多大な影響を及ぼす地球温暖化、未来のために私たちが今できることとは?
所属:跡見学園女子大学
インターン生:A.Tさん
私たちが生きていくうえで環境問題は大きな課題となっています。主に地球温暖化、森林破壊、海洋汚染、水質汚染、大気汚染が挙げられます。その中でも現在最も深刻な問題となっている地球温暖化について今回取り上げていきたいと思います。地球温暖化の現状や原因だけではなく、地球温暖化を防ぐカギとなるサステナブルな取り組みについても紹介していきたいと思います。
1.地球温暖化の現状
地球温暖化によって、世界の平均気温と海面の上昇が加速しています。世界平均気温は過去100年で0.74℃上昇しています。また、平均海面水位は過去100年で17cm上昇しています。今後気温も海面もさらに上昇すると予測されています。
2.地球温暖化の原因
主な原因は温室効果ガスの増加です。温室効果ガスは、太陽から放出される熱を地球に封じ込めて地表を温める働きがあります。そのため、私たち人間や生物が住みやすい温度に保つ役割を果たしています。しかし、温室効果ガスが増えすぎてしまうと宇宙に逃げるはずの熱が放出されないため、地表にたまってしまうのです。
その結果、気温の上昇に繋がってしまいます。また、温室効果ガスには二酸化炭素やメタン、一酸化二窒素などの種類があります。その中でも、一番多いものは二酸化炭素です。
3.二酸化炭素はなぜ増加したのか
増加原因1:産業の発展
昔、私たちは人間、馬やラクダなどの動物、水や風などの自然をエネルギー源として使っていました。しかし、18世紀後半の産業革命以降は石油や石炭などの化石燃料をエネルギー源として使うようになりました。化石燃料は動植物の死骸が地中に堆積し、長い年月をかけて化石となったものであり、炭素分が凝縮されています。それを掘り出して燃やすとエネルギー源としては効率がよいのですが、二酸化炭素が大量に大気中に放出されてしまうのです。
増加原因2:森林の減少
森林は二酸化炭素を吸収することができます。しかし、プランテーションによる開発、農地への転用、焼畑農業の増加により森林が奪われたことで二酸化炭素の吸収量が減少してしまいました。
増加原因3:人間活動
経済の発展により、私たちの身の回りにある家電製品などのエネルギーを消費する機械が増えてきました。その結果、人々の生活は豊かになったぶん、二酸化炭素が大量に発生してしまいます。
4.二酸化炭素の排出量はどのくらいなのか
続いては世界の二酸化炭素の排出量はどれくらいなのか、日常生活の中で二酸化炭素の排出量が多いものは何かについて見ていきたいと思います。
4-1.世界の二酸化炭素の排出量
下記の図によると、世界で二酸化炭素の排出量が最も多い国は中国(106.5億トン)となっています。次にアメリカ(45.5億トン)、ドイツなどのEU27か国(25.8億トン)です。日本は6番目に多く、10.0億トンです。中国で二酸化炭素の排出量が多い理由としては、石炭消費量の多さにあります。中国では一次エネルギー消費量が世界で一番多いです。
4-2.国別一人当たりの二酸化炭素の排出量
下記の図によると、最も多い国はカタール(31.69トン)です。世界平均の4.26トンと比べると約8倍にもなっています。次にアラブ首長国連邦(19.29トン)、オーストラリア(14.02トン)です。日本は9番目に多く、7.95トンです。先ほどの世界の二酸化炭素の排出量でみると中国が最も多かったのにも関わらず、一人当たりでみるとカタールが多くなっています。その理由はカタールの気候に関係しています。
カタールは、国土の大半が砂漠と砂地であり、高温多湿な夏には最高気温が40度を超えることがあります。そのため、酷暑対策としてショッピングモールや屋外競技場、屋外の公共スペースにエアコンを設置する動きが広がっています。さらに、海水を淡水化するシステムや車道を埋め尽くすほどの自動車の多さも影響しています。このことから、カタールは大量に二酸化炭素を排出しています。
4-3.家庭生活から出る二酸化炭素の排出量
家庭からは自動車や照明、家電製品などが大きな割合を占めていると言われています。
5.地球温暖化の影響
地球温暖化が進むと、さまざまな影響が生じることが懸念されます。4つ紹介します。
5-1.気候の変化
現在、最高気温が30度を超える真夏日が多いですが、さらにその日数が多くなると予測されています。現時点での東京の真夏日は年間約46日です。しかし、地球温暖化がこれ以上進むと年間約103日が真夏日になると言われています。1年のうち3か月以上真夏日が続く未来が訪れるかもしれません。
その影響で、熱中症搬送者数や死亡者数が年々増加傾向にあります。さらに、気象庁は短時間強雨の発生が現在の2倍以上に増加する可能性があるとしています。その影響で、土砂災害や水害の発生頻度が増加してしまいます。反対に、雨や雪が少なくなる場所や砂漠になる場所が増えるともいわれています。
5-2.海面水位の上昇
地球温暖化により気温が上がると、北極や南極の氷や高い山にある雪が溶けだして海の水が増加します。次第に土地の面積が少なくなり、場所によっては沈んでしまう恐れがあります。氷が溶けてしまうと北極や南極で暮らしていた動物が生きていけなくなってしまいます。さらに、海水の増加により陸地が失われると、森に生息する動植物や島に住んでいる人の生活環境が無くなってしまう恐れがあります。
5-3.食料不足
気温の上昇が続くと鶏や豚、牛などの家畜が暑さに耐えきれず死亡してしまうということが起きます。また、海水面の上昇は、漁業に対して大きな影響を与えます。魚類の生息は、海流や水温のわずかな変化によって大きく左右されます。そのため、海面水位が上昇し続けると海洋生物が生存できなくなってしまうため、漁獲量が減少してしまうのです。これらのことから、食料の確保が難しくなってしまいます。
5-4.健康被害
気温が上がる場所が増えることで、アフリカなどの暑い地域で発生していた伝染病にかかる人が増えるかもしれません。例えば、マラリアやデング熱です。マラリアとは、マラリア原虫をもった蚊に刺されることで感染する病気のことです。1週間から4週間ほどの潜伏期間をおいて、発熱や頭痛、嘔吐などの症状が出ます。
そして、24時間以内に治療しなければ重症化し、死に至ることもあります。デング熱とは、蚊に刺されることによって感染する病気のことです。急激な発熱で発症し、発疹や頭痛などの症状が出ます。通常は発症後2~7で解熱するが、早期に適切な治療が行われない場合には死に至ることがあります。
これらのことから、地球温暖化は陸と海の生物種の生存を脅かしています。そして、自然環境に影響を与えるだけでなく、私たちの生活にも大きな影響を与えています。
6.地球温暖化を防ぐための取り組み
日本や世界ではどのような取り組みが行われているのかを見ていきたいと思います。
6-1.日本の取り組み
まずは地球温暖化防ぐための日本の取り組みについて紹介します。
地球温暖化対策計画
2021年10月22日に地球温暖化対策計画が閣議決定されました。地球温暖化対策計画は、地球温暖化対策推進法に基づく政府の総合計画で、2016年5月13日に閣議決定した前回の計画を5年ぶりに改訂しました。そして、日本は温室効果ガスの排出削減及び吸収量を2030年度までに2023年度比で46%の水準にすることと定めました。
さらに、50%の高みに向けて挑戦を続けることを表明しました。改訂された地球温暖化対策計画は、この新たな削減目標も踏まえて策定したものであり、二酸化炭素以外にも含む温室効果ガスの全てを網羅しています。これは新たな2030年度目標の裏付けとなる対策、施策を記載して新目標実現への道筋を描いています。
デコ活(脱炭素につながる新しい豊かな暮らしを創る国民運動)制度
環境省では、2050年カーボンニュートラル及び2030年度削減目標の実現に向けて、国民と消費者の行動変容、ライフスタイル変革を強力に後押しするためにデコ活を展開しています。脱炭素につながる将来の豊かな暮らしの全体像や絵姿を紹介するとともに、国、自治体、企業等で共に国民、消費者の新しい暮らしを後押ししていきます。
名前の由来としては、二酸化炭素を減らす脱炭素(Decarbonization)と環境に良いエコ(Eco)を含む「デコ」と、活動や生活を意味する「活」を組み合わせたものとなっています。
6-2.世界の取り組み
続いては、地球温暖化を防ぐための世界的な取り組みについて紹介します。
気候変動枠組条約
大気中の温室効果ガスの濃度の安定化を究極的な目的とし、地球温暖化がもたらすさまざまな悪影響を防止するための国際的な枠組みを定めた条約です。1994年3月に発効しました。条約では原則のもと、先進締約国に対して温室効果ガス削減のための政策の実施等の義務が課せられています。全締約国の義務は次の通りです。
- 温室効果ガスの排出及び吸収の目録の作成と定期的更新
- 具体的対策を含んだ計画の作成、実施
- 目録及び実施したまたは実施しようとしている措置の関する情報を締約国会議へ送付(実施時期及び期限等の実施に関する具体的規定はない)
先進国の義務は次の通りです。温室効果ガスの排出量を2000年までに1990年の水準に戻すことを目的に、・温暖化防止のための政策措置を講ずる・排出量に関する情報を締約国会議に報告する・途上国への資金供与、技術移転を行う(市場経済移行国は除く)です。
パリ協定
2015年にフランスのパリで開催された第21回国連気候変動枠組条約締約国会議で取り決められた2020年以降の気候変動問題に関する国際的な枠組みです。このパリ協定では、世界の平均気温の上昇を産業革命以前に比べて2℃より十分に低く保つとともに、1.5℃に抑える努力を追求すること、21世紀後半に温室効果ガスの排出をゼロにすることを目的としています。温室効果ガスの排出をゼロにするとは、温室効果ガスの排出量と吸収量のバランスを取ることを意味します。
つまり、石炭や石油などの化石燃料をできるだけ燃やさないようにするだけでなく、温室効果ガスを吸収する効果のある森林の減少、劣化をさせないようにする必要もあるのです。また、パリ協定では主要排出国を含む全ての削減目標を5年ごとに提出し、適切な評価をうけたうえで目標の更新をしていきます。さらに、先進国による資金の提供に加えて、途上国も自主的に資金の提供をすることが求められています。
気候変動枠組条約第26回締約国会議
2021年10月31日(日)から11月13日(土)まで、英国・グラスゴーで行われました。190の国や企業が二酸化炭素を多く排出する石炭火力発電を徐々に減らしていくということで合意しました。主要国では2030年代のうちに石炭火力発電を段階的に廃止し、国内外での新しい投資も行わないこととなりました。
6-3.私たちができること
地球温暖化を防ぐためには温室効果ガスを出さないことが必要です。そのためには、サステナブルな取り組みを行うことが大切です。サステナブルとは、持続可能な、ずっと続けているという意味があります。私たちができることを紹介していきます。
省エネを心がける
使用していない部屋の電気や家電製品のスイッチはこまめに切ったり、エアコンの温度は適切に設定したりしましょう。無駄遣いは絶対にダメです。
マイバックを持ち歩く
レジ袋は、作るときも焼却するときにも二酸化炭素が大量に排出されます。そのため、使い捨てのレジ袋は貰わずに、マイバックを持ち歩くことでレジ袋の生産やごみを減らすことができます。
自動車の使用を控える
自動車は化石燃料であるガソリンを燃焼させているため、多くの二酸化炭素を排出しています。そのため、なるべく自家用車は使わずにバスや電車などの公共交通機関を積極的に利用しましょう。また、短距離であれば自転車や徒歩での移動も検討しましょう。
3Rを意識する
3Rとは、Reduce(リデュース)Reuse(リユース)Recycle(リサイクル)の頭文字をとった3つの行動の総称のことです。Reduceとは、製品を作るときに使う資源の量や廃棄物の発生を少なくすることです。具体例としては、耐久消費財は手入れや修理をしながら長く大切に使うということです。
Reuseとは、使用済み製品やその部品などを廃棄せずに繰り返し使用することです。具体例としては、フリーマーケットを開催することです。Recycleとは、廃棄物などを原材料やエネルギー源として有効活用することです。具体例としては、資源ごみの分別回収に協力することです。
サステナブルファッション
サステナブルファッションとは、環境に配慮した素材(オーガニック素材)の使用やプラスチックを再利用した素材など、生産から廃棄までのプロセスにおいて、環境や人権に配慮した持続可能なファッションのことを指します。
サステナブルフード
サステナブルフードとは、環境や人に配慮した方法で生産された食べ物のことを指します。化学肥料を使わずに育てられているため、水や土、大気汚染などの影響を軽減できます。さらに、保存料や着色料、添加物の使用を最低限にすることで食品の安全性を確保することもできます。また、地産地消や児童労働の禁止など人を大切にする社会の実現にも近づくことができます。
地球温暖化を防ぐために国際的な活動をはじめ、国内でもさまざまな取り組みが行われています。私たちにもできることはたくさんあります。
7.まとめ
地球温暖化は自然環境や私たちに大きな影響を与えるものであり、恐ろしいです。地球温暖化をそのままにしてしまえば、今よりももっと深刻な事態へと発展してしまいます。したがって、これは直ちに解決しなければならない問題だと思います。
地球温暖化を防ぐために一人ひとりが意識をし、行動を見直すことが必要となっています。そして、地球温暖化に対して向き合うことは、将来世代を守ることに繋がると考えます。そのために、自分のできることから始めることが重要です。一人ひとりの小さな努力を積み重ねることで、大きな結果としてあらわれるでしょう。