気候変動と産業

  • 更新日:2022/12/29

所属:多摩大学経

インターン生:N.Kさん

気候変動と産業の写真

近年気候変動が増えており、私たちにも直接な被害や間接的な被害が多くなっています。気候変動のせいで深刻化してきている環境問題や食糧問題は今後私たちや次世代に生きる人たちにとって他人事ではなくなってきているのです。本記事は環境の変化、農林水産業について述べます。

気候変動の現状と予測

気候変動世界に様々な影響を及ぼしています。一つ目は気温上昇が今後も続くことについて、世界の年平均気温は19世紀後半以降100年あたり0.72℃の割合で上昇しています。2081年~2100年における世界の年平均気温は、1986年~2005年と比較して、0.3~1.7℃、2.6~4.8℃の上昇が予測されています。

気温上昇につながることだが二つ目は海水温道の上昇です。気候システムに蓄積されたエネルギーの増加量の中でも卓越しており、1971~2010年の間に蓄積されたエネルギーの90%以上を占めています。世界の年平均海面水温は、1891~2016年において100年 あたり0.53℃の割合で上昇しています。21世紀の間、世界全体で海洋は昇温し続けると予測されています。21世紀末までに約0.6℃、約2.0℃の上昇が予測されています。

三つ目は気候変動に関する政府間パネル第5次評価報告書では、地球全体での熱帯低気圧の発生頻度は減少するか、または 基本的に変わらない可能性が高く、それと同時に地球全体で平均した熱帯低気圧の最大風速及び降雨量は増加する可能性が 高いが、地域別の予測の確信度は低いとされています。最近の研究によれば、日本の南海上からハワイ付近及びメキシコの西海上にかけて猛烈な台風の通過が増加する可能性が高いとの予測が報告されています。

出典:気象庁気象研究所

日本気候変動

日本では世界より速いペースで気温が上昇しています。日最高気温30℃以上の真夏日と日最高気温35℃以上の猛 暑日の年間日数は、統計期間1931~2016年で増加傾向が現 れており、猛暑日は10年あたり0.2日の割合で増加しています。これはデータだけでなく皆さんも子どもの頃と比べても厚くなっているのは実感できるのではないでしょうか。

特に今年は異例の速さで梅雨が終わり、例年よりも夏の気温が高いく、長い夏だったはずです。ここまで来たらもはや他人事ではないと考え始めるころではないでしょうか。ほかにも気温上昇だけでなく、多くの地域で積雪が減少する一方、内陸部 では大雪が増加する可能性も増えてきています。年最深積雪は東日本の日本海側 と西日本の日本海側で減少しています。

減少率は東日本の日本海側で10年あたり12.3%、西日本の日本海側で10年あたり 14.6%となっています。そして一番の問題は最近増えている大雨の災害です。近年は日降水量が100mm以上の大雨の日数が増加しており、また、アメダスの観測による1時間降水量50mm以上の短時間強雨の発生回数も増加しています。一方で、日降水量1.0mm以上の日が減少しており、弱い降水も含めた降水の日数は減少しています。

出典:気象庁気象研究所

気候変動の影響

気候変動は温度変化や降水量の変化を上げてきました。これは私たちの生活の中でなかなか厄介な問題だと思います。大雨で家が浸水したり、駅が浸水し、電車が止まったり、基本の急激な変化で体調不良や服の準備ができなかったりと私たちの身近だけでもかなりの問題を起こしています。

しかし、私たちよりも深刻の問題を抱えている人も多くいます。それは自然と背中合わせで生きている農家や水産業などの第一次産業の方々と考えています。私が今回このテーマにしようと決めた理由もSNSで農家の努力が大雨でダメになったのを見たからです。なので、これから第一次産業に対する影響を述べていきます。

林業・森林

林業分野においては、気温上昇と降水パターンの変化によって乾燥化が進み、人工林の成長に影響を与えることが予測されています。また、台風の巨大化や短時間強雨の頻度の増加は、森林が有する土砂災害防止や土壌保全等の機能を低下させ、山地災害に結びつく可能性があります。山地災害、治山・林道施設では、異常な豪雨により森林の有する山地災害防止機能の限界を超えた山腹崩壊等が発生していること、山腹崩壊地に生育していた立木と崩壊土砂が、渓流周辺の立木や土砂を巻き込みながら流下して生じる流木災害顕在化等が増えています。

人工林では、気候変動による一部の地域で気温上昇と降水パターンの変化によって、大気の乾 燥化による水ストレスが増大することにより、スギ林が衰退しています。将来予測される影響としては、降水量の少ない地域でスギ人工林の生育が不適になる地域が増加する可能性があることが挙げられます。そして、病害虫では、気温上昇や降水量の減少による病害虫被害地域の拡大の可能性と被害の拡大の懸念があります。

また、特用林産物では、夏場の気温上昇による病原菌の発生やしいたけの子実体の発生量の減少などが確認されています。ほかにも、ハウスでの作業や夏季の下草刈り、畑作業など農林水産業における作業中の熱中症による死亡者数は、近年増加傾向にあります。熱中症発生率については、今後各地域で増加することが見込まれているほか、年齢別においても、65 歳以上の高齢者で増加率が最も大きくなると予測されるなど、高齢者の割合が高い農林水産業において、その影響はより深刻になるものと考えられます。

水産業

気候変動で海水温の上昇等により、水産資源や漁業・養殖業に影響を与えます。近年の現象として、ブリやサワラ等の分布域の北上をし、ブリは、北海道における漁獲量が増加しています。また、沿岸資源は、九州沿岸で磯焼けが拡大してイセエビやアワビ等の磯根資源が減少したり、瀬戸内海では南方系魚類であるナルトビエイの分布拡大によるアサリへの食害が増加したりしています。ほかにも、ホタテガイの大量死やカキのへい死率の上昇、生産量の変化などが各地で報告されています。

養殖ノリについては、秋季の高水温により種付け時期が遅れ、年間収穫量が各地で減少しているといった事例が多くある。ほかにも日本人に親しまれている鮭やサンマも北上や南下遅れが予想されています。また、川魚であるアユ漁獲量についても 1992 年以降減少を続けています。大阪湾・淀川の環境要因がアユの遡上に与える影響を検討した研究では、冬季の大阪湾の水温上昇が遡上数の減少要因とされている。気候変動を考慮して淀川 流域圏の流出解析・水温解析を行った結果、淀川河口水温は 21 世紀末には1.43~1.99 ℃上昇し、淀川のアユ遡上数が減少することが予測されています。

魚病については、水温上昇に伴い養殖ブリ類の代表的な寄生虫であるハダムシの繁殖可能期間の長期化が予測されています。ハダムシがブリ類に付着すると、魚が体を生け簀の網に擦り付けることで表皮が傷つき、他の病原性細菌等が体内に侵入する二次感染によって養殖ブリ類が大量に死亡することがあります。このように、収穫量や収穫時期だけでなく病気も増え食べられる魚も減少しているのです。

魚以外にも気候変動による太平洋沿岸では、秋季から冬季にかけて中長期的な海面水位の上昇や強い台風の増加等により高潮偏差・波浪の増大により、高波被害、海岸侵食等のリスクが増大する可能性があると予想されています。

農業

農業生産は、一般に気候変動の影響を受けやすく、各品目で生育障害や品質低下など気候変動によると考えられる影響が見られる。被害として、水稲では白未熟粒などの多発しており、将来予測される影響としては、全国の水稲の収量は、現在より3℃を超える高温では北日本を除き減収することが予測されています。害虫については、水田では、寄生性天敵や一部の捕食者及び害虫の年間数がそれぞれ増加し、害虫・天敵相の構成が変化すると予想されているほか、病害について、野外水田で人為的に作り出した高条件下では、イネ紋枯病やイネいもち病などの発病の増加が予測されています。

果樹園の被害例として成熟期のりんごやぶどうの着色不良や着色遅延、果実肥大期の高温や多雨によるうんしゅうみかんの浮皮、高温・強日射による果実の日焼け、日本梨の秋期から初冬期の高温による発芽不良、収穫期前の高温・乾燥等によるみつ症の発生等があります。ほかにも、既存の主要産地が栽培適地ではなくなる可能性もあり、ぶどう、もも、おうとう等についても、既存の主要産地が栽培適地ではなくなる可能性 のほか、高温による生育障害が発生することが想定されます。

その結果、これらの品目の安定生産が困難となり、需給バランスが崩れることにより、価格の高騰や適正な価格での消費者への安定供給を確保できなくなることも懸念されているのです。また、近年では大雨の影響で収穫が近い収穫量日本一である青森のりんご園の果物や木が流されるなどの深刻な被害が出ています。小豆では、北海道(道央・道南)において、成熟期の高温による小粒化等が見られます。茶では、生育期間の高温・干ばつによる二番茶以降の新芽の生育抑制、暖冬による萌芽ほうがの早期化及び春先の晩霜による凍霜害の発生があった。2030年には、甜菜、大豆、小豆で増収の可能性もあるが、病害虫発生、品質低下も懸念され、小麦等では減収、品質低下が予測されています。

畜産

家畜は、高温による家畜の健康問題、乳用牛の乳量、乳成分、繁殖成績の低下や肉用牛、豚及び肉用鶏の増体率の低下等が起こっています。飼料作物では、栽培適地の移動や夏季の高温、少雨等による夏枯れ、虫害等が報告されています。農業分野横断的な影響としては、病害虫や疾病等の発生増加、土砂災害や洪水浸水等の生産基盤への影響などが発生しています。

気候変動対策

まず気候変動の要因は大きく二つが挙げられます。一つ目は自然的要因です。これは、火山の噴火、海洋の変動、太陽活動の変化などがあります。二つ目は人的要因です。の主なものとしては、人類の生活に伴うCO₂などの温室効果ガスの排出量増加、森林破壊などが挙げられます。パリ協定では以下の二つが目標だと定めています。

  • 世界の平均気温の上昇を、産業革命以前に比べて2℃より十分低く保ち、1.5℃に抑える努力をする
  • そのため、できるかぎり早く世界の温室効果ガス排出量をピークアウトし、21世紀後半には、温室効果ガス排出量と(森林などによる)吸収量のバランスをとる

他にも省エネルギーをてっていしたり、再生可能エネルギーの導入が挙げられます。その中でも森林吸収源対策は大事になっていると思います。森林吸収源対策は適正に整備された森林の面積を増やすことにより、温室効果ガスの吸収源を確保することを意味します。これらの対策はすぐに結果が出ないため継続することが大切になってきます。

まとめ

当記事は気候変動の状況、予想を説明し、現在我が国の気候変動による農林水産の問題や気候変動への主な対策を取り上げ述べたものになります。今回この記事を通して思ったことは、私たちは日常生活で地球温暖化や気候変動に意識を向ける場面は多くないと考えています。しかし、それでも、「最近雨降らないな」「去年より熱いな」「大雨警報でてるな」と思うことはあると思います。

私たちの平和の生活のなかだけでも振り返ってみると気候変動のせいかなと思う出来事は意外と多かったりします。都会に住む私たちが思うなら自然とともに生きている農家の皆さんはさらに深刻な状況なのではないかと思い調べてみましたが、私が思っていた以上に事態は深刻なことになっているのに驚いています。今はコロナやロシアウクライナ問題で物資や食糧不足が深刻なのに国内でも気候変動による作物や家畜、魚たちの被害が出ている状況は非常にまずいのではないかと考えています。このまま改善されなかったら我が国は食糧危機に陥ってしまうのではないかと少し心配になります。そうなる前に我々は自分たちの生活を見直していく必要があると思います。一人でできない事でもみんなが小さいことをやり続けることが大事です。

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エコモ博士
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