温室効果ガスの排出について、消費者としてできること

  • 更新日:2020/08/28

所属:カリフォルニア大学

インターン生:H.Oさん

温室効果ガスの排出について、消費者としてできることの写真

地球が抱える深刻な問題である地球温暖化。温暖化の原因である二酸化炭素の排出の多くを占めているのは産業と運輸企業です。全く手の届かないところで排出されている二酸化炭素を消費者としてどのようにして減らすことができるのだろうか。この記事ではPETボトル、肉・乳製品、パーム油といった、二酸化炭素の総合排出量が非常に多い三つの製品について具体的に説明していき、消費者としてできることをまとめました。

地球温暖化の原因

現在、世界が抱える深刻な問題のひとつが地球温暖化です。日本では年々気温が上昇し、熱中症や脱水症状などで緊急搬送される人が増えています。他国では、気温の上昇に限らず、雨期が伸びたり、逆に雨が全く降らず、砂漠化が進むところも存在します。

このような異常気象の原因は人間が生活するにあたって排出する温室効果ガスが原因です。温室効果ガスとは地球の大気中に含まれる、赤外線を吸収して放出する気体です。

太陽の光が地球の表面で反射され、地球の外に戻る際、大気中の温室効果ガスが赤外線を吸収し、熱という形で保存され、蓄積される事によって地球の温度を上昇させます。

二酸化炭素の影響

主な温室効果ガスの種類には、二酸化炭素、一酸化窒素、メタン、フロンガスなどがあります。この中で地球温暖化に一番大きい影響を及ぼしているのが二酸化炭素です。

二酸化炭素は化石燃料を使うにあって排出されるガスで、車、エアコン、冷蔵庫、お風呂など、日常生活に不可欠なものから排出されます。大気中の二酸化炭素と気温の上昇は比例する傾向が見え、二酸化炭素が増えるとともに地球の気温が上昇しています。

気象庁が発表しているデータによると、2018年度の世界平均気温からの偏差は0.31℃で、統計開始以降4番目に高い数字となったのです。地球の気温が平均より0.31℃高いところで、それほど変化など起きないのではないかと疑問に抱く方も多いと思います。

しかし、実は2℃の上昇だけでも地球に大きな被害をもたらすのです。地球の気温が2℃上昇すると、氷河が消え始め、山では地すべりが多く発生します。

海面上昇によって、2100年までには人口の10%が住む場所を失い、モルディブなどの島国は海に沈んでしまいます。さらに、気温上昇によって死者の数も増え、エコシステムの崩壊により、生物の1/3が絶滅すると言われています。

現在の二酸化炭素の排出量が保たれれば、この未来は免れないのです。このような事態を招かないためにも、今、人類が一丸となって温暖化を止める必要があります。それでは一体どのようなことをして温暖化を止めれば良いのでしょうか。

二酸化炭素の排出量

2017年の二酸化炭素の排出量を具体的にみると、33%が建設業や製造業などの産業が占め、17%が運輸となっており、自家用車や一般廃棄物を含む、家庭から排出される二酸化炭素の量は全体の約2割にしか達していません。

温暖化の影響を減らそうと努力しても、2割では効果が得られないと思う方も少なからずいると思います。私たちの手の届かないところで排出されている二酸化炭素をどのようにして減らすかを考えてみましょう。

消費者が持つ力

地球温暖化を止めるにあたり、大きな力を持つのが消費者です。産業は消費者のニーズに沿って商品を製造します。簡単にいうと、消費者がいらない、買わないと思った製品は作られないのです。

そのため、消費者としてできることは、環境に優しい選択をしようとする意識です。それによって、買わない、使わないという選択、時には買うものを変えるなどして、環境にかかる負担を減らして行くことが可能です。

そして、多くの消費者が意識すればするほど、大きな効果が得られます。しかし、環境に優しい選択をしたくても、どのような製品が二酸化炭素を多く排出させるかなどは、買い出しをしている時にはわかりません。

そのため、事前に知識を得ることが大切です。ここでは、スーパーやコンビニエンスストアなど、消費者の身近で販売されている製品のなかで、二酸化炭素の排出が多いものを紹介していきます。

PETボトルがもたらす環境への負担

日本の夏の暑い時期には脱水症状や熱中症を起こさないためにも、常に飲み物を身につけている人が多く、そこで便利なのがどこでも購入できるPETボトル飲料です。

日本ではPETボトルのリサイクルも徹底されており、環境に悪いイメージが少ないと思われますが、世界でPETボトルは1分間に100万本消費されています。

それだけの数に上ると、環境にもたらす負担というものも大きくなります。500mlのPETボトルをリサイクルする時に排出される二酸化炭素の量は、だいたい239gです。

一見少なく感じられる数字ですが、PETボトルのリサイクルで排出される二酸化炭素の量は決して少なくありません。日本の1年間の平均PETボトル消費量はひとり183本です。

つまり、1年間に1人約44kgの二酸化炭素をPETボトルの消費だけで排出していることになります。さらに、PETボトルリサイクル推進協議会による、2016年度の清涼飲料用PETボトルの出荷本数の227億本で計算すると、全てのPETボトルがリサイクルされた場合、日本は清涼飲料用PETボトルで排出している二酸化炭素が50万トン以上にも及ぶということです。

そして、この数字はリサイクルされる時の二酸化炭素排出量を計算したもので、PETボトルの製造、運輸、冷蔵などで排出される二酸化炭素は含まれてないのです。

消費者ができることは、水筒を持ち歩くなどして、PETボトルの消費を抑えることです。多くの消費者がPETボトルの消費を抑えると、生産されるPETボトルの量も減ります。

しかし、飲み物が無くなってしまった場合に我慢するのも良くありません。そこで、PETボトルを買う時にも、環境に優しい選択を心がけることができます。

最近ではPETボトルの軽量化をする製造会社も増え、二酸化炭素が削減される、薄いPETボトルが売られています。PETボトルを買うにしても、環境にかかる負担が軽くなるもの選ぶなどして、生産時、リサイクル時に排出される二酸化炭素を減らすことができます。

肉・乳製品がもたらす環境への負担

私たちが日常的に食べている料理の素材も、二酸化炭素を排出します。多くの食材の中で、もっとも二酸化炭素の排出量が高いのが肉と乳製品です。食糧農業機関によるデータでは、家畜業が排出する温室効果ガスは、世界の全排出量の18%にも達します。

牛肉1kgの消費で27.1kg、チーズ1kgの消費で13.5kgと、意外に高いのです。家畜業がこれほど多い温室ガスを排出する主な理由は大きく分けて3つあります。

まず、1つ目は家畜に与える飼料です。牛など、食肉用に育てられる動物は、美味しく育てるために、自然に食べる草などではなく、トウモロコシや大豆など、栄養が豊富な餌が与えられます。

アメリカ全米の農地の約半分が家畜の餌を栽培するための土地であり、77億kgの窒素肥料が使用されます。栽培するにあたって、トラクターやヘリコプターなどの機械が二酸化炭素を排出するとともに、窒素肥料は、土壌に吸収されると二酸化炭素の300倍環境に悪い、一酸化二窒素を生み出します。

2つ目の理由は牛や羊のゲップです。牛や羊のゲップにはメタンが含まれており、メタンは二酸化炭素ほど排出がなくとも、同じ排出量であれば、二酸化炭素の23倍もの温室効果をもたらすと言われています。

もちろん、適切な環境で育てる家畜がゲップでメタンを排出したところで温暖化には繋がりませんが、アメリカなど、牛肉の大量生産をする国では、メタンの排出量も深刻な問題として取り上げられています。

3つ目の理由は、熱帯雨林の破壊です。植物は二酸化炭素を吸収し、酸素に変える重要な役割を果たします。熱帯雨林は植物が密集しているため、大量の二酸化炭素が吸収されます。

しかし、最近では、熱帯雨林を伐採し、家畜を育てるために土地が利用されることが増えています。熱帯雨林がある地域で生活している人々は貧困問題を抱えていることが多く、苦しい日常生活から抜け出すためにも、違法である森林の伐採を許してしまうというケースが存在します。

熱帯雨林が伐採され、さらにそこで家畜の大量生産を行ってしまうことで、排出される二酸化炭素の量が増えるうえ、酸素に変えてくれる植物が減ることによって、温暖化が進んでしまいます。

このようにして、家畜業は多くの温室効果ガスを排出し、さらに、肉や乳製品の輸送をする際にも、二酸化炭素を多く排出します。環境に悪いという理由でベジタリアンやヴィーガンになるという選択をする人も増えていますが、肉や乳製品を食べないという選択をしなくとも、肉の消費量を少し減らしたり、良い環境で育てられている農家の肉や乳製品を購入するなどして、環境に優しい選択をすることができます。

パーム油がもたらす環境への負担

環境に負担がかからないものを買う意識をしているなかで、二酸化炭素を多く排出する材料が使われていると知らずに買ってしまうこともあります。PETボトルや肉、乳製品という、見てわかるもの以外に、たくさんの製品に使われている材料で二酸化炭素を多く排出するものがあります。それが、パーム油です。

パーム油は、アブラヤシの実から取れる油で、チョコレートやインスタントラーメン、石鹸や化粧品など、幅広い製品に使用されています。国民一人当たりが一年に4kg以上も消費するパーム油は、生産性が高く、安くて利用しやすいことから多くの製品に使われています。

そんなパーム油の主な生産国はインドネシアやマレーシアで、低湿地林を伐採してプランテーションが作られます。森林を伐採するにあたって多くの二酸化炭素を放出させるうえ、泥炭地であるために、森林がなくなると泥炭が空気に触れ、分解が始まり、温室効果ガスが放出されます。

さらに、泥炭はよく燃えるため、大規模な火災が発生することがあります。パーム油を生産するために排出される二酸化炭素の量は、231gCO2-eq/MJで、多くの原材料のなかで、トップクラスで二酸化炭素を排出します。

石炭の排出量が90.6gCO2-eq/MJなのに対して、パーム油は2倍以上の二酸化炭素を排出しているということです。さらに、近年ではパーム油の消費量も上がり、1990年には1112トンであったのに対して2007年には3998トンにまで上っています。

パーム油が問題視されているのは、膨大な二酸化炭素の放出に限らず、生物の多様性を急激に減らしているからでもあります。パーム油のプランテーションを作るために森林が伐採され、燃やされることで、森林を住みかとしているオランウータンやアジアゾウなどが絶滅寸前までに追い詰められるほどなのです。

パーム油が使用されている商品を買うのを控えることによって環境への負担を減らせるのですが、パーム油はPETボトルや肉、乳製品とは違い、原材料であるのと、幅広い製品に使われていることによって非常に避けるのが難しいものでもあります。

言ってしまえば、パーム油が使われている製品を完全にボイコットするのは不可能に近いのです。さらに、原材料の表示に関しても、「パーム油」とはっきり書かれていることは少なく、「植物油脂」などといった、わかりにくい表示がされていることが多々あります。

そのため、簡単にできる環境の負担を無くす選択は、パーム油を使う企業を事前に把握し、その企業の商品の購入を避けることです。しかし、これもまた極端な選択であるため、継続するのが難しいと思われます。

そこで、パーム油のなかでもサステイナブルなパーム油を使用している製品には、認証マークがつけられていることがあります。スーパーなどに買い物にいった際に、認証マークがついた製品を購入するなど、パーム油が使用されているものでも、環境への負担を減らすことが可能です。

まとめ

二酸化炭素の排出が主に産業や運輸が占めているなかで、消費者ができることは、このような企業が二酸化炭素の排出を減らすようにプレッシャーをかけることです。

もちろんPETボトルを一人の人間が一本買ったところで気温は上昇しませんが、一人の人間がPETボトルを買うという選択の重なり合いが、1分間に100万本消費されるという結果を招いているのです。

温暖化などといった効果の現れが感じ辛いことは、ボイコットなどといった極端な行動を取らなくとも、日常生活のなかで、二酸化炭素の排出を減らそうと意識して生活することが大切です。二酸化炭素を多く排出する製品についての知識を広め、意識する人間が増え、環境に負担がかからない選択がされ続けることによって、今まさに迫りくる地球の危機を未然に防ぎ、多くの命を助け、生きやすい地球を継続させることができるのです。

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