卒FITにおける買取単価情報まとめ、おすすめの電力会社もご紹介!

  • 更新日:2023/11/14

皆さん、太陽光発電で発電した電気の売り先にお困りですか?環境に配慮した生活実現のほか、売電による副収入として期待して太陽光発電設備の導入を行った家庭は多いのではないでしょうか? 2009年に始まったFIT制度ですが、2019年から10kW未満の太陽光発電に関しては10年間の買取期間を終えてしまう人が続々と発生する事態となっています。

そこで、本記事ではFIT期間の買取価格や卒FIT後の各電力会社の買取価格などについて調べてみました。「FIT期間を終えたけど、これからどうしよう?」、「これからFIT期間を終えてしまうので、今のうちからお得な情報を知りたい!」そんな方は是非この記事を読んでみてください!

なお、どの電力会社の卒FIT買取サービスを利用するかお困りの方は、各社の価格情報等を一覧にまとめておりますので、コチラもご参照ください。

FIT

まず、皆さんはFITについてどのようなことを知っていますか?FITとはFeed-in Tariffの略称で、「再生エネルギーの固定価格買取制度」と日本語で訳される制度のことです。この制度は、「太陽光発電」、「風力発電」、「水力発電」、「地熱発電」、「バイオマス発電」の5つによって発電される電力を、国が一定の価格で一定期間電力の買取の保証を行ってくれるというものです。

どの発電方式なのかによって国が保証する期間は異なりますが、例えば太陽光発電の場合は10kW未満の発電施設は10年間、それ以上の場合は20年間の電力買取が保証されています。また、FITによる電力の買取に使用される費用は「再エネ賦課金」として国民が支払う日々の電気料金に上乗せする形で賄われています。

kW?kWh?何が違うの?

ちなみにですが、まず太陽光発電などの発電に関して調べていると必ず目にするであろう「kW(キロワット)」や「kWh(キロワットアワー)」について皆さんはしっかりと理解していますか?まずは、基本的単位についておさらいをしておきましょう。

「kW」とは、基本的に1kW=1000W(ワット)で変換することのできる電力の単位です。1kg=1000gと同じことですね。ただし、この値は瞬間的なものです。例えば太陽光発電で「3.3kW発電中」と表示されていた場合、基本的には「今この瞬間は太陽光発電によって3.3kWの電気が発電されている」ということになります。つまり「今電力がどのくらい流れている状態」なのかを示す単位です。

対して、「kWh」は電力(kW)に時間(h)を掛けたものです。例えば、稼働させるのに必要な電力が1kWの家電製品を1時間稼働させ続けると「1kWh」を消費したことになります。つまり、「kWh」とは1時間あたりの累計電力量のことを指しています。つまり、太陽光発電で例えると、1kWの太陽光パネルが有った場合はそれを1時間稼働させることで1kWhの電力を発電したということになります。

FITの買取価格

上記を踏まえた上で、FITによって買取が行われる電力は、いったいどの程度の値段で買取されるのでしょうか?実は、買取価格は一部の再生エネルギーを除いて毎年変遷しています。各電源ごとに事業が効率的に行われた場合、通常必要となるコストを基礎に適正な利潤を勘案して、調達価格等算定委員会の意見を尊重した経済産業大臣によって決定されます。

また、500kW以上の太陽光発電施設や10,000kW以上の一般木質バイオマス・農作物の収穫に伴って生じるバイオマス固体燃料の発電施設などでは、入札制度によって価格が決定されるため、正確な価格が事前にわからないものもあります。以下は、2009年のFIT制度開始時点から2022年までの産業用太陽光発電と10kwh未満の住宅用太陽光発電の買取価格の推移をグラフにしたものです。(2009~2011年度までの産業用太陽光発電は電力会社が自社買取していました。)

上記以外にも資源エネルギー庁のHPには風力発電や水力発電などの様々な再生可能エネルギーの買取価格が記載されています。興味のある方はこちらのリンクから参照してみてください。

上記グラフのように、FIT期間中は価格の変遷はあるものの、年間一定の価格で電力の買取をFIT制度によって保証されています。しかし、年々FIT制度による買取価格は下落を続けています。2022年度には産業用太陽光発電の1kWhあたりの買取価格は10円に、家庭用太陽光発電は1kWhあたり17円にまで下落します。

加えて、住宅用太陽光発電は買取価格が毎年2~3円のペースで下落が続いており、歯止めがかからない状況です。ただし、産業用太陽光発電も2019年度まで2~3円ペースで下落が続いていましたが、2020年から2022年までは1円ずつの値下がりとなっており、若干下落の勢いが弱まりました。また、産業用太陽光発電のFIT調達期間は20年、住宅用太陽光発電のFIT調達期間は10年となっています。

2009年のFIT制度開始当初の住宅用太陽光発電の買取価格と2020年現在の買取価格、そして2022年度に予定されている買取価格では年間の収益にどれほど大きな差となって現れていくのでしょうか?

  • 1年間の売電量1,506kWh
  • 太陽光発電容量4.5kW
  • 東京電力管内

上記3点を前提条件として、2009年度、2020年度、2022年度におけるFIT制度による年間の収入を計算して下記グラフに示してみました。

計算した結果、上記グラフのような結果となりました。2020年度に受け取ることのできる金額は2009年度からみて約半分以下に、2022年度には2009年度3分の1以下の金額しか受け取ることができなくなるという計算結果でした。

金額で見ると、2009年度買取価格と2022年度買取価格では20万円以上年収が下落することになっているということがよく分かります。一方で、太陽光発電自体の価格も値下げが続ているので、いずれの時期に太陽光発電を購入したとしても、初期費用の償却期間としては大体10年間程度となっております。

卒FIT

しかしながら、これまで言及してきたようにFITには調達期間(=買取期間)が定められています。一般的な家庭用の太陽光発電設備は10kW未満の事がほとんどですから、調達期間は10年になります。設置日から10年を過ぎるとFITによる買取の対象から外れてしまいます。2009年からFITが始まったため、2019年にはFIT対象から初めて外れる再生エネルギーの発電設備がたくさん発生しました。これは「2019年問題」とも呼ばれ、FIT対象から外れた発電設備のオーナーらは頭を悩ませました。

卒FIT 後の選択肢とは?

これまで、FITについての説明をしてきました。しかし、FITにおける一般的な家庭用太陽光発電設備の調達期間は10年間と短く、2019年11月から順次FIT調達期間外となる太陽光発電設備が発生しています。では、FITによる調達期間が終了してしまった発電設備から得られる再生エネルギーはどうすればよいのでしょうか。いくつかの選択肢について調べてまとめてみました。

大手電力会社に売電し続ける

まず、1つ目の選択肢としてFITによる買い上げ時と変わらず大手電力会社に売電を続けるという選択肢です。大手電力会社というと東京電力や関西電力といった旧一般電気事業者の電力会社のことを指します。FIT調達期間外になっても手続きが面倒で、FIT調達期間内のときと同じように大手電力会社に買取してもらっているという方も多いのではないでしょうか?では、大手電力会社は具体的にどのくらいの値段で再生エネルギーの買い取りを行ってくれるのか、2021年2月現在の買取金額を下記の表にまとめてみました。

電力会社 買取金額/kWh
北海道電力 8円
東北電力 9円
東京電力 8.5円
中部電力 8円(7~12円)
関西電力 8 円
中国電力 7円15銭
四国電力 7円
九州電力 7円

このように、基本的に大手電力会社に売電した場合は1kWhあたり10円未満となり、FIT期間中の売電価格から比べて大きく下落します。特に、中国と四国、九州電力管内での契約となっている方は、大手電力会社にそのまま売電し続けた場合全国でも最低水準の1kWhあたり7円台での売電となってしまいます。また、一番高い買取金額を示している東北電力であっても1kWhあたり9円と少額で、10円台には届いていません。では、具体的にFIT調達期間中と大手電力会社の卒FIT後の買取価格では、年間の収入にどの程度の差が出ることになるのでしょうか?

  • 1年間の売電量1,506kWh
  • 太陽光発電容量4.5kW
  • 2020年度に太陽光発電を購入
  • 東京電力管内

上記4つを要件として、2020年度におけるFIT調達期間中と卒FIT後に東京電力への売電を継続した場合の年収差を計算してみました。

計算の結果、なんと10万円近い年収ダウンになることが分かりました。いかにFIT制度の恩恵が大きなものであったかが分かりますね。この結果を割合で考えますと、2020年のFIT買取価格の1kWhあたり21円と比べて東京電力への売電では収入が約6割減となるので注意したいところです。また、四国電力や九州電力管内の方は東京電力より1.5円も買取価格が低くなるので、FIT調達期間内と卒FIT 後の年収差はさらに開くこととなります。

自家消費

次の方法として考えることができるのは、太陽光発電によって得られた電気を自家消費することです。太陽光発電施設だけでは電気を溜めて置くことができないため、家庭用蓄電器を新たに導入することで、発電で得た余剰電力を自家消費することができるようになります。自家消費のメリットをわかりやすく示すため、大手電力会社の従量電灯Bの電力量料金第1段階と買取価格をまとめてみました。

電力会社 買取金額/kWh 電力量料金/kWh
北海道電力 8円 23円97銭
東北電力 9円 18円58銭
東京電力 8円50銭 19円88銭
中部電力 8円 21円04銭
関西電力 8円 17円91銭
中国電力 7円15銭 18円07銭
四国電力 7円 16円97銭
九州電力 7円 17円46銭

上記図表を見てわかるように、FIT終了後も大手電力会社に売電を継続する場合、同じ1kWhの電力でも10円以上の差が出ます。しかも、あくまでもここに示した電力量料金は従量電灯Bの第一段階ですので、第二弾階、第三段階と電力量料金はさらに増加の余地があります。基本的にどの大手電力会社であっても買取金額と電力量料金には大きな差がありますが、特に北海道電力の金額差が大きくなっています。

そこで、少しでも電力料金を安く抑えたい方や災害時の備えとして電源を確保したい方におすすめなのが自家消費のために家庭用蓄電器を設置することです。日中は太陽光発電によって得られた再生エネルギーで電力をまかない、夜間は日中の余剰電力を貯蓄した家庭世蓄電池からもたらされた電力と電力会社からもたらされる電力によって過ごすことで、電力会社に支払う電気料金を節約する事ができます。ただし、気をつけなければならないことがあります。

それは、家庭用蓄電器の導入コストは高いということです。現状では、導入コストが非常に高価であるため経済的メリットを出すことが難しく、どちらかと言うと災害時の備えとしての面が強くなっています。今後の技術革新による家庭用蓄電池価格の低下に期待です。けれども、夜間の電気料金が安いプランを選んで電力会社と契約し、日中は太陽光発電によって電力を賄うことで電気料金の削減は可能かもしれません。

他の電力会社に乗り換え!

太陽光発電で余剰電力がある。けれども大手電力会社は1kWhあたりの再生可能エネルギー買取金額が安いから避けたいけど、家庭用蓄電器を導入しても導入コストが高くて経済的メリットが発生しない…。

そんな方におすすめなのが、大手電力会社から他の新規参入電力会社に乗り換えることです。多くの新規電力会社は東京電力などの大手電力会社よりも高い買取価格で再生エネルギーの買い取りを行っています。また、余剰電力買取先としてだけでなく、大手電力会社から契約を移行することで余剰電力の買取価格が上昇する電力会社も存在します!では実際に、大手電力会社から他の電力会社に乗り換えることにはどのくらいの経済的なメリットが存在するのでしょうか?

  • 1年間の売電量1,506kWh
  • 太陽光発電容量4.5kW
  • 東京電力管内

上記3点を要件として、最高水準の価格水準かつ、安心・安全のENEOSの太陽光余剰電力買い取りプランと東京電力にそのまま売電したときの年収差を比較してみました!

計算した結果、なんと上記グラフのように年収が約2万円近くアップすることが分かりました。割合でいうと、年収2割アップです。余剰電力は皆さんが太陽光発電装置を設置している地域やその場所の環境によって異なってきますが、今回のシミュレーションの仮定よりも普段多くの余剰電力を売電している方はより大きな金額の年収アップが期待できます。売電先を変更するだけでこんなにも年収に変化が発生させることができるのですね!

東京電力管内におけるENEOSの卒FIT買取価格は1kWhあたり11円と、とてもお得な買取価格になっています。東京電力の買取価格1kWhあたり8.5円と比較して2.5円も高い価格での買い取りを行ってくれます。その他の新規参入電力会社にも買取価格や付随するサービスに大きな魅力のある会社が沢山存在しています。大手電力会社から乗り換えて、電気料金を低く抑えつつ余剰再生エネルギーの買取価格を高くして、日々の生活をおトクに過ごしましょう!

まとめ

これまで記事を見てきていかがだったでしょうか?FIT制度は再生エネルギー普及に向けた素晴らしい政策ですが、その政策を持続可能なものにするためには調達期間を設けることによって、買い取りの期間に制限を設けることが必要なのだと思います。

10年の調達期間を終えた後に我々がどのように太陽光発電によって得た再生エネルギーを活用するのかについてはよく考えなければなりません。再生エネルギーの活用という点では自家消費を目指すべきなのかもしれませんが、現状は家庭用蓄電器の導入コストは高く経済的メリットが弱く、選択のハードルは高いです。経済的メリットを大きくしたいのであれば、現状は再生エネルギーを高く買取してくれる新規電力会社に乗り換えることが一番賢い選択なのかもしれません。この記事が皆さんの選択の一助になれば幸いです。

ご参考:卒FIT後の太陽光買取サービスの一覧表のご案内

当サイトでは、卒FIT後の太陽光買取サービスを実施している電力会社の価格情報を一覧で整理しております(一覧表はコチラ)。ぜひともご覧いただけますと幸いです。

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エコモ博士
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