レジ袋有料化と私たちにできること

  • 更新日:2021/11/09

所属:跡見学園女子大学

インターン生:H.Rさん

レジ袋有料化と私たちにできることの写真

多くの場面で活躍するプラスチックは、環境問題、海洋ごみ問題に関与しています。実際、海洋ゴミの大半がプラスチックごみです。プラスチックごみ削減の活動として2020年7月1日よりレジ袋有料化が開始されました。レジ袋の有料化によって、プラスチックごみ削減の効果と消費者への影響について考えていきたいと思います。

背景

今やプラスチックは私たちの日常の暮らしにおいて、もっとも身近な存在のもののひとつでもあります。プラスチックが使われているシーンは実にさまざまです。身の回りのもののみでもペットボトル、ストロー、レジ袋、お肉や魚の食品包装トレー、雑貨や家電などプラスチックが使われていないものを見つけることの方が難しいのではないでしょうか。しかし、そのほとんどは、一度利用されただけで捨てられてしまっている状況です。これらの使い捨てプラスチックのほとんどは、陸地から海にたどり着き、海洋ごみ問題が発生している状況にあります。プラスチックごみだけでも、世界に合計1億5,000万トン以上の量が存在していると言われており、毎年およそ800万トン、東京ドーム約7個分もの量になるプラスチックごみが新たに海に流れ出ている状況にあります。環境庁の調べによると、毎年海に流出するプラスチックごみのうち2万から6万トンが日本から流出したものだと推計されています。こうしたプラスチックごみの問題を踏まえて、国は、プラスチック削減の取り組みとして2020年7月1日よりレジ袋の有料化を開始しました。

レジ袋の消費量は?

買い物をする際、これまでは無料でもらえていたレジ袋は、軽さや丈夫さ、大きさや形もさまざまな種類があり、食品などを大量に入れることができ大変便利なものでした。商品を販売する店側としても安価でもあり、多くの場面で利用されていました。ここでは、レジ袋の日本の消費量と外国の消費量について見ていきたいと思います。

日本のレジ袋消費量

日本では、レジ袋は年間300億枚以上が日本国内で消費されていると言われています。1人あたりの消費量では、約300枚にもなります。しかし、この数字はスーパーなどで提供される大型のレジ袋のみの量であり、さらにレジ袋を使うことが多いコンビニなどを合計すると400枚以上にもなると考えられています。また、日本全体では、1秒当たりおよそ1,000枚のレジ袋が使われていることとなります。

アメリカのレジ袋消費量

アメリカはプラスチックゴミの使い捨て量は、世界で最も多いです。毎年2億個のレジ袋が利用されて捨てられていました。

中国のレジ袋消費量

中国はアメリカや日本に続きレジ袋消費量の多い国でもあります。中国では年間約7,300億枚のレジ袋が使われています。中国は人口もかなり多いことから、中国の人々は食材などを購入する時、毎日およそ10億枚のレジ袋が利用されています。その他の買い物に使われるレジ袋は20億枚以上にもなると言われており、毎日30億枚以上は利用されていると言われています。

イングランドのレジ袋消費量

イングランドでは、年間およそ76億枚のレジ袋が消費されていました。1人あたり年間140枚のレジ袋を消費していました。また、ゴミとして放出されるプラスチックの重量は61トンに達しています。

レジ袋が及ぼす環境への悪影響について

レジ袋の素材はポリエチレンと呼ばれるもので、ポリエチレンは、石油から精製されたナフサを原料とするプラスチックの一種であります。つまりレジ袋は石油から作られるプラスチック製品であります。プラスチックであることによって、軽量で丈夫なレジ袋を生み出すことが可能となっているのです。

大量にレジ袋が生産されれば天然資源を大量に消費することにつながります。レジ袋1枚を作るのに必要な石油は約200mlで、年間およそ300億枚のレジ袋を消費している日本では、300億枚×20ml=60万klの石油が使われていることとなります。2リットルのペットボトルに例えると30億本分にもなります。また、製造過程において、あるいはごみとして焼却する際には二酸化炭素が発生します。二酸化炭素は温室効果ガスと呼ばれるものの一つでもあり、この増加が地球温暖化など気候変動を悪化させてしまう要因にもつながっているものです。

さらに、レジ袋がごみとして大量に廃棄されていることも問題です。焼却処分されることでも環境に悪影響を及ぼすなどの問題を引き起こしていますが、それと同時に海洋や陸地を汚染する問題を引き起こしています。特にレジ袋は、軽量であるため、風などにより飛ばされてしまうことがあります。飛ばされてしまったレジ袋は海などにたどりつきます。それらは、海洋汚染の原因となってしまいます。このようにレジ袋は、私たちの日々の暮らしには便利であることは確かではありますが、消費者の行動によっては、ごみとして排出され環境に悪影響になってしまうのです。

レジ袋削減の取り組み

2020年7月1日より全国でレジ袋が有料化され、必要時に応じて購入しなければならなくなりました。先行してレジ袋有料化を行っていた都道府県や市町村、販売店舗もありました。早い県だと10年以上前から実施されていましたが、2020年7月1日より全国で有料化が開始されました。なぜこのような対策が開始されたのでしょうか。それはさまざまな環境問題を解決するためのひとつの対策として必要であったためです。日本国内でのプラスチックごみの廃棄量2%がレジ袋であることが分かっています。2%と聞き、割合から考えると少ないと感じるかもしれません。わずか2%なら今まで通りレジ袋は無料でもよいのではないかと思う方もいるかもしれません。

しかし、私たちにとって非常に身近な存在であるレジ袋を有料化することで、環境問題に対して関心を抱いてもらいたいという意味が込められているのではないでしょうか。経済産業省によると、「普段何気なくもらっているレジ袋を有料化することで、それが本当に必要かを考えていただき、私たちのライフスタイルを見直すきっかけとすることを目的としています。」とありました。このように、まずは身近なものから取り組みを開始することで私たちの環境への意識を高め、環境について考える機会を増やしていくためにもレジ袋有料化を行っていると思います。

レジ袋有料化の対象

レジ袋の有料化が開始されましたが、有料の対象となるレジ袋と対象外のレジ袋があることを知っていますか?経済産業省が定めた制度概要によると以下のようになります。

対象となる事業者

主な対象となる事業者は日本全国のプラスチック製レジ袋を扱って小売業を行っていることです。

対象となる買い物袋

消費者が購入した商品を持ち運ぶために用いる、持ち手のついたプラスチック製買い物袋とされています。

制度の対象外となる買い物袋

対象外となる買い物袋は以下の3つです。

プラスチックのフィルムの厚さが50マイクロメートル以上のもの

プラスチックのフィルムの厚さが50マイクロメートル以上の買い物袋は、繰り返し使用が可能であることから、プラスチック製買い物袋の過剰な使用抑制に寄与するためです。

海洋生分解性プラスチックの配合率が100%以上のもの

微生物によって海洋で分解されるプラスチック製買い物袋は、海洋プラスチックごみ問題対策に寄与するためです。

バイオマス素材の配合率が25%以上のもの

植物由来がCO2総量を変えない素材であり、地球温暖化に寄与するためです。

これらの対象となる買い物袋からわかるようにレジ袋有料化は、環境を守るため、環境や地球にとってやさしい環境作りのへの第一歩でもある対策であるようです。

レジ袋有料化によるメリット

レジ袋を有料化することでどのようなメリットがあるのでしょうか。レジ袋を有料化することで、無駄なごみの排出が抑制されるであろうなということは想像ができるかもしれません。しかし、具体的にはどのようなメリットが考えられるのでしょうか。いくつか考えられることを挙げてみました。

レジ袋を焼却処理する際のCO2の削減

先ほどお話したように、レジ袋はプラスチックで製造されています。プラスチックの処分のほとんどは焼却処分であるため、CO2が排出されますが、レジ袋を有料化することでCO2の排出削減が見込めるのではないでしょうか。CO2の削減ができれば、地球温暖化や気候変動などの原因ともなっている温室効果ガスの削減にもつながり、地球にやさしい環境づくりにもつながります。

化石燃料の消費量を削減

レジ袋は石油を原料として作られています。石油は限りある資源のひとつでもあるため、レジ袋を有料化したことで消費量を抑えることができれば、石油の消費を抑えることもできるのではないでしょうか。

消費者の環境問題に対する意識の向上

レジ袋を有料化したことにより最近では、エコバックを利用して買い物をする人々が増加してきています。全体の約8割の人はエコバックを利用しています。「環境によい活動や行動を心がけて行動してくださいね。」と言われても、なにを行ったらよいかよくわからないという方も多いのではないでしょうか。そんななかで、エコバックは、私たち消費者にとってもっとも簡単に環境をよくするためのエコ活動に小さな子どもから高齢者まで誰もが参加できることです。このような中で、実際に、レジ袋有料化の影響によって消費者の環境問題に対する関心は高まったのでしょうか。2012年に行われた調査「Ponta消費者意識調査」図表1 によるとここ約1年でプラスチックごみによる環境問題に対する関心が「高まった」「やや高まった」は合計して41.9%という結果であり、プラスチックごみによる環境問題に対する関心が高まったきっかけ(複数回答)は「レジ袋有料化」がもっとも高く86.6%という結果になっています。この調査の結果からわかるように、レジ袋を有料化したことで消費者が環境問題に対する意識が向上してきていることがわかりました。

図表1「あなたはここ1年で、プラスチックごみによる環境問題にたいして関心の変化はありましたか。」

出典:「第46回Ponta消費者意識調査」(2021年3月29日(月)~3月31日(水))

レジ袋有料化によるデメリット

レジ袋有料化によるメリットがあれば、レジ袋有料化によるデメリットもいくつか考えられます。

エコバック・マイバック・レジ袋を購入する際による消費者への負担

レジ袋が有料化され、買い物をする際には、購入した商品やものを入れる何かしらの袋が必要となります。そのため、消費者は事前にエコバックやマイバックなどを購入し用意しておく必要があります。また、エコバック等を持参していない場合には、レジ袋を購入しなければならならいため、レジ袋有料化により金銭的な負担につながってしまうことがあるのではないでしょうか。

販売員の作業効率の低下

消費者がエコバック等を持参してくる場合はあまり関係ありませんが、レジ袋が有料化することでコンビニやスーパーでのレジが混みあってしまう可能性が考えられます。販売員はひとりひとりのお客様にレジ袋の有無の確認や、レジ袋のサイズによって異なる料金の説明などを行うことになります。すると、販売員の作業効率の低下など販売員への負担もあるのではないかと考えられます。

万引きの増加につながる

レジ袋が無料だった時には、大半の買い物客はレジ袋を利用していたため、お店側も怪しい動きをする買い物客を確認することができましたが、エコバックやマイバックは、スーパーやコンビニに入店する際に持参するため、お店側が注意を払う対象者が増えてしまいチェックすることが困難になります。また、消費者側からしても、エコバックを持っていて万引きしているのではないかと疑われてしまったらと感じる人も多いようです。このようなことに対し、ファスナーのついたエコバックやマイバックを利用することや折りたためないものは口をしっかり縛るように工夫、また、レシートを保管しておくなど、誤解されないための取り組みをしていくことが必要になります。

家庭で再利用していた人は別途ビニール袋を購入する必要がある

スーパーやコンビニで商品を購入した際にもらえていたレジ袋をごみ袋として家庭で再利用していた方も多くいるのではないでしょうか。レジ袋は介護や赤ちゃんのお世話の際にも活躍していました。実際多くの家庭がレジ袋をごみ袋変わりとして利用していたこともあり、レジ袋が有料化された7月以降、多くの店舗で陳列後すぐさま完売し品薄の状況が続いています。有料化された後から、別途でビニール袋を購入している方もいるため有料化直後にはごみ袋の売れ行きが2倍にもなったと言われています。

しかし、ビニール袋もごみ袋同様、プラスチック製品でもあります。そのため、レジ袋有料化により家庭のごみ袋ようにビニール袋を購入することは、結果、レジ袋を利用しているのとなにも変わりありません。これでは、レジ袋を有料化してもなにも意味がないのではないかと考えてしまいますよね。このように、レジ袋有料化によるデメリットも数多く考えられます。

エコバックの種類

現在、多くの人々が利用しているエコバックですが用途に合わせたさまざまな種類があることをご存知ですか。レジ袋に変わるエコバックの種類についてご紹介します。

まず挙がるのは、折りたたみ軽量タイプのエコバックです。折りたたむとコンパクトになるため、通勤や通学、コンビニなど少量のものを入れる時に便利に利用することができます。最近では、キーホルダーのように鞄などに取り付けることが可能なチャームエコバックも販売されています。カラフルで可愛らしいものからメンズ向けのシンプルなデザインなどさまざまな種類が充実しています。また、リュック型のエコバックもあります。両手が塞がらないため安全に利用することができます。小さな子どもと買い物に行く際なども両手が空いていると安心できるのではないでしょうか。他にも、レジカゴバックがあります。スーパーなど一度に大量の食品をまとめて購入する方などは利用している方も多いのではないでしょうか。レジカゴにセットして使用するタイプのため、店舗によっては販売員が荷物詰めを行ってくれるため、時短にもなる便利なエコバックです。加えて、保冷エコバックがあります。生鮮食品や生物などを購入した際、食品の温度を保つことができ帰り際に寄り道をする余裕も生まれます。エコバックにはこのようにさまざまな種類が存在します。みなさんも自分に合った利用しやすいエコバックを探してみてはいかがでしょうか。

最後に

これまで、プラスチックによる環境問題や海洋ごみ問題について、私たちのもっとも身近な存在であるレジ袋を踏まえて説明してきましたが、レジ袋を有料化したことで、いくつかのメリットやデメリットも考えられました。今後日本の環境がレジ有料化によりどのように変化していくかはわかりませんが、現在の環境問題が少しずつ解決していくよう環境に配慮した行動を行っていくことが重要になります。レジ袋有料化により、私たちの環境への関心は高まってきています。そして、環境にやさしい取り組みのなかのそのひとつがレジ袋の有料化です。エコバックは環境を守るため誰もがもっとも簡単にエコ活動に参加できる取り組みになります。私たちの些細な行動が環境を守ることにつながっています。ぜひエコバックをはじめとした環境にやさしい行動をするよう心がけて行きましょう。

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