なぜ、いま「再生可能エネルギー」が重要なのか? SDGsと再生可能エネルギー

  • 更新日:2021/10/08

所属:早稲田大学

インターン生:I.Sさん

なぜ、いま「再生可能エネルギー」が重要なのか? SDGsと再生可能エネルギーの写真

最近あちこちで耳にする「SDGs」。そこに挙げられる様々な社会課題を解決するためには、わたしたち一人一人のアクションが求められています。今回は、SDGs達成のためのキーワードの一つ「再生可能エネルギー」に注目して、実際に行われている取り組みやわたしたちにできることについて紹介していきます。

SDGsとは

2015年9月、国連サミットにおいて「持続可能な開発のための2030アジェンダ」が採択されました。そこで掲げられたのが「持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals)」、通称SDGsです。経済・社会・環境の三つの側面から持続可能な社会を達成するための17項目のゴールと、項目ごとに設定された計169のターゲットで構成されています。地球環境を守りながらも経済的な豊かさを追求し、さらに人々の平和と平等を目指すため、先進国や途上国に関係なくすべての国々が手を取り合って課題に取り組んでいくことがSDGsの意義となっています。

出典:国際連合広報センター

SDGsの特徴として、それぞれの課題は決して独立しているわけではなく、お互いに密接に関連しています。例えば、「1.貧困をなくそう」という目標は、「2.飢餓をゼロに」や「3.すべての人に健康と福祉を」などと繋がっています。このように、ある課題を解決するためにはさまざまなほかの問題も考慮に入れる必要があるのです。しかしそれは反対に、あるひとつの課題解決のためのアクションが思いもよらない形で良い結果をもたらす可能性があるということも意味します。だからこそ、わたしたちひとりひとりが行動を起こすことが重要なのです。

SDGsと再生可能エネルギー

再生可能エネルギーの普及によって、SDGs達成にどのように貢献できるでしょうか。まず最も重要なのが、「7.エネルギーをみんなに そしてクリーンに」という目標です。

“7.2 2030年までに、世界のエネルギーミックスにおける再生可能エネルギーの割合を大幅に拡大させる。”

“7.a 2030年までに、再生可能エネルギー、エネルギー効率及び先進的かつ環境負荷の低い化石燃料技術などのクリーンエネルギーの研究及び技術へのアクセスを促進するための国際協力を強化し、エネルギー関連インフラとクリーンエネルギー技術への投資を促進する。”

7番のターゲットの中で再生可能エネルギーについて言及があるのは、この2つです。特に7.aでは再生エネルギー普及のための具体的な方針が定められています。これらのターゲットが密接に関わっているのは、「13.気候変動に具体的な対策を」です。ここでは直接触れられていませんが、再生可能エネルギーは火力発電と比べて圧倒的に二酸化炭素の排出量が少なく、気候変動対策として有効であると言えます。また、再生可能エネルギーのエネルギー源である太陽光や水力、風力、地熱などは、石油や石炭と異なり枯渇することのない持続可能な資源です。この点では「12.つくる責任 つかう責任」のターゲット

“12.2 2030年までに天然資源の持続可能な管理及び効率的な利用を達成する。”

とも関連しています。再生可能エネルギーについて考えることは、気候変動や資源消費の問題にもかかわることなのです。

再生可能エネルギーの導入率

現在世界ではどのくらい再生可能エネルギーの普及が進んでいるのでしょうか。

出典:資源エネルギー庁

2017年時点で最も再生可能エネルギーの普及が進んでいるのはカナダで、水力発電の割合が全体の6割を占めています。起伏の激しい河川やナイアガラの滝など水力発電に適した環境に恵まれていることが理由です。また、ヨーロッパの再生可能エネルギーを牽引するドイツは太陽光発電や風力発電を推進する先進的な政策を多くとっており、水力発電を除いた再生可能エネルギーの発電比率は世界トップとなっています。

ところが、温室効果ガス排出の大きな原因となっている石炭・石油の発電量は世界全体でみると依然として大きな割合を占めています。特に全体の発電量が多い中国・アメリカ・日本における化石燃料の割合が大きく、温室効果ガスの排出削減を目指す余地はまだまだありそうです。再エネ導入目標比率を見てみると、ヨーロッパ諸国は2020または2030年までに40%前後の達成を目標としている一方で、日本は2030年に22~24%を目指すにとどまっていました。しかし2021年に日本は36~38%へと目標を大幅に引き上げ、再生可能エネルギー政策の推進が期待されています。

再生可能エネルギーへの取り組み

では、実際に再生可能エネルギーを普及させるためにどのような取り組みが行われているのでしょうか。

世界で行われている取り組み

国連開発計画(UNDP)

国連開発計画(UNDP)では、世界110か国以上で再生可能エネルギーの拡大に対する支援を行っています。例えば、電気を使うことができず薪を燃やして明かりや料理のために使用していたボツワナのある地域では、UNDPの支援で太陽光発電機が導入され、二酸化炭素の排出量削減や森林保全につながりました。途上国では大規模な発電所を設置することが難しくても、太陽光発電などの再生可能エネルギーなら比較的手軽に地域に電気を供給することができます。

EU

2020年11月、EUは「欧州グリーン・ディール」の一環として、洋上再生可能エネルギー戦略を発表しました。洋上風力発電能力を現在の12ギガワットから2050年までに300ギガワットに拡大するという大規模なもので、約8000億ユーロもの投資を予定しています。洋上風力発電は従来のものとは異なり、海岸から離れた海の中に風力発電機を建設する発電方法で、ヨーロッパを中心に開発が進んでいます。海の上なので陸上よりも風が強く安定して吹いているため発電にムラが少ない点や、騒音などの問題をクリアできる点から注目を集めています。一方で建設にコストがかかるのが課題であり、日本でも普及するためには建設技術の革新が必要とされます。

アジア

経済発展が著しく、急激に拡大したエネルギー需要から温室効果ガスの排出や大気汚染が問題となっているアジア地域。アジアでの脱炭素化のために注目されているのが、化石燃料を利用して排出されたCO2を回収・利用・貯蓄するCCUS技術です。CCUSを活用するためにはCO2を貯蓄する場所が必要ですが、アジアには貯蓄ポテンシャルのある油田が数多く存在し、CCUSに利用することによって原油の増産という経済的インセンティブを得ることもできます。そこで、2021年の第1回アジアCCUSネットワークフォーラムで日本を中心として「アジアCCUSネットワーク」が設立されました。ASEAN各国など計13か国が一体となってアジア地域でのカーボンニュートラル実現を目指しています。

日本で行われている取り組み

2050年カーボンニュートラル

日本におけるカーボンニュートラルとは、二酸化炭素などの温室効果ガスの排出量を実質ゼロにするという目標を意味します。つまり、温室効果ガスの排出量をできるだけゼロに近づけ、不可能だった分は吸収・除去することで全体として最終的にゼロにするというものです。ここで重要なのは再生可能エネルギー導入を中心とする脱炭素への取り組みです。環境省は、2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略を制定し、各産業において再生可能エネルギーの導入、水素やアンモニアなど新しい選択肢の検討など脱炭素に向けて高い目標を設定しました。また、ゼロカーボンに取り組む企業や自治体に対する支援も積極的に行われています。

FIP制度

2012年に制定されたFIT制度は日本における再生可能エネルギーの普及に大きく貢献しましたが、一方で課題もありました。賦課金が電力利用者の負担となってしまっていたことや、電気の買取価格が決まっていたために需要と供給のバランスを考慮する必要がなかったことなどが挙げられますが、2022年から施行されるFIP制度はこれらの問題点を改良して、再生可能エネルギーを主力エネルギーにすることを目指しています。FIP制度では売電価格にプレミアムと呼ばれる変動制の補助額を上乗せすることで、再生可能エネルギーの導入を促進します。プレミアムの付加によって発電事業者へのインセンティブが確保されることや、市場の需要による変動制となったことで以前よりも市場における規模が拡大することが期待できます。

地域における再生可能エネルギー事業の支援

環境省は、地域経済活性化や地域の温暖化対策、さらに防災を目的として地域主導の再生可能エネルギー事業を支援しています。採算性や収益性が見込まれる地方の再生可能エネルギー事業を出資によって支援するグリーンファンドという制度や、地方自治体が環境事業の資金を調達するために発行する債券であるグリーンボンド(住民参加型市場公募債)、そして地方自治体と地域金融機関のリレーション構築といった施策が推進されています。地域内でエネルギーを生み出し循環させることで、地域の産業振興や雇用創出、税収増加などの効果が期待できます。

地方自治体で行われている取り組み

茨城県神栖市 はさき漁業協同組合

茨城県南東部にある太平洋に面した街、神栖市には、日本最大級の風力発電設備があります。神栖市では45基もの風力発電機が稼働していますが、そのうちの2基を運営しているのがはさき漁業協同組合です。水産庁からの補助金を利用して建設された風力発電機では、2基合わせて年間770万kWhの電力を間接的に製氷工場や漁協関連施設に供給しています。発電事業によって組合の経営が安定し、研究会への活動助成金などとして組合に還元しています。また、地域のイベントに水産物を提供したり水産物製品のパッケージに風力発電の写真を使用したりするなど、地域の産業と合わせて発展している点が特徴的です。

北海道苫小牧市 株式会社Jファーム

北海道中南部に位置する苫小牧市では、トリジェネレーションを活用したスマートアグリ事業が行われています。トリジェネレーションシステムとは、発電によって発生した電気・熱・CO2の3つを植物の成長促進に使用するもので、通常よりも効率よくエネルギーを利用することができます。この試みを展開している株式会社Jファームでは、エネルギー源として天然ガスのほかに木質バイオマスや温泉熱といった再生可能エネルギーを活用して水耕栽培を行っています。これによって農業における省エネやCO2削減が可能になっただけでなく、地元の林業者から木質バイオマスボイラの燃料である木材チップを仕入れることで間伐材の有効活用や山林の整備といった結果ももたらしています。

企業が行っている取り組み

キリンホールディングス

ビールをはじめとした飲料メーカーとして有名なキリンでは、再生可能エネルギーの導入をはじめとして温室効果ガスの排出削減に取り組んでいます。「SBT1.5℃」目標の承認を取得、「RE100」に加盟して使用電力の再生可能エネルギー比率目標を2040年に100%に設定するなど、業界での環境施策をリードする取り組みを行っています。チェーン全体でヒートポンプや水力発電、太陽光発電を導入し、温室効果ガス排出量ゼロを目指しています。また、学生やNPO、企業などが脱炭素社会を目指す取り組みをアピールする「脱炭素チャレンジカップ」に協力するなど、次世代へつなぐ支援も行っています。

東京スカイツリー

2012年にオープンした東京スカイツリーと東京スカイツリータウン、そしてその周辺地域には熱供給システムが導入されています。ヒートポンプや地中熱利用システムを活用することで、省エネ、CO2削減、防災機能向上、ヒートアイランド抑制などの効果が期待できます。これらの設備によって供給される冷熱や温熱は、地域一帯の空調設備に利用されています。地域熱供給システムは都市の広い範囲に供給できるため、効率よくさまざまな再生可能エネルギーを利用し、都市の脱炭素化に貢献することができるのが特徴です。

三菱地所

東京・丸の内エリアに多数の事業用ビルを保有している三菱地所は、全19棟のビルで全電力を再生可能エネルギーに切り替えると発表しました。再生可能エネルギーにより発電され一般の送電網を通じて供給される生グリーン電力とトラッキング付非化石証書を併用して「RE100」に対応することとしています。コロナ禍でオフィスビルの在り方が変化した今、サステナビリティという付加価値の重要性が高まってきました。企業や不動産の価値を高めるためにも再生可能エネルギーへの対応は不可欠と言えるでしょう。

わたしたちにできること

ここまで実際に取り組まれている再生可能エネルギーの施策や導入例について見てきましたが、わたしたち個人にはいったいなにができるのでしょうか。

太陽光パネルの導入

個人の自宅で導入される再生可能エネルギーとして代表的なのが太陽光発電です。太陽光発電パネルを設置するにあたってはメリットやデメリットを検討する必要があります。

太陽光発電のメリット

・CO2を排出しない

・災害での停電など緊急時にも使える

・光熱費を削減できる

・余った電気は売電できる

・補助金制度を利用できる

・価格は低下してきており、一方で性能は向上している

太陽光発電のデメリット

・発電量が天候や気象条件に左右される

・初期費用が掛かる

・売電価格が低下してきている

・自然災害などで破損する可能性がある

・多くのスペースを必要とする

このようにいくつかのメリット・デメリットが挙げられますが、うまく使えば環境にやさしく収益も得ることができるため、よく比較検討することが重要です。

100%再生可能エネルギー、CO2排出量ゼロの電気を契約する

自宅に太陽光パネルを設置できない、デメリットが気になるという方でも再生可能エネルギーを利用できるのが、100%再生可能エネルギ―やCO2排出量ゼロの電気プランです。例えば、looopでんきのenecoというサービスでは、通常の従量料金にenecoのプランを上乗せすることで、再生可能エネルギー由来の電力やCO2排出量ゼロの電力を使用することができます。

電気がどの再生可能エネルギー発電からやってきたのかが分かるトラッキング付きの非化石証書ももらうことができ、RE100への適用や温暖化対策法などに活用できます。電気に「環境価値」を付加したサービスですが、従量料金が割安となっているため電気代を抑えることができます。毎日使う電気を通じて社会貢献することができるため、一般家庭でも利用する価値のあるサービスです。

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おわりに

2011年の福島第一原発事故以来、日本のエネルギー事情は大きく変わり、気候変動対策の強化も相まって再生可能エネルギー普及の重要性はかつてないほど高まっています。世界全体から個人レベルまでさまざまな取り組みが行われており、その技術は日々進歩していますが、SDGsをはじめとした各目標を達成するためには一人でも多くの協力が必要です。

いま街中やテレビなどでよく見かけるSDGsというキーワードですが、目標の規模が大きすぎて自分にはあまり関係ないと思う方もいらっしゃるかもしれません。しかし、SDGsのコンセプトは「だれ一人取り残さない」。アクションを起こすことも含めて、地球上で暮らすみんなが当事者となっています。コロナ禍で自分の価値観を見つめ直し、社会貢献に価値を見出す人も増えています。ぜひこの機会に、地球のためにできることを考えてみませんか。この記事を読んでくださったあなたが再生可能エネルギーについて、そして地球環境について考えてみるきっかけになれば幸いです。

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