ゴミ問題についての取り組み
所属:跡見女子大学
インターン生:Y.Kさん
地球温暖化の問題で多くの人が耳にするゴミ問題、この問題には皆さんが普段から大きく関わっている問題の1つです。このコラムでは、ゴミ処理の問題の深刻さを知り、地球温暖化のために自分と企業で対策できる方法を紹介します。
日本のゴミの歴史について
江戸時代から明治にかけてのゴミ処理
昔はどのようにゴミは扱われてきたのでしょうか。それは、江戸時代まで遡ります。当時の江戸は既に、ロンドンや北京、パリと並び世界有数の人口を誇る大都市で、紙や古着など再利用が進んでいたことで知られています。
生ゴミのようなものは再利用ができず、空き地や堀、川への放棄が日常的に行われていました。たびたび放棄を禁ずる触書が出されるほどで、遂に「永代浦(現在の富岡八幡宮あたり)へ捨てに行くことというお触書で放棄の場所が定まることで、収集・運搬の原型が生まれることになりました。
この当時、世界の都市で1番の悩みだった廃棄物はし尿です。ヨーロッパの都市ではあちこちに捨てられるという状態で、極めて不衛生でした。しかし、江戸では近郊の農家が有価で引き取って費用に利用するなど、し尿に関しては1歩進んでいました。
明治時代の初期もそのままの廃棄物処理が続きました。しかし、たびたび伝染病が流行するようになり、ようやく公衆衛生の一環として「汚染掃除法(明治33年」)が公布、施行されました。この法律により、ごみ収集が行政の管理したに置かれ清掃行政の形が出来はじめます。しかし、ゴミ処理の要となる焼却場の整備は進まず、野焼きや養豚による残飯処理といった方法が長く続きました。
東京オリンピックから
昭和39年の東京オリンピック開催と言えば、日本が国際社会への復帰を印象付けた出来事ですが、この時期はゴミの歴史から見ても大きな転換点でした。大量消費社会の到来とそれに伴う生活様式の変化によりゴミの排出量が激増し、ゴミの質も変化し、全国的には水俣病に代表される大きな公害問題等を抱えることになりました。
昭和32年からえ埋立てを開始した「夢の島(東京都江東区の町名)」はその象徴です。昭和46年には「東京ゴミ戦争」が宣言され、これを契機に全国各都市でゴミが最大の都市問題となっていきました。
テレビや冷蔵庫、洗濯機、いわゆる「三種の神器」や「公共住宅」の普及は、日本の生活様式に大きな変化をもたらし、近隣づきあいを前提とした住まい、つまりモノを分け合ったり融通しあったりする習慣が、徐々に薄れてくきっかけになったと言えます。
その頃からセルフサービスのスーパーマーケットが普及し始め小売商品の従来以上の包装やレジ袋などの利用が進みます。便利さと引き換えにゴミの増加が進み、「使い捨ての生活様式」が当たり前の時代となっていったのです。神の大量消費や容器包装廃棄物に伴うプラスチック類の増加は、ゴミ焼却による二次公害といわれる問題へと広がっていきました。
大量消費がもたらした副産物
大量消費社会がもたらした大量な副産物として廃棄物や公害問題が大きな社会問題を生み出すこととなります。さらに輪をかけるように昭和55年から始まったバブル景気をきっかけに、事業系の廃棄物や外食産業からの食品廃棄物の増加に家庭からのゴミも加わり、ゴミの量は増加の一途をたどることになります。
大量生産に伴う河川汚染・大気汚染等の公害問題、大量なゴミの焼却によるダイオキシン問題等を経て、数々の公害、有害物質対策に規制も強化され、更には「廃棄物の処理及び清掃に関する法律(廃棄物処理法)」の改定や、各種リサイクル法が制定され、法の整備と共にリサイクルに対する国民の認識が徐々に高まってきました。
世界のゴミ処理問題
この問題には発展途上国が深く関わっています。例えば、フィリピンです。フィリピンではダイオキシンが発生するプラスチックを燃やすことができません。そのため、分別されず捨てられたゴミは焼却されずに廃棄物処理場へと運ばれゴミが積み上げられていく状況になります。このようなことから出来上がったのがゴミ山です。
それらのゴミの中には先進国から輸入したものも多く、プラスチックや電化製品などに自然に還らないゴミもたくさん含まれています。捨てられているゴミの中には、注射器や医療器具・危険な化学薬品なども含まれています。
山積みしたゴミは腐敗してガスを発生し、自然発火して燃えたプラスチックから有害物質が流出します。大気や地下水に混入して、周辺住民の体内に蓄積する危険性があります。このような実態から、ゴミ捨て場付近のエリアで急激に障害児の数が増加しており、大問題となっているのです。
日本のゴミ処理問題
現在、日本は年間のゴミの量が世界1位となっているといわれています。つまり、世界で最もゴミを出しているということなのです。理由としては、不法投棄の増加やモノ作りの発達が進んでいるからと言われています。
そこで重要とされるのが廃棄物の処理方法です。廃棄物の処理は何でも燃やせばいいというわけではありません。廃棄物の処理にはさまざまなプロセスがあり、最終的な処分がなされる前には、リサイクルが行われていくようになっています。しかし、リサイクルの取り組みはそれぞれの県や自治体によって異なる部分もあり、リサイクル活動の進展度には差があるといわれています。
環境省の発表によれば日本が出している年間のゴミの量は2015年度に約4490万トンであったということです。これは、1人の国民が毎日大体960g、1kg弱の生活ゴミを出しているということになります。
この生活ゴミは2000年の約5500万tをピークにして毎年少しずつは減少しているということです。容器包装リサイクル法が2006年度に1部改正されて、家庭や企業、自治体が一体的に3Rの推進に取り組んできた結果とも考えられているのです。
この点については、成果として挙げられます。しかし、なお国民1人あたりでみると1日1kgくらいのゴミが出されているのです。これは年間で考えると。1人あたり320kgのゴミを輩出しているということになります。この320kgは世界で最もゴミを出している数といえます。ちなみに2015年のランキングは1位日本320kg 2位フランス180kg 3位ドイツ140kg 4位アメリカ100kgといった順位でした。
ゴミ問題の対策
では、どのような行動をすることによってゴミ問題の対策をとることができるのでしょうか。今回私は企業・個人共に取り組めることの紹介をします。
企業と自分で対策をする
ビニール袋の使用について
この問題は既にご存知の方が多いと思います。ビニール袋は、ゴミとして処理をする時にダイオキシンが発生します。そして、ビニール袋製作時には二酸化炭素が発生します。二酸化炭素、ダイオキシン共に地球環境に深く関わっています。少しでもビニール袋の使用を減らそうと、エコバックの使用やビニール袋を購入制度に変える店舗もあります。エコバックは個人で購入することが必要とされ、ビニール袋を購入制度に変えるには企業が動く必要があります。
3R活動を行う
3Rとは、Reduce(リデゥーズ)、Reuse(リユース) Recycle(リサイクル)の3つの英語の頭文字を表しています。Reduce(リデゥーズ)は、使用済みになったものが、なるべくゴミとして廃棄されることが少なくなるように、ものを製造・加工・販売すること。
Reuse(リユース)は、使用済みになっても、その中でももう1度使えるものはゴミとして廃棄しないで再使用すること。Recycle(リサイクル)は、再使用ができずにまたは再使用された後に廃棄されたものでも、再生資源として再生利用すること。これらの3つのことを3Rといいます。
3R活動とは、上の3つのRに取り組むことでゴミを限りなく少なくし、そのことでゴミの焼却や埋立て処分による環境への悪い影響を極力減らすことと、限りある地球の資源を有効に繰り返し使う社会(=循環型社会)をつくろうとするものです。
3R活動を行っているショッピングセンターでは、紙のリサイクルとして設置してあるレストルームのトイレットペーパーがリサイクルされたものであったりします。私たちが3R活動を行うのであれば、古着屋や古本屋に行き、洋服を提供することによってゴミを減らすことができます
まとめ
ゴミ問題は地球温暖化に深く関わりがあり、長い間世界でも深刻な問題とされ注目されています。多くの対策がありますが、この問題はなかなか解決されていません。私たち1人1人がしっかりと意識をすることによってゴミ問題に向き合う必要があります。