藻から作ったオイルでエネルギー問題を解決!
所属:筑波大学
インターン生:I.Kさん
日本が産油国になる日は近いかもしれません。藻類バイオ燃料とはいったいどんなモノなのか、本当に実現できるのか、気になったので調べてみました。
バイオ燃料とは
最近よく耳にする“バイオ燃料”ですが、バイオマス(biomass = bio 生物 + mass 量)燃料の略で、「生物によるエネルギー資源」という意味を持ちます。バイオ燃料は、化石燃料の枯渇を防止する働きに加えて、生物の成長過程で行われる光合成によってCO2を吸収し、排出量を削減する効果が期待されています。
“藻類”バイオ燃料の特長
バイオ燃料として、トウモロコシなどの穀物から作られるバイオエタノールが有名ですが、このバイオエタノールの700倍のオイル生産効率を持ち、食料高騰を引き起こす心配もないバイオ燃料があります。それが、藻類バイオ燃料です。原料は“ボトリオコッカス・ブラウニー”という、光合成によって炭化水素を作る緑藻類が研究されてきましたが、石油に比べて生産コストが高く、実用化が難しいとされてきました。そんな中、2010年にこの状況を打破するような藻類が発見されました。
優秀な「オーランチオキトリウム」
それが“オーランチオキトリウム”とよばれる微生物の細胞集団です。オーランチオキトリウムは、生産コストをボトリオコッカスの10分の1以下に抑えることができるほか、有機物を食べてエネルギーを得る性質を利用して、排水の有機物を食べさせ下水処理と燃料生産の両立も考えられています。
本当に実現できる?
日本の石油輸入量と同量のエネルギーを藻類バイオマス燃料でカバーするためには335,000[ha](東京都の約1.5倍の面積)の藻類培養施設が必要だと計算されます。日本には、この2倍近い休耕地があることや、臨海地域に培養施設を建設できると考えた場合、石油の輸入をする必要がなくなる日も遠くはないかもしれません。
実現されるとどんな影響がある?
藻類バイオ燃料が実現された場合、エネルギー問題の国際的なパワーバランスが崩れ、世界各国の経済や産業に影響が及ぶと予想できます。それぞれの国が藻類バイオ燃料の産出を始めると石油など化石燃料を巡る国家間の争いはなくなり、地球規模でのエネルギー問題も解決されます。将来的に生産性が上がり石油燃料より低コストでの運用ができれば、産業の発展を促進させ、石油使用時に比べてCO2の排出を削減でき、下水処理も並行して行い、エコで豊かな社会に近づけるのではないでしょうか。