魚料理の危機
所属:目白大学
インターン生:S.Sさん
皆さんはご存知でしょうか? 日本人にとっては欠かせない食べ物となっている寿司やお刺身、それが消えつつあります。 日常的に食べることができる魚は、私たち人間の「獲りすぎ」により世界中の海から姿を消そうとしています。
漁業の現状
本来海がある限り、漁業は持続可能な産業となっています。魚は海で卵を生み、そこから生まれ、幼魚、成魚となって卵を生むという流れから生命サイクルが成り立っています。このサイクルを考慮して漁を行えば、私たちは海の恵みをずっと味わうことができます。
しかし、現状ではそのサイクルが追い付けないほどの速さで漁業が行われています。世界の主要漁業資源の約30%が獲りすぎで、約60%が過剰漁業の一歩手前の状況にあります。その結果、約60年前と比較して、世界の漁場の25%は崩壊し、すでにマグロやカジキなど大型魚の90%が海から姿を消しています。
漁業の問題
魚の「獲りすぎ」によって、未来の食卓から少しずつ魚が消えつつあります。それを解消しようという流れが世界で広がっています。しかし、
- 増え続ける過剰漁業
- 絶えない違法漁業
- 不十分な漁業規制
といったようなことから問題解決は困難を極めています。そして、漁法によっては同じ魚でも、用いる網やその方法によって、成熟していない魚まで獲ってしまったり、海の自然環境を壊したり、取る必要のない他の生物をも獲ってしまう「混獲」の問題を引き起こしています。
家庭を取り巻く問題
漁業が魚の乱獲問題を引き起こしていると思いがちですが、私たち家庭側もその問題に拍車をかけていることに気づいているでしょうか。日本では現在、家庭で消費される魚介類の約70%がスーパーマーケットで買われています。チェーン展開し大型化したスーパーは、消費者に均質的・安定的に商品の販売をするために、世界中の海から魚を集めています。この調達方針が「獲りすぎ」を加速させているのです。
一方で、十分な商品情報が公開されていないため、消費者の方も「乱獲されていない、十分資源のあるいま食べていい魚」を選びたいと思っても、それができない状況にあります。
消費者として
スーパーマーケットや飲食店は激しい競争の中にあり、消費者が作り出すニーズを敏感に察知し、それに適した商品やサービスを提供します。
このことから私たち消費者が「持続可能な魚が買いたい。」「将来の子どもたちにも寿司やお刺身の味を知ってもらいたい」と伝えることで、スーパーや飲食店に魚の調達方針を変更させ、ひいてはそれが海を乱獲から守り、未来の子どもたちに魚を残すことにつながる効果的な方法なのです。
需要が生まれれば、身近なスーパーマーケットや飲食店がそれに合わせて動き、そして企業、最後に社会が動くほどの大きな力が持続可能な魚を生み出していくのです。