野菜を食べて地球環境を守る

  • 更新日:2020/09/09

所属:明治学院大学

インターン生:I.Mさん

野菜を食べて地球環境を守るの写真

最近、ヴィーガンやベジタリアンという言葉を聞く機会が増えているのではないでしょうか。日本では、菜食主義はダイエットや体の健康を目的に広まっていきました。現在では、街を歩いているだけでも、ヴィーガンやベジタリアンをターゲットにしたレストランを多く見かけます。その健康志向が、実は個人の健康だけでなく、地球という惑星の健康をも守るのです。

菜食主義とは

「ヴィーガンとベジタリアンの違いは?」という疑問がよくありますが、ベジタリアン(菜食主義者)の中にヴィーガン(完全菜食主義者)が含まれています。「完全菜食主義」とは、肉や魚を食べないことに加え、卵や乳製品などの動物性食品を摂取しないことを意味します。ベジタリアンとヴィーガンの大きな違いは、体の健康に重点をおいているか、倫理に重点を置いているか、という違いが大きいと思われます。

ヴィーガンになる代表的な理由は、健康、環境、動物の3つです。その他、ラクト・ベジタリアン(植物性食品と乳製品を食べる)、ペスコ・ベジタリアン(植物性食品、魚、卵、乳製品を食べる)、エシカル・ヴィーガン(毛皮や皮などの動物性製品の使用を避ける)、などベジタリアンの中には多様な信条を持った人が存在します。彼ら/彼女らがベジタリアンになる背景は、個人的な思考、宗教、健康、そして環境への配慮など、多種多様です。

ベジタリアンやヴィーガンの友人に食にこだわっている理由を尋ねました。アメリカ人ベジタリアンのAさんは「家族がベジタリアンだから、生まれた時から疑問なくベジタリアンをしている。」、ニュージーランド人ベジタリアンのBさんは「ヒンドゥー教で牛が神聖であり、豚は不浄であるから食べない。鳥は好まないから食べない。」と述べていました。

日本人ヴィーガンのCさんは「YouTubeのある動画をきっかけに、動物の権利や屠殺の残酷さを知り、動物性食品を食べるのをやめた。」、日本人ヴィーガンのDさんは「YouTubeのある動画を見て、畜産業への疑問を抱いた。調べてみると、牛から出るメタンガスが地球環境に悪影響であること、飢餓の問題は動物が消費する穀物量があれば解決につながること、劣悪な環境で生まれ育つ動物の命の扱いの粗末さからヴィーガンを決意した。」、オランダ人ヴィーガンのCさんは「動物がとにかく大好き。動物を製品としては見ることが出来ない。」と述べていました。

ここから見て取れるよう、菜食主義を貫く背景は一人一人異なることが分かりました。母数の少ない調査なので、不確かではありますが、日本では個人的な思考で菜食主義になる場合が多い印象を受けました。

肉の生産と地球温暖化の関係

肉を生産するには非常に多くのエネルギー、穀物、水、土地などが必要とされます。国連によると、人間活動により排出される温室効果ガスのうち、全体の25%は発電、15%は肉の生産によるものだとされています。

驚くことに、TokyoVeganによると、バーガー1個作る際に排出される温室効果ガスは、車を18km走らせる際に出る温室効果ガスと同じ量(=3,051g)とされています。牛のゲップに含まれるメタンガスは、強力な温室効果ガスなのです。つまり、環境面から見ると、肉を生産することは決して効率の良いことだとは言えないのです。

穀物

1kgの鶏肉を生産するのに2.7kg、1kgの豚肉は6kg、1kgの牛肉は7kgの穀物が必要とされます。また、穀物や野菜などの第一次生産物が10,000のエネルギーを持っているとした時、植物性の食事であれば10%に当たる1,000エネルギー分を、肉を食べると1%に当たる100エネルギー分のみが実際に人間の体に届くのです。それは、穀物や野菜などは家畜が育つまでの肥料として消化され、排出されてしまうためです。同じように、人間が100カロリーある牛肉を口にしても、実際には14カロリーしか消化できないのです。

TokyoVeganによると、パティを1枚作るのに必要な水は1,741ℓとされています。年間で考えると、牛1頭につき4.2万ℓの水が必要とされます。水の70%が食糧生産に使用されているため、畜産に使用される水を減らすことは、水問題解決への一歩となります。その水不足は、人口増加や気候変動に起因すると考えられています。世界人口が増加し続ける中、水不足がより深刻化すると、水を巡った戦争や水不足による健康被害が増え続けるでしょう。バーガー1つ食べない代わりに、サラダやビヨンドミートで作られたバーガーを食べることで、水不足への加担を止めることができるかもしれません。

土地

TokyoVeganによると、パティ1枚を作るのに、3.8㎡の土地が必要とされます。この土地を作るためには、放火などによる森林伐採が必要となります。また、農業による土壌疲労により、土地を捨て、また新しい場所で森林伐採しなければならない、という悪循環ができています。

ビヨンドミートの創設者でCEOであるイーサン・ブラウン氏は、職が及ぼす地球温暖化への影響という環境保護の観点から、2009年、カリフォルニアにてビヨンドミート社(Beyond Meat)を創設しました。ビヨンドミートによると、ビヨンドミートは一般的な牛肉のパティより、使われる水は99%オフ、必要森林伐採面積は93%オフ、排出される温室効果ガスは90%オフ、使われるエネルギーは46%オフとしています。

世界の菜食主義トレンド

世界各地でベジタリアン人口が増加しています。特に、欧米ではライフスタイルを見直す人が増え、ベジタリアン・ヴィーガン人口が顕著に伸びています。例えば、GlobalDataによると、アメリカでは2014年時点では1%であったヴィーガン人口が2017年には6%に上昇しました。アメリカの総人口から考えると、約2,000万人がヴィーガンであることが分かります。面白いことに、VeganBitsによると、ベジタリアンは男性より女性、右翼より左翼、年配より若者、無宗教に多く見られます。

それに伴い、多くのレストランやファストフード店が、ベジタリアン対応のメニューを用意しています。例えば、シェイクシャックやマクドナルドではベジバーガー、ケンタッキーフライドチキンではヴィーガンチキンナゲット、タコベルではセルフオーダーシステムに「ベジタリアンメニューのみ表示」という機能を搭載するなど、ベジタリアン・ヴィーガンにとってより手軽に食事が取れるようになってきています。

また、ビヨンドミートの製品はえんどう豆を主原料としていますが、代替肉はまるで見た目も味もお肉と言われています。ソーセージ、パティ、チキン、ビーフなど様々な形で販売されています。World Atlasによる2019年での世界ベジタリアン人口割合ランキングは以下のようになっています。

  • 1位 インド(38%)
  • 2位 イスラエル(13%)
  • 3位 台湾(12%)
  • 4位 イタリア(10%)
  • 5位 オーストリア(9%)
  • 6位 ドイツ(9%)
  • 7位 イギリス(9%)
  • 8位 ブラジル(8%)
  • 9位 アイルランド(6%)
  • 10位 オーストラリア(5%)

インドやイスラエルは宗教上の理由から、台湾は伝統的な食文化から、このような結果になりました。一方で、4位以下は健康志向、動物愛護、環境保護の観点から個人の選択によりベジタリアンになる傾向が見られます。一方VeganBitsによる2014年のヴィーガン人口割合は以下のようになっています。

  • 1位 イスラエル(5.0%)
  • 2位 スェーデン(4.0%)
  • 3位 日本(2.7%)
  • 4位 ポーランド(1.6%)
  • 5位 アメリカ(1.5%)
  • 6位 イギリス(1.1%)
  • 7位 ドイツ(1.0%)
  • 8位 イタリア(0.6%)
  • 9位 フィンランド(0.5%)
  • 10位 スペイン(0.1%)

ヨーロッパでベジタリアン生活をしている人が多いにも関わらず、ヴィーガンが少ない理由の一つとして、チーズの消費が関係してくる可能性があります。JIDF世界酪農状況2019によると、世界のチーズ年間消費量ランキング1から10位はすべてヨーロッパの国々が占めています。

アメリカでのVeganBitsによるアンケートによると、ヴィーガン生活をしている理由は、健康志向(69%)、動物愛護(68%)、動物を食べることへの嫌悪感(63%)、環境保護(59%)などが上位に挙げられています。

2020年ゴールデン・グローブ賞授賞式

ホアキン・フェニックス主演『ジョーカー』が注目を集めた2020年ゴールデン・グローブ賞授賞式で、彼はさらなる注目を集めることとなります。環境活動家であり、ヴィーガンの彼は、授賞式のディナーをヴィーガンにするよう運営母体Hollywood Foreign Press Association(HFPA)にアドバイスを送っていたのです。

そして、ゴールデン・グローブ賞授賞式史上初のヴィーガンディナーの計画が実行されました。HFPA代表ロレンツォ・ソリア氏は「気候危機を無視することは不可能であり、メッセージを送るために自分たちにできることについて話しました。一度の食事で世界を変えることはできないとは思いますが、意識を高めるための小さな一歩を踏み出すことにしました」と述べ、多くの参加者が絶賛するディナーとなりました。

食と環境に注目した映画

『COWSPIRACY: THE SUSTAINABILITY SECRET(Cowspiracy: 持続可能性の秘密)』(2014年)

「地球の資源を破壊する工場式農業。地球環境保護を唱える環境団体がこの深刻な問題に触れない理由とは? 環境問題のタブーに鋭く切り込むドキュメンタリー。」主演者キップ・アンデルセンは環境保護団体が地球に最も有害とされる畜産業に対して取り組みを見せないことを知り、闇を深掘りすることを決めます。そして、畜産業界が環境保護団体へ支援をしていることが判明します。しかし、畜産業は牛による温室効果ガスの排出、海の汚染、そして熱帯林の現象に深く関係することには変わりないのです。すべての人がヴィーガンになることで、地球の持続可能性を守ることができるとい結論にいたるのです。

『BEFORE THE FLOOD』(2016年)

この番組は、アカデミー賞俳優であり国連平和大使であるレオナルド・ディカプリオの2年間にわたる旅を記録したものです。この旅の中でディカプリオは気候変動が絶滅に瀕した生物や生態系などにどんな影響を及ぼすかを扱っており、オバマ大統領や潘基文国連事務総長、ローマ教皇フランシスコなどとの対談も行われています。

日本でのベジタリアン&ヴィーガンレストラン

世界と比べると、レストランのバリエティーが少ないベジタリアン、ヴィーガンですが、食への意識が変わりつつあることや海外からの観光客が増え、ヴィーガンがこれからより注目されていくのではないかと感じています。

4、5年ほど前は、ヴィーガンの友人と出かける際は必ずレストランを決めてから出かけていましたが、現在では、比較的容易にヴィーガン対応のレストランを見つけられる印象を持っています。そして、非常に値が張ることが多かったですが、今ではよりリーズナブルでカジュアルなお店が増えています。そこで、ヴィーガンでなくとも満足の東京のヴィーガンのお店を紹介します。

冷麺ダイニングつるしこ

渋谷と自由が丘に店舗を構えるつるしこ、こじんまりしたお店は多くのお客さんで賑わっています。お店の名前の通り、ツルツルでしこしこ麺が特徴です。ヴィーガンメニューが非常に多く、何度も通いたくなるようなおいしさと癖になる麺です。

カレー冷麺

カレー冷麺(参照:http://tsurushiko.jp/menu.php

阿夫利

阿夫利は恵比寿、中目黒、新宿、横浜、など多くの店舗があるので、都内からでしたらアクセスしやすいと思います。野菜がたっぷりで、味が上品でした。余談ですが、油の量や炙りチャーシューから鶏チャーチューへの変更できるので、さっぱりとしたラーメンを食べたい方にとって、最高なラーメン屋さんなのではないかと感じます。

彩り野菜のヴィーガンらーめん

彩り野菜のヴィーガンらーめん(参照:https://afuri.com/

Falafel Brothers

六本木、恵比寿、渋谷に店舗を構えるFalafel Brothersは、イスラエル発のヴィーガン料理専門店です。ファラフェルとは、ひよこ豆にハーブを加えて揚げたものです。上の写真からわかるように、自分でアレンジすることができるので、組み合わせが多くあり、楽しく食べることができるような料理です。中東料理と聞いてもあまりピンとこない私でしたが、行ってみると、香ばしい香りとトッピングの種類の多さから、食べる前からワクワクしてしまいました。次は違うトッピングで試してみたいです。

Hemp Café Tokyo

恵比寿に店舗を構えるHemp Café Tokyoは、料理にヘンプ(大麻)を使用しています。合法の大麻なのでご安心下さい、とのことです。全てヴィーガン対応の料理となっていますが、食べているうちにヴィーガン料理ということを忘れてしまうほど、ボリュームもあり、味もしっかりついていました。店内もとてもゆっくり時が流れるような雰囲気で、居心地の良い空間でした。

左:カリフォルニア ブリトー寿司 右:HEMP デザート盛り合わせプレート

左:カリフォルニア ブリトー寿司 右:HEMP デザート盛り合わせプレート (参照:http://hempcafetokyo.com/)

これらは私自身が行ったことのあるお店ですが、どれも非常に美味しく、リーズナブルで、「ヴィーガン料理=値段のわりにいまいち」というイメージを完全に払拭するレストランでした。ヴィーガン思考でなくとも、是非一度足を運んで頂きたいほどです。

私たちができる身近な環境保護活動

菜食主義という選択は地球人としてできる、環境保護に対する一つのアクションであると考えられます。一方で、知識の不足から健康への負荷がかかる恐れもあります。ダイエットを目的として、野菜のみを無計画に食べることは自身の体を壊してしまいます。健康被害を防ぎ、持続可能なヴィーガン生活をするためには、食についての知識を深めることが必要にあります。

また、完全なヴィーガンになるのは努力が必要ですが、一週間に一日動物性食品を休憩する日を作るだけでも、長く続けていたら大きな摂取量の違いが生まれるはずです。今回はあまり紹介することができませんでしたが、今では多くのレストランがヴィーガン・ベジタリアン対応の料理を提供しているので、新しいレストラン開拓のフィールドとしてヴィーガン・ベジタリアンレストランを追加してみてはいかがでしょうか。

私たちにとって欠かすことのできない存在の一つである「食」について、改めて考えることで、個人の健康だけでなく、地球の健康まで守れてしまうのです。一度立ち止まって、「食」について考えてみるのはどうでしょうか。

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エコモ博士
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