エネルギー問題との向き合い方
所属:東京情報大学
インターン生:I.Yさん
皆さんはエネルギー問題について考えたことがあると思います。テレビ番組でも、環境問題を筆頭にエネルギー資源が足りないなどをよく聞いていると思われます。実際に私たちが日々使用しているエネルギー資源が本当に重要であるか考えていきます。
エネルギー資源とは
エネルギー資源には「1次エネルギー」と「2次エネルギー」の2種類があります。1次エネルギーとは、石油や石炭、天然ガス(LNG)など自然資源から取れる物です。しかし、1次エネルギーは、そのままでは使いにくいという性質を含まれています。
2次エネルギーとは、ガソリンや灯油、電気など1次エネルギーから加工したり活用したりして生成された資源であり、生活や経済活動において実際に利用されています。
エネルギー問題
日本のエネルギー供給の現状と問題点
我々の日常生活で、毎日多くのエネルギーを消費しています。2017年には、主要国の一人あたりの電力消費量は、カナダ、アメリカ、韓国に次いで4位という結果を示しています。
しかし、必要エネルギーを自国内でまかなえるかを表すエネルギー自給率がOECD(経済協力開発機構)に加盟している37ヵ国の内、34位であり、自給率が9.6%しかありません。これは諸外国と比べるとかなり低い水準であることがわかります。
エネルギーが不足している日本は、海外諸国からエネルギー資源に依存している状態です。日本が使っている1次エネルギーのうち、原油、石炭、天然ガス(LNG)の輸入率はどれも90%以上を占めています。そのため、海外の国際情勢によって左右されやすいという事にもつながり、安定してエネルギー供給を受けることが難しいという事です。
資源の枯渇と環境への影響
エネルギー問題には、化石燃料の枯渇と環境への影響という課題も含まれています。1970年代から1980年代にかけて石油が無くなってしまうという声がありました。しかし、2020年代の今では、コロナウイルスの蔓延により人々が車や航空機を使用し外出するという機会が減少し、石油価格が大暴落する現象が発生しました。そのため、一時的に石油を含む化石燃料の枯渇問題が消えたかと言うと、そうでもないです。
今でも「限りある資源」であることは変わりません。今後、技術革新により資源の減少量が変動する可能性があると思います。そして、化石燃料を使用している火力発電所から地球温暖化の要因である温室効果ガスが排出されています。地球温暖化防止のために化石燃料への依存度を下げて、二酸化炭素の排出量を減らすことが重要です。
しかし、現在の日本のエネルギー事情では、火力発電の使用率が一番高いため、温室効果ガスを削減することを考えなければならないです。そのため、2015年に日本は、パリ協定によって定められた温室効果ガス削減目標数値2030年までに2013年度と比較して26%削減することを掲げています。
再生可能エネルギーの普及
再生可能エネルギーには、大まかに分けて5つのエネルギーがありますので、個々に紹介していきます。
水力発電
水が高いところから低いところに落ちる高速・高圧の水の流れを利用して発電する方法です。また、自然エネルギーを利用している水力発電は、電力需要への変化に対応しにくい発電方式ですが、現在では水をせき止める方法だけでなく、汲み上げるなどの方法も行うなど、様々な水の利用方法を行い、電力需要の変化にも対応しています。
しかし、水力発電を利用するにしたがって、建設する際、河川流況の長期にわたる調査が必要であり、開発初期段階からリスクが大きいです。また設置する場所によって、地域住民などに移動してもらうために理解促進が不可欠であります。
太陽光発電
シリコン半導体などに光が当たると電気が発生する現象を利用し、太陽の光エネルギーを太陽電池(半導体素子)により直接電気に変換する発電方法です。特長として、屋根や壁などの未利用スペースに設置できるため、新たに用地を用意しなずに済むことや非常用電源として、災害時などに、貴重な非常用電源として使用出来ます。また日本における導入量は、近年着実に伸びており、2016年度末累計3,910万kWに達しました。
そのために、太陽光発電で重要である気候条件を念入りに調査しなければ発電出力が左右されてしまうことがあります。また、導入コストも次第に下がっているものの、低コストに向けた技術開発が重要です。
バイオマス
動植物などから生まれた生物資源の総称であり、バイオマス発電では、この生物資源を直接燃焼させたりガス化するなどして発電を行います。特長として、地球温暖化の原因となる温室効果ガスであるCO2を光合成により吸収して成長するバイオマス資源を燃料とした発電は「京都議定書」における取扱上、CO2を排出しないものとされています。
また、家畜排泄物、稲ワラ、林地残材など、国内の農産漁村に存在するバイオマス資源を利活用することによって、農産漁村の自然循環環境機能を維持増進させ、その持続的発展を図ることが可能です。しかし、各々の行政が広い地域に分散している資源を、収集・運搬・管理にコストが掛かってしまうため手が出しにくい面もあります。
風力発電
風のエネルギーを電気エネルギーに変換させ、発電を行う方法です。特長として、陸上でも海上でも設置できるため大きなエネルギー源として見込まれており、大規模に発電することが可能であれば、火力発電並みの発電コストを得ることが出来、経済面でも有利になれます。
さらに、夜間でも、風が吹いていれば発電することが出来る面や風車の高さや羽根によって異なるものの、風力エネルギーは高効率で電気エネルギーに変換することが可能です。行政による常に風が吹いている場所の長期調査や設置を行う地元調整等の開発コストが高いという課題を持っています。
地熱発電
日本は、火山国であることが有名なので、高温蒸気・熱水を再利用して、農業用ハウスや魚の養殖、地域の暖房などに再利用できます。また地下の地熱エネルギーを使用するため、化石燃料のように枯渇する心配が無く、長期間にわたる持続可能な再生可能エネルギーとして注目されています。しかし、立地条件として火山帯の近くでなければならないので、公園や温泉などの商業施設が点在する地域と重なっているため、地元関係者との調整が必要です。
今後に向けたエネルギー政策
日本政府は2018年に、新たなエネルギー基本計画として「第5次エネルギー基本計画」を閣議決定しました。内容について以下のように「長期的に安定した持続的・自律的なエネルギー供給により、我が国経済社会の更なる発展と国民生活の向上、世界の持続的な発展への貢献を目指す」と書いてあります。そして、これまでもあったエネルギーの基本原則である「3E+S」をより高度なものにしました。
- 安全最優先(Safety)+技術・ガバナンス改革による安全の革新
- 資源自給率(Energy security)+技術自給率向上/選択肢の多様化確保
- 環境適合(Environment)+脱炭素化への挑戦
- 国民負担抑制(Economic efficiency)+自国産業競争力の強化
を意識しており、2030年度には「温室効果ガス26%削減」と「エネルギーミックス」の実現を目指しています。エネルギーミックスとは、再生可能エネルギーや化石燃料、原子力を用いた一次エネルギー源を用いて電源を構成することを指します。
そして、2050年には「温室効果ガス80%削減」と「エネルギー転換・脱炭素化への挑戦」を目標に掲げています。2050年、再生可能エネルギーを主力電源化とした脱炭素化を目指しています。
今は化石燃料がしばらく主力ですが、徐々に効率の悪い石炭からフェードアウトし、天然ガスでの発電を維持することでカバーすることが可能であると思います。また、太陽光発電や風力発電などの再生可能エネルギーは、時間ごとの必要量に合わせた発電量の調整が難しいため、調整力を持った電源も自然と必要になると思います。
最後に
私たちはエネルギーの利用方法についてもう少し知る必要性があると思います。私たちが住んでいる地球の自然を犠牲にしながら今も暮らすことが出来ています。しかし、いつまで無限に居られるわけでもなく、資源が有限である限り住むことが難しくなってしまっています。
これからのエネルギー事情を一人一人が考えていくことによって、少なからず地球温暖化などを防ぐことが出来ると思います。意識の持ち方によって、救える自然など多くあると思います。