1kWhの電気代はどのくらい?計算方法など初めてでも分かるように詳しく解説!

「kWh(キロワットアワー)ってどんな単位?」「電気に関係していることは知っているけど、よく分からない」という人も多いのではないでしょうか。kWhは電気使用量の単位で、月々請求される電気代とも密接に関係しています。
例えば、電気代の中には、電力の使用量に応じて変動する料金が含まれます。このような電気代を算出するうえで、重要な役割を果たしているのがkWh です。
こちらの記事では、各電力会社の1kWhあたりの電気代や計算方法、電気代を構成する要素についてお伝えします。 kWhの仕組みを知って、ご家庭での節電計画や料金プランの見直しの際にお役立てください。
kWh(キロワットアワー)とは

kWh(キロワットアワー)は、電気使用量の単位のことです。電気代は「1kWhにつき〇円」と決められていることが多く、この数値に基づいて毎月の電気料金が算出されます。kWhの仕組みや求め方を知って、電気代がどのように決められているかを把握しておきましょう。
KW(キロワット)とkWhの違い
KW(キロワット)とkWhは、どちらも電気に関する単位です。一見同じようにみえますが、それぞれ使用する場面が異なります。
KWは電力の単位で、家電製品を動かすために必要な瞬間的な電力を表す単位として使用されます。KWは、kWhを求める際にも使われるものです。日常的には、家電製品の仕様書などで見かけることが多いでしょう。
家庭用の家電製品は、それほど消費電力が大きくないため、W(ワット)で表示されるのが一般的です。なお、1,000W=1KWです。
kWhは電力量を表し、毎月の電気料金を決める際の目安になります。電力(キロワット)に時間(アワー)を掛けて求められる、使用電力量を表す単位です。kWhは、次のような計算式で求められます。
kWhの求め方
KW(電力)×使用時間=kWh(電力量)
例えば、1,000Wの掃除機を1時間使用した場合の電力量を計算してみましょう。
1,000W=1KW 1KW×1時間=1kWh
つまり、1,000Wの掃除機を1時間使用すると、1kWhの使用電力量がかかります。家庭の電気代は、一般的に「1kWhにつき〇円」と設定されているため、計算方法を知っていれば月々の電気代をおおよそ算出できるわけです。
1kWhあたりの電気代はいくら?
1kWhあたりの電気代は、電力会社や料金プランによって異なります。主要電力会社の1kWhあたりの電気代は、以下のとおりです。
主要電力会社の1kWhあたりの電気代
電力会社 | 120kWhまで | 121kWh〜300kWh | 301kWh〜 |
---|---|---|---|
東北電力 従量電灯B | 29.71円 | 36.46円 | 40.41円 |
東京電力 スタンダードS | 30.00円 | 36.60円 | 40.69円 |
関西電力 従量電灯A | 20.31円 | 25.71円 | 28.70円 |
中部電力 ポイントプラン | 21.33円 | 25.80円 | 28.75円 |
九州電力 スマートファミリープラン | 18.28円 | 23.88円 | 25.78円 |
東京電力の「スタンダードS」プランを契約している一般家庭を例にして、1kWhあたりの電気代を求めてみましょう。3~4人で暮らす一般家庭のひと月の電気使用量の平均は、300~400kWhです。上の表から、「301kWh〜」の単価が適用されるため、1kWhあたりの電気代は40.69円になります。
なお、全国家庭電気製品公正取引協議会が示している、1kWhあたりの電気代の平均額は31円(税込)です。
電気代を構成する4つの要素
電気代は、以下の4つの要素で構成されています。
電気代を構成する4つの要素
これまで説明してきた電気代の求め方は、このうちのひとつである従量課金(電力量料金)の算出に関わります。実際に毎月請求される電気代には、それに加えて基本料金、燃料費調整額、再生可能エネルギー発電促進賦課金が加算されます。
基本料金
毎月定額で支払う料金です。基本料金の決め方は大きく2種類に分けられ、契約アンペア数によって基本料金が決められている「アンペア制」と、アンペアに関係なく一律の料金が定められている「最低料金制」があります。
アンペア制は契約アンペアの大きさに比例して、基本料金が上がる仕組みです。主に、地域ごとに基本料金の形態が異なり、関西電力、中国電力、四国電力、沖縄電力など西日本の電力会社の多くは、最低料金制を採用しています。
従量課金(電力量料金)
使用した電力量に応じて、変動する料金です。一般的に、家庭用の電力量料金単価は、電気使用量に応じて段階的に加算されていく、三段階料金を採用しています。一定の使用量を超えると、1kWhあたりの電気代が変動し、電気を使うほど電気代が上がる仕組みです。
以下のように、三段階に分けられます。
従量課金の仕組み
料金設定 | 電力使用量 | 1kWhあたりの電気代 |
---|---|---|
第一段階料金 | 0~120kWh | 比較的安い料金 |
第二段階料金 | 121~300kWh | 平均的な料金 |
第三段階料金 | 301kWh以上 | 高めの料金 |
※電力会社によって、電力使用量の設定が異なる場合があります。
燃料費調整額
平均燃料価格に応じて、毎月変動する料金です。平均燃料価格は、貿易統計における原油価格・液化天然ガス価格などから計算されます。
燃料費調整単価は、電力会社によって異なります。また、燃料費調整額は、その月の平均燃料価格が高いときは加算され、低いときは減額される仕組みです。電力会社やプランによって異なりますが、上限設定を設けているプランもあります。そのため、燃料費の高騰で大幅に価格が上がっても、それ以上加算される心配はありません。
大手電力会社の一般家庭・店舗向けの「低圧プラン」のうち、「規制料金プラン」には一般的に上限設定が設けられているのが特徴です。一方、電力自由化以降にできた「自由料金プラン」の場合は、上限を撤廃する電力会社も増えてきています。
例えば、東北電力や中部電力は、これまで自由料金プランにも上限を設定していましたが、燃料の調達コストが大幅に上昇した2022年を機に撤廃しています。
再生可能エネルギー発電促進賦課金
再生可能エネルギー発電促進賦課金は、太陽光発電や風力発電など、再生可能エネルギーの買取にかかる費用をまかなうための賦課金です。電気料金の明細書では、縮めて「再エネ賦課金」と表記されています。
要は、再生エネルギー普及のために、電気使用者全員で費用を負担し、クリーンな発電を増やそうという施策のために設けられた税金の一種といえます。
なお、2023年の再エネ賦課金単価は1.40円/kWhです。
<1ヶ月の再エネ賦課金の計算方法>
1ヶ月の電気利用量×再エネ賦課金(1.40円/kWh)=再エネ賦課金額
例)1ヶ月の電気利用量が300kWhだった場合の再エネ賦課金額
300kWh×1.40円/kWh=420円
単価は毎年度一律で、電力会社による差はありません。再エネ賦課金は、電気利用料に比例して徴収されるため、使用電気量の多い家庭では賦課金額が上がります。また、太陽光発電などの再生エネルギー利用分は対象外のため、電気利用量には含まれません。
【家電別】1kWhを消費する使用目安と電気代

こちらでは、それぞれの家電を例にして、1kWhを消費するまでに使用できる目安時間と電気代を解説します。
1kWhを分かりやすくいうと、1KW(=1,000W)の電力を、1時間使用したときに消費する電気量です。家電はそれぞれ動かすために必要な電力が異なるため、1kWhを消費するまでに使用できる時間も変わってきます。
家電の使用時間と電気代の目安は、以下のとおりです。
家電別の1kWhを消費する使用目安と電気代
家電 | 消費電力 | 1kWhを消費するまでの使用目安 | 1時間あたりの電気代 |
---|---|---|---|
エアコン | 1,500W | 約40分 | 約46.5円 |
掃除機 | 1,000W | 約1時間 | 約31円 |
パソコン | 100W | 約10時間 | 約3.1円 |
洗濯機 | 380W | 約2時間30分 | 約11.78円 |
電子レンジ | 1,300W | 約45分 | 約40.3円 |
続いては、ご家庭でよく使われる家電を例に、使用時間の目安と電気代を詳しくみていきましょう。
1kWhから電気代を計算する方法
1kWhあたりの電気代は、各電力会社のサイトや明細書などで確認できます。1kWhあたりの電気代と、おおよその消費電力量が分かれば、その月にかかる電気代を把握することが可能です。
<電気代の求め方>
電気代=消費電力量(kWh)×1kWhあたりの電気代
以下の項目では、1kWhあたりの電気代を31円として、家電ごとに1kWhを消費するまでの使用目安時間と、電気代をみていきます。31円という数字は、全国家庭電気製品公正取引協議会が公表している、1kWhあたりの電気代の平均額です。
エアコンの使用目安と電気代
エアコンが1kWhを消費するまでに使用できる目安時間は、次のようになります。
エアコンの消費電力と使用目安時間
エアコン | 消費電力 | 1,500W |
---|---|---|
1kWhを消費するまでの使用目安時間 | 約40分 |
上記の例から、1,500Wのエアコンを1時間使用した場合の電気代を調べてみましょう。
1,500W=1.5KW 1.5KW×1時間×31円=約46.5円
掃除機の使用目安と電気代
掃除機が1kWhを消費するまでに使用できる目安時間は、次のようになります。
掃除機の消費電力と使用目安時間
掃除機 | 消費電力 | 1,000W |
---|---|---|
1kWhを消費するまでの使用目安時間 | 約1時間 |
上記の例から、1000Wの掃除機を1時間使用した場合の電気代を調べてみましょう。
1,000W=1KW 1KW×1時間×31円=約31円
パソコンの使用目安と電気代
パソコンが1kWhを消費するまでに使用できる目安時間は、次のようになります。
パソコンの消費電力と使用目安時間
パソコン | 消費電力 | 100W |
---|---|---|
1kWhを消費するまでの使用目安時間 | 約10時間 |
上記の例から、100Wのパソコンを1時間使用した場合の電気代を調べてみましょう。
100W=0.1KW 0.1KW×1時間×31円=約3.1円
洗濯機の使用目安と電気代
洗濯機が1kWhを消費するまでに使用できる目安時間は、次のようになります。
洗濯機の消費電力と使用目安時間
洗濯機 | 消費電力 | 380W |
---|---|---|
1kWhを消費するまでの使用目安時間 | 約2時間30分 |
上記の例から、380Wの洗濯機を1時間使用した場合の電気代を調べてみましょう。
380W=0.38KW 0.38KW×1時間×31円=約11.78円
電子レンジの使用目安と電気代
電子レンジが1kWhを消費するまでに使用できる目安時間は、次のようになります。
電子レンジの消費電力と使用目安時間
電子レンジ | 消費電力 | 1,300W |
---|---|---|
1kWhを消費するまでの使用目安時間 | 約45分 |
上記の例から、1300Wの電子レンジを1時間使用した場合の電気代を調べてみましょう。
1,300W=1.3KW 1.3KW×1時間×31円=約40.3円
比較してみると、家庭でよく使用される電化製品のうち、エアコンや掃除機、電子レンジの消費電力量が大きいことが分かります。これらの家電は、1時間あたりの電気代も高くなるため、使用時間を少なくする工夫をするとよいでしょう。掃除機を手元から離すときは電源をオフにする、電子レンジを使用する前に食品を半解凍しておくなどを心がけるだけでも、節約につながります。
ただし、エアコンは起動時に最も消費電力量が大きくなるため、こまめな電源オフは逆効果になる可能性があります。外気温との差や稼働時間によっては、エアコンはつけっぱなしにした方が効率的です。
また、エアコン使用時には、自動運転の活用をおすすめします。自動運転は上手に室内温度をコントロールしてくれるだけでなく、設定温度に達すると自動的に省エネモードや弱運転に切り替わるため、電気代の削減につながりやすいでしょう。
1kWhの電気代によくある質問
こちらでは、1kWhの電気代に関するよくある質問を取り上げます。
1kWhの電気代によくある質問
1kWhあたりの電気代はいくら?
1kWhあたりの電気代は、ご家庭で契約している電力会社や契約プランによって異なるため、公式サイトや明細書などで確認しましょう。
全国家庭電気製品公正取引協議会が公表している、1kWhあたりの電気代の平均は31円(税込)です。単価が分からない場合には、こちらの平均額を用いると便利です。
主要電力会社の1kWhあたりの電気代については「1kWhあたりの電気代はいくら?」をご覧ください。
電気代を構成する要素はなにがある?
電気代を構成する4つの要素は、次のとおりです。
- 基本料金
- 従量課金(電力量料金)
- 燃料費調整額
- 再生可能エネルギー発電促進賦課金
毎月定額の基本料金や、使用した電気量に応じて変動する従量課金(電力量料金)などを合算し、毎月の電気代が決定されます。
各要素の詳細に関しては「電気代を構成する4つの要素」をご覧ください。
1kWhから電気代を計算する方法とは?
kWh(消費電力量)と1kWhあたりの電気代から、大体の電気代が計算できます。
<電気代の求め方>
電気代=消費電力量(kWh)×1kWhあたりの電気代
詳しくは「1kWhから電気代を計算する方法」をご覧ください。
1kWhを消費する家電の使用目安と電気代はどのくらい?
それぞれの家電が、1kWhを消費するまでに使用できる目安時間と、1時間使用した場合の電気代は、次の表のとおりです。
家電別の1kWhを消費する使用目安と電気代
家電 | 消費電力 | 1kWhを消費するまでの使用目安 | 1時間あたりの電気代 |
---|---|---|---|
エアコン | 1,500W | 約40分 | 約46.5円 |
掃除機 | 1,000W | 約1時間 | 約31円 |
パソコン | 100W | 約10時間 | 約3.1円 |
洗濯機 | 380W | 約2時間30分 | 約11.78円 |
電子レンジ | 1,300W | 約45分 | 約40.3円 |
各家電の電気代の計算方法については、リンク先の項目で詳しく解説しています。
まとめ
今回は、1kWh(キロワットアワー)の電気代や、計算方法について解説しました。
今回ご紹介した内容は、以下のとおりです。
- 「kWh」は電気の使用量を表す単位で、「KW(キロワット)」は電力の単位を表す。
- 1kWhあたりの電気代は、各電気会社によって差がある。 なお、全国家庭電気製品公正取引協議会が示している1kWhあたりの電気代は、31円(税込)です。
- 電気代は「基本料金」「従量課金(電力量料金)」「燃料費調整額」「再エネ賦課金」の4つの要素によって構成されている。
- 電気代は「消費電力量(kWh)×1kWhあたりの電気代」で求められる。 そのため、kWhと1kWhあたりの電気代が分かれば、その月の大体の電気代を計算できる。
1kWhあたりの電気代をもとに、家電の使用時間を調整したり、料金プランを見直したりして、ご家庭の節電・節約計画にお役立てください。

エコモは各地を飛び回って、電力・エネルギーや地球環境についてお勉強中なんだモ!色んな人に電気/ガスのことをお伝えし、エネルギーをもっと身近に感じてもらいたモ!
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