蓄電池はやめたほうがいい?後悔する前に知るべき7つのポイント
導入すると光熱費を抑えやすくなり、停電時にも活躍する蓄電池ですが「やめたほうがいい」と言われることもあります。
そこで今回は、蓄電池がやめたほうがいいと言われる理由や、デメリットがあっても設置をおすすめできる人の特徴をご紹介します。
蓄電池は本当にやめたほうがいい?設置前に知るべきこと
まずは、蓄電池が持つ役割やメリット・デメリットについて見てみましょう。蓄電池の概要を把握したうえで、自宅に必要な設備かどうかを判断することが重要です。
蓄電池の基本的な仕組みと役割
蓄電池とは、発電または購入した電力をためておく装置です。基本的な仕組みは、充電式の乾電池や、スマートフォンのポータブル充電器と変わりません。
電力が安い時間帯に購入した電力を蓄電池にためて使ったり、停電時に蓄電池の電力を使ったりできるため、節約や被災時の対策に役立ちます。
蓄電池のメリット・デメリット
蓄電池のメリット・デメリットは、主に以下のとおりです。
- 【メリット】停電時の電力確保、電気代の節約、環境貢献
- 【デメリット】高額な初期投資、メンテナンスコスト、劣化リスク
<蓄電池のメリット・デメリット>
さらに詳しく解説します。
【メリット】停電時の電力確保、電気代の節約、環境貢献
オール電化住宅の場合、停電するとすべての電化製品が使えなくなります。しかし、蓄電池に電力がたまっていれば、復旧まで普段どおりに電化製品を稼働できることがメリットです。
また、電力料金プランを見直して、電気代が安い時間帯に発電した電力を蓄電池にため、電気代が高い時間帯に使うと電気代を節約できます。送電ロスが少ないこともメリットのため、地球環境に貢献できることもメリットです。
【デメリット】高額な初期投資、メンテナンスコスト、劣化リスク
蓄電池の購入と設置工事には、80万円~200万円程度の高額な初期費用がかかります。メンテナンスにもコストがかかることに加えて、劣化リスクもあり、寿命の目安は10年~15年です。そのため、節電効果が少ない場合、元を取れない可能性があります。
蓄電池はやめたほうがいいと言われる7つの理由
蓄電池はやめたほうがいいと言われる理由は、主に以下の7つです。
- 理由①:初期費用が高く、投資回収に時間がかかる
- 理由②:電気代の節約効果が期待ほどではない
- 理由③:メンテナンスや交換費用が発生する
- 理由④:太陽光発電との相性や発電量の影響を受ける
- 理由⑤:設置スペースが必要で、環境に制約がある
- 理由⑥:補助金が使えない地域がある
- 理由⑦:悪質な業者によるトラブルのリスクがある
<蓄電池はやめたほうがいいと言われる7つの理由>
それぞれの理由を簡潔に解説します。
理由①:初期費用が高く、投資回収に時間がかかる
蓄電池の初期費用は、80万円~200万円です。仮に1年間で5万円を節約できても、初期費用が100万円かかった場合、元を取るまでに20年がかかります。
理由②:電気代の節約効果が期待ほどではない
太陽光発電を設置していない家庭の場合、電気代の大きな節約効果が見込めません。節約効果に期待して蓄電池を導入すると、失敗したと感じる可能性があります。
電気の使用量が少ない家庭は効果が薄い
特に電気の使用量が少ない家庭の場合、蓄電池による節約効果が薄いです。昼間にあまり電力を使わないライフスタイルのご家庭では、節約効果が期待しにくいでしょう。
理由③:メンテナンスや交換費用が発生する
蓄電池の性能を維持するためにはメンテナンスが必要となり、年間のメンテナンス費用は2万円~10万円が相場です。また、寿命を迎えた後は、蓄電池を新たに購入して交換しなければなりません。
理由④:太陽光発電との相性や発電量の影響を受ける
蓄電池による節電効果を高めるには太陽光発電が必要ですが、太陽光発電システムを新しく導入するためには、追加の費用がかかります。
また日照条件などにより、発電量が少ないと効果が発揮しにくくなるため、節約できる電気代にばらつきがあることにも注意が必要です。
発電量が少ない場合、蓄電池のメリットが減る
蓄電池による節電効果を高めるためには、一定以上の発電を行う必要があります。発電量が少ないと節電効果が生まれにくいため、蓄電池のメリットが「災害時のバックアップ電源」「地球環境にやさしい」の2点に減ってしまいます。
理由⑤:設置スペースが必要で、環境に制約がある
家庭用蓄電池のサイズは、幅80×奥行40×高さ100cmが目安です。屋外または室内に、蓄電器の設置スペースを設けなければなりません。また、消防法などの制約も受けます。
理由⑥:補助金が使えない地域がある
蓄電池を導入する際は、自治体から補助金が給付される場合がありますが、給付の要件は地域ごとに異なります。お住まいの地域によっては、補助金が使えない場合もあるため注意しましょう。
理由⑦:悪質な業者によるトラブルのリスクがある
悪徳業者の被害にも、警戒しなければなりません。家庭の特徴に合わない種類の蓄電器をすすめたり、設置工事費などを伝えずに「施工費無料」と騙ったりするなどの被害に遭う可能性があります。
蓄電池をやめたほうがいい人・向いていない人の特徴
「蓄電池はやめたほうがいい」と言われる理由をまとめると、以下に該当する人は、蓄電池の導入にあまり向いていません。
- 電気代が月1万円以下の家庭
- 昼間の電力使用量が少なく、売電収入が多い家庭
- 停電のリスクが少ない地域に住んでいる
- 初期費用を回収するまで長期間使う予定がない
- 設置スペースが確保できない住宅
<蓄電池をやめたほうがいい人・向いていない人の特徴>
それぞれのポイントを解説します。
電気代が月1万円以下の家庭
目安として、電気代が月1万円以下の場合、蓄電池による高い節電効果が見込めません。節電を目的として蓄電池の導入を検討している場合は、注意しましょう。
昼間の電力使用量が少なく、売電収入が多い家庭
蓄電池は、電気代が安い夜間に電気をためて、昼間に電気を使う家庭に向いています。そのため、昼間にあまり電気を使わず、余剰電力が多い家庭には、蓄電池があまり向いていません。
停電のリスクが少ない地域に住んでいる
蓄電池に充電しておけば、停電時も普段どおりに家電を使えることはメリットです。しかし、停電のリスクが少ない地域では、蓄電池が活躍する機会が多くありません。
そのため、台風や地震の被害が少ない地域にお住まいの人には、あまり蓄電池をおすすめできません。
初期費用を回収するまで長期間使う予定がない
蓄電池の初期費用を100万円と想定した場合、費用を回収するまでには、1年間に5万円を節約して20年間、1年間に3万円しか節約できなければ33年間がかかります。
蓄電池を長期間使う予定がない場合は費用対効果が下がるため、蓄電池の設置にはあまり向いていません。
設置スペースが確保できない住宅
蓄電池は、設置スペースを確保できなければ導入できません。壁掛け式などのコンパクトなタイプの蓄電器もありますが、一般的な蓄電池と比べると、発電量が少なくなることには注意が必要です。
それでも蓄電池を導入すべき人・向いているケース
蓄電池には、ここまでにご紹介したような注意点があります。しかし、以下に該当する人は、それでも蓄電池を導入すべき人といえます。
- 太陽光発電を設置済みで、自家消費を増やしたい人
- 電気代が高騰しており、長期的にコスト削減をしたい人
- 停電時のリスクを減らしたい災害対策重視の家庭
- オール電化住宅に住んでいる人
- 補助金が活用できる地域に住んでいる人
<それでも蓄電池を導入すべき人・向いているケース>
上記の人には、なぜ蓄電池の導入が向いているのかを解説します。
太陽光発電を設置済みで、自家消費を増やしたい人
すでに太陽光発電を設置している場合は、蓄電池との相乗効果が期待できます。太陽光発電ができる日中に発電した電力を蓄電池にためておき、夜間の電力として利用できるためです。
蓄電池の導入により、電力の自家消費を増やせるため、電気代の大幅な削減を見込めます。
電気代が高騰しており、長期的にコスト削減をしたい人
近年は電気代の高騰が続いており、将来的な値下げの目途も立っていません。そのため、長期的に光熱費を削減したい人には、蓄電池の設置が適しています。
蓄電池が持つ1年間あたりの節電効果は限定的ですが、長期間使い続けることにより、費用対効果を高められます。
停電時のリスクを減らしたい災害対策重視の家庭
費用対効果よりも停電時のリスクを減らしたい人には、蓄電池の導入がおすすめです。蓄電池に電力を蓄えておくと、災害などにより停電した場合も、普段どおりの生活を送りやすくなります。
オール電化住宅に住んでいる人
オール電化住宅に住んでいる場合、太陽光発電で発電した電力を蓄電池にためておけます。日中は太陽光で発電した電力を、夜間は蓄電池の電力を活用することにより、電気の自給自足が可能になるため、光熱費を大幅に削減できるでしょう。
補助金が活用できる地域に住んでいる人
自治体による補助金を活用できる場合は、蓄電池の設置にかかるコストを削減できます。お住まいの市区町村のHPや役所の窓口に問い合わせて、補助金を活用できるか確認してみましょう。
蓄電池導入で後悔しないために事前に確認すべきポイント
蓄電池の導入で後悔しないためには、以下のポイントの確認が必要です。
- 現在の電気使用量と料金プランを分析する
- 売電価格と卒FIT後の電気代シミュレーションをする
- 蓄電池の寿命と交換費用を把握する
- 設置スペースや環境に問題がないか確認する
- 信頼できる販売業者を選ぶ
<蓄電池導入で後悔しないために事前に確認すべきポイント>
順番に解説します。
現在の電気使用量と料金プランを分析する
毎月どのくらいの電気使用量があるのかを確認し、蓄電池の費用対効果を分析しましょう。電気代の計算時には、オール電化に適した料金プランを用いることがポイントです。
売電価格と卒FIT後の電気代シミュレーションをする
太陽光発電の固定買取価格制度(FIT制度)の期間が満了になると、売電価格が下がります。その後の電気代もシミュレーションして、蓄電池の費用対効果を分析することも重要です。
蓄電池の寿命と交換費用を把握する
蓄電池の寿命は10年~15年と言われており、寿命を迎えた後は設備を買い直さなければなりません。長期的な視野で、お得になるかどうかを確認しましょう。
設置スペースや環境に問題がないか確認する
購入を予定している蓄電池のサイズを確認して、設置スペースを確保できるか確認しましょう。設置スペースがあっても、消防法などにより設置できない場所もあるため、環境に問題がないか確認することも重要です。
信頼できる販売業者を選ぶ
実績があり、信頼できる販売業者を選ぶこともポイントです。悪徳業者を利用した結果、家族構成に合わない容量の蓄電器を購入してしまったり、補助金を受給できなくなったりするなどの問題が起きる可能性があります。
安く導入できる選択肢:ポータブル蓄電池とは?
安く蓄電池を導入したい場合は「ポータブル充電器」も選択肢に含めましょう。ここからは、ポータブル充電器のメリットやデメリット、そしてポータブル充電器が向いている人の特徴をご紹介します。
ポータブル蓄電池のメリット・デメリット
ポータブル蓄電池とは、キャリーケースのように持ち運びができる充電器です。メリットとデメリットを見てみましょう。
【ポータブル蓄電池のメリット・デメリット】
メリット | デメリット |
---|---|
価格が安い | 蓄電容量が少ない |
工事なしで設置できる | 太陽光と連携できない場合がある |
軽くて持ち運びができる | 対応できない電化製品がある |
ポータブル蓄電池の価格は5万円~60万円程度と安く、工事なしで狭いスペースにも設置できます。一方で、蓄電容量は5kWh程度までと少なく、ドライヤーなどの高出力な家電には対応できない場合があることなどは、デメリットです。
こんな人にはポータブル蓄電池が向いている
ポータブル蓄電池が向いている人の特徴は、次のとおりです。
- 導入コストを抑えたい人
- 一般的な蓄電池の設置スペースを確保できない人
- 主に緊急時の利用を想定している人
<ポータブル蓄電池が向いている人の特徴>
上記に回答する場合は、ポータブル蓄電池の導入も検討しましょう。
まとめ
蓄電池はやめたほうがいいと言われる理由は、さまざまです。電気代が月1万円以下の家庭や、停電のリスクが少ない地域に住んでいる人は、慎重に導入を検討すると良いでしょう。
一方で、オール電化住宅にお住まいの人や災害対策重視の人、長期的にコスト削減をしたい人などには、蓄電池の導入をおすすめできます。初期費用を減らしたい場合や設置スペースがない場合は、ポータブル蓄電池の導入も検討しましょう。

エコモは各地を飛び回って、電力・エネルギーや地球環境についてお勉強中なんだモ!色んな人に電気/ガスのことをお伝えし、エネルギーをもっと身近に感じてもらいたモ!
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