クリニックの電気代を削減!今すぐできる省エネ対策と設備投資のポイント
クリニックでは、一般的なオフィスと比べても大量の電気を使用します。そのため、節電に気をつけていても、毎月の電気代に悩む方は少なくありません。
クリニックの電気代を削減するためには、どれだけの電気を使っているのかを把握したうえで、省エネ対策をとる必要があります。
省エネ対策で使用する電気の量を少なくし、電気代を削減できれば、クリニックの経営改善にも繋げることが可能です。
この記事では、一般的なクリニックではどの程度の電気代がかかっているのか、クリニックで今すぐできる省エネ対策、省エネ対策によるクリニック経営へのアプローチについてご紹介しています。
使いすぎている電気をなんとかしたいと悩んでいるクリニックの経営者の方は、ぜひ最後までご覧ください。
クリニックの電気代はどれくらい?高騰の影響と削減の必要性
まずは、一般的なクリニックにおける電気代の平均を見てみましょう。
延床面積500㎡の個人クリニックの場合、単純計算で年間約667万円、月額で約56万円の電気代がかかっています。
一般的な家庭と比べると数十倍の電気代となっており、大きな負担がかかっていることがわかるでしょう。
そのため、電気料金の単価が高騰することがあれば、一気に電気代が跳ね上がります。電気代は発電の燃料価格に応じて調整されるため、燃料価格が高騰すれば、電気代も高騰する可能性があるのです。
医療機関ならではの電力消費の特徴
クリニックや病院は、店舗を構える他の業種と比べても、消費電力量が多い施設です。
クリニックで使われている電力のうち、約35%が空調に、約33%が照明に使われていると言われており、これらで約70%を占めているのです。
クリニックにおける消費電力が大きいのは、施設自体が長時間稼働していることに理由があります。クリニックが営業している間は常に稼働させておかなければならない機材が多いため、どうしても消費電力量が多くなります。
とくに、入院している患者さんがいる施設や、夜間の外来を受け入れているような施設では、24時間体制で設備を稼働させなければなりません。
電気代削減によるクリニックの経営改善が必要な理由
クリニックの経営改善のために電気代削減が必要なのは、電気代の高騰に理由があります。
電気代は燃料を輸入する関係上、感染症の流行や国家間紛争など、国際的な情勢の影響を受けて上下する料金です。
近年では新型コロナウイルス感染症の流行やウクライナ情勢、イスラエル・パレスチナ情勢など、国際的にさまざまなトラブルが相次ぎ、現在でも電気代は高騰しています。
電気はクリニック内のさまざまな機材を動かすためのエネルギーであり、医療の拠点であるクリニックには欠かせないものです。
電気代の高騰によってクリニックの経営が傾くことは、地域医療の拠点が傾くことでもあります。
したがって、クリニックでは高額になりがちな電気代を削減し、経営改善を目指す必要があるのです。
クリニックで今すぐできる省エネ対策4選
続いて、クリニックで電気代を削減するために今すぐできる省エネ対策について見ていきましょう。
クリニックで省エネ対策をするのであれば、やはり消費電力の大半を占めている照明や空調を見直す必要があります。
そのうえで、業務上使用する機材などの消費電力を見直し、ときには契約している電気料金プランごと切り替えることが大切です。
1. LED照明の導入で照明コストを削減
クリニックにおける消費電力のなかでも、照明は空調と並んで最大の消費量を占めています。これは、院内に照明器具が多く、かつ長時間稼働しているためです。
しかし、だからといって院内の照明を減らしたり、むやみに切ったりすることはできないでしょう。
そこで対策としておすすめなのは、LED照明の導入です。LEDの照明は、通常の白熱電球や蛍光灯よりも少ない電力で明るさを維持できます。
電球1つの寿命も長いため、長い目で見たときのランニングコスト削減にもなるのです。
2. 医療機器・OA機器の待機電力を見直す
クリニック内では、常にさまざまな医療機器やOA機器を稼働させています。しかしながら、院内で使用しているそれらのすべてが常時フル稼働させていなければならない機材なわけではありません。
こうした機器は使用していない待機時間中も電力を消費するため、必要になるまで時間が空くときは一旦電源を切ってしまうのも1つの手です。節電タップを使用すれば、複数の機器の電源を一度に操作することもできます。
3. 空調設備を適切に管理し、電力効率を最適化
空調は照明と同様、クリニック内に設置されている数が多く、かつ常に稼働している設備であるため、消費電力が大きいです。
さらに、空調は院内の衛生管理の一環も担っているため、おいそれと切ることはできません。
しかし、空調を使い続けているとだんだんフィルターの目が詰まり、空気の通りが悪くなります。
また、空調内部のコイルなど、さまざまな部品が汚れることもあり、これらが原因で空調の効率が落ちてしまうのです。
空調にかかる電気代を削減するためには、定期的なメンテナンスを行って適切な状態を保ち、効率を上昇させる必要があります。
4. 電力会社の切り替えで料金プランを最適化
クリニック内の電気代を見直すのであれば、電力会社自体を見直すのもおすすめです。
現在は電力自由化により、消費者側が自由に契約する電力会社を選べます。これはクリニックも同様であり、今の料金プランを見直して、よりお得な料金プランに切り替えることにより、電気代を削減できる可能性があるのです。
ただし、電力会社によって提供している料金プランやサービスは異なるため、切り替えの際は複数の電力会社を比較する必要があります。
省エネ対策には太陽光発電の導入もおすすめ
クリニックでの電気代を削減するためには、太陽光発電設備の導入もおすすめです。
太陽光発電を導入すれば、院内で利用する電気を自家発電で賄えるようになります。その分、電力会社から送電を受ける電力が減るため、電気代を削減できるでしょう。
蓄電池を導入しておけば、余っている電気を溜めておくことで、発電量の少ない日や災害のときなどにも活用できます。設備の導入にはコストがかかりますが、長期的に見れば節約になりお得です。
設備投資の初期費用と回収期間の考え方
事業用の太陽光発電設備を導入する場合、初期費用を回収するまでには10~12年かかるとされています。設備投資のために全額をローンで賄った場合は、さらに2年追加されるでしょう。
導入するのが10kW以上の事業用太陽光発電設備であれば、1kWあたり20万~35万円程度の費用がかかります。
初期費用は高いものの、設備の規模が大きければその分発電量が増えるためコストを回収しやすくなるでしょう。
また、太陽光発電発電設備は定期的なメンテナンスが必要なため、年間で設置代金の0.3~0.7%ほどの費用が必要です。
故障に備えて保険に加入するのであれば、さらに設置代金の0.2~0.5%の費用が必要になります。
助成金や補助金を活用して省エネ設備を導入する方法
自治体によっては、クリニックをはじめとする事業者が太陽光発電設備などの省エネ設備を導入する際に、助成金や補助金を支給しているところがあります。
どのような条件で利用できる制度なのかについては各自治体に問い合わせる必要がありますが、制度を利用すれば初期費用の一部を軽減できるでしょう。
まとめ
クリニックでは他の施設よりも大量の電気を使用しており、支払っている電気代も高額です。
クリニックの経営を見直すためにも、クリニック内のさまざまな設備を省エネ仕様にしていくのが望ましいでしょう。太陽光発電設備を導入すれば、院内で使う電気を自家発電で賄えます。

エコモは各地を飛び回って、電力・エネルギーや地球環境についてお勉強中なんだモ!色んな人に電気/ガスのことをお伝えし、エネルギーをもっと身近に感じてもらいたモ!
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