【オール電化×蓄電池】導入のメリット・デメリットと費用対効果を解説!

  • 更新日:2025/03/06

オール電化に併せて導入すると良い設備のひとつが、蓄電池です。蓄電池を設置すると、電気代を節約しやすくなるほか、災害時にも大いに役立ちます。今回は、蓄電池を導入するメリットとデメリット、そして費用対効果について解説します。

目次

オール電化と蓄電池とは?基本をおさらい

まずは、オール電化と蓄電池の関係性について、それぞれの基本をおさらいしておきましょう。

    <オール電化と蓄電池の基本をおさらい>

  • オール電化の特徴と仕組み
  • 蓄電池の役割と種類
  • オール電化×蓄電池の組み合わせで何が変わる?

それぞれのポイントを解説します。

オール電化の特徴と仕組み

オール電化とは、家庭で必要なエネルギーのすべてを電気でまかなうことです。ガス給湯器をエコキュートなどの給湯器に、ガスコンロをIHクッキングヒーターに置き換えるなどして、オール電化を実現させます。

電気は災害時の復旧が早いため、災害対策になるほか、光熱費を節約しやすくなることなどがメリットです。

蓄電池の役割と種類

蓄電池とは、充電により電力を蓄えられる装置のことです。蓄電池には、以下の種類があります。

    <蓄電池の種類>

  • 鉛蓄電池
  • ニッケル水素電池
  • リチウムイオン電池
  • NAS電池

用いられる物質や材料が異なるため、特徴にも違いがあり、それぞれに適した用途で使われています。

蓄電池の役割は、発電・購入した電力を蓄えて、電気代が高い時間帯に使ったり、停電時に使ったりすることです。詳しくは後述しますが、電気代を削減したり、バックアップ電源として利用したりできます。

オール電化×蓄電池の組み合わせで何が変わる?

オール電化と蓄電池を組み合わせることにより、電気代をさらに節約しやすくなることが大きなポイントです。オール電化プランは夜間が安く、昼間は割高に設定されています。

電気代が安い夜間に購入した電力を蓄電池にためて、電気代が高い昼間の時間帯に使うことにより、光熱費が安くなる可能性が高くなります。

オール電化住宅が蓄電池を導入すべき理由

以下3つの理由により、オール電化住宅には蓄電池の併用を推奨します。

    <オール電化住宅が蓄電池を導入すべき理由>

  • 電気代を大幅に削減できる
  • 停電時のバックアップ電源として活用できる
  • 環境にやさしいエネルギー活用が可能

先ほども軽く触れたメリットについて、さらに詳しく見てみましょう。

電気代を大幅に削減できる

オール電化向けプランの電力量料金は、夜間に安く、昼間に高いことが特徴です。一例として、東京電力の「スマートライフS」の電力量料金は、以下のように設定されています。

【東京電力の「スマートライフS」の電力量料金】
電力量料金(1kWh) 午前6時~翌午前1時 午前1時~午前6時
料金 35.76円 27.86円

関西電力などそのほかの地域や新電力も、夜間の料金が割安になる傾向は変わりません。

蓄電池を組み合わせると、電気代が安い夜間に購入した電力をためておき、電気代が高い昼間の時間帯に利用できます。

太陽光発電を併用する場合は、発電した電力を蓄電池にためて、電気代が高い時間に流用することも可能です。そのため、電気代を大幅に削減できる可能性が高いでしょう。

停電時のバックアップ電源として活用できる

蓄電池を組み合わせると、停電時のバックアップ電源として活用できます。オール電化の欠点は、停電するとすべての機能がストップすることです。

しかし、蓄電池に電気がたまっていれば、停電時にも電気を使い続けられるため、災害時にも普段と同様の暮らしを続けやすいでしょう。

環境にやさしいエネルギー活用が可能

特にリチウムイオン電池は環境負荷が低く、地球環境にやさしいこともメリットです。太陽光発電と組み合わせると、送電ロスも少なくなります。

蓄電池は、ZEH住宅において欠かせない設備のひとつでもあり、環境にやさしいエネルギーを使いたい方にも、導入をおすすめできます。

オール電化×蓄電池のデメリットと対策

オール電化と蓄電池を組み合わせる場合、次の3点はデメリットになる場合があります。

    <オール電化×蓄電池のデメリット>

  • 導入コストが高い
  • 蓄電池の寿命と交換コスト
  • 設置スペースの確保が必要

それぞれ、対策と併せて確認しましょう。

導入コストが高い

家庭用蓄電池のデメリットは、導入コストの高さです。本体の購入と設置工事にかかる費用相場は、80万円~200万円となります。

国や自治体では、蓄電池の導入費用の一部を負担する補助金・助成金を給付しているため、これらの制度を活用して導入コストを抑えると良いでしょう。

蓄電池の寿命と交換コスト

蓄電池の寿命は10年~15年程度とされており、サイクル数に換算すると6,000回~12,000回で交換が必要です。

蓄電池の寿命を延ばすために、過充電や過放電を可能な限り避けましょう。また、高温多湿な環境を避けて設置すると、蓄電池が長持ちしやすくなります。

設置スペースの確保が必要

家庭用蓄電池のサイズは、幅80×奥行40×高さ100cmが目安です。屋外と屋内のどちらかに、設置スペースを確保しなければなりません。

スペースが少ない場合は、コンパクトサイズの蓄電池や、壁掛け式の蓄電池を購入すると、限られたスペースにも設置しやすいでしょう。

オール電化住宅に最適な蓄電池の選び方

蓄電池の導入には多額のコストがかかるため、購入してから後悔しないためには、住宅や家族に合った種類の蓄電池を選ぶ必要があります。選び方のポイントとなるのは、次の3点です。

    <オール電化住宅に最適な蓄電池の選び方のポイント>

  • 必要な容量の目安(家族構成別シミュレーション)
  • 補助金制度を活用してお得に導入する方法
  • 導入コストと電気代削減の費用対効果

それぞれのポイントについて解説します。

必要な容量の目安(家族構成別シミュレーション)

蓄電池にはさまざまな容量があり、最適な容量は電気の使用量によって異なります。蓄電池の容量は「kWh」を基準にして決定しており、計算方法は「使用電力(W)×使用時間÷1,000」です。

仮に200Wの冷蔵庫を10時間使う場合、計算式は200×10÷1,000となるため、消費電力量は2kWhです。ライフスタイルによっても最適な蓄電池の容量が変わりますが、ここでは家族構成別に必要な容量の目安をご紹介します。

【家族構成別に必要な容量の目安】
家族構成 必要な容量の目安
1人~2人 4kWh~5kWh
3人~4人 7kWh~8kWh
5人以上 9kWh~10kWh

シチュエーションごとの必要な容量としては、停電時の対応ができれば良い場合、4~5kWhがあれば十分です。ある程度の家電製品を利用したい場合は7~8kWh、家族全員が快適に過ごす電力量がほしい場合は9~10kWhを購入しましょう。

補助金制度を活用してお得に導入する方法

蓄電池を購入する際は、国や自治体による補助金制度を活用できる可能性があります。

例えば「子育てエコホーム支援事業」では、定置用リチウム電池のうち、一般社団法人環境共生イニシアチブにおいて、令和4年度以降登録・公表されている蓄電システムであることを条件に、1戸あたり64,000円の補助金が支給されます。

導入コストと電気代削減の費用対効果

蓄電池の導入コストから、費用対効果を考えてみましょう。

【導入コストと電気代削減の費用対効果】
導入費用 100万円 200万円
1年間あたりに削減した電気代 3万円 6万円
費用対効果 約33年 約66年

蓄電池の寿命は10年~15年のため、蓄電池を100万円で設置した場合、1年間あたり66,000円程度を削減できなければ元を取れません。蓄電池は節電効果を高めるためというよりも、防災設備の一環として捉えて導入したほうが良いでしょう。

オール電化×蓄電池を最大限活用する方法

オール電化と蓄電池の相乗効果を最大限に高める方法としては、次の3点が挙げられます。

    <オール電化×蓄電池を最大限活用する方法>

  • 太陽光発電との組み合わせでさらにお得に
  • 電気料金プランを見直して最適化
  • HEMS(ホームエネルギーマネジメントシステム)で効率的に運用

それぞれのポイントを確認しましょう。

太陽光発電との組み合わせでさらにお得に

蓄電池の費用対効果を高めたい場合は、太陽光発電を併用することをおすすめします。太陽光発電により、日中に発電した電力を蓄電池にためておくことで、消費電力が増えやすい夕方以降も自家発電した電気を使えるようになるためです。

電力の買取期間が終了した「卒FIT」後には、蓄電池の運転モードを切り替えて、発電した電力をすべて自家消費すると良いでしょう。蓄電池の機能を活用することにより、太陽光発電のメリットも引き出しやすくなります。

また、太陽光発電と蓄電池をセットで導入すると、初期費用を抑えられることもメリットです。2つの工事を別々に依頼する場合、人件費や足場の設置費用が都度発生します。2つの工事をまとめることにより、工事費用を10万円~20万円ほど安く抑えられるでしょう。

電気料金プランを見直して最適化

蓄電池を最大限に活用するためには、電気料金プランの見直しが必須といえます。蓄電池を導入する場合、夜間の電気代や安くなる電気料金プランの契約がおすすめです。

電気代が安い夜間に購入した電力を蓄電池にためておき、電気代が高い昼間に使えるようになります。

HEMS(ホームエネルギーマネジメントシステム)で効率的に運用

HEMSとは、自宅に設置している家電製品を管理したり、コントロールしたりする機器のことです。HEMSは、以下のような機能を備えています。

    <HEMSの機能>

  • 自宅内の電力量を把握して自動的に調整する
  • 自宅内の電気量をリアルタイムで可視化する
  • スマートフォンを使って自宅の家電を操作する
  • 天気予報から太陽光発電した電力を売るか、蓄電池にためるかを自動的に判断する

このような機能を活用することにより、消費電力を抑えやすくなるでしょう。

オール電化×蓄電池導入の成功事例

この記事の最後に、オール電化住宅で蓄電池を導入した方の成功事例をご紹介します。

    <オール電化×蓄電池導入の成功事例>

  • 電気代が年間10万円削減!Aさん宅のケース
  • 災害時も安心!Bさん宅の導入事例
  • 補助金を活用してコストを抑えたCさんのケース

どのような効果が見込めるのかを確認しましょう。

電気代が年間10万円削減!Aさん宅のケース

Aさん宅では、太陽光発電と蓄電池を同時に導入し、電気料金プランを見直した結果、年間10万円の光熱費を削減できたといいます。

蓄電池の導入にかかった費用は約100万円のため、このペースを維持して光熱費を削減し続けられると、約10年で元を取れる計算です。

災害時も安心!Bさん宅の導入事例

台風による停電が多いBさん宅では、災害に備えて蓄電池を導入したといいます。蓄電池に常時一定の電力をためておくことにより、非常時にも普段どおりに電力を使い、調理や入浴、テレビなどによる災害情報の取得ができたそうです。このように、費用対効果以上のメリットを感じている成功事例もあります。

補助金を活用してコストを抑えたCさんのケース

Cさんは「住まいエコホーム支援事業」の補助金を活用して、蓄電池を購入しました。蓄電池の購入と設置にかかる費用は90万円ですが、そのうちの64,000円は補助金でまかなえたといいます。

蓄電池の導入費用を抑えるためには、補助金や助成金を利用できるかどうかを調べることが重要です。

まとめ

オール電化を機に蓄電池を導入することにより、電気代を削減できるほか、停電時のバックアップ電源としても活用できます。

ただし、導入コストが高く、費用対効果に期待しにくい可能性があることなど、いくつかのデメリットがあることには注意しなければなりません。

蓄電池の導入で成功するためには、太陽光発電と組み合わせたり、補助金制度を活用したりすることがおすすめです。

また、費用対効果よりも、災害時に安心して過ごせる体制を重視したい方にも、蓄電池の導入をおすすめできます。

<この記事を書いた人>

RAUL株式会社 電気プラン乗換コム運営事務局
エコモ博士のエコらいふナビ

エコモは各地を飛び回って、電力・エネルギーや地球環境についてお勉強中なんだモ!色んな人に電気/ガスのことをお伝えし、エネルギーをもっと身近に感じてもらいたモ!

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