卒FIT後は太陽光発電の自家消費・電力会社への売電のどちらがお得?収益性を徹底分析!

卒FIT後の太陽光発電の運用収益性について徹底分析

日本においては2009年より固定価格買取制度(FIT)が施行され、再生可能エネルギーによる電気の売電価格が飛躍的に上昇し、それに伴い太陽光発電の設置によって大きな収益を生むことが可能となりました。一方で、卒FITを迎えた太陽光発電については、改めて太陽光発電による電気の使い道を検討する必要があり、どのように運用していくかお困りの方も多いと思います。そこで本ページでは、FITでの売電収益と卒FIT後における電力会社への売電収益を分析し、自家消費と比較した場合の経済性を整理し皆様にお届けいたします。

卒FIT後の電気の運用方法

卒FITを迎えた太陽光発電については、「電力会社への売電」、「自家消費」「蓄電池やEVへの蓄電」という3つの手段により経済メリットを生み出すことが可能です。それぞれの概要は下記の通りです。

電力会社への売電

卒FITに伴い、各電力会社が太陽光発電による電気の買取サービスを実施しています(買取プラン一覧はコチラ)。それらの電力会社と売電契約を結び、電気を売ることで売電収益を得ることができます。基本的に、手続きは非常に簡単に完了することが多いです。

自家消費

太陽光発電による電気を電力会社に売るのではなく、自家消費することで「購入する電気」の量を減らし、節約する方法です。本ページにて後述しますが、FIT期間中と異なり卒FIT後は、電力会社に売電するよりも自家消費したほうがお得となります。

蓄電池やEVへの蓄電

卒FIT後は自家消費の方がお得であるため、できる限り自家消費に回せるように蓄電池やEVを設置することで、経済性を高めることができます。ただし、まだまだ蓄電池やEVは高価であるため、購入費用をまかなうのは難しいのが現状です。そのため、蓄電池はBCP対策(災害時用の対策)、EVは自動車としての利用を見据え、おまけ程度で自家消費に回すことにより経済効果が生まれる、といった認識にて運用する必要があります。

固定価格買取制度(FIT)における買取単価

固定価格買取制度(FIT)は、日本における再エネの普及を目的に2009年から太陽光発電の余剰電力の売電から始まった制度となります。このFITによって再エネによる電気を、10~20年間程度の期間において非常に高値で売電することができるようになり、再エネの中でも特に太陽光発電が急速に普及しました。

再エネの内、水力・地熱・バイオマス等の発電で発生するエネルギーの買取単価は年度による変動が比較的少ないですが、下記表の通り太陽光発電によるエネルギーの買取単価は大きく変動しております。理由としては、昔と比べて現在は太陽光発電の購入費用も下落しており、当時の価格のままであると売電収益が生まれすぎることが大きな要因となっています。

一般的なご家庭における太陽光発電の買取単価(10kW未満、ダブル発電なし)
1kW当たりの買取価格(円)
年度 2009~2010 2011~2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019 2020
買取単価 48 42 38 37 33~35 31~33 28~30 26~28 24~26 21

FIT期間中と卒FIT後の売電収入の違い

FITを始めた時期により買取単価は異なりますが、ここでは2009年に太陽光発電を設置した方を対象とした分析を行います。まず、一般家庭で導入の多いシステム容量4.5kWの住宅用太陽光発電を設置した場合、1年平均で4,500kWhの発電量が見込めます。季節や時間帯、天候等によって発電量は左右されますが、JPEA(太陽光発電協会)によると太陽光パネルの容量1kWあたりの年間発電量は1,000kWh/年としており、その数値をもとに算出しております。なお、太陽光発電の年間発電予想量(EP)は、「H×K×P×365÷1」の式で算出することが可能であり、発電量の変動要因となりうる代表的なパラメータは下記のとおりです。

  • H=設置面への1日当たり年平均日射量(kWh/m2/日)
  • K=損失係数(約73%)
  • P=システム容量(kW)
  • 365=年間の日数
  • 1=標準状態における日射強度(kW/m2)

まず損失係数Kについてはモジュールの種類や受光面の汚れ、温度上昇によるセルの損失などによって変化します。また、地域や傾斜角・方位角によって発電量は変わりますが、東京で真南に30°で設置した場合、EP=3.74となり、太陽光発電協会JPEAの公表する年間発電量(システム容量1kWで年間1,000kWh/年)に値が近くなります。

これをFITで買い取りをしてもらうと1kWh当たり48円なので216,000円の年間収入という計算になります。そのため、10年間の売電収入は216万円となります(実際には余剰電力の売電である場合が多いので、このうち15%程は日中の自家消費に回ります)。4.5kWの太陽光発電の設置にはだいたい160~180万円の初期費用が掛かるので、概ね10年以内には初期費用を賄うことが可能になります。

一方で卒FIT後の場合、大手電力会社の買い取り価格は概ね7~9円/kWhとなっております。そのため、8円/kWhとして仮置きすると年間の売電収入は36,000円となります。この価格はFIT期間中の約6分の1程度となります。これを10年続けると360,000円となり、FIT期間中の10年間の売電収入との差は180,000円となります。

これまでの情報をもとに、FIT期間中と卒FIT後における売電収益の差額を下記表にて整理いたします。やはりFIT期間中の方が単価が高いので、収益性についても4.5kW程度のパネルを積載している場合、概ね年間で180,000円ほど高くなる結果となっております。

売電方法 買取単価(1kWh) 年間売電収入(4.5kWのパネル) 10年間での売電収入
FITによる売電収入(2009年~2019年) 48円 216,000円 2,160,000円
電力会社への売電収入(目安) 8円 36,000円 360,000円
値の差 40円 180,000円 1,800,000円

電力を売るか貯めるか

まず結論として、本ページの冒頭でもお伝えしたように、卒FIT後については電力会社に売電するよりも、自家消費に回したほうが経済性が高まります。下記表にて、どの程度の経済メリットの違いが生まれるのかを整理しておりますが、4.5kW程度のパネルを積載する場合、前述の通り4,500kWhほどの電気を生むことが期待できますので、年間の売電収入は36,000円です(8円/kWhで売電した場合)。

一方で、電力会社から電気を購入する場合、エリアによってバラツキはありますが概ね25.5円/kWh程度ですので、4500kWh分の購入電気を減らせる場合、114,750円お得となります。このため、売電収益との差額となる「78,750円」ほど自家消費に回したほうがお得という計算になります。

単価 年間(4.5kWのパネル) 10年間
電力会社への売電収入(目安) 8円 36,000円 360,000円
電力会社からの電気購入費 25.5円 114,750円 1,147,500円
差額 -17.5円(自家消費に回したほうがお得) -78,750円 -787,500円

※電気購入費は経済産業省資源エネルギー庁による公表資料(2014年度単価)を参考

一方でFIT期間中であれば、非常に高値で電気を売ることができるので、自家消費よりも売電したほうがお得です。下記表にて数値を整理しておりますが、FIT期間中であれば4.5kWのパネルを積載している場合、年間で101,250円ほど売電したほうが経済メリットがあります。そのため、これまではできる限り自家消費をせずに売電に回せるように工夫していたご家庭も多いかと思いますが、卒FIT後は逆に「できるだけ自家消費に回す」方がお得となる計算になります。

単価 年間(4.5kWのパネル) 10年間
FITによる売電収入(2009年~2019年) 48円 216,000円 2,160,000円
電力会社から電気購入 25.5円 114,750円 1,147,500円
差額 22.5円(FITで売ったほうがお得) 101,250円 1,012,500円

※電気購入費は経済産業省資源エネルギー庁による公表資料(2014年度単価)を参考

終わりに

2019年より順次卒FITの太陽光発電が増えていき、今後はさらに太陽光発電の運用方法を検討するご家庭は増えていくことになると思います。また、これに伴って電力会社も様々なプランを開発し、できるだけ皆様に選んでもらえるよう努力していくことが想定されます。このような選択肢がある中、皆様が保有する太陽光発電をどのように運用するのか、本ページの記事がそのご検討の一助となっておりましたら幸いです。

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エコモ博士
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