再生可能エネルギー発電促進賦課金(再エネ賦課金)
現在、毎月の電気使用量のお知らせの項目に「再エネ賦課金」があり、電気料金と併せて毎月支払っていることをご存知でしょうか。再エネ賦課金とは、太陽光発電や水力発電、地熱発電、風力発電などの再生可能エネルギー発電を普及させることを目的とした税金(厳密には税金ではありません)のようなもので、電力会社が再生可能エネルギーを買い取る際の費用として使われています。
電気を利用するすべての人が対象となり、電気料金の一部として支払っています。2020年4月までの賦課金は2.95円/kWhで、これに家庭の使用電力量をかけた金額になります。例えば、1000kWhの電気を使った月であれば、2950円(2.95×1000)の再エネ賦課金を支払っていることとなります。
目的
概要でも述べた通り再エネ賦課金は電力会社が再生可能エネルギーを買い取る際の費用に充てられ、その目的としては「再生可能エネルギー発電の普及促進」と「日本の再エネ製品のグローバル展開」が主に挙げられます。
再エネ発電の普及が目下の目標であり、一方グローバル展開は再エネ普及に伴い性能が向上し、価格が抑えられた日本の再エネ製品を海外に売ることで日本の経済を発展させるという、先を見据えた目標といえます。今回は眼前の目標である「再生可能エネルギー発電の普及促進」についてのみ触れることにします。
ではなぜ、再生可能エネルギー発電の普及が必要なのでしょうか。それは日本のエネルギー自給率の低さと環境保全への貢献の二点にあります。
日本のエネルギー自給率の観点
まず日本のエネルギー自給率ですが1973年9.2%だったエネルギー自給率は2010年には19.6%にまで伸びています。これは原子力発電所が日本で普及しつつあったためです。
そして2011年の東日本大震災をきっかけに原子力発電所が停止されたために日本のエネルギー自給率は2016年には8.4%にまで下がってしまいます。日本のエネルギー自給率が低いということはそれだけ海外に頼っているということになりますが、それは非常にリスクのあることです。
その理由は海外からの石油や石炭、ガスなどのエネルギー資源の供給がなくなった時を想像すればわかるかと思います。以上のように海外からの資源の供給がなくなる可能性も考慮して日本のエネルギー自給率を上昇させることは大事なことなのです。
そこで、この低い自給率を解決する可能性を秘めているのが再生可能エネルギーです。いま日本の電気はほとんど火力発電で賄われており、火力発電に必要な資源は日本で確保することが難しくそのほとんどを海外からの供給に頼っているのは前述のとおりです。
一方、再生可能エネルギーは太陽光や風、地面の熱といった日本にも十分存在するものしか使うことがないため、再生可能エネルギーが普及することはエネルギー自給率の上昇に大きく寄与すると言えます。さらに自給率の向上は電気代の変動を抑えることにもつながり、電気を利用するすべての人にメリットがあります。
環境問題への貢献の観点
次に環境問題への貢献という観点からです。「京都議定書」や「パリ協定」という言葉を聞いたことがある方もいらっしゃるかと思います。これらはどちらも世界各国の主要な人物が地球温暖化に関する約束事を取り決めたものです。
このように国際社会では地球温暖化に関しての議論が1980年代からされてきました。日本ももちろん例外ではなく、二酸化炭素を排出している国の一つで、特にエネルギー関連の二酸化炭素排出は8割にもおよび早い改善が求められています。再生可能エネルギーが普及すればするほど、二酸化炭素の排出量は抑えられ、地球温暖化防止への貢献へとつながります。
国全体で協力する
このように再生可能エネルギーの普及は国内的にも国際的にも重要な課題であることがわかったかと思います。これを解決するためにも電気を利用する国民全員の協力が必要です。
いまだ再生可能エネルギーの発電所建設には膨大な費用が掛かるため、建設後の収益が見込めない場合にはなかなか建設に踏み切れないことがあります。そこで毎月の電気代に含まれている「再エネ賦課金」が機能します。「再エネ賦課金」を再生可能エネルギーの買取に充てることで、再生可能エネルギーの事業者は安定した収益を得ることができ、より再生可能エネルギー発電が普及するという仕組みなのです。