野菜と魚を育てるアクアポニックス
所属:筑波大学
インターン生:M.Aさん
皆さんはご家庭で野菜や花を育てたり、魚を飼っていたりしませんか? ちょっと時間に余裕が持てたらやってみたいなと考えたことありませんか?今日はそんな皆さんに“野菜と魚を同時に育てられる”“環境にやさしい” 新しい農業アクアポニックスをご紹介したいと思います。
アクアポニックスとは?
水産養殖(アクアカルチャー:Aquaculture)と水耕栽培(ハイドロポニックス:Hydroponics)、それぞれの欠点を補いプラスの結果を生み出す環境に配慮した農法のことを指します。 具体的にそれぞれの欠点とは、
- 魚の排泄物や餌の食べ残しは水産養殖をやる上で、赤潮の発生増加や周辺環境の悪化の原因となり、これを排除するのに膨大なコストが掛かってしまいます。
- 水耕栽培は土のように水には植物が育つのに必要な栄養がないため化学肥料漬けの栽培になってしまうという欠点があります。
があり、それぞれを補完する役目を果たすのが、植物タンクと魚タンクを繋いで水を循環させるポンプと、排泄物等を分解し植物にとって必要な栄養素に変える微生物になります。従って、アクアポニックスとは自然界ではごく当たり前に行われている有機物や水の循環を模倣したシステムなのです!
図のように魚の水槽、微生物の水槽、そして植物の水槽を用意し、ポンプや高低差を利用して水を循環させます。
アクアポニックスの良い点
- 水の入れ替えの必要なし! 蒸発する分の水を追加するのみ!
- 魚と水を共有するので、絶対オーガニック!
- 土づくり、除草の手間が掛からない!
- 通常の畑となる水量の1割以下でOK
- 狭い場所でも同面積の畑よりも圧倒的な生産量
アクアポニックスの難点
- 水耕栽培では、根腐れが問題になることがあり、酸素を安定的に供給する工夫が必要。
- 魚の数や大きさと植物が成長するのに必要な栄養のバランスを維持しなければならないこと。
- 長い日照時間を必要としたり、強い光が必要としたりする植物を育てるにはライトが必要。
世界のアクアポニックス
アメリカ発祥のアクアポニックスシステムは、オーストラリア、ヨーロッパ、中東地域に広まっていきました。小さいスペースでも簡単に始めることが出来るので、アメリカではビルの屋上や廃屋を活用するために研究が進められ、都市型地産地消が可能になるのではと期待されています。
オーストラリアや中東地域、カルフォルニア州では、近年干ばつが深刻化しているので、通常の畑作農業よりも節水することが可能なアクアポニックスが脚光を浴びています。さらに、国際連合食糧農業機関(UN’S Food and Agriculture Organization)が主導となり、最貧国ハイチや紛争地域ガザへの技術指導が始まっています。
アクアポニックスを利用した環境教育
環境にやさしいということに加え、アクアポニックスは自然界に存在する“生態系”の縮図であるので、“生態系”を維持するためには、植物・魚・微生物これら3つのどのファクターも欠かせないということを実際に学ぶことが出来ます。そして、生き物を守るためには環境の保全(水の循環)も重要であることも同時に学べるのです。
興味を持った方は是非、「アクアポニックス」でネット検索してみて下さい!
エコモは各地を飛び回って、電力・エネルギーや地球環境についてお勉強中なんだモ!色んな人に電気/ガスのことをお伝えし、エネルギーをもっと身近に感じてもらいたモ!