アンペアとは?電気料金との関係性や目安、変更方法について解説
電気に関連する単位の一つである「アンペア」について、日常生活の中で意識することはあまりないでしょう。
しかし、アンペアは家庭や事務所における電気の容量や、電気代の節約に大きく関わる要素のため、理解を深めておくことが大切です。
本記事では、アンペアの概要や電気料金との関係性について解説します。一般家庭における契約アンペア数の目安や変更方法もご紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。
アンペアとは?
アンペア(A)とは、電気が流れる量を表す単位です。一般的に電気の基本料金は、契約アンペア数によって決定されます。まずは、アンペアの基礎知識から確認していきましょう。
電気の契約容量を表すもの
アンペアは電流を表す単位であり、家庭や事務所において、同時に使える電気の最大容量を示す値です。つまり、契約アンペア数によって、一度に使える電気の量が決まることになります。
なお、関西電力・中国電力・四国電力・沖縄電力は、アンペア制を導入していません。これらの電力会社の管轄地域にお住まいの方は、電気の使用量に応じた契約となります。
アンペア数の調べ方
契約しているアンペア数は、分電盤に取り付けられている「アンペアブレーカー」の数字や色から確認できます。色分けの仕方は電力会社によって異なる ため、詳しくは各社の公式ホームページをご覧ください。
また、毎月届く検針票(電気ご使用量のお知らせ)にも、契約アンペア数が記載 されています。分電盤にアンペアブレーカーが付いていない場合は、検針票を確認してみましょう。
契約アンペア数が大きすぎる・小さすぎるとどうなる?
契約アンペア数が大きすぎると、基本料金が無駄に高くなり、経済的な負担が増えます。電気の使用量が少なくても、固定費に当たる基本料金は安くならない ため、必要以上にアンペア数を上げるのはおすすめできません。
一方で、契約アンペア数が小さすぎると、電気の容量不足が原因でブレーカーが落ちやすくなります。快適な生活を実現するためには、アンペア数に余裕を持たせておくことも重要なポイントです。
アンペア数と基本料金の関係性
アンペア数と基本料金は比例関係にあり、契約アンペア数が大きくなるほど基本料金は高くなります。一例として、東京電力(従量電灯B)の料金単価をご紹介します。

※上記は2024年9月時点の料金単価です。
東京電力の場合、電気の使用状況に応じて、10〜60Aまでの7種類から選べるようになっており、契約アンペア数によって基本料金が異なります。
ほかの電力会社も同様に、契約アンペア数が大きくなるほど、基本料金が高くなるのが一般的です。
契約アンペア数はどうやって決める?目安を解説
契約アンペア数を選ぶときは、使用している家電製品のアンペア数や、世帯人数を考慮して決めるのが基本 です。ここでは、契約アンペア数の目安をご紹介します。
電化製品ごとのアンペア数の目安
同時に使用する電化製品のアンペア数を合計すれば、必要なアンペア数が分かります。主な電化製品のアンペア数の目安は、以下のとおりです。
電化製品 | 契約アンペア数の目安 |
---|---|
テレビ | 2〜5A |
インバータエアコン | 5.8A(冷房)、6.6A(暖房) |
冷蔵庫(450L) | 4A |
IHジャー炊飯器(5.5合・炊飯時) | 14A |
電子レンジ(3L) | 15A |
食器洗い乾燥機(100V卓上タイプ) | 13A |
ドライヤー | 12A |
ドラム式洗濯乾燥機(洗濯・脱水容量 9kg) | 2A(洗濯時)、13A(乾燥時) |
例えば、常時使用している冷蔵庫(4A)に加えて、電子レンジ(15A)を使用する場合、19A(4A+15A=19A)が必要です。さらに、炊飯器でご飯を炊いたり、同じ時間帯に洗濯機を使ったりすれば、40Aに達してしまう可能性があります。
電気の容量不足を回避するためには、一時的に使用する電化製品も含めた、アンペア数の最大値を把握しておくことが大切です。
世帯人数に応じたアンペア数の目安
一般的に世帯人数が多いほど、電気の使用量は増える傾向があります。したがって、必要なアンペア数の目安は、同居する家族の人数によっても変わってきます。
例えば、一人暮らしや夫婦2人住まいの場合は、30Aを目安にすると良いでしょう。世帯人数が1〜2人の家庭では、使用する電化製品の数が少なく、一度に大量の電気を使うことも少ないです。そのため、30アンペアで事足りる可能性があります。
また、両親と子ども2人の核家族なら40A以上を、3世代6人家族なら60Aの契約を検討 してみましょう。
複数の部屋でエアコンを稼働したり、電子レンジやドライヤーなどを同時に使ったりすれば、40Aはすぐに超えてしまいます 。
電化製品の性能や使用するタイミングなどにもよりますが、世帯人数が4人以上である場合は、最低でも40Aは必要になるでしょう。なお、オール電化に必要なアンペア数は、60A以上が目安です。
契約アンペア数を決める際の注意点
ここでは、契約アンペア数を決める際の注意点を2つご紹介します。以下の注意点を知らないと、大きな損をしてしまう可能性があるため、しっかりと確認しておきましょう。
マンションやアパートでは自由に決められない場合がある
マンションやアパートなどの集合住宅では、契約アンペア数を自由に決められない場合があります。その理由は、建物自体で使える電気の最大容量が決まっているケースがあるからです。
契約アンペア数の引き上げを希望した場合、「大掛かりな工事が必要になる」「電気の最大容量を超えてしまう」という理由 から、変更が認められないこともあるかもしれません。
集合住宅にお住まいの方は、大家さんや管理会社から許可を得たうえで、契約アンペア数を変更する ようにしてください。
アンペア数は年に1回しか変更できない
契約アンペア数の変更は、原則として年に1回しかできません 。そのため、契約アンペア数を決める際は、最も電気を使う季節を想定して決定することが重要です。
特に気温が上昇する夏は冷房を、寒い日が続く冬は暖房を使用することが多く、電気の使用量が増えやすい季節といえます。
春や秋の電気使用量に合わせてアンペア数を決めると、電力が不足してブレーカーが落ちてしまうこともある ため、注意が必要です。
アンペア数を変更する流れ
契約アンペア数を変更する際の基本的な流れは、以下のとおりです。
- 必要なアンペア数を決める
- 大家さんまたは管理会社に問い合わせる
- 電力会社に契約アンペア数の変更を依頼する
- ブレーカーの取替工事に立ち会う
契約アンペア数の変更方法は簡単で、契約先の電力会社に依頼するだけです。アナログ式の電力メーターの場合、変更後のアンペア数に合わせてブレーカーの交換が行われます。
ブレーカーは室内に設置されているため、工事への立ち会いが必要です。なお、スマートメーターの場合は、遠隔操作でアンペア数を変更できます。そのため、工事も立ち会いも不要です。
アンペア数が低くても快適に電気を使うには?
近年は、電気料金の値上がりが続いているため、「できるだけ基本料金を抑えたい」と考えている方も多いでしょう。
しかし、アンペア数を下げるとなれば、電気の容量不足が気になるかと思います。
ここでは、低いアンペア数で快適に電気を使うためのポイントを3つご紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。
省エネ家電を使う
省エネ家電を使えば、従来よりも消費電力を抑えられる ため、アンペア数が低くても快適に電気を使うことが可能です。さらに、電気代の節約が期待できる点も、メリットとして挙げられます。
数ある電化製品の中でも、特にエアコン・冷蔵庫・照明は消費電力が大きいです。初期費用こそかかりますが、これらの家電を省エネモデルに変更できれば、長期的な電気代の節約に貢献してくれるでしょう。
生活習慣を見直す
アンペア数が低くても、快適に電気を使うためには、生活習慣を見直すことも大切です。例えば、エアコンは消費電力が大きいですが、設定温度を1℃変えるだけで消費電力量を削減できます 。
環境省によると、夏は設定温度を1℃下げることで、消費電力量が約13%削減 されるとされています。一方で、冬は設定温度を1℃上げることで、消費電力量を約10%削減 できるそうです。
この機会に生活習慣を見直して、電化製品の使い方に注意すれば、低いアンペア数でも快適に生活できるでしょう。
部屋の断熱性・気密性を高める
部屋の断熱性や気密性を高めると、エアコンの冷暖房効率が上がります。つまり、エアコンの消費電力量が抑えられ、電気代の節約も期待できるというわけです。
以下のような対策を講じれば、部屋の断熱性・気密性が高まるため、可能な範囲で取り組んでみましょう。
対策 | 期待できる効果 |
---|---|
樹脂サッシに交換する | 熱損失の低減 |
内窓を設置する(二重窓にする) | 断熱効果の向上 |
断熱シートを窓に貼る | 熱の移動を抑制 |
厚手のカーテンを使う | 熱気の流出の防止 |
電気代を安くするなら、電力会社や電気プランの見直しがおすすめ!
「できるだけ電気代を安くしたい」という方は、電力会社や電気プランの見直しがおすすめです。
2016年4月より「電力自由化」が開始され、私たち消費者は、民間企業(新電力)とも電気の契約ができるようになりました。
新電力では「基本料金がかからないプラン」や「夜間の電気料金が安いプラン」など、さまざまな電気プランを提供しています。
電力会社や電気プランを変更することで、電気代が安くなる可能性がある ため、この機会に一度見直してみてはいかがでしょうか。
まとめ
電気を契約する際は、基本的にアンペア数を決めることになります。契約アンペア数は、大きすぎても小さすぎても良くないため、本記事の内容を参考に適切なアンペア数を設定しましょう。
また、契約アンペア数には、年に1回のみ変更可能というルールがあります。そのため、快適に電気を使えて、経済的にも損をしない契約をすることが大切です。

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