電話料金と通信インフラのエネルギーコストの関連性とは?
事業用に社用携帯端末や固定電話を導入すると、電話料金というコストが発生します。
電話料金は通信会社との契約に基づいて決まりますが、その算定にはさまざまな要素が関係するのが特徴です。
電話料金に関わる要素の一つとして、通信インフラを維持するためのエネルギーコストも挙げられます。
本記事では、電話料金と通信インフラ維持に必要なエネルギーコストの関係について、コスト構造やエネルギー消費の変化も踏まえながら解説します。
通信インフラのエネルギーコストが電話料金にどのように影響するのかに関心のある方は、ぜひ最後までご覧ください。
電話料金とエネルギーコスト
そもそも、事業用の電話料金はどのような形で請求されているのでしょうか。
事業用に利用される電話には、主に固定電話、IP電話、携帯電話の3種類があります。このうち固定電話は、固定費として基本料金が、変動費として通話料金が発生し、通話先までの距離などに応じて料金が変動するのが一般的です。
IP電話は、インターネット回線の月額料金に加え、全国一律の通話料金がかかります。携帯電話は月額料金と通話料金が発生し、他の2種類と比べて通話料金が高くなる傾向があります。
総務省の調査によれば、令和6年における日本の電話料金は国際的に中位の水準にあるとされており、特段安価というわけでも、高額というわけでもありません。
こうした通信料金には、通信会社が負担している通信インフラの維持・運用コストが反映されています。
ただし、通信インフラの維持・運用にかかるコストは利用者から見えにくく、料金の妥当性に疑問を持つ方も少なくありません。
通信インフラのコスト構造
通信事業者にとって、通信インフラを維持するための運用コストは不可欠です。一方で、実際にどこにどの程度の費用がかかっているのかは、利用者には見えにくい面があります。
どの部分にコストが発生しているのかを把握できれば、通信費の見直しにつながる可能性があります。では、通信インフラのコスト構造を具体的に見ていきましょう。
通信事業者の費用の大要素
通信事業者のコストは、多くの企業と同様に、設備投資(CAPEX)と運用費(OPEX)に大別できます。
設備投資(CAPEX)は、固定資産の取得や維持・改修など、企業が長期的な視点で価値を創出するための支出を指します。
通信事業者でいえば、基地局設備の整備(無線設備を含む)や通信サービスを広域に提供するための光ファイバー網の新設・増強、ならびに維持管理にかかる費用が該当します。
運用費(OPEX)は、企業の日常的な運用にかかる短期的なコストのことです。通信事業者でいえば、事業運営のための人件費、設備の保守費用、電気料金などのエネルギーコストが該当します。
エネルギーコストは通信事業者に限らず、多くの事業者にとってOPEXの重要な要素です。現在、電気などのエネルギーを使わずに営める事業はほとんどありません。
一方で、エネルギーの購入単価は一定ではなく、上昇する可能性があります。通信事業者の場合、エネルギーコストの上昇が通信料金の改定(値上げ)に影響する可能性もあります。
基地局でどれだけ電力を使うか
通信事業者は、自社の回線網を維持するため、全国各地に基地局を保有・設置しています。
通信基地局は24時間稼働しており、多くの電力を消費する設備です。たとえば、通信事業者の電力消費のうち、基地局が大きな割合を占めることがあるとされています。
さらに、全国の通信事業者が保有する基地局の消費電力量を合計すると、国内の総電力消費の一定割合(約1%程度)を占めうる、という指摘もあります。
5G とエネルギー消費の変化
通信事業者の基地局が消費する電力は、通信規格が4Gから5Gへ移行することで、増加する可能性があると見込まれています。
こうしたエネルギー消費量の変化により、通信事業者が負担するエネルギーコストは上昇する可能性があります。ただし、通信事業者側もエネルギーコストの上昇を座視しているわけではありません。
そこで本章では、5Gの省エネルギー化に向けた取り組みも含め、エネルギーコストの変化について見ていきましょう。
5G の特徴と電力負荷
5Gの導入によって消費電力がどの程度増加しているのかを示す実証データは、2025年12月現在でも十分には蓄積されていません。
とはいえ、2025年4月時点で公表されていた中国・広州および深センにおける通信事業者のテストでは、3.5Gシングルステーションの消費電力が、2.5Gシングルステーションの約3.5~4倍になったとされています。
また、4Gの基地局と比較すると、消費電力が約2倍になるとも言われており、エネルギーコストは増加傾向にあるのです。
技術の向上により省電力化した機器も投入されていますが、高周波帯での円滑な通信を実現するために、設置機器の総数や容量が増えることが、エネルギーコスト上昇の一因になっているとの見方が強まっています。
5G のエネルギー効率設計
5Gの消費電力問題の解決に向けて、国際移動通信システムの仕様策定を担う3GPPでは、基地局の省エネ機能を設計段階から取り入れることを標準化しています。
3GPPは、日本の一般社団法人電気通信技術委員会(TTC)を含む7つの標準化団体が立ち上げたプロジェクトで、各国で標準規格として活用される仕様を策定しているのが特徴です。
3GPPは、5Gネットワーク全体におけるエネルギーKPIを定義しており、エネルギー効率の高いデータ処理や冷却処理などを通じて、ベースラインとなる消費電力の削減を求めています。
また、RAN(無線アクセスネットワーク)とコアネットワークを動的に制御し、利用が少ないリソースがあれば選択的に電源をオフにしたり、再構成したりする仕組みづくりにも取り組んでいます。
エネルギーコストが料金にどう影響するか
通信を利用する方にとって重要なのは、これまで触れてきた通信事業者側のエネルギーコストが、電話料金にどのように影響するのかという点でしょう。
一般に、通信事業者が負担するエネルギーコストが上昇すれば、電話料金にも影響が及ぶ可能性があります。ただし、その影響が必ずしも料金の値上げとして表れるとは限りません。
では、エネルギーコストが電話料金に与える影響について見ていきましょう。
料金体系との関係性
通信事業者が請求する通信料金には、基本的に事業運営にかかるコストが反映されています。
5Gの普及には、4Gよりも基地局の増設が必要になる場合があり、それらを稼働させるためのコストは従来より増加する可能性があるでしょう。
さらに、電力単価は為替や社会情勢などの影響を受けて変動し、とりわけ上昇局面では通信事業者の負担増につながります。結果として、通信事業者が負うコストは増加傾向にあると考えられます。
通信事業者としては、ネットワーク維持の観点から料金改定(値上げ)を検討したいところですが、事業者間の価格競争や政府の方針・規制などの影響もあり、大幅な値上げには至りにくい状況です。
エネルギー価格上昇の影響
通信事業者にとってコスト面での懸念となるのは、電気料金そのものの上昇です。
現在、日本の発電は火力発電への依存度が高く、石油や石炭、天然ガスなどの化石燃料が用いられています。国内での燃料産出は限られているため、発電に必要な燃料の多くを輸入に頼っているのです。
その結果、国際市況や為替などの影響で燃料費が高騰すると、燃料費調整などを通じて電気料金に反映され、料金単価が上がることがあります。
また、発電設備の老朽化や原子力発電所の稼働状況などにより供給余力が低下する一方、夏場の気温上昇などで冷房需要が増えると、需給が逼迫しやすくなります。
こうした状況が重なると電気料金の単価が上昇し、通信事業者が負担するエネルギーコストの増加につながる可能性があるのです。
一方で、通信事業者の多くは、増加したエネルギーコストをそのまま通信料金に転嫁しにくい事情も抱えています。
国内の大手電力会社は、値上げをしなければ直ちに立ち行かなくなる状況とは必ずしも言えず、通信料金の値上げについても社会的な受容が得にくい面があるのです。
政府は2020年以降、通信料金の引き下げを重視する政策を推進してきました。近年は強硬な姿勢が和らいだとの見方もある一方で、値上げには依然として慎重な傾向があります。
こうした政策動向に加え、事業者間の価格競争もあることから、通信事業者が通信料金を大幅に引き上げるのは難しいと考えられます。
省エネ・環境対策の動き
エネルギーコストを通信料金に転嫁するのが難しいとはいえ、通信事業者側もコスト上昇をただ見過ごしているわけではありません。
省エネ運用の導入や再生可能エネルギーの活用など、電力会社から購入する電力量を削減し、エネルギーコストを抑える取り組みが進められています。
ここでは、通信事業者がエネルギーコストを下げるために行っている施策について見ていきましょう。
省エネ運用・AI 活用
通信事業者では、通信基地局におけるエネルギーコストを抑えるため、機材の省エネ運用やAIの活用に取り組んでいます。
いつ、どこで、どれだけ電力が使われているのかを可視化し、AIによる制御で電力供給や稼働状態を切り替えて最適化することで、基地局全体の消費電力を削減できる可能性があるのです。
多くの基地局は5Gだけでなく4Gなど複数の周波数帯域を扱っていますが、すべてを常時フル稼働させるのではなく、利用状況に応じて稼働を切り替える仕組みをAIで運用している例もあります。
再生可能エネルギーの導入
通信事業者の中には、独自の技術を用いて、基地局に再生可能エネルギーを取り入れている例もあります。
たとえば、他企業とパートナーシップを結び、発電効率が高く取り扱いも容易な太陽光発電を導入する計画を進めている大手通信事業者もあります。
電力会社から購入する電力量を抑えることで、電力調達コストの削減に加え、火力発電由来のCO2排出量の削減も図る取り組みです。
太陽光発電や風力発電などの再生可能エネルギー設備は、条件によっては基地局に併設でき、消費電力の一部を賄う仕組みとして有効になり得ます。
Open RANなど新技術の可能性
通信事業者の中には、Open RANなどの新技術を取り入れてネットワーク設計を効率化し、消費エネルギーの低減につながる将来像を描いているところもあります。
RANをオープン化して基地局を仮想化し、運用の最適化と自動化を進めることで、低消費電力化技術の確立を目指しているのです。
これにより、基地局で消費される電力を削減し、エネルギーコストの抑制につなげる狙いがあります。
まとめ
5Gへの移行に伴う基地局や機材の増設、ならびに電気料金単価の上昇により、通信事業者はエネルギーコストの増加を余儀なくされています。
一方で、競合他社との価格競争や政府の方針・規制などの影響もあり、大手通信事業者は容易に電話料金を値上げできない状況にあるのです。
こうした状況を受け、各通信事業者では基地局の消費電力を削減する取り組みを進めています。具体的には、エネルギー利用の効率化や再生可能エネルギーの導入などが挙げられます。
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