森林破壊が及ぼす環境の変化
所属:東京情報大学
インターン生:M.Tさん
環境問題には「5大環境問題」というものが存在します。「地球温暖化」「海洋汚染」「水質汚染」「森林破壊」「大気汚染」の5つが挙げられます。どれも私達人間が生活することで発生するガスやゴミなどが原因で発生し、私達はそれらをどのように防ぐか、抑制するかを問われてきました。その中で、森林破壊による環境問題はガスやゴミが原因ではなく、木材の商用利用など原因であるが、森林破壊が起きるとどのような影響を及ぼすか、それを本文でまとめたいと思います。
森林破壊とは
人間が行う森林伐採や森林火災が原因で世界の森林面積が減ることを指します。森林が失われることで我々人間だけじゃなく他生物の生態系にも影響を及ぼすことになります。
森林破壊の主な原因
森林破壊が起こる原因はどのようなものがあるのでしょうか。
木材の人為的商用利用
森林破壊が起きる主な原因の一つとして、導入で述べた「木材の商用利用」による人為的な森林伐採が原因です。我々がよく使う家具には必ず木材が使われており、家の建築にも使われます。その他にも、バイオマス燃料やコピー用紙などの紙製品、天然のゴムや油など様々な形で使われています。その木材の利用規模は全世界単位であり、木の成長速度と伐採・利用速度が反比例し、速い進行で森林伐採が行われてしまっています。世界と日本の森林破壊の現状を比べると、世界の場合1990年から2020年までで失われた森林面積は、1億7750ヘクタール、毎年平均592万ヘクタールも失われている計算になります。
日本の場合、森林面積は横ばいで、森林率は約66%をキープしていて、横ばいです。だが日本は低価格の外国産木材を大量に輸入しており、これは関節的に森林破壊に加担していると言えます。また、スーパーなどでよく売られているパーム油の原料であるアブラヤシは熱帯地域でしか栽培できず、需要が高いため世界で一番多く使われている油であるため、主要生産国であるインドネシアのボルネオ島では、アブラヤシの大規模開拓しており、島の面積の3分の1の森林が失われています。
違法伐採
各国の法令に違反して行われる伐採を違法伐採といいます。法令で定められた基準を守らない量や樹種を伐採、保護地域の森林を盗伐する例があります。違法伐採によって森林の減少と劣化を加速させてしまうのです。
・持続可能でない焼畑農業の増加
焼畑農業とは、その土地の草や木を焼き払い、灰を肥料として利用する農業です。その土地で数年農作物を育てると地力が衰えるため別の場所へ移動し、一度焼畑農業を行った土地が回復したら再びまた戻ってくるというのが焼畑農業の特徴です。焼畑農業はコストがかからず、持続可能であり農業の敵である害虫を駆除できるなどのメリットがあり、少ない労力で利益を繰り返し得る効率的な農業なのです。しかし、焼畑農業のデメリットが森林破壊および環境破壊の原因となっているのです。デメリットとして挙げられるのは、煙害による被害、森林火災の恐れ、人口増加による持続可能性が消失の3点です。焼畑農業は煙が非常に多くなり、それらの煙は交通の混乱を生み、人々の呼吸障害の原因となり、農業に関係していない人々に悪影響をおよぼしてしまうのです。焼畑農業のコントロールを謝ると火の手は一気に広がり、予定していた土地以上の草木を燃やしてしまう恐れもあります。そして、最大のデメリットとして、二酸化炭素の大量排出です。焼畑農業で草木が減ることで、焼き払ったときに出る二酸化炭素を吸収する森林も失われてしまい、地球温暖化を促進させてしまっているのです。また、土地が荒れ、回復力が失われた場合、砂漠化も起きてしまう恐れがあるのです。
・人為的な森林火災
2つ目の原因として挙げた焼畑農業が原因の森林火災とは異なり、地球温暖化によって春の雪解けが早くなり夏の温度が上がると乾燥して発火しやすい条件が整い森林火災が増えることがあります。しかし、森林火災の主な原因は人為的の場合が多く、焚き火や火入れ、放火、たばこの不始末が原因で起こります。一度森林火災が起こってしまったら周りのものにも火が移り、燃やしながらまた広がってしまうため早期の鎮火が求められます。そして、その火災により煙が発生し二酸化炭素による地球温暖化が促進されてしまうのです。他にも、森林火災によって、動物達の住む場所を奪われてしまいます。住む場所を失った動物達は他の場所へ移さなくてはならなくなり、人里へと進行する可能性も出てくるので、二次被害が起きてしまうリスクもあるのです。
・放置林の問題
資源として使われている木材は、手入れが施されておりそれにより木材としての価値を上げることができます。しかし、資源として使われているにも関わらず手入れされていない森林は、光が通りづらく草木が生えずに動物達が住みづらく、木材としての価値が下がってしまいまた、木が痩せ細り風などで木が折れるなど被害を受けやすくなってしまいます。また、水源涵養機能が低下し、土砂被害が起きやすくなってしまい、人々に被害をもたらしてしまいます。
森林破壊による影響
森林破壊が起きると、何に対してどのような影響が起こるのでしょうか。
生態系や人への影響
様々な原因による森林破壊による影響は生態系に大きく影響を及ぼしています。生物内での生物の捕食、すなわち食物連鎖は自然界で想像できないほど大規模に起こっているため、一つの種が絶滅することで連鎖的に他生物に影響を与え壊してしまうのです。世界自然保護基金とロンドン動物学会が2020年に発表した「生きている地球指数」は1970年と比較してマイナス68%でした。これは地球の生物多様性がわずか半世紀で68%も失われたということになります。これらの原因は森林破壊だけでなく、海洋汚染や水質汚染、さらには乱獲などの複数の原因があります。人々にも影響があり、伝染病を媒介する生物が増加し、疫病の蔓延や食料生産の悪化、少なくなった森林の所有権を巡る紛争が起こりうる可能性があります。資源に乏しいオセアニア地域では森林は経済開発における重要な資源とされていて、諸外国企業と住民における権利争いが絶えません。さらに、食料不足の誘発も懸念されていて、森林でとれる木の実や山菜、キノコなどの食料が採れなくなります。森林を通じて川から海に流れ込む養分を含んだ水が減ることで魚介類の飼育にも影響をもたらします。
気候変動への影響
もともとの森林の役割として、二酸化炭素を光合成のもととし、吸収する機能が備わっている他、土壌の侵食や崩壊を防止してくれる役割を持っているが、森林が消えてしまうとこれらが機能しなくなります。車や工場から溢れた二酸化炭素量が増える一方、森林破壊が進むと二酸化炭素を吸収する速度が減少し、地球の温度や海水の温度が上昇する地球温暖化が起こってしまうのです。環境省によると、このまま化石燃料に依存する社会が続けば、世界平均気温は2.4度~6.4度上昇し、北極海の氷が消滅し異常気象が起こるリスクがあるとのことです。その他にも洪水の抑制を担う森林が少なくなることで、数百万人単位の洪水被害者、温暖化による猛暑による死者が増えたりするなども予想されています。
森林破壊の対策
森林破壊を防止し、環境問題解決へ向けて社会や私達ができることは、一体どのようなことなのでしょうか。
違法伐採と大量伐採の防止
私達にとって、森林からの資源を過剰に消費しないことが求められています。しかし、違法伐採自体をやめさせることは難しく、我々が判断できるのはその木材が合法的であるかどうかのため日本政府は、違法伐採問題に対処するために、「木材・木材製品の合法性、持続可能性の証明のためのガイドライン」を作成し国内外に公表しました。同年には「木材と木材製品は合法性と持続性が証明されたものを優先的に購入しなければならない」という措置を導入しました。
持続可能な焼畑農業と他の農業方法
土地の回復が間に合わない速度で焼畑農業を行い、人口増加に伴い焼畑農業も増えることで、森林破壊と温暖化が加速してしまうため、持続可能な焼畑農業と焼畑農業自体を減らすことで森林破壊と地球温暖化問題を抑えることができます。
人為的な森林火災を抑える
たばこの不始末や焚き火などで火の手が森に移ることを防ぐため、キャンプ施設や社会に森林火災の危険性と森林の重要性を呼びかけることでそれらを防止する対策が必要です。特に冬は乾燥し燃え移りやすくなっているためより強く呼びかけることが大切です。
4つのRを心がける
身近なことでも心がけることで、環境問題解決の一歩となります。日常生活の中で、Refuse・Reduce・Reuse・Recycleを心かけることの他、紙コップやコピー用紙の使用を極力減らすことや再生紙製品の選択、森林管理協議会認証マークの製品を購入するという行動も問題解決に近づくことになります。
まとめ
森林破壊は世界規模で起こっています。それは人為的な原因で起こることも、自然に起こることもあります。さらに、森林が巨大すぎる以上、簡単に破壊を抑えることはできません。けれども、人為的な原因がある以上私達個人でも問題解決に向けて行動することができ、4Rを意識した行動、購買行動の改善をすることが大切であり、さらには、企業や政府も様々な対策を発表し森林破壊を抑えています。2021年11月にはCOP26で森林破壊停止宣言を、2017年5月には、木材の流通・利用をクリーンにするためのクリーンウッド法を定め、世界中で様々な取り組みが行われています。私たちは森林破壊が起きることで人だけでなく生態系にも多大な影響があるということを知り、重要性を理解することが大切です。