地産地消のススメ
所属:横浜国立大学
インターン生:S・Kさん
食事は毎日の生活に欠かさないものです。日本の食料自給率は39%といわれており、私たちが日々口にする食料品のほとんどを海外からの輸入に頼っています。実は、こうした消費行動が地球環境への大きな負担となっているのです。
フードマイレージ
「フードマイレージ」という概念をご存知でしょうか?フードマイレージとは食料の輸送量と輸送距離の積で示される指標です。単位はt・km(トン・キロメートル)で表されます。この指標を用いることで、食品の輸送が地球に与える負担を数値としてとらえることができます。
ただし、フードマイレージという指標には問題点があります。フードマイレージは輸送段階のみに着目した指標であること、また輸送手段(トラック、鉄道、船舶等)による差を考慮していないという点です。そのため、最近は食料のライフサイクル全体を通じた二酸化炭素排出量を表す「カーボン・フットプリント」という指標が主流となりつつあります。
しかし、カーボン・フットプリンは概念や計測方法が複雑で、消費者にとっても必ずしも分かりやすいものとはなっていません。その点、フードマイレージは計算が単純でわかり易いため、食料品輸送にかかる環境負担の指標としてよく用いられています。
日本のフードマイレージ
日本のように食料自給を輸入に大きく依存している国では、フードマイレージの値も大きくなります。下のグラフは各国の輸入食品にかかるフードマイレージを比較したものです。これを見ると日本は他国に比べて値が非常に大きく、環境に大きな負担をかけていることがわかります。
地産地消
環境負担の少ない経済活動が求められる今、「地産地消」という消費行動に注目が集まっています。地産地消とは農畜産物を生産地の近くで消費するという考え方で、フードマイレージを小さく抑えて消費することができます。
地産地消には3つのメリットがあります。一つは輸送距離を短縮することで、輸送エネルギーを減らし、環境負担を小さくできるということ。輸送時のエネルギー消費が減ることで、CO2削減や地球温暖化防止に繋がります。次に、新鮮な食料品を安心して食べることができること。輸送時間を少なくすることで、鮮度を保ったまま消費者に届けることができるようになります。また、生産者と消費者の距離が近くなることで、食への安心感が生まれやすくなります。最後に、地域経済の活性化につながること。地場産物の生産・販売が増えれば、その地域の農林水産業も元気になり、地域の活性化にもつながります。近年、地方地域における人口減少や少子高齢化などが問題となっていますが、地産地消が地域活性化のひとつのきっかけにもなるかもしれません。
身近なことから
環境問題というと、どうしても個人には大きすぎる問題のように感じるかもしれません。しかし、一人一人が日々の生活の在り方を少し変えるだけで、非常に大きな効果が生まれるのです。地産地消では毎日の食から地球環境を考えることができます。美味しく安全な食生活を楽しみながら、環境活動に取り組んでみてはいかがでしょうか。