く使われている太陽光発電の事例
太陽光発電は、法定耐用年数以上に使い続けられる可能性が高いです。実際に長く使われている、太陽光発電の事例を2つ見てみましょう。
実際に長く使われている太陽光発電の事例
- 36年以上稼働する「佐倉ソーラーエネルギーセンター」
- 国内最長寿の太陽光発電システムは39年稼働
36年以上稼働する「佐倉ソーラーエネルギーセンター」
1984年に千葉県佐倉市に設立された太陽光パネルは、2021年時点でも出力低下率17.2%で稼働中です。これは、京セラ製の多結晶シリコン太陽電池モジュールであり、京セラ製の太陽光パネルは広島県や大分県でも、30年以上にわたり稼働を続けています。
国内最長寿の太陽光発電システムは39年稼働
現時点で稼働する太陽光パネルのなかで最長寿なのは、奈良県にある壷阪寺に設置された太陽光パネルです。1983年の設置から継続して稼働しており、2011年に行われた試験でも、劣化はほぼ見られていません。
太陽光パネルの劣化原因とは?性能低下の主な要因
太陽光パネルは、設置から時間が経過するごとに劣化し、性能が低下します。それでは、なぜ太陽光パネルは劣化してしまうのでしょうか。劣化する原因や、劣化しやすい環境条件を見てみましょう。
劣化のメカニズムと影響
太陽光パネルは紫外線や雨水を受け続けるため、定期的なメンテナンスを行っていても、経年劣化を避けられません。そのほかにも劣化を招く原因があるため、その理由を確認しておきましょう。
経年劣化による発電量低下
太陽光パネルが長期間にわたって紫外線や熱にさらされると、太陽電池の性能が低下します。特に設置から2年目以降の発電量が低下しやすく、劣化を完全に防ぐことは困難です。経年劣化により電力を蓄えられる量が減り、発電量が低下します。
層間剥離やホットスポットの発生
層間剥離とは、表面のガラスとセルの合間に隙間ができ、太陽光パネルの一部が剥離することです。剥離した箇所の電気抵抗は増大するため、発電量が低下しやすくなります。
ホットスポットは、太陽光パネルの一部が発熱する現象です。性能や寿命を低下させる原因になることに加えて、火災リスクがあることにも警戒しなければなりません。
パネル表面の汚れや破損
太陽光パネルの表面が汚れたり、破損したりすると、太陽光を吸収する効率が低下するため、発電量が減ってしまいます。砂埃や大気中に含まれる粉塵、鳥の糞、花粉などが汚れの例です。
劣化しやすい環境条件
太陽光パネルが劣化しやすい場所と、劣化しにくい場所があります。太陽光パネルが劣化しやすい環境条件について、具体的に3例を挙げてご紹介します。
強風や積雪の影響
強風による影響を受け、パネルを支える架台が折れたり、歪んだりする場合があります。また、除雪作業をせずに稼働していると、1~2m以上の雪がパネル上に積もり、性能の劣化や破損を招くリスクがあるため注意しましょう。
設置角度や日射条件の影響
設置角度や日射条件が悪いと発電量が不安定になり、過充電・過放電を繰り返して劣化を早めてしまいます。できる限り日射条件が良い場所に太陽光パネルを設置すると、長持ちさせやすくなるでしょう。
海沿いや工場地帯の影響
太陽光パネルを海沿いに設置すると、塩害の被害によって劣化や故障の原因になる場合があります。また、工場地帯に太陽光パネルを設置すると、工場の排気などが原因でパネルが汚れてしまい、劣化を早めるリスクがあるため注意しましょう。
太陽光パネルを長持ちさせるためのポイント
太陽光パネル長持ちさせるポイントは、次の3つです。
- 定期的なメンテナンスと清掃を行う
- 劣化しにくい高品質なパネルを選ぶ
- パワーコンディショナを管理する
定期的なメンテナンスと清掃を行う
メンテナンスと清掃で意識すると良いのは、次の3点です。
- 発電量データの記録と異常チェック
- パネル表面の清掃と点検
- 施工業者やメーカーの保証を活用
発電量データの記録と異常チェック
定期的に発電量データを確認して、異常の有無を調べましょう。不具合が発生すると発電量が下がるため、トラブルの発生に気付きやすくなります。
パネル表面の清掃と点検
パネルの表面に汚れが付くと発電効率が悪くなるため、パネル表面を清掃しながら点検しましょう。パネルが剥離していたり、過度に熱くなっていたりする場合は、修理が必要です。
施工業者やメーカーの保証を活用
太陽光パネルの購入時には、施工業者やメーカーによる保証が付帯します。JIS基準により、最短でも10年間の保証を受けられるため、何らかのトラブルが発生した場合は、すぐに保証を使って解決しましょう。
劣化しにくい高品質なパネルを選ぶ
劣化しにくい、高品質なパネルで作られた製品を購入することもポイントです。選び方の基準は、以下の2つです。
- 出力保証が長い製品の選定
- 耐候性・耐久性の高いパネルの採用
出力保証が長い製品の選定
太陽光パネルの保証期間は最低でも10年以上ですが、なかには20年以上の保証期間に設定した製品もあります。出力保証が長い太陽光パネルを採用すれば、安心感を持って使い続けられるでしょう。
耐候性・耐久性の高いパネルの採用
耐候性や耐久性の高い太陽光パネルは、紫外線や水に対して強く、そもそも劣化しにくいことがメリットです。保証による修理を避けて、長持ちするパネルを使いたい場合は、耐候性や耐久性を意識してパネルを選びましょう。
パワーコンディショナを管理する
パワーコンディショナとは、太陽電池で発電した電力を、家庭で使える交流電力に変換する機器です。太陽光パネルが長持ちしたとしても、パワーコンディショナが故障すると、太陽光発電を正常に使用できなくなるため、こちらの管理も徹底しましょう。
パワーコンディショナの管理のポイント
- パワーコンディショナの寿命は約10~15年
- 適切な設置場所の選定
- フィルター清掃と適切な交換時期の把握
パワーコンディショナの寿命は約10~15年
パワーコンディショナの寿命は、目安として約10年~15年です。太陽光パネルの期待寿命と比較して短く、先にパワーコンディショナが壊れてしまった場合は、発電能力が大幅に低下してしまいます。
適切な設置場所の選定
パワーコンディショナの寿命を延ばすポイントは、適切な設置場所を選ぶことです。パワーコンディショナは、できるだけブレーカーの近くに設置しましょう。ブレーカーの近くに設置すると、接続するケーブルを最短にできるため、電圧抑制が起こりにくくなります。
フィルター清掃と適切な交換時期の把握
パワーコンディショナのフィルターが目詰まりすると稼働が止まる恐れがあるため、定期的にフィルターを清掃しましょう。設置から10年が過ぎるとフィルターが劣化する可能性が高まるため、点検時に交換の必要性を確認することをおすすめします。
太陽光パネルの寿命がきたらどうする?リサイクル・撤去費用の考え方
太陽光パネルの期待寿命は20年~30年以上と長いですが、いずれ寿命を迎えてしまいます。それでは、寿命を迎えた後の太陽光パネルはどのように処分すると良いのでしょうか。
ここからは、太陽光パネルの廃棄プロセスや撤去費用、そして撤去時に使える補助金制度などをご紹介します。
太陽光パネルの廃棄方法とリサイクルの最新動向
現在は、電力の固定買取制度が終了する「卒FIT」を順次迎えており、太陽光パネルが適切に廃棄されないのではないかといった懸念が生じています。
環境省は「太陽光発電設備のリサイクル等の推進に向けたガイドライン」を公開しているため、原則としてガイドラインに則って廃棄しましょう。
環境省のガイドラインに基づく廃棄プロセス
太陽光パネルは破損していても感電する恐れがあるため、自分自身では取り外しをせず、購入した販売店や施工店、メーカーなどに撤去を依頼しましょう。
太陽光パネルには、鉛などの有害物質が含まれている可能性があります。安全に撤去するために、メーカー名や型式などを業者に伝えましょう。
また、故障後も太陽光パネルを保管する場合は、絶縁処理や日除け・水漏れ防止を行い、感電や火災を防ぐよう求められています。
国内外で進むリサイクル技術の発展
太陽光パネルのリサイクル技術は、急速に発展しています。アルミフレームはアルミとしてリサイクルされるほか、ジャンクションボックスは銅の再利用、ガラスはグラスウールの原料や土木資材としての活用、シートやセルなどは銀の回収といった形でリサイクルが可能です。
撤去・交換にかかる費用と補助金
太陽光パネルを撤去する場合にかかる費用相場は、10万円~15万円程度が相場です。ただし、規模によって撤去費用が異なるため、大規模な場合はさらに高額な撤去費用がかかる可能性があります。補助金の活用が可能かどうかについても、確認しておきましょう。
廃棄にかかるコストの種類
太陽光パネルの廃棄にかかるコストの種類は「撤去費」「運搬費」「処分費」の3つです。撤去費は屋根などからパネルを回収する費用、運搬費は処理場まで運搬する費用、処分費はリサイクルや廃棄にかかる作業費用となります。
メーカーや自治体の補助制度
メーカーや自治体によっては、太陽光パネルの撤去にかかる費用の一部を補助する制度を設けています。例えば、東京都の場合は「使用済住宅用太陽光パネルリサイクル事業」として、発電出力×25,000円の補助金を給付中です。補助金を活用できるかどうかも、撤去を依頼する際に確認しておきましょう。
まとめ
太陽光パネルの寿命の目安は、25年~30年程度です。使い方や環境条件によって劣化を早める可能性があるため、長持ちさせるためのポイントを確認しながら使用しましょう。
太陽光パネルが寿命を迎えた場合は、環境省によるガイドラインに沿い、業者などに撤去を依頼して廃棄・リサイクルすることになります。
その他、太陽光発電の発電量や売電利益などに関しても知りたい方は下記の記事を参考にしてみてください。
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