SDGsのコミュニケーションツールとしての可能性

2020年08月06日

所属:法政大学大学院

インターン生:K.Yさん

SDGsのコミュニケーションツールとしての可能性の写真

皆さんSDGsという単語を聞いたことがあるでしょうか。SDGsは2030年までの国際目標であり、多くの企業や団体がSDGsに関する取り組みを行っています。そのため、SDGsという言葉を聞いたことがある人は多いと思います。SDGsは全世界共通の目標を17のゴールに整理したものです。つまり、全世界の「共通言語」とも言えます。SDGsは、その性質上コミュニケーションツールとしての機能を果たす可能性があります。今回はそんな可能性について事例と共に説明したいと思います。

SDGsとは

まず、SDGsとはSustainable Development Goalsの略称で、日本語では持続可能な開発目標という意味になります。SDGsは2015年9月、国連持続可能な開発サミットにおいて、全会一致で採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」という国際的な取り決めの中で定められた目標です。SDGsは2030年を期限とし、持続可能な世界を創造するために解決するべき課題を17のゴールに整理した世界共通の目標です。以下にSDGsの17のゴールを示します。

誰が取り組むの?

SDGsの達成には、国や政府のみならず、自治体や企業、市民社会等の様々な主体が当事者意識をもって取り組むことが求められています。これは、世界全体の課題を扱っているため、政府だけの取組、企業だけの取り組みといった一部の主体による取り組みのみでは達成することが不可能なためです。そのため、様々な主体がパートナーシップを活かして取り組む必要があります。

パートナーシップの重要性

SDGsは従来個別に議論されてきた経済・社会・環境を統合した包摂的な目標です。このような複数分野にまたがる目標を達成するためには、様々な主体がパートナーシップを築き、協力して取り組む必要があります。

様々な主体がパートナーシップを活かして取り組むことのメリットはいくつもありますが、最もSDGsの達成に貢献するであろうメリットは、新しい取り組みやオープンイノベーションの創出です。1組織のみの取り組みでは限界があるかもしれませんが、複数の組織が協力して取り組むことにより、従来では誕生しなかった新しい取り組みや技術が創造できる可能性があります。

SDGsをコミュニケーションツールとして活用するメリット

多くの場合、他人に協力をしてもらう際は、自分の目標を伝えて、その目標に共感してくれる人を協力者として募ります。この目標を伝えるという工程にSDGsを組み込むことが、SDGsをコミュニケーションツールとして活用するということです。

SDGsは国連加盟国が全会一致で採択している全世界共通の目標であるため、地球上で誰一人として関係のない人が存在しません。全人類が関係する目標を掲げて、協力を募ることは、非常に効果的であると考えられます。例えば「ある海岸をきれいにします」という目標を掲げて、協力者を募るとします。この場合、「ある海岸」という固有名称を知っている人が主なターゲットになります。

同様の活動内容であっても、「SDGsのゴール14の達成に貢献する活動をします」という目標を掲げて協力者を募るとします。この場合、SDGsのゴール14に興味がある人が主なターゲットとなり、前述のターゲットより、対象範囲が大きくなります。さらに、「ある海岸」を知らなくても、SDGsには興味がある人が見てくれる可能性があります。

このように、SDGsをコミュニケーションツールとして活用すると新たなコミュニケーションの機会の創出につながると考えられます。SDGsをコミュニケーションツールとして活用するメリットはほかにもあります。SDGsをコミュニケーションツールとして実際にマッチングし、取り組みを行うと、その取り組みに参加した人全員が世界共通の目標に貢献したというアピールが可能です。

これは、自治体や企業等におけるブランディングに活用可能です。上述の通り、SDGsの達成にはパートナーシップが必要であり、SDGs自体をコミュニケーションツールとして活用することは、必要不可欠なことです。それと同時に組織や個人単位で考えると、SDGsを上手く活用することは、新たなつながりの創出や、ビジネスチャンスの獲得につながるといえます。このように大きな可能性を秘めたSDGsのコミュニケーションツールとしての活用を自治体と企業の視点から紹介いたします。

自治体の視点から

自治体は地方創生とSDGsを関連付けて取組を展開しています。これは政府が公表した「まち・ひと・しごと創生総合戦略」において、地方創生とSDGsの理念は軌を一にするものであり、SDGsを原動力して、地方創生を推進するという旨が明記されているためです。さらに、政府が毎年SDGsに関する先進的取組を行っている自治体を「SDGs未来都市」及び「自治体SDGsモデル事業」として選定しています。

「SDGs未来都市」の中でも、SDGsをコミュニケーションツールとして活用し、住民の意見を抽出した事例を紹介します。その自治体は、北海道下川町です。下川町は町の最上位計画の策定にあたって、将来のまちの「ありたい姿」を住民と議論として描き、そこから現時点とのギャップを埋めるための取組を検討するという方法をとっています。

このまちの「ありたい姿」を設定する際に住民の意見をSDGsの視点から整理して、反映させています。この方法により、住民の意見を反映させつつ、持続可能なまちにすることが可能になります。このような取り組みの成果で下川町は人口減少が緩和されてきています。

また、下川町は法政大学とSDGs推進連携協定を締結しています。これは、SDGsをコミュニケーションツールとして活用した成果といえます。従来であれば、北海道の自治体と東京の大学で特別な接点もない両者が協力体制をとることは考えられません。この協定により、法政大学の学生には、地方創生に関する取り組みを実際の自治体内部で体験できる機会が創出され、下川町には、SDGsを研究テーマとして扱っている大学から専門的な知見を共有してもらえる機会が創出されました。

企業の視点から

多くの企業は投資家から投資をうけて経営を行っています。この投資という行為は企業と投資家のコミュニケーションと解釈することもできます。企業は自社が投資するに値する企業であることを投資家にアピールし、投資家はそのアピールを見て投資というリアクションをとります。近年では投資家が投資する企業を選ぶ際に財務情報のみでなく、非財務情報を考慮して投資することが重要とされています。

この投資は一般的にESG投資と呼ばれています。ESG投資とは環境(Environment)、社会(Social)、企業統治(Governance)に配慮している企業重視・選別して行う投資のことです。ESG投資はSDGsより早く生まれた考え方です。最近は、このESG投資の枠組みにSDGsを組み込んで考えることが重要といわれています。

これは、簡単に言うと投資家は積極的にSDGsに関する取り組みをしている企業に投資しましょうというものです。国連もこの考え方を促進させるための取組を行っています。2020年6月15日に国連責任投資原則(PRI)は、署名機関向けに、国連持続可能な開発目標(SDGs)に則した投資行動を行うための意思決定フレームワークを提示しました。

これは投資家にSDGsを取り組んでいる企業等に投資を促進させるためのフレームワークです。このようなことから、SDGsを考慮した投資が国際的に重要視されていることがわかります。そして、SDGsを考慮したESG投資をすることはSDGsをコミュニケーションツールとして活用している事例といえます。投資を受ける側の企業がSDGsに貢献するという目標を掲げて、投資家はそういった企業に投資をします。SDGsに取り組む企業は持続可能な経営が可能と考えられるため、投資家としても、投資先の倒産等のリスクを回避することができます。

企業がSDGsをコミュニケーションツールとして活用し、投資を受けるためには、自社のSDGsに関する取り組みを投資家に適切にアピールする必要があります。そのため、多くの企業が自社の取り組みをSDGsの視点から整理し、「サステナビリティレポート」や「SDGsレポート」という名前を付けて公開しています。興味がある人はぜひ検索してみてください。

また、人材の獲得(就職活動)においてもSDGsはコミュニケーションツールとして活用可能です。企業がSDGsの活動をアピールすることによって、SDGsに興味のある優秀な人材を獲得するのが有利になります。さらに、今まではその企業に興味がなかった人にもSDGsに取り組んでいるということが興味をもってもらうきっかけになるかもしれません。

最近では、SDGsの取り組みをアピールする企業が増えて来ました。これは企業としては、競争相手が増えていると解釈することができます。そのため、企業は他者より優れた取り組みを行い、自社の取り組みを効果的にアピールしなければ、ステークホルダーの獲得が困難になると予想できます。このように、より優れた取り組み・アピールが求められる中で、企業向けの「SDGsコミュニケーションガイド」が公開されています。このガイドはSDGsに取り組むことで企業が得られるメリットや、その取組を伝える広告コミュニケーションにおいて配慮しなければならないこと等がまとめられています。

企業が関係している事例として第3回SDGsアワードにおいて内閣総理大臣賞を獲得した福岡県北九州市の魚町商店街振興組合の取り組みを紹介します。魚町商店街は「SDGs宣言」を行い、「誰一人取り残さない」形でニーズに応えるイベントやサービスを様々なステークホルダーと連携しながら実施しています。具体的な取り組みとしては、下記が挙げられます。

  • ホームレス自立支援・障害者自立生活支援などの社会的包括に視点を置いた活動
  • 飲食店等と協力したフードロスの削減、規格外野菜の販売等の地産地消を推進
  • 商店街内のビルをリノベーションし、若手起業家やワーキングマザーのための環境整備
  • 透過性太陽光パネルを設置して商店街の電力として活用
  • 公共交通機関を利用した来店を促進
  • 憩いの場所の新設や商店街内の遊休不動産を再生するリノベーションまちづくりを実施

上記のような活動を企業・NPO/NGO・大学などと連携して企画・運営し、他県の商店街との交流・連携や海外からの視察の受入れも行っています。商店街がこれほど多様なステークホルダーと協力し、多様な取り組みを展開することは従来であれば困難であると思います。これはやはり、SDGsという共通言語をコミュニケーションツールとして活用した成果だと考えられます。→【ご参考】魚町商店街のSDGsに関する取り組み:https://sdgs.uomachi.or.jp/

個人の視点から

ここまで、SDGsのコミュニケーションツールとしての可能性を自治体と企業の視点から紹介してきました。しかし、「個人」という単位の主体の取り組みにはほとんど触れていません。これはめぼしい事例がないためです。

そもそも「個人」単位で規模の大きいSDGsに関する活動を行っている人はおそらくほとんどいません。規模の大きい取り組みはやはり「組織」単位で行わなければ馬力的に厳しいためだと思います。そう考えるとやはり、SDGsをコミュニケーションツールとして活用して、仲間を作り組織を形成して取り組むことが必要と言えます。しかし、SDGsの達成には様々な主体の取り組みが必要であり、個人も例外ではありません。

そこで、国連が個人でもできる取り組みの例を公開していたのでここで紹介したいと思います。これは「持続可能な社会のためにナマケモノでもできるアクション・ガイド(改訂版)」というものです。個人でできる取り組みを4つのレベルに分けて紹介しています。レベル1はソファに寝たままできること、レベル2は家にいてもできること、レベル3は家の外でできること、レベル4は職場でできることという構成になっています。

SDGsとオープンイノベーション

SDGsをコミュニケーションツールとして活用した事例をいくつか紹介しましたが、これらの事例はSDGsをコミュニケーションツールとして活用してオープンイノベーションを創出した事例とも言えます。オープンイノベーションとは組織内部のイノベーションを促進するために、意図的かつ積極的に内部と外部の技術やアイデアなどの資源の流出入を活用し、その結果組織内で創出したイノベーションを組織外に展開することです。

現状のままでは2030年までにSDGsを達成することは困難だといわれています。そこで必要になるのがオープンイノベーションです。しかし、日本は欧米に比べてオープンイノベーションが遅れているといわれています。高度経済成長期のから現在までの日本を支えてきたのはクローズドイノベーションによる製品開発です。そして、おそらく日本の企業にはこの頃の成功体験が根強く残っていたため、オープンイノベーションに関する取り組みが遅れたと考えられます。

しかし、現在クローズドイノベーションの限界が指摘されています。さらに、SDGsの達成という目標から鑑みても、複数分野の課題を統合的に解決するような技術の開発等が必要であり、オープンイノベーションの創出が重要であるといえます。オープンイノベーションを促進させるためには、企業や自治体が抱えているシーズやニーズを顕在化させることが重要です。

自組織が抱えるシーズ(技術等)を他組織が抱えるニーズ(課題等)に適応させることにより、今まで存在しなかった取り組みが展開できます。そのため、ニーズやシーズを顕在化させるプラットフォームが必要になると考えられます。そのような目的をもったプラットフォームが既にいくつかあります。今回はその中から2つのプラットフォームを紹介いたします。

1つ目は環境省が運営している「環境省ローカルSDGs – 地域循環共生圏づくり プラットフォーム-」です。このプラットフォームでは登録している自治体や企業の交流を促進する目的があるそうです。現時点(2020年7月17日)では、78団体が登録しています。このプラットフォームでできることは、主に以下の5つです。

  • 「しる」先進的な事例を調べられる
  • 「まなぶ」どうやって取り組みを開始するのか、基本的な進め方を学べます
  • 「つながる」ほかの地域と登録制度を用いてつながることができます
  • 「であう」様々な知見や技術を有する組織や企業とであうことができます
  • 「しかける」様々な支援を活用して、新しい仕組みを作りましょう

2つ目はJapan Innovation Network(JIN)や国連開発計画(UNDP)等が共同で運営しているSHIP(SDGs Holistic Innovation Platform)です。このプラットフォームはSDGsをイノベーションの機会ととらえ、企業の技術・ノウハウで世界中の課題の解決を目指すオープンイノベーション・プラットフォームです。SHIPでは主に下記の活動を行っているそうです。

  • 国内外の多様なステークホルダーを巻き込んだグローバルな「SHIPエコシステム」を形成し、世界中の課題の生情報をSHIPデジタルプラットフォームを介して集めます
  • SHIPエコシステムのノウハウとリソース、そしてSHIPデジタルプラットフォームで集めた課題の生情報をもとに、SDGsを達成するイノベーション機会を探索し、日本企業を対象とした会員制度やプログラムを提供する

まとめ

SDGsは全世界の「共通言語」という特性上、今までなかったつながりを生み出すコミュニケーションツールとして活用できる可能性があります。現時点(2020年8月)でもいくつかSDGsをコミュニケーションツールとして活用している事例が確認できましたが、世間で広く活用されているとは言い難い状況です。

しかし、ここ数年でSDGsの認知度は飛躍的に上昇しています。そのため、2015年から現在までの5年間をSDGsの学習期間、2030年までの残りの10年は実践の機会と捉え、より多くの主体が協力してSDGs達成に向けた取り組みを行うことを期待しています。

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エコモ博士
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