私たちが海の豊かさを守ろう

  • 更新日:2024/09/16

所属:跡見学園女子大学

インターン生:E.Yさん

私たちが海の豊かさを守ろうの写真

現在、世界では海洋汚染による問題が深刻化しています。2015年に締結された持続可能な開発目標(SDGs)でもこの問題が取り上げられています。海洋汚染の主な原因の大半が海洋ごみによる汚染です。海洋ごみは年々増え続けており、このまま何の対策もしなければ2050年には海洋に生息する魚などの生物よりもごみの方が多くなると言われています。今回SDGsの14個目の目標「海の豊かさを守ろう」“海の資源を守り、大切に使おう”に基づき、どのような原因で海洋汚染が起きているのか、この問題を解決していくために私たちは何をすることができるのかを深掘ります。

海洋汚染の原因は?

海洋汚染は主に海洋ごみが原因とされていますがそれだけではありません。その他にも、ごみの不法投棄や船舶の事故による油の流出、工業廃水や生活排水などがあります。これらがどのように海洋汚染へと繋がるのかを掘り下げていきます。

海洋ごみ

海洋ごみは海洋汚染の原因の主です。この中でも特に問題となっているのが海洋プラスチックごみです。地上で出たペットボトルやビニール袋などのごみが海に流れ込み、汚染の原因となっています。

プラスチックは軽いため、風や水に流されやすく、海に流出し漂着しやすいです。海洋ごみは日本の海岸などに流れ着くことがあり、それらを漂着ごみと言います。2019年に環境省によって計測・推計された漂着ごみの総量は約3.2万トンでした。[参照]

ごみの不法投棄

海洋ごみと言われるものの中には、海岸あるいはその近辺に不法に投棄されたごみも含まれています。当然不法投棄は法律により禁止されていますが、それでもあとを絶たないのが現状です。不法投棄と言われると業者のイメージがありますが、一般の人も出しています。例えば、釣り人が使用する釣り糸や浮きなどの釣り道具が挙げられます。他にも海岸でのポイ捨てなどももちろん不法投棄です。

船の事故などによる油の流出

船舶の事故などによる油の流出も海洋汚染の原因の1つです。例えば、タンカーの座礁事故が起こった時、大量の油が流出してしまいます。油は海洋生物を死滅させる原因になるだけではなく、海洋環境そのものを汚染します。

この油の流出ですが、事故だけが原因ではありません。2021年の海洋汚染のデータでは、493件中332件が油による汚染という結果が出ています。このうち船舶からの油排出は195件で、漁船が最多の61隻、続いて作業船が32隻でした。[参照]

工場からの化学汚染物質の排出

工場などから出る排水や廃棄物には有害液体物質など化学物質が多く含まれており、これらもまた海洋汚染を深刻化させる原因の1つです。実際に過去には私たち人間にもその影響が大きく出た事件があります。それが水俣病です。

工場排水に含まれるメチル水銀を魚が取りこんでしまい、その魚を獲って食べたことで体内に影響を及ぼし、水俣病になってしまったというものです。[参照]

生活排水

生活排水もまた海洋汚染の原因となります。現在は下水施設などが整備されている場所が多いですが、それでもまだ河川に生活排水が流れ込み、海へ到達するケースがあります。[参照]

海洋汚染に対する世界の取り組み

SDGsで定められたターゲットを元に、特に海に隣接する国や海洋資源を重要視している国などを中心に、海洋汚染に対しての取り組みが行われています。そのような国の取り組みや方針について紹介します。

EUの取り組み

EUでは「EUプラスチック戦略」という方針を打ち出し、取り組んでいます。これには次のような柱があります。

  • プラスチックリサイクルの経済性と品質の向上
  • プラスチック廃棄物と海洋ごみ量の削減
  • サーキュラー・エコノミーに向けた投資とイノベーションの拡大
  • 国際的なアクションの醸成

これら4つの柱を軸に対策を行うことです。さらに、柱になっている項目についてそれぞれ詳しく見ていきます。

  • プラスチックリサイクルの経済性と品質の向上
    →2030年までに全てのプラスチック容器包装のコストを抑え、効果的にリユースやリサイクルを可能にすること、再生プラスチックの品質基準の設定、分別収集と選別のガイドラインの発行など、リサイクルを通した経済性と品質の向上を目指した方針です。
  • プラスチック廃棄物と海洋ごみ量の削減
    →プラスチックごみと海洋ごみの削減を目指した方針です。使い捨てプラスチックに対して、法的対応や海洋ごみのモニタリングとマッピングを行い、生分解性プラスチックやラベリングの用途特定、マイクロプラスチックの意図的添付の制限や製品からの非意図的な放出の抑制などに取り組んでいます。
  • サーキュラー・エコノミーに向けた投資とイノベーションの拡大
    →サーキュラー・エコノミーとは循環経済を意味し、製品と資源の価値を可能な限り長く保ち、維持することで廃棄物の発生を最小限にするという方策です。つまり、商品の製造の時から消費、破棄に至るまで価値を損なうことなくできる限り長く保ち再利用していくことで、破棄するプラスチックを最小限に抑えていくという考え方です。これにより、ヨーロッパでは既に6000億ユーロのコスト削減や、EU圏内の年商8%アップ、温室効果ガスの総排出量2~4%の削減などの効果を上げており、プラスチックに対して更なる戦略的研究イノベーションを進めるため1億ユーロの追加投資を計画しています。
  • 国際的なアクションの醸成
    →EUだけが取り組みに積極的であっても、世界全体の海洋の状況を改善することはできません。そこで、各国にもさらに動いてもらうために、国際行動の要請や多国間イニシアティブの支援、欧州外部投資計画といった協調ファンドの達成などを盛り込み、国際的なアクションの醸成を進めていく方針です。
  • EU全域に使い捨てプラスチック等に関する規制案
    →EU全域に使い捨てプラスチックに関する規制案も提案されています。これは、主に使い捨てプラスチック10品目と漁業などで使用する漁具に関して消費削減や市場規制、ラベル要求などを求めることで有害な海洋プラスチックごみ削減に向けた取り組みの1つとしています。

アメリカの取り組み

アメリカは使い捨てプラスチックごみの発生量が世界第1位の国なのです。排出量こそ20位程度で収まっていますが、それでも対策を講じなくて はならないのは確かです。

アメリカではこの現状を受け、国内ではプラスチックを原料とするストローやマドラーを禁止する法案を可決した州や、再生材の利用促進のために再生プラスチックの比率の記載の義務付け、環境配慮製品調達のためのシステムである「包括的物品調達ガイドプログラム(CPG)」、「バイオプリファードプログラム」を元に、プラスチックを再利用する取り組みを進めています。

また、2021年、環境保護省は「国家リサイクル戦略」を発表。2030年までに固形廃棄物のリサイクル率を50%に高めるため、リサイクル商品市場の改善、原材料の選別などによるリサイクル可能な製品の増加、リサイクル過程から生じる環境汚染の減少など5つの目標を掲げています。

さらに、アメリカではマイクロビーズ除去海域法がオバマ氏の政権下で2015年に可決されました。これにより、マイクロビーズ入りの洗顔料や歯磨き粉の製造や販売の禁止が行われています。さらに、カリフォルニア州ではレジ袋の提供の禁止、2020年までには生分解性であってもマイクロビーズなど全面禁止をする法案を制定しました。

日本の取り組み

世界がこのような取り組みを行う中で、海に囲まれた島国である日本でも、海洋プラスチックごみに対して取り組みが行われています。

  • 中国への輸入規制への対応
    中国をはじめとした廃プラスチックの輸入禁止あるいは輸入規制措置を受けて、日本国内ではその対応に追われました。国内資源循環体制を整備するべく、リサイクル高度化設備の導入に対する国庫補助など緊急的な財政支援制度を創設し、これまでのプラスチックの扱いを見直して分別から選別、線状、原材料化を全て国内で行える体制を確立する方針で対応しています。
  • 第4次循環型社会形成推進基本計画
    政府の取り組みを行う上で2013年に環境省のよって作られたのが、「循環型社会形成推進基本計画」です。第4次(2018年閣議決定)まで進められているこの計画は循環型社会形成推進基本法に基づいて、循環型社会を作り上げていくための施策を総合的に、そして計画的に推進するための基本計画になります。第4次計画ではその方向性として3つの項目が新たに挙げられましたが、そのうち「ライフサイクル全体での徹底的な資源循環」では、過剰な供給などを行わないことを徹底しており、便利で大量に生産されるプラスチックも徹底した管理のもと資源循環を推進する取り組みを打ち出しています。また、「適正な処理の異なる推進と環境再生」のなかには安定的・効率的な処理体制の確立に加え、環境再生のためにマイクロプラスチックを含む海洋ごみ対策への取り組みも盛り込まれています。
  • 海洋プラスチックごみ対策アクションプラン
    海洋プラスチックごみ対策アクションプランというものも政府で策定されています。これは、プラスチックの有効利用を前提としつつ、海洋の新たな汚染を生み出さないための取り組みを徹底するプランとなっています。具体的な方針としては、プラスチックごみの回収から適正な処理を徹底、ポイ捨てや不法投棄、非意図的な海洋流出の防止の推進、既に流出してしまったプラスチックごみの回収にも取り組むことを盛り込んでいます。それだけではなく、海洋に流出しても影響や負担が少ないプラスチックに代わる新たな素材の開発や、その素材への転換などを推進していく取り組みも進められています。

海洋汚染を防ぐために私たちにできること

海洋汚染を防ぐためには、国や企業の取り組みだけではなく、私たち個人もできることを行っていかなければなりません。次に、私たちができる取り組みの例を紹介します。

エコラベルが付いている商品を買う

エコラベルが付いている商品を買うことは、海洋汚染を防ぐ上では重要な取り組みです。エコラベルとは、適切な漁業管理と水産資源の利用ができており、その中で持続可能な環境に配慮した漁獲あるいは養殖された水産物であることを表すマークです。https://www.jfa.maff.go.jp/j/kikaku/budget/attach/pdf/suishin-6.pdf

これらが貼ってある水産物を購入することで、適切な方法で漁業を行う人々が潤うことになり、より多くの漁業者がエコラベルの認定を受けた適切な漁業を行うことに繋がります。これによって、海洋環境を守ることができるのです。

海岸や河川のごみ拾い

海岸や河川には、漂着ごみや不法投棄されたごみが沢山あります。これらを放置すると海洋に流れ出し、海洋ごみとして海洋汚染を引き起こします。そうなる前に、ごみを拾うことで海洋への流出を防ぐことができます。

1人で行うこともできますが、その量はあまりにも膨大であるため、ボランティアなどの清掃活動に参加することが良いと思います。そのような活動に参加し、また活動に参加したことを周りに広めていくことで清掃活動をする人が増えれば、海岸や河川のごみも減らすことも可能になります。

ごみを出さないようにすることでエコ活動

そもそもごみを出さないようにするということももちろん大切です。特にプラスチックごみは大量に出ており、海洋汚染の原因となっています。これらを防ぐために個人でできることは、マイバッグを持参し、ビニール袋をもらわないようにする、マイボトル・マイ箸を使う、詰め替え用ボトルを使う、海・川・山などでのレジャーではしっかりごみを持ち帰るなどです。こういったエコ活動を行うことでごみを減らすことができます。

「海の豊かさを守ろう」

海は私たち人間にとってなくてはならない存在です。水産物を獲ることができるだけでなく、私たちが住む環境を守ってくれているのも海なのです。海洋汚染を防ぐためには、私たち1人ひとりが問題に向き合い、取り組んでいかなくてなりません。かけがえのない海を守るためにも今からできることを1つずつ取り組んでいきたいです。

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エコモ博士
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