ゴルフ場は脱炭素の味方?緑豊かなゴルフ場が果たす役割
近年では地球環境への影響への関心が高まっており、さまざまなサービスで脱炭素を求める声があがっています。
スポーツ業界にもその波は広がっており、広大なフィールドを競技場として用いるゴルフもそのうちの一つです。
ゴルフ場には緑が多く、環境への良い影響が期待されています。そのため、ゴルフを楽しみゴルフ場の維持に貢献することにより、ゴルファー自身も環境に寄与できる可能性があるのです。
この記事では、ゴルフ場がどのように脱炭素に貢献しているのか、ゴルフ場が取り入れている環境への取り組みやサステナブルなゴルフ場選びについてご紹介しています。
ゴルフ場が環境に与える影響について関心がある方は、ぜひ最後までご覧ください。
ゴルフ場は脱炭素にどう貢献しているのか?
現在、世界中で脱炭素が取り沙汰されているのは、二酸化炭素が地球温暖化の主要な原因だと見なされているためです。
地球温暖化は地球全体の気候を変えてしまう現象として問題視されており、人間の活動によって排出される二酸化炭素の量を減らす取り組みが重要となります。
二酸化炭素を減らすためには、単純に排出量を減らすだけでなく、光合成によって植物に吸収してもらう手法が有効です。つまり、光合成を行う植物が多い環境は、脱炭素への貢献度が高いといえます。
ゴルフ場には芝生や樹木などさまざまな植物が植えられており、緑が多い環境です。そのため、二酸化炭素を吸収することにより、脱炭素に貢献しているといえるでしょう。
ゴルフ場の緑地が吸収するCO2量
日本におけるゴルフ場の緑地面積は、2015年時点で約25.1万ヘクタールです。そのうち芝生面積は約14.5ヘクタール、林地面積は約9.6万ヘクタールあります。
これらの緑地によって、年間約411.4万トンの二酸化炭素が吸収されており、約300.2万トンの酸素が生産されているといわれています。
つまり、単純計算でゴルフ場の緑地1ヘクタールにつき、約16.4トンの二酸化炭素を吸収しているという計算になります。
ゴルフ場と森林の役割の比較:どれほどの効果があるのか
適切に管理された36~40年生のスギ人工林であれば、1ヘクタールあたりの年間の二酸化炭素吸収量は約8.8トンといわれています。
ゴルフ場はスギ人工林と比べて2倍近い二酸化炭素を吸収しているということになり、脱炭素への貢献度が高いといえるでしょう。
ゴルフ場の環境価値を高める取り組み
二酸化炭素の吸収量が多いゴルフ場ですが、その一方で山を切り開くなどして人工的に競技場を作っていることにより、環境へのマイナスなイメージを持たれている場合も多いです。
そのため、国内の各ゴルフ場では脱炭素をはじめとする環境へのプラスの影響をアピールし、イメージアップを図れるような取り組みを行っています。
また、若者にゴルフに関心を持ってもらうためにも、RE100の活動を掲げている企業をスポンサーにつけ、プロゴルフの会場に選ばれることによる宣伝効果も狙っているのです。
植生管理と持続可能なメンテナンス
ゴルフ場では、単純に樹木を植えて増やすだけではなく、定期的な間伐を行い、植生管理を実施しています。
樹木が密集していると地表に太陽光が届かなくなってしまい、樹木1本1本の根が弱くなってしまう可能性が高いためです。
適切な管理を行って樹木の密集をなくし、樹木の根が強くなれば、崖崩れなどの自然災害にも強くなります。ゴルフ場の植生管理は、健全な森林を維持して持続可能な環境を維持するために必要な作業なのです。
再生可能エネルギーの活用と省エネ技術の導入
ゴルフ場では、施設の稼働や維持に電力を使用しています。近年では、使用する電力に再生可能エネルギーを活用する、省エネ技術を導入して消費電力を減らすなどの取り組みを行って、環境価値を高めているのが特徴です。
広大な敷地を活かして太陽光パネルを設置する、給湯用ボイラーの燃料を木質バイオマスに変更するなどの取り組みが行われています。
間伐された木材が木質バイオマスの原料になっているケースもあるようです。また、照明をLEDに変更するなどの取り組みによっても環境への負荷を軽減しています。
ゴルフ場のエコ認証取得の動き
ゴルフ場では、エコに関する認証を取得する動きも見られます。現在、草地などの二次的自然環境の保全に着目した評価を行うG認証を取得し、事業地を生物多様性回復の場として活用する取り組みが行われているのです。
草刈りの頻度調整や農薬・除草剤を使わない区画の制定、外来種の抑制など、さまざまな取り組みによって環境保全に努めています。
ゴルファーが知っておきたい「サステナブルゴルフ」
近年では、ゴルフというスポーツそのものをサステナブルなものに進化させようという動きが見られます。ゴルフ場は自然のなかに作られ、自然との共生を前提とするスポーツの環境を提供している存在です。
そのため、持続可能な脱炭素社会の実現に貢献するためのサステナブルゴルフという考え方が注目を浴びています。
環境に配慮したゴルフライフとは
そもそもサステナブルという概念のルーツは、1987年の世界環境委員会における開発報告書に記載された「将来の人間世代の欲求も満たしつつ、現在の人間世代の欲求も満足させるような開発」です。
経済的・人間的・環境的な保護を実現し、人・地球・利益の3つのボトムラインに焦点を当てるのが本来のサステナビリティといえます。
英国のゴルフ組織であるR&Aは「経済的に健全であり、社会的に責任ある管理の下で、自然環境の保全と調和したゴルフ場のプレーの質を最適化すること」をサステナブルなゴルフに位置づけており、各ゴルフ場の限られた予算をうまく使い、環境の汚染や水・エネルギーの使用、廃棄物の発生を最小限に抑えてゴルフという競技の質向上や自然保護などの目標を達成することを掲げているのです。
ゴルファー側は、そのような取り組みを行っているゴルフ場を選んで利用し、自らもプレー中に水やエネルギーの消費を抑えてゴミを出さない活動を心がけることにより、環境に配慮したゴルフライフを送れます。
ゴルフ場選びで意識すべきポイント
サステナブルなゴルフ場として多くのゴルファーに利用してもらうため、ゴルフ場はさまざまな取り組みを行っています。
こうしたゴルフ場のなかでも環境への貢献度が高いところを選ぶためには、ゴルフ場が実際に行っている取り組みについて知ることが大切です。
環境への配慮として、ゴルフ場が実際に行っているのは以下のようなものになります。
- ゴルフ場内の環境を里山として整備
- 散水の水源を溜めた雨水に
- 伐採した樹木や落ち葉を燃料として再利用
- ロストボールの回収推進
- 肥料や農薬を適切な形で利用
ゴルフ場を選ぶ際は、こうした取り組みについて積極的に発信しているところを探してみると良いでしょう。
環境貢献度の高いゴルフ場を支援する理由
サステナブルゴルフを実現するためには、ゴルフ場にとっても商業的なメリットがあると示すことが大切です。
ゴルフ場が環境問題の解決に貢献し、そういった活動に取り組むゴルフ場をゴルファーが選んでゴルフをプレーすることにより、さらにそのゴルフ場や他のゴルフ場の整備が進みます。
この循環により、ゴルフ場が環境への貢献度が高い施設だという認識が高まれば、ゴルファーがゴルフを楽しむことも自然への保護につながっていくのです。
まとめ
近年では、ゴルフ場をサステナブルな環境にすることにより、ゴルフそのものを脱炭素社会実現に貢献するスポーツとして周知する動きが注目されています。
環境に貢献しているゴルフ場を選択すれば、ゴルファー側も簡単に環境に貢献できるのが強みです。
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