オール電化へのリフォームにかかる費用は?設備ごとの費用相場をわかりやすく解説
オール電化にリフォームすると、月々の光熱費が安くなる可能性があるほか、電力は被災時の復旧が早く、万一のときにも早く日常生活を取り戻しやすくなります。しかし、オール電化を導入する際は、初期費用がかかることを考慮しなければなりません。
この記事では、オール電化へのリフォームにかかる費用相場を内訳ごとにご紹介します。また、補助金の使用可否や、同時に検討すると良い設備などについても解説しています。
この記事を参考に、オール電化へのリフォームにかかる費用相場を確認してみてください。
オール電化へのリフォームにかかる費用相場
オール電化へのリフォームにかかる費用相場は、95万円~290万円です。詳細は後述しますが、まずは内訳ごとの費用相場を見てみましょう。
【オール電化へのリフォームにかかる費用相場】
エコキュート・電気温水器 | IHクッキングヒーター | 温水暖房機 | トータル |
---|---|---|---|
50万円~100万円 | 15万円~30万円 | 30万円~160万円 | 95万円~290万円 |
購入する機器や工事内容によって費用が変わるため、トータルの費用相場には開きがあります。
そもそもオール電化とは、住宅内でまかなうエネルギーを電気に一本化することを意味する言葉です。
一般住宅の場合、エアコンやテレビなどのエネルギーには電力を、給湯や調理に使うエネルギーにはガスを使います。これらをすべて電力に統一することを、オール電化といいます。
オール電化の導入には上記のリフォーム費用がかかりますが、ガスを併用する場合も、経年劣化や故障による定期的なリフォームが必要です。リフォーム費用の相場を比較してみましょう。
【ガスとオール電化のリフォーム費用相場比較】
タイプ | 給湯器 | コンロ | 合計 |
---|---|---|---|
オール電化 | 50万円~100万円 | 15万円~30万円 | 65万円~130万円 |
ガス | 10万円~20万円 | 10万円~15万円 | 20万円~35万円 |
また、オール電化へのリフォーム後は、電気代が安くなる可能性があります。当サイトの試算によると、2人暮らしを想定した場合、月々の光熱費は目安として1,919円も安くなりました。
※関連記事:オール電化の電気代は平均いくら?高くなる原因や節約術、変更するメリットを解説
1,919円の差額が20年にわたって続いた場合、トータルでガス併用より460,560円もお得です。オール電化の初期費用が65万円、ガスの交換費用が20万円と仮定した場合、差額は45万円のため、長い目で見れば初期費用の差額を相殺できる可能性があります。
「電気温水器・エコキュート」の設置リフォーム費用相場
電気温水器・エコキュートの設置リフォーム費用相場は、50万円~100万円です。
一般的に使用されるエコキュートとは、空気の熱を利用して水を温める給湯システムです。エコキュートの本体価格は、目安として50万円~80万円と考えましょう。
エコキュートの本体価格は、貯水量が多く、多機能なほど高価格になります。家族の人数に合った容量を選ぶことや、必要な機能・不必要な機能をあらかじめ整理したうえで本体選びをすることにより、予算内で最適なエコキュートを見つけられるでしょう。
エコキュートの購入価格に工事費が含まれていない場合は、別途以下の工事費がかかります。
【エコキュートの工事費用内訳】
内容 | 費用目安 |
---|---|
基礎工事 | 20,000円~40,000円 |
本体の運搬および設置 | 10,000円~20,000円 |
給水配管工事 | 10,000円~20,000円 |
給湯配管工事 | 10,000円~20,000円 |
追炊配管工事 | 10,000円~20,000円 |
リモコン交換工事 | 2,000円~5,000円 |
電気工事 | 20,000円~40,000円 |
試運転・調整 | 10,000円~20,000円 |
電力会社申請費用 | 20,000円~40,000円 |
施工店や設置場所によって工事費用は変動するため、あくまで参考価格になりますが、約12万円~約22万円がエコキュートの工事費用となることが分かります。
エコキュートの重量は、満水時で500kg以上になることもあり、本体の設置時には基礎工事が必要です。
ガス給湯器とは配管システムが異なり、新しくエコキュート用の配管を行うため、内訳でご紹介したとおり、さまざまな工事の必要性が生じます。
なお、以下のケースでは、設置費用が相場よりも安くなったり、高くなったりする場合があります。
【電気温水器・エコキュートの費用が安くなるケース・高くなるケース】
安くなるケース | 高くなるケース |
---|---|
|
|
トータルの費用をわかりやすく把握するためには、工事費込みの電気温水器・エコキュートを購入すると良いでしょう。
「IHクッキングヒーター」の設置リフォーム費用相場
IHクッキングヒーター(IHコンロ)の設置リフォームにかかる費用相場は、15万円~30万円前後です。IHクッキングヒーターの本体価格は、購入する種類によって以下のように変わります。
【IHクッキングヒーター本体価格の目安】
タイプ | 価格の目安 |
---|---|
据置タイプ | 10,000円~15万円 |
ビルトインタイプ | 50,000円~30万円 |
据置タイプはコンロ台の上に据え付けるタイプで、機能は少ないものの安価です。ビルトインタイプはキッチンに組み込む多機能なタイプで、オール電化においては一般的にビルトインタイプが用いられています。
IHクッキングヒーターの工事にかかる費用内訳は、次のとおりです。
【IHクッキングヒーター工事費用の内訳】
内容 | 費用目安 |
---|---|
既存ガスコンロの撤去 | 15,000円~25,000円 |
ガス管の閉栓 | 5,000円~25,000円 |
本体の搬入・設置 | 15,000円~20,000円 |
分電盤からキッチンまでの配線 | 30,000円~50,000円 |
諸経費 | 5,000円~10,000円 |
ガスコンロからIHクッキングヒーターに交換する場合は、電源を確保する工事が必要です。ビルトインタイプの場合、200Vの専用電源を使わなければ、ブレーカーが落ちてしまう可能性があります。
IHクッキングヒーターの工事に伴い、ブレーカーの種類を確認しておきましょう。ブレーカーの種類により、追加工事が必要な場合があります。
【ブレーカーの種類】
種類 | 内容 |
---|---|
単相三線式 | 容量が足りない場合のみ無料の工事が必要 |
単相二線式 | 30A以上は使用できないため、単相三線式への交換工事が必要 |
単相二線式の場合、IHクッキングヒーターの使用により、ブレーカーが落ちてしまう可能性が高いです。このため、単相三線式への交換が必要で、この場合の工事費用は15万円~20万円が相場になります。
「温水暖房機」の設置リフォーム費用相場
温水暖房機の設置リフォーム費用相場は、30万円~160万円です。温水暖房機の設置費用には、床の工事費用と給湯設備の設置費用が含まれます。
リフォーム費用は、温水暖房機の種類と施工面積によって異なり、相場は次のとおりです。
【温水暖房機の設置リフォーム費用相場】
電気式 | 温水式 | |
---|---|---|
1畳あたり | 40,000円~10万円 | 50,000円~12万円 |
電気式は、床に電熱線を埋め込み、電気で温める方式です。一方の温水式は、床にパイプを埋め込んだうえで、電気で沸かしたお湯を通して床を温めます。配管工事費用がかかるため、温水式の費用相場は、電気式よりも高くなる傾向にあります。
施工面積が8畳の場合、電気式は32万円~80万円、温水式は40万円~96万円が費用相場になるでしょう。施工面積が20畳以上など広い場合、設置費用は100万円を超える可能性があります。
オール電化へのリフォーム費用に補助金は使える?
オール電化にリフォームする場合は、国や自治体の補助金制度を利用できる場合があります。たとえば「子育てエコホーム支援事業」の「エコ住宅設備の設置」では、以下の補助金を受け取れます。
【子育てエコホーム支援事業の補助金】
内容 | 補助金額 |
---|---|
高効率給湯器の設置 | 30,000円 |
蓄電池の設置 | 64,000円 |
対象となる製品には基準が設けられているため、詳しくは子育てエコホーム支援事業の公式HPから確認しましょう。
また、「給湯省エネ2025事業」では、より高額な補助金が用意されています。
【給湯省エネ2025事業の補助金】
内容 | 補助金額 |
---|---|
ヒートポンプ給湯器の設置 | 基本額:60,000円(要件次第で最大13万円) |
ハイブリッド給湯器の設置 | 基本額:80,000円(要件次第で最大15万円) |
家庭用燃料電池の設置 | 基本額:160,000円(要件次第で最大20万円) |
こちらも対象となる製品には基準が設けられているため、詳しくは経済産業省の給湯省エネ2025事業HPから確認しましょう。
オール電化に必要な設備
オール電化に必要な設備は、次の3つです。
- 電気温水器・エコキュート
- IHクッキングヒーター
- 温水床暖房
<オール電化に必要な設備>
それぞれの特徴を解説します。
電気温水器・エコキュート
電気温水器・エコキュートとは、電気を使ってお湯を作る設備です。一般的にはエコキュートが選ばれますが、電気温水器とは次のような違いがあります。
- 電気温水器…タンク内の電気ヒーターを使ってお湯を沸かす
- エコキュート…屋外の空気に含まれる熱を集めてお湯を沸かす
<電気温水器とエコキュートの違い>
エコキュートは、電気温水器と比較して最大4倍近く効率良くお湯を作れる設備であり、節電につながりやすいです。
ただし、機能によってはシャワーの水圧が弱くなったり、お湯切れを起こすリスクがあったりすることは、デメリットといえます。
IHクッキングヒーター
IHクッキングヒーターとは、電気を使って加熱調理を行う設備です。IHコンロに内蔵されたコイルに電流を流し、鍋やフライパンの底を発熱させます。ガスコンロと比較したメリットは、次のとおりです。
- 直火を使わないため、火災リスクを軽減できる
- キッチンにおけるガス漏れを防げる
- IHコンロは平らなため、掃除がしやすい
<IHクッキングヒーターのメリット>
光熱費を節約できる可能性があるほか、安全性が増すことも、IHクッキングヒーターのメリットといえます。ただし、対応できる調理器具が限られることはデメリットです。
温水床暖房
温水床暖房とは、床材の下に電熱線やパイプを埋め込む暖房システムです。エアコンとは異なり、床下からじんわりと暖めるタイプの暖房器具のため、空気を汚す心配がありません。床だけでなく、室内全体を暖める効果が期待できます。
オール電化にフォームするなら同時に検討したい設備
オール電化へのリフォームで基本的な工事内容となるのは、先述した「電気温水器・エコキュート」「IHクッキングヒーター」「温水暖房機」の3つです。その3つに加えて、以下の設備も同時に検討することをおすすめします。
- 太陽光発電
- 蓄電池
- V2H
<IHへのリフォームで設置を検討したい設備>
それぞれの特徴を解説します。
太陽光発電
太陽光発電とは、光エネルギーから電気を作る発電システムです。住宅の屋根にソーラーパネルを設置し、太陽光を集めて発電します。
太陽光発電の導入後は、電力会社の「オール電化プラン」に加入することが一般的です。オール電化プランには、深夜の電気代が安く、昼間の時間帯が高いという特徴があります。
太陽光発電を行うと、電気代が高い時間帯は自家発電の電力を、電気代が安い時間帯は電力会社の電力を利用できることがメリットです。
そのため、オール電化で導入したエコキュートやIHクッキングヒーターなどの設備を、より低コストで利用しやすくなるでしょう。
太陽光発電の設置費用は、100万円~160万円が目安です。
※容量や設置環境によって費用は変動します。
蓄電池
蓄電池とは、住宅で利用する電気を貯めたり、放出したりする設備です。太陽光発電で作った電気を貯めることができるので、無駄なく発電した電気を使うことができます。
また、停電などの非常期には、蓄電池に貯めた電気を使って発電できるため、ライフラインの確保に役立ちます。
蓄電池の設置費用の目安は、120万円~250万円です。
V2H
V2Hとは、電気自動車やプラグインハイブリッド車に蓄電した電力を、住宅用の電力として活用できるシステムです。EVやPHEVを所有している方の場合、蓄電池の代わりとして利用できます。
V2Hの設置費用の目安は、85万円~130万円です。
オール電化へリフォームする際の注意点
オール電化へリフォームする際の注意点もあわせてご紹介します。
- 電気代が高くなる可能性もある
- エコキュートの設置場所が必要
- 停電時は家の機能がストップする
<オール電化へリフォームする際の注意点>
それぞれ詳しく見ていきましょう。
電気代が高くなる可能性もある
オール電化導入後に電力会社のオール電化向けプランを契約すると、夜間の電気代が安くなる代わりに、昼間の電気代が割高になります。
そのため、昼間に電気を使う機会が多いご家庭の場合は、月々の電気代が高くなる可能性もあることが注意点です。
ただし、使い方の工夫により、電気代を抑えることも可能です。家電を使う時間帯を見直したり、省エネ性能の高い家電に買い替えたり、太陽光発電も導入したりすると、電気代を抑えやすいでしょう。
エコキュートの設置場所が必要
エコキュートは、タンク内にお湯を溜めるシステムのため、設置場所にはある程度の広さが必要です。
小さめのサイズでも180×60×70cm程度、大きいサイズでは210×75×80cm程度の大きさになるため、屋外に設置スペースがない場合は、オール電化へのリフォームが難しくなります。
プロパンガスを使用されている方は、そのスペースにエコキュートを代わりに設置できることが多いです。
停電時は家の機能がストップする
オール電化では、すべてのエネルギーを電力でまかないます。そのため、停電時には、すべての機能がストップすることも注意点です。
ただし、災害からもっとも早く復旧するエネルギーは、電力です。東日本大震災においては、東北電力管内の466万戸が停電しましたが、3日後に約80%、3ヶ月後にはすべての復旧が完了しました。
一方、都市ガスの供給が再開されたのは12日後のことで、被災前の状態に復旧するまでの期間には、約1年を要しています。
まとめ
オール電化へのリフォームにかかる費用相場は、95万円~290万円です。
初期費用はやや高額ですが、ガスの併用を続ける場合も、経年劣化による定期的な給湯器・コンロのリフォームが必要になります。
オール電化へのリフォーム後は、ガス併用と比べて電気代が安くなる可能性もあるため、長い目で見ればお得とも考えられるでしょう。
また、オール電化にリフォームする際は「給湯省エネ2025事業」「子育てエコホーム支援事業」などの補助金を活用できる場合があります。
「太陽光発電」「蓄電池」といった、オール電化との相性が良い設備の導入も含めて、リフォームを検討してみてはいかがでしょうか。
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