環境と私たちと法

  • 更新日:2020/08/28

所属:専修大学

インターン生:I.Nさん

環境と私たちと法の写真

私たちが幼い頃から環境問題について様々な論議が交わされてきました。地球規模の問題に対して一般市民である私たちができることには限界があります。環境問題に国や地方自治体がどのような姿勢を取っているのかを見ることで、環境に関係する法律や、環境と国との関わり合いについてみていきたいと思います。

日本にある環境に関する法律

今まで日本ではどのような環境に関する法律が制定されてきたのかについてみていきます。南極地域の環境保護に関する法律や、水銀による環境汚染の防止に関する法律、環境影響評価法、環境配慮促進法、環境基本法などが挙げられます。ここにあげた例はごく一部ですが、日本では環境に対してどのような配慮をしていかなければならないのか、というのを法律によってさまざまな角度から規制しています。

また、上記にあげた法律の例の中に南極に関する法律も制定されています。南極は人類共通の財産として国際的に規定されています。人類共通の財産としての南極に日本から南極の環境や動物たちに対してどのような保護を行っていくべきなのかを定めることによって日本から世界へ向けられた環境配慮にもつながります。

環境に配慮するという行為は具体的に何をすればいいのか、何をしたら環境に悪影響が出る行為になるのかというのは、自分たちだけで考えるのは非常に困難です。国や各地方自治体が事業主や個人に対して環境に影響が出るような行為を控えるように促すことは、国民を正しい方向へと導きやすくなると考えます。

環境基本法

日本における環境に関する法律の基本となっている「環境基本法」についてみていきます。環境基本法は平成30年12月1日に施行されました。この法律の目的としては、環境保全についての基本理念を明らかにし、国や地方自治体、事業主、国民に各自の責任を自覚してもらうことと同時に環境保全に関する法律を作る際に計画的に進めることによって、最終的には現在そして将来にむけた国民の健康で文化的な生活を送れるようにするというものです。

環境基本法が制定された背景としては、当時深刻化する環境汚染に対して環境基本法以前に制定されていた公害対策基本法や自然環境保全法だけでは不十分であるという現状がありました。この状態を打破するべく国や地方自治体、国民すべてが主体性を持って対応するように経済社会システムの在り方や各人の行動を見直していくことの必要性を鑑みてこの法律が制定されました。

環境基本法では、環境問題においてさまざまに使われる言葉の定義を示しています。たとえば、「地球環境保全」という言葉に関していうと、一般的には単に地球の環境を守っていかなければならないのかという漠然とした言葉で具体的なイメージが思い浮かびにくいかと思います。

しかし、環境基本法によると人の活動によって地球全体の温暖化やオゾン層の破壊、海洋汚染、野生生物の減少等地球全体の広範囲に及ぶ環境に影響を与える事態を抑えるようにすることであって、それと同時に人類の幸福や国民の健康手文化的な生活の確保にも尽力するという意味があります。

環境保全にあたって、それを促すようにさまざまなところでたくさんの用語が飛び交っています。どの言葉がどのような意味を含んでいるのかというのを自覚して使うことによって、より効果的に人々への環境保全活動を扇動することができるのではないかと考えます。

また、環境基本法では環境を守るために各人にどのような責任があり、どのような目的意識を持つべきなのかというのを規定しています。自分たちはどのような行為や意識をもって環境保全に取り組んでいかなればならないかを文章に改めて記すことでより自分の意識の中に取り入れやすくなるのではないかと考えます。

環境に関する施策を考える時も環境基本法にて指針、計画、基準が制定されているため、環境に配慮していると表面上では謳っていても実際は個人の利己的な目的のためだったという環境配慮になっていないような政策の施行を予防することも期待できるかと考えられます。環境基本法では、国から個人に至るまで細やかな規定を設けることによって、日本の環境保全の基礎を規定しているということが言えます。

環境配慮促進法

この法律は、事業主が環境に配慮した活動を行うようにと定められた法律であり、平成16年6月に成立、平成17年4月に施行されました。この法律が制定された目的としては、各事業主が自分たちの行っている事業活動に関してどのような環境への配慮をしているかという情報を提供、利用することによってさらなる環境保全と国民の健康的で文化的な生活の確保を目指すというものです。

この法律が制定された背景としては、当時の大量生産・大量消費・大量廃棄の社会経済システムの中で事業活動が環境に与える影響も非常に多大なものになっていたことが大きな要因として挙げられます。各事業主が環境保全のための新たな技術の開発や、環境に配慮した製品の開発などをすることにより、さらなる環境負荷の削減につながります。

事業者が各自の事業戦略の中核に環境配慮を設けることで環境配慮を推進し、創意工夫を生かして環境負荷の削減に取り組む重要性が高まったことにより、この法律が制定されました。

この法律における「環境に配慮した事業活動」とは、環境への負荷を低減すること、良好な環境を創出することその他の環境の保全に関する活動が自主的に行われる事業活動のことを言います。

事業ごとに自分たちでは、どのような環境配慮をしているのかを情報共有することによって、自分たちが今までやらなかったような環境配慮への対策をさらに取り入れることができます。

そして、この法律において「環境状況」というのは、事業活動に関係する環境配慮の情報や製品、役務の関係する環境への負荷を減らすことができるような情報のことを言います。

環境に配慮できるような情報を共有することによって自分の事業に限ることなく、さまざまな情報を取り入れることによって一部の事業だけではなく、より多くの事業の中で環境に配慮した事業展開をすることが地球全体の環境保全とへとつながるのではないかと考えます。

この環境配慮促進法では、環境報告書というものを営業年ごとに環境報告書を作成し、公表するようにとの規定が去れています。この環境報告書というのは、各事業者がその営業年度におけるその事業活動に関係する環境配慮等の状況や、その事業活動をしたことによって起こってしまった環境への負荷の程度を示す数値を記載した文書のことを言います。

環境報告書を収集、利用することによって他の事業主以外にも国民が自身の投資や製品の利用をする際により環境に配慮した事業主はどこなのか、環境にやさしい製品はどのようなものがあるのかということを見極めることができます。

国や地方自治体にもこの法律は適応されており、家庭よりも大きな力が働く場所でこのような環境配慮に着目した法律が制定されることは、地球への環境配慮への大きな一歩ではないかと考えます。

京都議定書

日本の中で環境に関係するもっとも有名な取り決めというと、地球温暖化防止京都会議(COP3)いわゆる京都議定書ではないでしょうか。歴史の教科書でも必ず掲載しており、誰しも一度は聞いたことがあるかと思います。法律とはまた少し観点が異なりますが、政治の中で行われた環境への対策ということで京都議定書についてみていきたいと思います。

平成9年に京都にて二酸化炭素、メタン、一酸化二窒素(亜酸化窒素)、ハイドロフルオロカーボン、パーフルオロカーボン、六ふっ化硫黄の6種類の温室効果ガスについて先進国による排出削減の法的拘束力を持った文書が採択されました。

この京都議定書は平成17年2月16日に発効し、平成2年に排出された温室効果ガスの排出量を基準として平成20年から平成24年の間に先進国全体で5%の温室効果ガスの削減を目標としました。日本では、5%にとどまらず6%の削減を目標に「京都議定書目標達成計画」というものを閣議決定し、目標達成に向け総合的な施策を掲げました。

この会議の意義としては、地球温暖化を食い止めるには国際的な協力が不可欠であり、温室効果ガスの排出量を20世紀前半の基準まで戻すという目標だけがあり、具体的な目標や取り組みをこの京都会議で定めるというものでした。

この京都会議のようなものは以前にも行われており、第1回のベルリンで行われた会議では、温室効果ガス発生の原因となる人為的な排出や吸収源の除去に関して数値化された目標を定めるという内容でした。

第2回のジュネーブで行われた会議では、温室効果ガスの排出抑制や相当量の削減のために具体的な法的拘束力のある目的を設定することが話し合われました。

第1回、第2回の会議では目的を制定されても、その目的にはどのくらいの結果をもたらすことによってそれが達成されるのかという具体的な部分があいまいだったかのように思います。その規定されきらなかった部分の補填をこの京都会議にて行われたのではないかと考えます。

京都府では、この京都議定書に触発され、京都市や京都商工会議所等の地元関係14団体で「地球環境京都宣言」というものを世界に向けて発信しました。それと同時に、地球温暖化防止を府民に啓発する意味と京都会議の歴史的意義を後世に伝えるために「地球温暖化防止京都会議記念モニュメント広場」というものを整備しました。これは、地球温暖化防止というのを先進国のトップだけの問題ではなく、私たち市民にも非常に身近な問題であると意識させることができた例であると思います。

環境省による環境への取り組み

環境省では、持続可能な社会の実現に向け、環境再生、廃棄物対策などの資源循環政策をはじめとして、生物多様性の保全や水・大気環境の保全、化学物質対策など多岐にわたる環境保全に向けた取り組みを行っています。

国の組織の中で環境に特化した省である環境省に着目していきたいと思います。環境省が国民にもっと環境に配慮した行動を認知してもらうために「エコ・アクション・ポイント」、「エコ・ファースト制度」という取り組みを行い、この取り組みについてみていきます。

エコ・アクション・ポイントとは、国民一人一人の環境に配慮した行動(=エコアクション)に経済的視点を持ってエコ・アクションをしてもらうために、環境配慮型商品・サービスの購入・利用などを行った際にさまざま商品に交換できるポイントを付与するというエコ・アクション・ポイントプログラムを推進しました。

このプログラムの目的としては、エコ・アクションの普及と温室効果ガスの排出削減をはじめとした国が掲げる環境目標の達成へ貢献すること、環境と経済が両立する社会の実現が挙げられます。

ここでの環境省の役割としては、制度がガイドラインに沿って適切に運用されているかのチェック・評価や登録承認が承認基準に沿って適切に運用されているか、国の目標変化や秘術開発傾向、事業者や消費者からの要望、社会ニーズの変化等を見てガイドラインや承認基準の見直し、より環境への負荷を減らすために有効な制度にするための改善、制度の信頼性・公平性を確保するために承認基準の改定や運用状況のチェックが挙げられます。

エコ・アクション・ポイントは、事業者がエコ・アクション・ポイントプログラムの対象商品・サービスを申請・承認された後、該当商品をエコ・アクション・ポイントが付与された状態で販売・提供することができます。

このプログラムに参加することにメリットとしては、エコ・アクションを行うことでポイントがたまり、商品と交換できることでお得になること、自分が行ったエコ・アクションによって環境配慮への効果を身近に感じることができ、参加への意義や達成感を感じることができます。

また、もう一つの「エコ・ファースト制度」というのは、企業が環境大臣に自社の地球温暖化対策や廃棄物・リサイクル対策など環境保全に関する取り組みを約束すること、その企業が環境分野について先進的で独自的かつ業界をリードする事業活動を行っている企業として環境大臣が認定するという制度のことです。

エコ・ファーストの承認を受けるための基準としては、自分たちが掲げる目標が環境保全に向けたトップランナーであると言えるほどの高い目標であること、自分の業界の特色を生かしたオリジナルな目標であること、業界にインパクトを与え業界の環境保全のさらなる取り組みの向上を促せるようなものであることが挙げられています。

環境省では、国民や各事業主に環境配慮への意識向上のために、また、将来の国民の安心安全な生活を確保するためにこのような取り組みを行ってきました。環境に対して国から国民や事業主が意欲的に取り組むことができるようなプログラムを設定することによって国全体で環境保全への取り組みの促進が期待できると考えます。

まとめ

環境について、環境に関係する法律と環境に関係する政治について着目してきました。法律によって環境を守るためにさまざまな規定を設けることは一見すると、私たちの行動に制約が課されるかのように感じ取れることもあるかと思います。

しかし、大きな機関である国や地方自治体が個人の活動に制限をかけないと、さらに環境への配慮を無視した行動であふれてしまう可能性があります。そのような可能性を未然に防ぐためにも法律によって規制をかけることによって環境への配慮に取り組んでいくことが大切だと考えます。

環境と法律という相いれない関係のあるもの同士でもそのつながりは深く、私たちの生活を健康的に文化的に支えるためにも自らの行動を持って、環境に配慮した規制にはどんな種類があるのかなど、積極的な姿勢で生活していくことも重要な環境保全のひとつだと思います。

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