地球温暖化に対抗する世界の取り組み
所属:埼玉大学
インターン生:A.Aさん
目覚ましい経済発展の裏側で地球温暖化は確実に進行しています。そして地球温暖化は気温の上昇にとどまらない様々な被害を引き起こしています。このコラムでは地球温暖化の原因といわれている温室効果ガスの排出削減を目指して締結された京都議定書とその後について紹介します。
地球温暖化に対抗する世界の取り組み
目覚ましい経済発展の裏側で地球温暖化は確実に進行しています。そして地球温暖化は気温の上昇にとどまらない様々な被害を引き起こしています。
こうした問題は日本だけの取り組みでどうにかなるものではなく、世界全体が一丸となって改善を目指していかなければいけません。このコラムでは地球温暖化の原因といわれている温室効果ガスの排出削減を目指して締結された京都議定書とその後について紹介します。
京都議定書とは
正式名称は「気候変動に関する国際連合枠組条約の京都議定書」。1992年に設立された国連気候変動枠組条約(UNFCCC)の最高意思決定機関である条約締約国会議(COP)が毎年開催されることになっています。その第三回目であるCOP3は日本にて開催されました。
1997年12月に行われたCOP3の同月11日に京都府の国立京都国際会館にて採択されたのが京都議定書です。地球温暖化をもたらす温室効果ガスである、二酸化炭素(CO2)、メタン(CH4)、亜酸化窒素(N2O)、ハイドロフルオロカーボン類(HFCs)、パーフルオロカーボン類(PFCs)、六フッ化硫黄(SF6)に関して、それぞれの国が削減率の設定と期間内の達成を約束しました。
1990年を基準に削減率の達成目標が設定されました。(※HFCs、PFCs、SF6については1995年を基準としても可)また期間は2008年〜2012年とし、先進国全体の温室効果ガスの合計排出量を基準年と比較して、5%を削減することを目標としました。
そして今までの個々の国の温室効果ガス削減の成果に応じて、それぞれ−8%から10%まで排出量の削減目標が設定されました。具体的には日本では基準年と比較して排出量を94%とすることを目標として設定される一方、オーストラリアは108%とすることが認められました。
京都議定書の特色
京都議定書の特色として京都メカニズムがあります。京都議定書では、自国内で行われる温室効果ガスの排出削減だけではなく、国外で行われている排出削減や国家間での取引など、温室効果ガスの排出削減に向けた柔軟な対応が可能となっています。
この仕組みを京都メカニズムと呼び、国際排出権取引、クリーン開発メカニズム、共同実施という3つの大きな仕組みからなります。
国際排出権取引
国際排出権取引とは排出量削減の余裕のある国が余裕のない国に、温暖化ガス排出量枠を売れる仕組みです。温室効果ガスの排出削減が比較的に容易な国は対価を求めてより削減を促進させ、困難な国は少ない費用で削減目標を達成することができます。
クリーン開発メカニズム
温室効果ガスの排出削減義務のない国で削減プロジェクトを実施することでその成果を自国の成果とすることができる仕組みです。削減義務のない国の多くは途上国であり、削減の取り組みが進んでいる先進国と比較して、技術や資金の投入でより大きな温室効果ガスの削減が期待できます。
共同実施
先進国間で技術や資金の提供を行い、温室効果ガスの排出の削減できた場合、その成果をそれぞれの国の成果として再配分することができる仕組みです。
またもう一つの特色として吸収源活動があります。
吸収源活動
1990年以降に植林活動などを通して、CO2の吸収源が増加したとき、その増加分を温室効果ガスの排出量削減に換算できる仕組みです。
京都議定書の問題点
京都議定書の大きな問題点の一つにアメリカの不参加があります。当時アメリカは二酸化炭素の排出量が最も大きく、温室効果ガスの削減が期待されていました。しかしながら経済発展の妨げになることなどが原因となり京都議定書から離脱することになりました。
京都議定書の成果
日本を始め、EUなど多くの国では排出削減目標を達成することができました。具体的に見てみると、日本では排出削減目標の−6%、結果が−8.4%、ドイツでは排出削減目標−21%、結果が−23.6%と大きく目標を達成できたことがわかります。
しかしながら京都議定書から離脱したアメリカは+9%、カナダは+24%、削減義務がなかった途上国の中国インドでは基準年の2倍近くまで排出量が増加するなど温室効果ガス削減という成果は大きなものとはいえないものとなってしまいました。
ポスト京都議定書
2008年〜2012年に行われた削減目標のあと、2012年12月、カタールのドーハにて開催されたCPM8において第二約束期間が設定されました。2013年から2020年までの8年間において基準年となる1990年から18%の温室効果ガス削減を目標とすること、温室効果ガスとして新たに三フッ化窒素(NF3)が追加されることなどが盛り込まれました。しかしながら、受諾国が満たされず未だ発効には至っていません。
まとめ
地球温暖化に対抗するためには個々人の努力だけでなく国レベルの対策が必要です。京都議定書もそうした対策の一つです。
しかしながら少しでも温暖化を止めたい先進国と経済発展を目指す途上国との溝など、困難な問題はいまだに存在しています。これからも京都議定書を含めた地球温暖化の対策は大いに関心を寄せるべき議題と言えます。