卒FIT後のEV活用におけるメリット・デメリット
そもそもFITとは?
FITとは、太陽光発電等の再生可能エネルギーによる電力を電力会社が非常に高値で買い取ってくれる制度です。しかし、永久に高値で買い取ってくれる訳ではなく、10~20年程度の期間中であれば高値で電気が売れる内容となっています。この期間が過ぎると、「卒FIT」の状態となり、太陽光発電の次なる運用法を探す必要が出てきます。
卒FITにより買い取ってくれる期間が終わったとしても正確には電力会社に売電することは可能です。しかし、今まで1kwhにつき48円で買い取ってくれたものが、電力会社によりますが概ね1kwhにつき10円前後とかなり価格が減ってしまいます。
一方で、一般的なご家庭の電気の購入料金は概ね1kWhあたり30円前後なので、卒FIT後では電力会社に売電するよりも自家消費したほうがお得となります。FIT期間中は48円という高値で売電できていたので、太陽光発電の電気を売ったほうがお得でしたが、卒FIT後はその状況が逆転し、自家消費に回したほうが経済性が高まります。
卒FIT後の太陽光発電の活用方法は、下記の通り大まかに3種類の活用方法がございますが、このうち自家消費として適しているのは「蓄電池活用」もしくは「EV活用」となります。本ページでは「電気自動車(EV)」に充電する際のメリット・デメリットをご紹介いたします。
- 電力会社に買い取ってもらう(買取プラン一覧はコチラ)
- 家庭用蓄電池を導入し、できる限り自家消費する
- 電気自動車(EV)に充電する(本ページにてご紹介)
卒FIT後にEVを活用する際の特徴
太陽光発電による電気は、EVの燃料として利用できるほか、車種によって異なりますが一般的に、災害時用の非常用電源として利用することができます。また、専用の機器を利用することで昼に発電した太陽光発電による電気をEVに貯め、夜にその電気を使うことも可能ですので、太陽光発電の電気を「自家消費」として有効に活用できます。
下記表は蓄電池とEVとの容量を比較したものです。表に記載の通り、EVと比較して蓄電池に貯めることのできる電気の量は少ない傾向にあります。しかし日常的に電気代を節約するだけであれば、ご家庭の電気利用量であればEVの蓄電容量は過度なスペックで蓄電池でも十分なケースが多いです。しかしながら、EVは蓄電池と異なり自動車としての機能も保有しているので、「蓄電池+自動車」といった双方の機能を兼ね備えた一石二鳥の製品と言えます。
容量 | 生活可能日数(目安) | 値段・相場 | |
---|---|---|---|
蓄電池 | 3~12kwh | 1日 | 90万~160万 |
EV | 40~62kwh | 3日 | 300万~400万 |
EV活用のメリット
1.節約ができる
発電した電気をためて利用しているため、使い方次第で電気代が節約できます。また貯めた電気をEVに貯めて走らせればガソリン代の節約にもなります。
2.災害時の非常電気として使える
災害時電気が使えなくなってしまった場合でも、車種によりますが大容量の蓄電池として非常時のバックアップ電源として利用できます。電気の使い方にもよりますが、EVにためた電力で3日程度は生活できるケースも多いです。
3.環境に優しい
電気自動車といえば、最初環境にやさしい車として出てきた印象が多いかと思われますが、実際その通りで温暖化の原因となる二酸化炭素を一切排出しないためかなり環境にやさしい車です。
4.減税、補助金がある
車にはいくつかの税金がかけられ維持費用が大変ですが、EVの場合だと「エコカー減税」、「グリーン化特例」による減税が適用されます。またEV購入後に所定の書類を提出する ことで「CEV補助金」を政府から受け取ることができます。
5.車としてつかえる
これは当然といえば当然ですがEVは車であるため太陽光発電による電気を利用することで走ることができます。通常は電力会社から電気を購入し、その電気をEVに充電しますが、太陽光発電があれば電力会社からの電気購入量を大幅に減らすことができると見込まれます。
EV活用のデメリット
1.導入コストが高い
EVを活用するにあたってEVを用意する必要があり初期費用はお高めです。しかし長い目で見た際に、ガソリン代の節約や電気代の節約ができるため最終的には利益が出るようになると考えられます。
2.設置スペースの確保が必要
電気をためるためのパワーコンディショナーを置くためのスペースを確保する必要があります。また貯めた電気を家庭で利用するための工事が必要になります。
3.インフラが進んでいない
電気自動車で遠出した際に困るのが充電スタンドの少なさです。最近では大型ショッピングセンターやマンションにも充電スタンドは設置され始めてはいますが、現状まだまだ整備が進んでいません。
4.メンテナンス費用が高い
蓄電池には大掛かりなメンテナンスをする必要がありません。しかしEVは車のため、定期的に車検を受ける必要があります。そのため、ランニングコストの面ではEVよりも蓄電池の方が有利となります。
以上がEV活用のメリット・デメリットになります。近年では環境問題がささやかれています。太陽光発電をされていない方もこの記事を読んでぜひ検討してみてください。