今後も重要となっていくリサイクル
所属:東京情報大学
インターン生:M.Kさん
ちょうど去年ごろからレジ袋有料化が始まりました。そのため、多くの人はエコバックを持参するようになりました。また、コンビニや飲食店では紙のストローであったり、使いまわしの箸が使われつつあります。本文は現状のゴミ問題とリサイクルについてまとめたいと思います。
日本の現状のゴミ問題
環境省の調査によると、平成29年度にはごみ総排出量は4289万トン(東京ドーム約115杯分)、1人1日当たりのごみ排出量は920グラムだそうです。また、発電設備を有するごみ焼却施設数、ごみ焼却施設における総発電電力量ともに増加しているそうです。そのため、ごみ処理事業経費は増加しています。最近だとコロナ渦ということもあって、生産したものはいいものの購入されずにそのまま処分されたりすることもあるため増えていることでしょう。
持ち込まれたごみはリサイクルできるものとリサイクルできないものに分類されます。リサイクルできるものは、工場へ運ばれて、新しく生まれ変わることができます。しかしながら、リサイクルできないごみは、埋め立てをするために焼却工場に持ち込まれて燃やして体積を小さくしています。先ほどの4289のうち、400万トンが燃やされ最終処分場の運ばれます。これは、日本は国土が狭く、最終処分場を多く確保することができないからです。今ある最終処分場は、約20年で満杯になると言われています。そのため、燃やすことでゴミの体積を減らし、少しでも最終処分場が長く使えるようにしています。
世界の現状のゴミ問題
世界でも日本と同じようにごみ問題について悩みの種になっています。開発途上国では、管理があいまいなためにごみが大量に捨てられているところが多いです。ゴミの収集が行われず、各自で道ばたなどに捨てられたままになっている地域も多くあります。以上のことから、ゴミによる異臭や衛生面で大きな問題になっています。
新興国では、急激な発展により大量のゴミが発生する一方で、ゴミの処理が追いついていないために、ゴミの山ができている地域があります。このような国のごみには、プラスチックなど自然に分解されないゴミも多く含まれます。放置していると有害物質が発生したり、火事になったりすることもあります。また、有害物質が川や地下水などに混じると公害問題に繋がる場合もあります。
発展途上国や新興国のごみ問題の解決に日本をはじめとする先進国も動いていますが、自国の対策だけでは通用していないのが現状です。ごみ問題を解決するためには、調査を行い、その国の事情に合わせた対策をとることが必要とされています。
海洋でのゴミ問題
洋服から自動車、建設資材に至るまで、私たちの生活のあらゆる場面で利用されているプラスチック。手軽で耐久性に富み、安価に生産できることから、製品だけでなく、ビニールや発泡スチロールなどの包装や梱包、緩衝材、ケースなどにも幅広く使われています。しかし、プラスチックの多くは「使い捨て」されており、利用後はきちんと処理されず、環境中に流出してしまうことも少なくありません。手軽に使える分、手軽に捨てられてしまう、そうした面もあるといえます。
そして環境中に流出したプラスチックのほとんどが最終的に行きつく場所が「海」です。プラスチックごみは、河川などから海へと流れ込むためです。既に世界の海に存在しているといわれるプラスチックごみは、合計で1億5,000万トン。そこへ少なくとも年間800万トン(重さにして、ジェット機5万機相当)が、新たに流入していると推定されています。このままプラスチックごみの流出が続けば、2050年までに、海の中のプラスチックの量が海の中の魚の量を超えるという予測も出ています。そのなかでも、海にはマイクロプラスチックと呼ばれる、5㎜以下になったプラスチックになった形で漂っていたりします。
一次マイクロチップと二次マイクロチップ
一次マイクロプラスチックはスクラブなどのマイクロビーズなどマイクロサイズで製造されたプラスチックのことをいいます。この状態で製造されてしまうと、排水などによって流出した場合、視認することはできず回収することはほぼ不可能になります。
それに対して二次マイクロプラスチックはペットボトルやビニール袋など、大きなサイズで製造されたプラスチックが自然環境中で紫外線や衝突などの影響を受け、破砕され細分化されてマイクロサイズになったものをいいます。これらはこのような状態になる前に、廃棄管理やリサイクルなどを行うことで発生を抑制することや、マイクロ化する前であれば回収も可能なため、ある程度の対策ができます。
海の生物への影響
WWF(世界自然保護基金)によると、少なくとも約700種の海洋生物が誤飲などさまざまな被害を受けています。そしてこれは本当に衝撃的な数字なのですが、プラスチックごみを誤飲して体内に取り込んでしまった個体の比率は、ウミガメで52%、海鳥ではなんと90%にのぼるらしいです。プラスチックは消化されずに生物の胃袋の中に溜まり続けます。そのため満腹であると勘違いしてしまい、食事を取らずに餓死してしまうこともある。
ゴミ問題を解決するために
日本ではゴミ問題の顕在化に伴い、さまざまな法律が制定されています。
循環型社会形成推進基本法
循環型社会とは、「天然資源の消費が抑制され、環境への負荷ができる限り低減された社会」のことです。国や地方公共団体、事業者がゴミ問題や環境負荷の低減への取り組みを進めるにあたっての基本原則などが規定されています。
廃棄物処理法
ゴミの排出を抑制し、適切な処理方法を定め、生活環境の保全と公衆衛生の向上を図ることを目的としています。私たちはたくさんのゴミを出していますが、この法律のおかげでゴミ問題が原因となって発生する新たな問題の抑制に繋がっています。
資源有効活用促進法
循環型社会を形成していくために必要な3R(リデュース・リユース・リサイクル)の取り組みを推進することを目的としています。事業者に対しては、3Rの取り組みが必要となる業種・品目を指定して、製造段階における3R対策、設計段階における3Rの配慮、分別回収のための識別表示、リサイクルシステムの構築などを規定しています。
この法律のおかけで、たくさんのものがリサイクルされるようになったり、再利用できるようになりました。他にも、製品の特性に合わせて家電リサイクル法、容器包装リサイクル法などの法律があり3Rが推進されています。
3Rの具体例
Reduce(リデュース)
○マイバックを持って無駄な包装は断る。
○詰め替え容器に入った製品や簡易包装の製品を選ぶ。
○耐久消費材は手入れや修理をしながら長く大切に使う。
○利用頻度の少ないものは、レンタルやシェアリングシステムを利用する。
○耐久性の高い製品や省資源化設計の製品を選ぶ。
○使用頻度の少ないものをシェアする。
Reuse(リユース)
○リターナブル容器に入った製品を選び、使い終わった時にはリユース回収に出す。
○フリーマーケットやガレージセール等を開催し、不用品の再使用に努める。
Recycle(リサイクル)
○資源ごみの分別回収に協力する。
○資源ごみの効率的な分別回収を広める。
○リサイクル製品を積極的に利用する。
レジ袋の有料化
「小売業に属する事業を行う者の容器包装の使用の合理化による容器包装廃棄物の排出の抑制の促進に関する判断の基準となるべき事項を定める省令」(平成18年財務・厚生労働・農林水産・経済産業省令第1号)です。これが2019年12月27日に改正され、20年7月よりレジ袋有料化が義務付けられることになりました。
リサイクルの種類と方法
リサイクルといってもその種類は様々です。回収される資源の状態や、どのようにリサイクルするかでその方法と名称が異なります。
【リサイクルの方法が異なる】
・マテリアルリサイクル
・ケミカルリサイクル
・サーマルリサイクル
【リサイクル後の品質の異なる】
・水平リサイクル
・カスケードリサイクル
マテリアルリサイクル
『マテリアルリサイクル』とは、使用済みの製品を溶かしたり、砕いたりして、新たな製品の材料として利用することです。「材料リサイクル」「材料再生」「再資源化」「再生利用」などとも言われています。
メリット
例えば、スチール缶を溶かして鉄鋼にし、新たな鉄製品の材料として再利用します。また、アルミ缶や、紙、ペットボトル、発泡スチロールなども、マテリアルリサイクルされることが多い製品です。
デメリット
工程が複雑で、資源やエネルギーを多く消費するという問題もあります。古紙を再生紙にするには木を切る代わりに別の燃料が必要です。どちらが環境に優しく、無駄がないかを考慮して行う必要性もあるのです。
ケミカルリサイクル
『ケミカルリサイクル』とは、製品を科学的に分解して原料まで戻して再生します。「科学的再生法」とも言われています。
メリット
廃プラスチックを科学的に分解するなどして、化学原料に再生します。原料に戻されて燃料などとして再利用できます。ケミカルリサイクルの中にも原料まで戻した後に、元の製品として新たに作りなおす場合もあります。その代表例がペットボトルや、ナイロン製の衣類などです。
デメリット
廃棄されたプラスチックをリサイクル原料とするため、アルミや小さなゴミ(木屑や銅粉など)等が混ざってしまいます。リサイクル原料に加工する前に手作業等で選別は行いますが、どうしても異物混入は避けられず、品質劣化の原因となります。品質劣化は、最終的に製造されるリサイクル製品の見た目や強度、におい、色などに影響を与え、それらを防ぐためには、様々な技術的な工夫が必要です。
また、様々な色のプラスチックからリサイクル原料が作られるため、色のばらつきは避けられず、リサイクルする製品が限定されてきます。
サーマルリサイクル
『サーマルリサイクル』とは、「熱回収」とも呼ばれています。廃棄物を単に焼却処理せず、焼却の際に発生する熱エネルギーを回収・利用することです。
メリット
『マテリアルリサイクル』や『ケミカルリサイクル』できない資源や、混ざり合って分別できない状態のものは、『サーマルリサイクル』によって、固形燃料に加工して燃やしたり、焼却して出る熱を発電や給湯に利用したりします。
デメリット
日本の『サーマルリサイクル』の割合は実に70%にも上ります。合わせると90%以上がリサイクルされていることになります。埋め立て地が少ない日本には『サーマルリサイクル』に頼らざるを得ない現実があります。
水平リサイクルとカスケードリサイクル
『水平リサイクル』とは『カスケードリサイクル』は、先の3リサイクルとは異なり、リサイクルの方法ではなく、リサイクル後の品質の違いにより呼び方が異なっています。『水平リサイクル』は、使用済みの製品がいったん資源となり、また同じ製品としてリサイクルされます。例えば、アルミ缶はアルミ缶に、ダンボールはダンボールに、ガラス瓶はガラス瓶として再生されます。
『カスケードリサイクル』は、使用済みの製品を前とは別の製品や、低い品質の製品にリサイクルされます。例えば、プラスチッ製品を元の製品ではなく「サーマルリサイクル」により燃料にしたり、スチール缶を「マテリアルリサイクル」により鉄鋼として再生したりすることです。
新たなリサイクルの可能性
新たなリサイクルの可能性として現在考えられている、カーボンリサイクルについて最後に紹介します。カーボンリサイクルとは、CO₂を資源として捉え、これを分離・回収し、鉱物化や人工光合成などによる素材燃料への再利用等とともに、大気中へのCO₂排出を抑制する取り組みです。カーボンリサイクルは、地球温暖化をはじめとする環境問題の解決に向けて、再生可能エネルギー、省エネルギーなどとともに、鍵となる取り組みの一つと期待されています。
まとめ
ゴミ問題は人が生活していくうえで切っても切り離せない関係だと思います。ですが、上記でも説明を入れた通り、埋め立てができる量も限度があります。外を歩いていると、空き缶だったり、プラスチックカップが落ちているのを見かけます。環境にとっても私たちにとっても見ていていいとは思えません。よくない環境にならないために私たちが今すぐできることはエコバックを使用したり、ゴミを分別して捨てることしかないと思います。住みよい暮らしが続けられるように、そして生き物の生きる環境を守っていくためにも今一度認識を改めて、実践していきませんか?