化粧品と環境問題には深い関わりが!?

  • 更新日:2022/12/29

所属:跡見学園女子大学

インターン生:Y.Rさん

化粧品と環境問題には深い関わりが!?の写真

化粧品と聞けばメイク用品の口紅やアイシャドウ、スキンケア用品の化粧水や美容液といった商品を思い浮かべるでしょう。実は香水や歯磨き粉なども化粧品に含まれるのです。人々の身近にある化粧品ですが、使用する上で環境問題に深く関係してしまうことがあります。この記事では化粧品と環境問題について考え、私たちが取り組むべきことについて紹介していきます。

はじめに

みなさんは化粧品がどのくらい廃棄されているか知っていますか。近年では食品や衣服の廃棄が問題視されています。化粧品業界でもさまざまな問題が生じ、削減に向けて動き出してはいるものの多くの人には知られていないのが現状です。 そこで化粧品の廃棄量やリサイクル率、プラスチック削減について詳しく見ていきます。

化粧品によってどんな問題が生じるの?

廃棄量

化粧品には使用期限があるのは知っていますか。一般的に未開封の場合は約3年、開封後の使用期限は半年から長くても1年と言われています。メイクアイテムの中でもマスカラや口紅など、水分が多く粘膜など体液と直接接触するものは3ヶ月を目安として使うことをおすすめされています。化粧品メーカーでは定番商品は常に店舗にある状態を保たれていますが約3年間が使用期限となっているため2年経ったら売り場から下げられてしまいます。廃棄量を減らすための対策として、会社内で安く販売していますがそれでも売り切るのは難しいのです。廃棄量を減らすには他にどのような対策が求められるのか考える必要があります。

化粧品容器のリサイクル率

ペットボトルに比べると化粧品の容器のリサイクル率は非常に低くなっています。なぜでしょうか。それはブランドによっては詰め替えることが出来ない商品を販売していたり、簡単に化粧品の容器を捨てることが出来なかったりするからです。高級ブランドとなると化粧品に使用している成分だけでなく、パッケージのデザインも購入する上で重要になってきます。リサイクルを求めて詰め替えできる商品を販売するとデパートコスメなどで販売するには、ブランド感が薄れ安くみられてしまう可能性があります。

その影響でリサイクル率はなかなか上がることがありませんでした。一方でリサイクル率を増加できるようにプラスチックやガラス容器のリサイクルに取り組むブランドは少しずつ増えてきています。

容器やパッケージ

近年SDGsの内容があらゆるメディアに取り上げられるなど、とても重要視されています。SDGsの中に海の豊かさを守ろうという項目があり、その取り組みとして2020年7月からレジ袋が有料化になり、飲み物を販売しているお店ではストローがプラスチックから紙に変更になるなど協力的に取り組みに参加していました。買い物に行く際は多くの人がエコバックを持参するようになり、プラスチック削減に大きく貢献できたとみなさんも感じていたのではないでしょうか。

多くの業界でプラスチック削減に向けて動いている中で、化粧品の容器はプラスチックからほとんど変更されませんでした。化粧品は液体や粉を使用しているものが多いためプラスチックを使わないようにするのは無理があるようです。そこでどのようにすればプラスチックを削減できるのでしょうか。後ほど見ていきましょう。

環境問題を改善していくために考えられるものは3つ!

廃棄量を減らそう!

先ほど廃棄量を減らす取り組みとして、店舗から戻ってきた商品を会社内で安く販売する方法があると述べました。会社内で販売では利益を考えず、廃棄にかかるコストよりも安く済むという理由だけで商品を売り続けます。3〜5割引きが通常で何回か販売を繰り返し、使用期限が近づくと最終的に数百円で販売します。それでも余ってしまった場合には廃棄になります。このように会社内で安く販売する方法もありますが、他に方法は考えられないでしょうか。「コーセー」はシーズン中に売り切れなかった化粧品を値引きして販売する取り組みを始めました。

この取り組みはインターネットサイトや他の直営店でも展開しています。「コーセー」の他にも「SHIRO」「THREE」など他にも在庫の無駄を減らすためにいろいろな取り組みがされています。売れ残った商品や使用期限が迫ったものを安く販売する取り組みが広まることができれば、少しずつ廃棄量が減っていくのではないでしょうか。ただ、どうせ安く販売するからといって私たちが元々の販売価格で購入しなくなってしまうのは化粧品業界の利益に関わり、大きな損失を与える可能性があります。その部分の見極めを重要視しながらこの事業を進めていくことで、廃棄物を減らすことに一歩近づくのではないでしょうか。

リサイクル率を上げるには?

リサイクル率を上げるために、多くの企業では容器を持参した人を対象に特典を用意するなどの取り組みが行われていますが、実際見かけたことはあるでしょうか。今まで意識せずに素通りをしてはいませんか。

実は「無印良品」では2020年7月から無印良品で販売している化粧水や乳液、導入化粧水などの空ボトルを全店舗で回収しています。他にも廃棄物を削減しリサイクル率を向上させることで、石油使用量を減らし、二酸化炭素の排出を抑制するなどにも貢献しています。

無印良品だけでなく、多くの企業がこの取り組みを行っている状況ですが、全店舗ではなく一部店舗のみの回収をしている企業があるとどの店舗で回収をしていて回収をしていないのかわからない、店舗まで行くのが遠くて面倒臭いなどの声が上がる可能性があり、リサイクルすることなく、中身がそのまま分別されずに処分されてしまう事態に陥ります。ペットボトルは駅のホームや自動販売機の横、歩いていれば処分する場所はたくさんあります。ペットボトルよりもリサイクル率が低いのにはここに大きな違いがあります。今後開発などが進む中で容器の回収が全店舗に広まり、気軽に回収されるようになっていくことができれば多くの方が貢献しやすくなり、リサイクル率が確実に上がっていくことでしょう。

プラスチックを削減!

プラスチックは廃棄しても数百年間は土に返らないと言われています。このまま対策を行わなければ、2050年までには海中のプラスチックの量が魚の数を超えてしまうと言われているほどとても深刻な状況です。

そこで化粧品業界はさまざまな取り組みをしています。「FANCL」ではマイルドクレンジングオイルの容器を軽量化し、洗顔パウダーでは容器の一部に植物由来プラスチックを配合するとともに、外装をプラスチックから森林由来の原材料で作られた紙製パッケージに変更になるなど多くの取り組みをしています。 また近年海外では「プラスチックフリー」の化粧品が話題になっています。従来の使い捨てプラスティックを使わず、再利用可能なガラスやアルミ素材で作られた容器を使用することで、プラスチックごみを大幅に削減できると注目を集めています。

日本人は新しいものを受け入れるのには時間がかかり、変化を好まない人種です。一方で海外の方はあっという間に多くの方に知れ渡り、それが当たり前になっていきます。このことから日本でなかなかプラスチック削減が浸透しないのは販売者の考えだけでなく購入者にどれほど理解があるかということも重要になっていきます。そこで今まであまり受け入れてもらえなかった人にもより理解を深めてもらうために海外での取り組みを詳しく見ていきましょう。

Etique(エティーク)

ニュージーランド発のサステナブルブランドであるエティークは、固形タイプのシャンプーやコンディショナーを展開するブランド。固形であるためプラスティックの容器が不要となり、約600万本以上のプラスティック製造や破棄を防止することが出来ます。

Elate Beauty(エレーナ・ビューティー)

アメリカ発のサステナブルブランド。従来のプラスチック素材を一切使用せず、パッケージに持続可能な原料である「竹」や「ガラス」を使用しています。このブランドは環境だけではなく、肌にも動物にも環境にも優しい「ヴィーガン成分」のみで作られたコスメやスキンケア商品を販売しています。

FACE HALO

西オーストラリア発のFACE HALOは、極細繊維で作られたパッド状のメイクアップリムーバーを販売しています。クレンジング料やコットンを使用することなく、1枚を200回ほど繰り返し使えるため、ゴミを増やすことなく肌負担も防ぐことが可能になる商品です。

3つのブランド以外にもプラスチックを削減することで環境に配慮することができ、さらに肌への負担も減らすことのできる企業が海外のブランドには数多く存在しています。日本では容器で使われているプラスチックを削減する動きや使用済みの容器を回収してリサイクルする動きなどが多く見受けられますが、海外製のブランドではアイシャドウの容器をアルミ製に変えたり、シャンプーを固形にしたりとさまざまな対策が出てきており、日本は欧州に比べて遅れをとってきました。少しずつ海外で行っているプラスチック削減の方法を日本でも多くの方に理解されるようになったとき、一気にプラスチック削減に近づくのではないでしょうか。

バイオマスプラスチックってなに?

バイオマスプラスチックが世界で初めて作られたのは、1980年のことだといわれています。プラスチック製品の中にはポイ捨てなどにより、海洋プラスチックゴミ問題につながっています。さらに、プラスチックの原料には、石油が使用されており、安く製造することができるなど我々人間からするとメリットが多い素材です。一方で、ポイ捨てされたプラスチック製品は海に流れ、鳥や魚が誤って飲み込み死んでしまったり、使用済みプラスチックを焼却するのに二酸化炭素が排出され、地球温暖化の原因の一つになってしまったりと動物だけではなく人々にとってはデメリットの部分があるのです。そこで近年、バイオマスプラスチックは急激に普及されるようになりました。

バイオマスプラスチックは、木や草といった植物由来の原料を利用して作られたプラスチックで、繰り返し栽培・収穫することができるため、非枯渇資源であるといえます。さらに、植物を原料とするため植物が育つ過程で光合成により二酸化炭素を吸収することから地球温暖化対策にもなると考えられています。 令和元年5月に環境省、経済産業省、農林水産省、文部科学省の合同で、持続可能なバイオプラスチックの導入を目指し、「バイオプラスチック導入ロードマップ」を策定しています。このロードマップには、2030年までにバイオマスプラスチック約200万トンの導入を目指すことが掲げられており、政府もバイオマスプラスチックを重要視していることがわかります。

企業ごとにどのような対策が行われているのか詳しく紹介していきます!

コーセー

コーセーは2021年10月から東京・銀座の直営店「メゾンコーセー」で、シーズン中に売り切れなかった化粧品を値引きして販売する取り組みを始めました。使い終わった容器の分別方法も案内しており、環境問題に関心が高い幅広い年代の女性に人気となっています。この取り組みはインターネットサイトや他の直営店でも展開しており、直接店舗に行けなくても簡単に廃棄率を減少させる取り組みに参加することができます。またコーセーの中でも販売数量の多い『雪肌精』のサンプロテクトジェルは、包装方法を一個箱からフィルム包装、2021年には紙の袋にすることでプラスチックの使用量を大幅に削減しています。

出典:コーセー公式HP

レイラ化粧品

レイラ化粧品では、2000年12月に環境マネジメントシステム国際規格ISO14001の認証を受け、事業活動全ての環境を守る立場を貫いてきました。主な環境活動は、地球温暖化の原因となる二酸化炭素の削減、焼却ゴミを減らすための分別を徹底しリサイクルを促進させること、環境共生商品の開発などがあります。地球環境を大切にする製品づくりを目指すため、原料選びではフロンガス不使用、洗浄剤は分解されやすい原料を選択、容器選びではダイオキシン発生の原因となる塩ビ類を不使用など環境に配慮した製品づくりを実現させています。

LUSH

みなさん、LUSHの店舗に入ったことはありますか。誕生日プレゼントや自分へのご褒美でバスボムやスクラブなどプレゼントするのは定番になりつつあると思います。今まで例で挙げてきた商品より一番身近に感じていただけるのではないでしょうか。LUSHは環境への配慮を実現するためのこだわりを強く持っています。最初にパッケージや容器・包装です。ショップで購入する際はできる限りパッケージを使用せず、お買い物できるような選択肢を提供しています。

やむを得ずパッケージを使用する場合でも、リサイクル素材など環境負荷が低いものを使用しており、リサイクルできるものになっています。プラスチック容器は2010年から空き容器を回収しており、すべて新しい容器にリサイクルしています。回収を推進するため、使用後の容器5個とフレッシュフェイスマスク1個を交換する企画も行われています。これまでに約237トンをリサイクルすることに成功しています。つぎに石鹸素地に使われていたパーム油はより地球に優しい油に置き換えられました。他にも多くの製品に天然製品を配合し、環境への影響を最小限に抑えるべく活動をしています。LUSHは販売している商品のみならずオフィスで使用する紙のように些細なことにも気を遣っていることから環境に配慮した取り組みを徹底していることがわかります。

出典:LUSH公式HP

FANCL

FANCLはマイルドクレンジングオイルの容器を軽量化し、2004年には30gあったボトル部分を2015年には18.2gに削減することに成功しています。洗顔パウダーでは容器の一部に植物由来プラスチックを配合するとともに、外装をプラスチックから森林由来の原材料で作られた紙製パッケージに変更になるなど多くの取り組みをしています。パッケージを紙に切り替えることで年間約7.0トンのプラスチックを削減することが出来ています。他にもFANCLでは詰め替え用の化粧品を販売したり、一部の直営店舗で使用済みの化粧品容器を回収し、リサイクルしたりする動きがあります。

出典:FANCL公式HP

私たちにできること

今回は化粧品を製造する工程で起こる環境問題と、その環境問題を避けるために各社どのような対策をとっているのかについて詳しく紹介をしました。日本は世界的にみてもプラスチックの廃棄量が多く、総量は「第5位」、一人当たりの廃棄量はアメリカに次いで「第2位」となっています。この数値を見ると他人事ではなく、自分にも責任があるという意識を強く持たなければいけません。

どれだけ企業側がリサイクルできるよう回収する場所を増やし、プラスチック削減となるように取り組みをしていたとしても、使用後に私たちがとる行動によって、環境問題は大きく変化してしまうのです。一度回収されているお店に足を運んでみてください。そして使わなくなったものや使用後の化粧品を処分する前に、どのように捨てるべきなのか考えてみてください。一人ひとりの取り組みによって、環境問題が少しずつ改善していくはずです。

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エコモ博士
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