環境問題による動植物への影響

  • 更新日:2021/09/06

所属:高知工科大学

インターン生:S.Rさん

環境問題による動植物への影響の写真

近年、あらゆる環境問題が起こり、それに伴い動物への影響が懸念されています。本記事では、初めに環境問題に影響される絶滅危惧種について述べます。環境問題の内、気温上昇に伴う海氷融解、海面上昇における動物への影響、森林破壊や干ばつ、海の酸性化による動植物への影響を述べ、最後に環境問題への対策について述べます。

絶滅危惧種

絶滅危惧種とは、1体も生存しなくなる「絶滅」の恐れがある動植物の種や亜種のことです。IUCN(国際自然保護連合)が公表している、世界の絶滅の恐れのある野生生物のリスト「レッドリスト」には、2020年が終了した時点で、3万5,765種以上の野生生物が絶滅危惧種として掲載されています。日本においては、2020年時点で、環境省がレッドリストに掲載した生物は8,535種、そのうち絶滅危惧種と呼ばれる生物は3,716種です。

レッドリストに掲載される野生動物は、哺乳類、鳥類、昆虫類、両生類、汽水・淡水魚類、昆虫類、貝類、その他無脊椎動物(クモ形類、甲殻類等)、維管束植物、蘚苔類、藻類、地衣類、菌類の13種類に分けられ、評価されています。また、レッドリストには、その絶滅の危険度をランク付けし、9つのカテゴリーに分けられています。

最もランクの低いものから、「孤立した地域個体群で、絶滅のおそれが高いもの」、「評価するための情報が不足している種」、「絶滅危険度は小さいが、生息条件の変化により『絶滅危惧』に移行する可能性のある種」、「絶滅の危険が増大している種」、「近い将来、絶滅の危険性が高いもの」、「ごく近い将来、絶滅の危険性が極めて高いもの」、「絶滅の危機に瀕している種」、「飼育・栽培下、自然分布域の外側で野生化した状態でのみ存続している種」、「すでに絶滅したと考えられる種」、とランクが高くなっている。このうち絶滅危惧種とされるものは、「絶滅の危険が増大している種」から「絶滅の危機に瀕している種」である。危険度のランクが最も高いものから2つは、主に動物園での保護が必要とされています。

絶滅危惧種を発生させる主な原因として、動植物の採取・乱獲、森林伐採、環境汚染、外来種の投棄、里山の管理放置、地球温暖化や気候変動が懸念されています。レッドリストでは、このうち「地球温暖化、気候変動」が最も大きな原因の1つとして挙げられています。地球温暖化、気候変動の影響を受けている絶滅危機種は、4,000種以上であり、この数は年々増大しています。2000年では15種、2005年では約200種、2010年では1000種を超え、2015年では約2000種ほどであり、急激に増加しています。

以下は、地球温暖化や気候変動の影響を受けた絶滅危惧種の数を表した画像です。鳥類が最も気候変動の影響を受けていることが分かります。地球温暖化や気候変動により、生息地を変化せざるを得なくなることや、干ばつになることにより、絶滅危惧の危険性が高まっていることが分かります。

出典:環境省

気候変動による動植物への影響

動物の個体数減少となる原因は、動物の生息地の環境変化が挙げられます。例として、ジャイアントパンダは、山岳地帯に自生する竹林に生息しますが、竹林を構成するタケが、気温や気候の変化で生育や発芽ができなくなり、竹林の減少につながると、パンダの食物と住処が失われることになります。

また例として、ヒマラヤと中央アジアの山岳地帯に生息するユキヒョウは、気候変動による高山の環境の変化により、個体数が16%減少しました。地球温暖化が継続されると、ユキヒョウの生息地が現在の約30%となると公表されています。ユキヒョウが獲物とする大型のヤギ、ヒツジ類の生息にも影響を及ぼします。

気温上昇、海氷融解による動植物への影響

北極のほとんどは海であり、海面に厚さ数mの氷が浮かんでいます。この氷は海氷と呼ばれます。南極は大陸であり、陸に厚さ2㎞ほどの氷で覆われています。地球温暖化により気温が上昇することで、北極では海氷の融解が発生し、動植物への悪影響が発生しています。また、南極では山岳氷河や万年雪の融解が起こることで海面上昇が発生しています。

全国地球温暖化防止活動推進センター(JCCCA)の発表によると、北極の平均気温は世界の他の地域に比べて2倍もの速さで毎年上昇しており、このまま地球温暖化が進んでいくと、100年後には大陸部で3~5℃、海上では最大7℃上昇すると予測されています。平均気温上昇に伴い、北極では30年間で100万㎢に相当する面積の海氷が融けたと報告されています。このままのペースでは、2050年の9月には50%以上減るとされています。海氷が減少すると、地球温暖化が加速されます。仕組みとしては、海氷は太陽放射の反射率が大きいため、海氷が減少すると、地球全体での太陽放射の吸収率が上がるため、温暖化が加速されます。

海氷の融解により影響を受ける動物は、ホッキョクグマが挙げられます。ホッキョクグマは、氷の溶ける夏の間は数か月にわたり、ほぼ何も食べず過ごすという習性があります。そのため、地球温暖化により氷のない期間が長くなると、獲物を獲得できず、個体の絶滅につながります。WWF(世界自然保護基金)ジャパンの発表では、現在のペースで温暖化が進むと21世紀中頃までに、ホッキョクグマの生存に適した夏の海氷面積は4割近くが失われ、その頃にはホッキョクグマの個体数は現在の2/3に減少している可能性があると報告しています。また、ホッキョクグマの餌ともなるワモンアザラシは、地球温暖化による積雪量の減少と早春に降る雨で、雪の下に作られた巣が破壊され子育てに大きく影響し、ワモンアザラシの減少につながります。そのためホッキョクグマも減少し、生態系上位の生物の減少にもつながります。

また、北陸では、オットセイやセイウチなど海洋哺乳類の狩猟を中心とした先住民族のイヌイットが住んでいます。温暖化により氷が解けている期間が長くなったため、狩猟の時期も短くなりました。また、温暖化により氷が薄くなったことで、イヌイットは氷の上を安全に移動できないという影響も出ています。北極では海氷が減少しているのに対し、南極では増加しています。そうなる仕組みとしては、海水温度が上昇することで水蒸気が発生し、雲となり降雪が起こり、雪が積み重なり圧縮され氷になるためです。南極における海氷は、1979年から2020年まで1年当たり1.5万平方キロメートル増加しています。この海氷の増加により、南極海に生息する海洋生物の生態系に影響を及ぼしています。

南極半島では50年間で気温は約2.5℃も上昇し、氷床が海に押し出された部分である「棚氷」の融解が進行し、海面上昇につながっています。また、北極圏でも山々の氷が融解し、海に流れ込み、海面上昇につながっています。海面上昇は、年々上昇率が上がっています。約100年で世界の平均海水面は16㎝上昇したとされています。海面上昇が起こると、洪水が発生し、島国が沈没する恐れがあります。

南極において温暖化の影響を受ける動物は、ペンギンやアザラシなどの哺乳類、アホウドリなどの鳥類が挙げられます。ペンギンは、オキアミというプランクトンが主食ですが、温暖化によりオキアミが激減しているため、ペンギンの個体数も激減し、絶滅危惧種となっているペンギンもいます。

森林伐採による動植物への影響

温暖化により温室効果ガスが増加しています。温室効果ガスの主成分である二酸化炭素を吸収する森林が伐採により減少しているため、温暖化が進行しています。世界の森林面積は、1990年から2020年までの30年間で、約1億7800万ヘクタール減少しました。しかし、現在、森林減少率は減速しており、1990年から2000年の10年間の年間780万ヘクタールから、2000年から2010年の520万ヘクタール、2010年から2020年の年間470万ヘクタールに減少しました。

森林伐採の対策として、植林が行われています。世界の森林面積の93%は自然に再生する森林で構成されており、7% が植林されています。植林とは、伐採後の土地に木を植えることです。植林によってできた森林は人工林と呼ばれ、手入れをすることで山本来の役目を果たすため、森林保全や環境保全活動につながっています。しかし植林では、増加する二酸化炭素を吸収するには足らず、二酸化炭素の増加量は植林による吸収量を上回っています。現在、植林面積は1億2300万ヘクタール増加しています。植林用の土地を確保し、植林を続けることで森林回復につながると考えられます。

また、木材を使用した製品のリサイクルが推奨されています。木材を燃やすことで二酸化炭素が発生するため、リサイクルを行い、温暖化を防止することが必要となっています。

干ばつによる動植物への影響

干ばつとは、雨が降らない影響で、長時間水不足となっている状態のことです。干ばつの影響で、農作物の被害が出ることや、山火事を引き起こすことがあります。山火事が起こると、森林の焼失により大量の二酸化炭素が放出されるため、地球温暖化を加速することになります。また、干ばつが長引くと砂漠化が進みます。干ばつが発生すると食料の生産性が下がります。特にアフリカ地域で飢餓状態や病気になる人が発生する恐れがあるとされています。2015年時点で、土地の劣化によって世界の食料生産が2035年までに12%減少すると予測されています。乾燥地域においては、土壌水分が減少することで、干ばつに見舞われる農地が増加する可能性が高いとされています。

干ばつの気候的要因は、地球温暖化や気候変動によるものです。干ばつの人為的要因は、人間の生産活動です。作物を作るために開拓や耕作を行うことや、過度な放牧により植物や水資源が消費されることや、過度な伐採による樹木の減少です。また、水管理を正しく行わなかったことにより、塩類集積が起こり、収穫が困難になる塩害が発生します。塩類集積とは、耕作地の土壌表面に塩類が集積することです。

米カルフォルニア州では、干ばつの原因として、平均気温の上昇により夏まで雪が残らず、水源となる山脈の雪不足を挙げました。カルフォルニア州の面積の8割以上で深刻な干ばつが発生し、加えて米西海岸における記録的な高温を受け、干ばつの非常事態宣言を発令しました。また、アフリカ大陸では乾燥した地域が5~8%拡大し、一部が干ばつに見舞われると予測しました。

干ばつによって影響を受ける動物には、アフリカゾウ、オランウータンやコアラなどが挙げられます。温暖化が進むことで、スマトラと周辺の島々では、2025年までに雨の増加が予想されています。こうした天候の変化は、オランウータンの主食である果物の生育を減少させ、オランウータンの成長や繁殖に影響を及ぼすと考えられています。乾季では、干ばつがこの島々を襲い、森林火災を深刻化させる可能性があります。1997年以降、度々生じている「エルニーニョ現象」と、それに伴い大規模な森林火災が発生しました。

この仕組みとしては、エルニーニョ現象によって汎熱帯林全体で降水量と貯水量が減少し、森林の発火と延焼が起こりやすくなるためです。広大な森が焼かれ、多くの野生のオランウータンを死に至らしめました。森林伐採によってオランウータンの個体数は減少しており、さらに気候変動により個体数が減ったため、絶滅危機を深刻化させました。また、オーストラリア内陸部で、10年にわたり大規模な干ばつが続き、コアラに影響が及んでいます。コアラは植物の葉から水分を摂取しています。しかし、干ばつにより多くの植物が枯死したため、十分な水分が得られず死に至るコアラが増加しています。

海の酸性化による動植物への影響

本来、海水のpHは弱アルカリ性ですが、温暖化により、北極では二酸化炭素を多く含んでいる海氷が融解し海に流れ込み、海水のpHが酸性化しています。そのことにより、サンゴや貝などの炭酸カルシウムでできた殻や骨格を持つ生物の個体数が減少します。すると、魚類が食べるものがなくなり、魚類の減少により、漁業が成立せず人類にも影響します。このように生態系上位の生物の減少にもつながります。2100年には、北極と南極では炭酸カルシウムが作れない環境になるとされています。温帯から熱帯の海においても、炭酸カルシウムを作りにくい環境になるとされています。

また、海の酸性化の背景として、別の要因が挙げられます。大気中の二酸化炭素濃度は1750年ごろまで約280ppmを保っていましたが、産業革命以降、その濃度は年々増加し、2011年には世界返金で390ppmを超えました。そして大気中の二酸化炭素を吸収するため、海水中の二酸化炭素濃度は増加しました。

影響を受けている動物は、プランクトンやサンゴなどの海洋生物、アオウミガメやシロナガスクジラなどが挙げられます。アオウミガメの卵は、産み落とされた場所の砂の温度で、性別が決まります。温度が高ければメスが生まれ、温度が低い場所ではオスが生まれます。このため、温暖化によりわずかでも気温が上がると、メスばかりが増え、オスとメスのバランスが狂い、繁殖ができなくなる恐れがあります。海中の二酸化炭素濃度が上昇し、酸性化が起こると、アオウミガメの食物である海草や海中の生態系に悪影響を及ぼします。シロナガスクジラの主食であるプランクトンのオキアミが激減しているため、クジラの個体群は打撃を受けています。

地球温暖化や気候変動への対応

これらを抑えるために、石炭や石油の燃焼により発生される二酸化炭素を減少させる必要があります。化石燃料の消費を抑え、再生可能エネルギーへの移行をすることなどが挙げられます。再生可能エネルギーには、太陽光、風力、地熱、水力、バイオマスなどがあり、世界では10~20年後までに、発電電力量に占める再生可能エネルギーの割合の目標数値を定め、比率を増加させる取り組みが行われています。

また、WWFでは「地球温暖化を引き起こす二酸化炭素などの排出を抑え、地球の平均気温の上昇を、産業革命以前のレベルに比べて2度未満に抑えること」を目標にした活動を行なっています。世界各国にネットワークを持つ「WWF気候・エネルギー・プラクティス」では、地球温暖化を引き起こす温室効果ガスの排出量を大幅に削減する国際的な協定を、各国政府と産業界、金融セクター、一般市民と結ぶよう、世界各地で活動を展開しています。地球環境を保全するために、人類が自然と調和して生きていくことのできる「持続可能な未来」を目指す活動を行っています。

まとめ

環境問題により悪影響を受けている動物がいます。その中で地球温暖化や気候変動の影響を受けている動物について主に述べました。動物は生息地の環境変化によって絶滅が引き起こされます。北極や南極では、山々の氷が融解することで、海面上昇を引き起こします。また、氷の融解により動物や人間の暮らしに悪影響を及ぼし、絶滅危惧種となっている動物もいます。温室効果ガスの発生により地球温暖化が加速します。そのため二酸化炭素を吸収する森林が必要ですが、森林伐採を行うとその働きが低下します。

しかし、現在では植林により、森林回復のための活動が行われています。気候変動により干ばつが発生し、食料の生産性の低下や、山火事や砂漠化を引き起こします。水不足により多くの野生動物の個体数低下につながります。増加している二酸化炭素を吸収すると、海の酸性化が引き起こされます。海洋生物の減少につながり、生態系上位の生物にも影響を及ぼします。

人類の進化に伴い、便利な世の中にするために反自然的な技術が累進されました。しかしそれは地球温暖化を発生させ、自然破壊を加速させることにも繋がりました。そのため、原因である人類が自然保護に努める活動を行うことが必要になりました。1人1人が身近なものから省エネルギーに努め、地球全体での環境保護につながると考えられます。

宜しければSNSでのシェアをお願い致します!

エコモ博士
本ページの記事が皆様のご参考になりましたら、ぜひともイイネやシェアいただければ有難く思います。ご検討いただけますと幸いです。
おすすめ電力会社用アイコン 編集部おすすめの電力会社
個人・ご家庭の方
Looopでんき用アイコン
基本料金0円でお得
Looopのプランは基本料金が0円となっており、電気を使った分だけ料金が発生することが最大の特徴です。ポイント等の付与がなくとも問題ない方、電気の利用方法で電気代を徹底的に安くしたい方に推奨できます。価格を追求しながらも、環境や日本社会への貢献にも目を向けた大手の新電力会社となり、特に基本料金のコストを削減したい方におススメです。
idemitsuでんき用アイコン
オール電化で最高峰
idemitsuでんきは、出光興産が提供する電気料金プランです。オール電化住宅において最高水準に安価な専用プランがあります。特にオール電化向けという観点では、一人暮らし~大家族まで国内で最高峰の料金構成となっている電気プランの一つと言えます。また、EVユーザーの方も深夜電気で蓄電できるためおススメです。
シン・エナジーでんき用アイコン
マイルが貯まる
シン・エナジーの電気料金プランは、JALのマイレージがどんどんと貯まることが特徴です。電気代をお得にしながら、マイルを貯めたい方にとって非常におススメの電気料金プランとなっています。
四つ葉電力用アイコン
完全固定単価で安心
四つ葉電力の「ほっと5.0安心プラン」は、[基本料金][再エネ賦課金][燃料調整費][容量拠出金][託送費]が0円の、電気を使った分だけ完全固定単価での支払いとなる安定性の高いプランです。原油高等による電気代変動の影響を受けたくない方に推奨できます。
法人(高圧)の方

電力会社の一括見積にて電気代削減のサポートをしております。皆様には電気料金明細をご用意いただくのみの簡単作業となります。複数社の見積りを一覧化、どの程度電気料金を削減できるか比較できます。

おすすめガス会社用アイコン 編集部おすすめのガス会社
個人・ご家庭の方
ENEOS都市ガス用アイコン
オススメ都市ガスプラン
石油元売りとして国内最大の規模を持つENEOSは、都市ガスプランが特筆すべき水準の価格構成となっています。ただし、東京ガス/京葉ガスエリア限定の部分がネックです。しかしそれらエリアにお住いの方であれば、ENEOS都市ガスに切り替えることで大幅なガス代削減が期待できます。
プロパンガス用アイコン
プロパンガス比較サービス
日本では2万社ほどのLPガス事業者が販売を行っており、価格差が極めて大きいのが業界の特徴となります。LPガス会社の見直しにより毎月のガス料金を大きく抑えられる可能性があり、おススメのプロパンガス比較サービスをご紹介しております。
ページトップへ