旧一般電気事業者とは?電力自由化で変わったことや今後の展望とは?

  • 更新日:2023/11/27

電力会社について知りたいと思っていらっしゃる方の中には、「旧一般電気事業者って何?」「電力の自由化前後で変わった内容がいまいちわからない」と、疑問に思っている方もいらっしゃるでしょう。

旧一般電気事業者とは、電力が自由化される前から営業している地域の電力会社のことです。東京電力や関西電力などが該当し、全国で10か所あります。

この記事では、旧一般電気事業者についての解説や電力の自由化で変化したこと、新電力会社との違いについても触れています。記事を読むことで、旧一般電気事業者の変化や電力の自由化の影響について把握できるようになりますので、ぜひ最後までご覧ください。

旧一般電気事業者とは

旧一般電気事業者とは、ご家庭や工場、商店などの需要に応じて電力小売業を中心に発電や送配電などを展開している会社のことです。後述する電力の自由化が開始される前に登場しており、全国にある以下の10社が該当します。

  • 北海道電力
  • 東北電力
  • 北陸電力
  • 中部電力
  • 中国電力
  • 四国電力
  • 九州電力
  • 沖縄電力

現在は、電力の自由化によって一般電気事業者や特定規模電気事業者などの区別がなくなり、すべて小売電気事業者に統一されています。ただし、私たちが日頃から「〇〇電力」と呼んでいる企業のほとんどが地域の大手電力会社であり、旧一般電気事業者です。

旧一般電気事業者の歴史・背景

旧一般電気事業者の始まりは1951年にまで遡ります。1951年の発送配電一貫経営の実現により、9電力体制(北海道・東北・北陸・東京・中部・関西・中国・四国・九州)の電力会社による、独占的な電力供給体制が始まりました。

その後、1972年に沖縄電力が設立されたことで10社の電力会社が一般電気事業と呼ばれ、電力が自由化されるまで、一般電気事業者による地域独占体制が続きました。

現在は、1995年(平成7年)から段階的に進んだ電力の自由化により、電圧の大きさに関係なく発電部門や小売部門が自由化され、電力サービスの体系が変化しています。

旧一般電気事業者の役割と機能

旧一般電気事業者の基本的な役割は電力の自由化前後で変わりません。これまで通り、発電所→送電線→変電所→配電線→需要家の流れで電気は供給されます。

ただし、電力の自由化によって旧一般電気事業者の役割は少し広がりをみせています。例として挙げられるのは、新規参入した電気事業者(新電力会社)の安定した電力供給が難しいときのサポート体制です。

新規で参入した電気事業者(新電力会社など)の安定した電気供給が難しい場合、旧一般電気事業者が代わりに電気を送ります。停電などのトラブルが生じた場合でもすぐに電気を利用できるような体制をとっているのです。

電力自由化で旧一般電気事業者はどのように変わった?

先ほど、旧一般電気事業者の概要や歴史、役割について解説しました。それでは、電力の自由化によって旧一般電気事業者はどのように変わったのでしょうか。

以下の表は、電力の自由化によって旧一般電気事業者の電力システムがどう変わったのかをまとめた表です。

部門 概要 電力自由化前後の変化
発電部門 火力・原子力・水力・再生可能エネルギーなどの発電所を運用して電気を作るための部門 【電力の自由化前】
旧一般電気事業者や特定電気事業者が運用していた
【電力の自由化後】
発電事業者と行って規模未満の発電設備保持者の2種類にわかれて運用している
送配電部門 発電所から需要家までつながる送配電網の管理を行う部門 【電力の自由化前】
一般的なご家庭や工場への送配電は旧一般電気事業者が管理していた
【電力の自由化後】
政府が許可した地域ごとの送配電事業者が管理している
電力の小売部門 電気料金プランの設定や契約手続きを行う部門 【電力の自由化前】
旧一般電気事業者などが電力を販売していた。家庭や商店は旧一般電気事業者しか契約できなかった
【電力の自由化後】
新電力会社や旧一般電気事業者が「小売電気事業者」と括られ、電力会社を自由に選択できるようになった

ここからは、電力の自由化の概要や旧一般電気事業者に与えた影響を詳しく解説します。

電力自由化とは

電力の自由化とは、地域にある旧一般電気事業者だけでなく、新電力会社をはじめとしたさまざまな電力会社と、利用者が自由に契約を行える制度です。

  • 2000年3月:特別高圧区分の大規模工場やデパートなどが電力自由化
  • 2004年4月・ 2005年4月:高圧区分の中小規模工場や中小ビルに電力自由化が拡大
  • 2016年4月:低圧区分の家庭や商店も対象となり全面自由化
  • ※出典:資源エネルギー庁「電力の小売全面自由化とは」

上記の通り、2016年の4月1日以降は、電気の小売業への参入が全面的に自由化されました。現在は、家庭や商店を含む、すべての消費者が電気料金メニューなどを自由に選択することが可能です。

旧一般電気事業者と新電力の違い

旧一般電気事業者と新電力会社の違いは、大きく以下の3つです。

  • 発電所の保有義務
  • 送配電網の保有義務
  • 法人向けの電気料金プランやサービスを展開できるか

旧一般電気事業者は、発電所や送配電網を保有する義務がありましたが、新電力会社は発電所や送配電網の保有義務がなく、電気の販売業務に特化したサービスを展開することが可能です。

また、旧一般電気事業者は、特定の法人向けに電気料金プランを提供したりサービスを実施したりすることはできませんでした。しかし、新電力会社に関しては、特定の法人に向けてもサービスや電気料金プランを提供できるようになっています。

旧一般電気事業者へ与えた影響

電力の自由化によって、利用者が旧一般電気事業者以外の電力サービスを選べるようになり、新電力会社などの新規参入した企業が、顧客を獲得しやすい状況が生まれました。

一方で旧一般電気事業者側は、新電力会社などの登場により、既存の顧客が離れないよう戦略の見直しが求められるようになりました。既存の電気料金プランとは異なるメニューやサービスを提供するなど、競争に勝ち抜くための戦略を求められるようになったのです。

旧一般電気事業者の今後

電力の自由化をきっかけに、電力小売業界では競争が生まれました。これまでのように地域の一般電気事業者が独占販売をできなくなったため、旧一般電気事業者に関しても電気料金プラン設定やサービスの見直しが求められています。

実際に、多くの電力会社が従量電灯プラン以外にもライフスタイルにあわせた電気料金プランを提供し始めています。今までの顧客が離れていくのを防ぎ、なおかつ新規で顧客を獲得できるよう、需要家のニーズに適した経営戦略が立てられるようになりました。

今後も、安定的かつ確実な電力供給確保を含め、電気料金価格やプラン内容の変更など大きな変化が予想されるでしょう。

旧一般電気事業者の新たなチャレンジ

現在、旧一般電気事業者は、電力の自由化に伴って電気料金プランの設定の見直しだけでなく、スマートメーターの設置による電力の見える化にも力を入れています。新電力の登場によって、今後は全国各地の電気事業者を含めた小規模電源に分散していくでしょう。

昨今では、脱炭素化の影響から太陽光発電や蓄電池などの設置が増加傾向にあります。このような分散型のエネルギーリソースを遠隔・統合制御して、1つの発電所のように運転する「バーチャルパワープラント(VPP)」の活用が期待されています。

電力の自由化をきっかけに、電力業界全体が変化しているというわけです。

まとめ

この記事では、旧一般電気事業者の概要から今後の展望をはじめ、電力の自由化とその影響について解説しました。

旧一般電気事業者とは、電力の自由化よりも前にある一般電気事業者のことです。日本では、東京電力や関西電力をはじめ、全国で10社存在しています。

また、電力の自由化により、さまざまな企業が電力小売業に参入しました。これにより、旧一般電気事業者にも電気料金プランの設定見直しや新規サービスの導入など、経営戦略の見直しが求められています。

今後も、電力業界では大きな変化が予想されるため、定期的に情報を集めておきましょう。

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エコモ博士
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