電力自由化、過疎地域を照らす光に…
所属:千葉大学
インターン生:Y.Sさん
日本には、若者離れが進み高齢者だけが残された過疎地域と呼ばれる市町村が多く存在しています。雇用が無い、故郷への愛を見いだせないと嘆く若者もいます。 過疎地域をはじめ、日本の地域社会を活性化させる取り組みが求められていますが、「電力自由化」は、まさに日本の地域社会の未来を照らす可能性があるのです。
過疎地域の現状
平成26年4月5日時点のデータでは、日本全国の全市町村1718のうち616もの市町村が過疎地域となっています。全体としては約36%ですが、北海道、島根県や鹿児島県では約80%以上もの市町村が過疎です。
これらの地域に共通していることは、若者が雇用を求めて地域を離れるのに対して高齢者人口は高まり、地域の存続も危ぶまれている状況であることです。そのような過疎問題に対応するために求められていることは、新たに雇用を生むこと、財源を確保し、地域社会を活性化していくことです。中には、観光PRを推進し活性化している例もあります。
過疎地域を想像してみて下さい。実は、多くの過疎地域に共通している点は、広大な土地があり、太陽光や風力など自然エネルギーに富んでいることです。
電力自由化がもたらす可能性
もし、過疎地域の広大な土地にメガソーラーを設置したらどうでしょうか。十分な太陽光を得て、大量の発電が望めます。生み出された電力は地域の需要を満たすだけでは余ります。そこで、蓄電池に貯めて他の市町村や一般企業、個人に向けて販売するのはどうでしょうか。
そうして得た利益は地域の自主財源とすることができます。また、太陽光だけでなく地熱発電、風力発電や雪氷熱を利用した発電など、地理的条件に応じた発電方法を選び、売電する事業を行うことで、新たな雇用を生み出すことにも繋がります。つまり、若者に仕事ができるのです。
地方自治体が電力事業に入るメリット
電力自由化に伴い、多くの民間企業や個人が電気の売買に参入してきます。それは消費者にとって選択の幅が広がるという利点にもなりますが、必ずしも全ての人が、無数の情報量の中から取捨選択できるわけではありません。インターネット環境のない年配者などは自分たちに適する電力会社を選べない、年配者をターゲットにした詐欺が発生するなどの懸念点があるのも事実です。
そこで、「民」ではなく「官」が電力を売るというのが有効だと考えます。電力の販売を地方行政の一つをして運営する地方自治体があれば、安心して購入する消費者が増えると思います。地方自治体が行政の一環として取り組めば、営利目的になることを防ぎ、環境への配慮も期待できます。金額、環境、安定性の観点からより優れた電力を流通させるためにも、地域住民の信頼のもとに活動する地方自治体が電力事業に参入するのは大変有効です。
電力事業を始めるために
過疎地域を活性化させるために電力事業を行うことは良い手段です。しかし、設備の建設費など初期段階では多くの費用が必要とされます。そこで、市町村間でパートナー協定を結ぶことを提案したいと思います。
例えば、深刻な過疎地域Aと都市部にある財源に富んだ地域Bがパートナー協定を結びます。Aが電力事業を始めるための建設費の援助などをBが行います。その後、Aの事業が始まり安定した収入が得られるようになった段階で、Aに還元していくという仕組みです。土地や資源はあるが人やお金がない市町村と、人や財源はあるが、土地や資源の無い市町村がお互いに補完し合うことができれば、電力自由化を通して地域間協力が可能になると考えられます。