電力会社に就職するならどの学部が良い?学ぶべきことや資格もご紹介
将来進みたい業界がすでに決まっているのであれば、大学の学部選びもそれに合わせて行うと、効率良く就職準備ができます。
そのためには、電力会社がどのような企業で、電力会社に就職するためには何が必要なのかを知っておくことが重要です。
この記事では、電力会社の概要や採用されている職種、やりがいや就職に有利な学部などについてご紹介します。
電力会社への就職に興味がある方や電力会社への就職を目指した大学選びを考えている方は、ぜひ最後までご覧ください。
電力会社の全体像と主な事業
電力会社とは、電気に関連する商品やサービスを提供し、電気エネルギーを各種施設や企業、一般の消費者に供給する企業です。
照明や空調、パソコンなどの精密機器をはじめ、日常生活やさまざまな活動の中で多くの電力が消費されています。
電力会社は、そのように社会で消費される電気エネルギーの供給を担う重要な社会インフラの一つです。
発電(火力・水力・原子力・再エネ・蓄電)
電力会社の重要な事業の一つは、電気エネルギーを生み出す発電事業です。
施設や住宅などで消費される電力は、主に電力会社が所有する発電所で生産されています。
発電方法には、火力、水力、原子力といった主力の方法に加え、太陽光発電や風力発電などの再生可能エネルギーが挙げられるでしょう。
発電所では、発電方法ごとに必要な技術や知識が異なり、専門的な能力が求められます。
送配電(系統運用・保護制御・設備保全)
電力会社における重要な事業の一つには、各施設や家庭への送配電が含まれます。
電気を使用する施設へは、発電所から変電所、電柱、電線などの設備を通じて電気が届けられる仕組みです。
電力会社では、こうした設備の設置や運用、制御、保全管理などを行っています。
実際に電線や電柱などの点検を行うため、高所での作業や力仕事が発生することも多いです。
小売・新電力(料金設計・需給管理・デマンドレスポンス)
電力会社では、電気を消費するユーザーへの営業販売も行っています。
電気は、施設が完成したからといって自動的に送られてくるわけではなく、供給地点の管理者と電力会社が電気の販売契約を結んで初めて供給されるため、電力会社側の営業活動も欠かせません。
特に現在は、電力自由化により一般電気事業者以外のさまざまな事業者も電気供給事業に従事できるようになりました。
そのため、消費者に自社を選んでもらうための工夫が必要となり、格安サービスの提供や付随するサービスの創出など、さまざまなアイデアが生み出されています。
こうした事業者は「新電力」と呼ばれ、電気の小売事業や卒FIT後の電気買取などの事業を行っていることが特徴です。
コーポレート・DX(企画・財務・法務・データ活用)
近年、DXに取り組む電力会社が増えてきています。DXとは、データやデジタル技術を活用して、ビジネスモデルや業務プロセス、組織文化など、企業のさまざまな部分を変革していくことです。
電力供給事業の自由化や電源の分散、脱炭素化へのシフトなどを背景に、電力会社も業界全体でDXの導入が求められており、電気の供給以外の分野における技術職の重要性が増しています。
採用職種と求められる人物像
電力会社への就職を目指すのであれば、どのような形で事業に関わりたいかを考えることが大切です。
直接電気に関わりたいのか、電気を使用する人々と関わりたいのか、電気を供給する企業そのものを支えたいのかによって、目指すべき職種は異なります。また、職種によって必要な能力や求められる人物像も異なります。
技術職:安全最優先・論理的思考・現場対応力
電力会社で採用される職種の一つは、発電設備や送電設備などに関わる技術職です。
電気を生産し、その後生産された電気が安定して供給されるように、技術の研究開発、設備の設計、保守管理などを行います。
技術職が配備されるのは、発電所、変電所、配電設備など、電気の生産・供給に関わる施設です。
こうした技術職では、何よりも安全を最優先に考える人材が求められます。電気は一歩間違えれば感電などの事故が発生する可能性があるエネルギーであり、発電方法によっては発電所での重大な事故も考えられます。
そのような事態を防ぐためにも、技術職には何よりも安全を重んじる姿勢が求められるのです。
また、保守点検やトラブル対応における論理的な思考力や現場対応力も重要な資質となります。
事務・営業職:公益性理解・数理/財務リテラシー・対人力
電力会社では、企業内のさまざまな業務をサポートする事務職や契約を消費者に提案する営業職も採用しています。
事務職は、業務に関わる書類の準備や保管、研究開発に投入される予算の管理など、細かな裏方業務を支える職種です。また、語学に優れている場合は、燃料調達を任されることもあります。
営業職は、企業や一般の消費者に対して自社との契約を提案し、電気販売の窓口となる職種です。契約を締結するだけでなく、その後の定期的なフォローも行います。
どちらの職種でも、電気が持つ公益性への理解や業務へのリテラシーが求められるのです。
さらに、事務職では他部署と連携して業務を円滑に進めるための調整力が、営業職では消費者に話を聞いてもらうための対人スキルが求められます。
デジタル/データ職:計測データ解析・最適化・自動化
電力会社が進めているDXを担うには、デジタル技術やデータに関する職務に就くことが求められます。
そのためには、膨大なデータをどのように取り扱うかについて専門的な知識を持つデータエンジニアなどの職種を目指すと良いでしょう。
こういった職種には、専門的な知識だけでなく、データの解析やシステムの最適化、さらには自動化に取り組む能力が必要です。
仕事のやりがいと厳しさ
電力会社での仕事には大きなやりがいがありますが、それに伴う厳しさもあります。
就職後に「こんなはずではなかった」と後悔しないためには、事前にそのやりがいと厳しさについて理解しておくことが大切です。
社会インフラを支える使命感・災害対応と当直勤務
電力会社におけるやりがいの一つは、社会インフラを支えるという使命感です。
電気は今や日常生活に不可欠なエネルギーであり、暮らしや経済にも大きな影響を与える産業の基盤となっています。
そのため、電気に関わる仕事は社会への貢献度が高く、その使命感がやりがいにつながるのです。
一方で、社会的インフラであるがゆえに、非常時には素早い復旧対応が求められます。災害時には、自身が被災者であっても対応にあたらなければなりません。
また、普段から安全かつ安定して設備を運用できるよう、施設に泊まり込んで行う当直勤務もあります。
安全文化・品質基準に関する継続学習の必要性
電力会社では、より安全かつ安定して電気を供給するための研究開発が行われています。
そのため、関連分野における最先端の技術に関われる可能性が高いです。
逆に言えば、それは電気を安全かつ安定して供給するための技術や行政などによって更新される基準について学び続けなければならないということでもあります。そのため、継続的な学習を好み、向上心を持った人材に向いている業界です。
電力会社就職に有利な学部・学科の選び方
電力会社への就職に有利なのは、理系分野の工学系やエネルギー関連の学部だと言われています。
電気に関する技術の基礎などを学べる学部が望ましく、学部卒だけでなく、院卒で修士や博士の学位を取得していると、より優位に立つことができるでしょう。
一方で、文系の学部に全く出番がないわけではありません。一部の業務では、文系の学部で培った知識も求められることがあります。
電気・電子・情報系(電力工学/パワエレ/制御/通信)
電力会社への就職では、コンピュータ関連の学部での知識が有利に働きます。配電設備や電力の輸送、電子通信などの分野では、これらの学部で学んだ基礎が活かされるためです。
機械・材料・化学・原子力・土木・環境系
電力会社への就職では、発電設備や送配電設備を取り扱うための機械工学や発電技術に関わる化学・原子力の専門知識が求められます。
特に技術職ではこの傾向が強く、事務職や営業職であっても、技術に関わる提案をする場合は同様の知識が必要です。
さらに、発電所などの関連施設の建設に携わる場合は、土木関連や環境への影響に関する知識も求められます。
経済・経営・商・法・政策系(文系の活躍領域)
電力会社への就職に有利なのは、理系分野の工学系やエネルギー関連の学部だと言われています。
電気に関する技術の基礎などを学べる学部が望ましく、学部卒だけでなく、院卒で修士や博士の学位を取得していると、より優位に立つことができるでしょう。
一方で、文系の学部に全く出番がないわけではありません。一部の業務では、文系の学部で培った知識も求められることがあります。
高専・大学院進学の優位性
部門や電力会社によって傾向は異なりますが、電力会社では学部卒の学士よりも、院卒の修士以上の人材が求められることがあります。
また、技術系の職種では、大学卒よりも高専卒の方が採用されやすい傾向があり、学校推薦があればさらに就職しやすいようです。
大学で何を学ぶべきか:科目・実験・プロジェクト
電力会社に就職するためには、どの学部に入るかも大切ですが、その学部で何を学ぶかも重要です。
大学での学びが身についていなければ、実務で即戦力になることが難しい可能性があるためです。
そのため、まずは電力会社への就職や就職後の仕事に役立つ科目がどのようなものかを知っておく必要があります。
コア科目:回路/電磁気/電力工学/電気機器/高電圧/保護リレー
電力会社の技術系職種に就職するのであれば、回路や電磁気、電力工学、電気機器、高電圧、保護リレーなどの工学に関する知識を身につけておく必要があります。
これらの知識は、発電設備や配電設備を取り扱うための基礎的な知識であり、技術系職種であれば必須と言えるでしょう。
実務直結:制御工学/パワーエレクトロニクス/PLC/SCADA
電力会社で実務に携わるのであれば、制御工学やパワーエレクトロニクス、PLC、SCADAに関する知識が必要です。
制御工学は、対象の制御に関する学問であり、電気や機械を思い通りに取り扱うための方法を研究します。パワーエレクトロニクスは、電気の種類や電圧を変換し、使いやすい形に変える技術です。
PLCは、設備や機器をコントロールして制御するための装置 であり、SCADAは施設やインフラを構成する装置のデータを集めて監視・制御するシステムを指します。 これらの学問や技術に関する知識があれば、電力会社で即戦力として活躍できる可能性があります。
制度・市場:電気事業法/エネルギー政策/電力市場/環境法
電力会社で働くためには、電気の供給に関する法律や市場の状況についても知っておく必要があります。
電気事業法は、電気を供給する事業の適正化や合理化、電気工作物の工事や維持・運用に関する法律をまとめたものです。
施設の建設などでは、環境の保護や保全を目的とした環境法 が関わることもあります。
また、国のエネルギー政策や電力市場についても理解しておくと、今後の事業に携わる上での展望を把握しやすくなるでしょう。
データ・IT:確率統計/最適化/Python/SQL/時系列解析
DXに関わるのであれば、確率統計や最適化、時系列解析といったデータ分析に関する知識やPythonやSQLといったコンピュータを操作するためのプログラミング言語について知っておくことが大切です。
文系の学び:会計/ファイナンス/オペレーション/公共政策
文系分野から電力会社にアプローチするのであれば、会計やファイナンスなどの財務に関する知識やオペレーション、公共政策に関する知識が求められます。
取得しておくと有利な資格
電力会社で技術職として働くのであれば、専門的な資格があると採用されやすくなります。
資格は、その人が該当のスキルを持っていることを客観的に証明するものであり、取得しておけば、電力会社での実務に必要なスキルを有していることをアピールできます。
また、事務職や営業職を目指すうえでも、実務に役立つ資格がいくつか存在します。
技術職向け:第三種電気主任技術者(電験三種)→二種/一種
電力会社で技術職として働くのであれば、第三種電気主任技術者、通称「電験三種」と呼ばれる資格を取得すると良いでしょう。
これは、電気事業法に基づき、電気のスペシャリストになるための国家資格です。
この資格を取得すると、電気設備の保安や監督ができるようになり、電圧5万ボルト未満の事業用電気工作物を扱うことができます。
電気主任技術者の資格には、ほかにも二種と一種があり、二種では17万ボルト未満の事業用電気工作物を扱えるようになり、一種ではすべての事業用電気工作物の取り扱いが可能となります。
第二種電気工事士/エネルギー管理士/計装士
電力会社で働く際には、第二種電気工事士、エネルギー管理士、計装士の資格を持っておくと便利です。
第二種電気工事士は、一般住宅や店舗などの小規模施設の電気工事を行えるようになる国家資格で、600ボルト以下の受電設備を取り扱うことができます。
エネルギー管理士は、エネルギーを使用する施設の維持管理、エネルギー使用量の監視や使用効率化、現場指揮に携わるための国家資格です。
計装士は、施設におけるエネルギーの効率化や省力化のための装置を扱えるようにする民間資格です。
事務・営業向け:日商簿記2級/TOEIC/エネマネ関連
事務職や営業職として働くことを考えているのであれば、日商簿記2級やTOEIC、エネルギーマネジメント関連の資格について学びを深めておくと良いでしょう。
日商簿記2級は、日本商工会議所が認定する経理に関する知識を証明する資格です。簿記の資格には段階があり、3級は基礎的な知識の有無を問うものであるのに対し、2級は経理に関する実務が可能なレベルであることを示します。
TOEICは、英語での文章読解やコミュニケーションがどの程度できるかを示すテストです。
TOEICで高い点数を取得していれば、事務職でも燃料調達などの業務に携われる可能性があります。
エネマネとはエネルギーマネジメントの略称で、エネルギーに関する基礎知識や環境問題への取り組みに関するアドバイスができる資格として、エネルギーマネジメントアドバイザーなどがあります。
まとめ
電力会社に就職するのであれば、技術職として専門的な知識を身につけるか、事務職や営業職として電力会社の経営をサポートする知識を身につける必要があるでしょう。
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