レジ袋がもたらす有毒な魚

  • 更新日:2020/09/17

所属:上智大学

インターン生:N.Dさん

レジ袋がもたらす有毒な魚の写真

最近、社会的、世界的に環境問題への機運が高まってきていることにお気づきでしょうか?コロナ渦によって過去のニュースとなってしまいましたが2019年には欧米を中心にグレ タ・トゥーンベリさんの呼びかける運動が活発化しました。国内でも2020年7月に施行されたレジ袋有料化やカフェやお菓子包装の紙への材質変更を身近に感じるところだと思います。そしてそれらに反抗する動きとして米トランプ大統領はパリ協定から離脱するという出来事もありました。今回は、政治や経済では包摂し得ない環境の問題を考えていただくことで、自分ごととして地球のことを考えるきっかけになればと思います。

レジ袋がもたらす有毒な魚

プラスチックが私たちの生活に浸透してかなりの時間が経っています。プラスチックは安価で使い勝手がよく様々な製品に重宝される素材です。しかし、私たちはその「当たり前」を考え直さなくてはいけない時期にあると言えるでしょう。身近な例でいうと2020年7月に施行されたレジ袋有料化や、スターバックスのストローが紙製になったことが挙げられます。また、米カリフォルニアの大規模な山火事や、異常気象と言える巨大な台風や大雨による被害もプラスチックゴミやその影響を受ける地球温暖化が原因だと言われています。

例えば、気軽に使えて便利なプラスチック製レジ袋にはどれだけの悪影響があり、その有料化にはどれだけの改善効果があるのでしょうか。まず日本は世界で2番目に一人あたりのプラスチック容器包装廃棄量の多い国で、総合量では世界5位です。これには使い捨てプラスチックによって衛生面を担保する利点の裏返しと言えるでしょう。

そして現状として適切なリサイクルがなされていない場合も多く、世界全体で年間数百万トンとも言われるプラスチックが海洋に流出する一端となっています。その方策としての3Rの一つ、reduce(減らす)の取り組みとして強制的な有料化が図られました。

しかしこの法令の趣旨は持続可能な資源の運用なため、一定の環境性能が認められるものは対象から除外されています。先行事例ではプラスチック製レジ袋の価格を2〜3円に設定したとしてもその辞退率は80%を超える事例もあり、価格設定以上に、声かけやマイバッグ利用の推進も重要であると言えるでしょう。日本で排出されるプラスチックゴミのうちレジ袋の占める割合は2%ほどと言われますが、最も身近にあるものとして市民の意識に訴えかけるきっかけとなることが今回の法令の目的です。これによって過剰な使用が抑制され、また、市民がプラスチックに関連する問題やそのライフスタイルを考え直すことが目指されています。

では実際廃棄されるプラスチックゴミはどのように処理されているのでしょうか。大きく2つの方法があり、海外に輸出して委託する方法と国内で処理する方法です。前者では主に東南アジアに100万トン弱のゴミを「輸出」しており、現地では多くの先進国から廃棄物が送られてくることで深刻な問題となっています。

というのも請け負っている業者が違法な場合が多く、適切な処理がなされないまま不法に投棄される事態があとを立たないからです。このような状況を受けて中国は廃棄物の輸入を大幅に禁止しましたが、そのしわ寄せを受ける東南アジア諸国の問題は深刻さを増すばかりで対応に追われています。

次に国内で処理する方法があります。日本ではペットボトルや食品容器の分別回収が行われているし、リサイクル率84%という数字をきくと日本のゴミ処理事情は悪くないと思われるかも知れません。しかし、リサイクルと聞いてみなさんはどんなことを想像されますか?ゴミとなったものが新しい製品として蘇る「マテリアルリサイクル」を想像されるかも知れませんが、これはその難しさからいえば少なくないかもしれませんが国内で23%にとどまります。

大部分の60% を占めるのは「サーマルリサイクル」と呼ばれる方法で、要は廃棄物を燃やす燃料として火力発電に利用されています。これは国際基準では「リサイクル」と呼べない方法であり、日本の実質的な廃棄物事情はかなり遅れたものと指摘されています。そして、石油由来のプラスチックを燃やすとできるだけ抑えられているものの二酸化炭素が多く発生し、温室効果として地球温暖化を促進します。

では、分別回収を行っているのにどうしてプラスチックのリサイクルは進まないのか。それは、プラスチックの形態の代表的な7種類でさえ樹脂の構成や透明度などがバラバラなため、リサイクルの工程は複雑どころかほぼ不可能と言われるからです。

再処理の過程で純度を保つには手作業での仕分けや、汚れなどの不純物が紛れ込まない必要がありますが、安価や手軽さが売りのプラスチックに手間やコストをかけるのは本末転倒であるという経済的な考え方から、もっとも安い手段である海外輸出や燃焼が主に利用されています。プラスチックはその製造過程にも多大な環境への悪影響を生じさせますから、最善の手段は全体のプラスチック量を減らすことと言え、レジ袋の有料化はその第1歩と評価できるかも知れません。

また、別な視点として、あえてコストをかけることを環境への配慮の一環としての価値を持たせるという考え方もあります。これは最近のハイファッションに見られ始める傾向ですが、プラスチック再利用製品などエシカルな素材を促進し、環境問題に対する社会的意識の向上、売り上げによるコストのかかるリサイクル事業の育成、企業と顧客としての社会的貢献を目指すものです。

アメリカではもともと富裕層が慈善団体やNPO法人への寄付などを通して社会的な活動、働きかけをする土壌がありますからこのような取り組みもセレブリティを中心に広がっており、日本でもセルフブランディングを含めて活用されることが増えてきたように感じます。これはプラスチックの製造過程の加工のしやすさや取り回しの良さをうまく活かした方法と言えるでしょう。

皆さんはニュースなどで聞くようになった「マイクロプラスチック」についてどれくらい知っていますか?マイクロプラスチックとは5mm以下のプラスチックのかけらのことを指します。歯磨き粉のスクラブや、一般的なプラスチック製品が紫外線による劣化や損壊などで細かくなることで発生します。そして、石油由来のプラスチックは自然分解されることなく半永久的に存在し続けることが問題なのです。

プラスチックに使われる有害な物質が海洋汚染を引き起こすことや、生物の体内に入り込むことで人間を含む生態系全体に物理的、化学的な悪影響を及ぼすからです。さらに、このサイズのものは回収ができないどころか実態把握もままならないことが問題を一層深刻にしています。

さて、地球温暖化と聞いて皆さんは何をイメージしますか?氷に浮かぶ北極クマや貝水面の上昇でしょうか?しかし今回想像していただきたいのは西日本を襲った巨大台風と大雨の被害や米カリフォルニアでの大規模な山火事です。どちらも過去最大級と呼ばれる規模で被害を起こし、死者や被災者が大勢でています。

これらの異常気象は地球温暖化に原因があるとされる説が非常に有力で、その大元をたどれば私たちの身の回りのプラスチック製品が着実に問題を深刻化させているのです。まず前者、巨大台風や大雨の正体は熱帯低気圧です。赤道付近の気温の上昇がこの発達を促進します。そして、雨とは空気中の水蒸気が集まった「雨雲」の発生で起こるものですが、その地域の気温が上がると水蒸気が空気中にたまりやすくなり、大気の状態が不安定になることで偏西風などによるわずかな刺激で集中的な豪雨に発展するようになります。

その逆に、もともと乾燥している降水量の少ない地域では異常少雨や干ばつが起こります。それがもともと乾燥から山火事の多かったカリフォルニアですが今年のものは前代未聞の大災害になっている理由です。

では、プラスチック製品の使用がどれだけ環境、地球温暖化に問題があるのでしょうか。たしかに一見すると車や工場から排出される空気や森林伐採などが最たる原因と思われるかもしれません。実際に私たちがプラスチックから受けている恩恵と環境へのダメージを天秤にかけることはできませんが、事実として2012年の時点でプラスチックの生産過程にある燃焼で排出された二酸化炭素発生量は全体の約6%に当たります。

ところがその量は3億9000万トンという莫大な数字である上に、ここには他の生産方法や処理過程で発生する量が含まれていません。「サーマルリサイクル」ではパッケージ分だけで598万トンの二酸化炭素が排出されますし、マイクロプラスチックが海洋に流出し、植物プランクトンに吸収されるとその光合成量が45%減少するという実験結果があります。そして何よりもこの数字は増大の一途を辿っており、2050年には28億トンに及ぶと試算されています。

では私たちに何ができるでしょうか。まず自分の身の回りのものをプラスチック製から持続可能な素材に変えること、そしてこれは社会全体の問題ですから可能ならその習慣を周囲に広めることが最も手軽な方法でしょう。

プラスチック製でも長く大事に使うことが改善につながります。次に、プラスチックゴミをはじめとする環境問題への取り組みに共感を示すという方法があります。それは例えば官公庁によるマイバッグ推進に始まり、社会貢献を行っている企業の製品を積極的に買うことも意思表明になります。

NPOやNGO団体へ寄付される仕組みを利用することもいいでしょう。プラスチックにまつわる問題ではコストを追求した結果生まれることが根本にあります。消費者として、低価格の使い捨て製品よりも多少値が張っても環境に配慮された持続可能な製品を選ぶ風潮が広まれば社会全体でプラスチック、ひいては資源の使い方を考え直す必要が出てくるでしょう。

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エコモ博士
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