里山資本主義と脱原発について
所属:中央大学
インターン生:A.Sさん
「里山資本主義」とは、簡潔に言えば、今まで金銭的価値のないと思われてきた「里山」にある資源を見直し、身近な資源を再発見することで、持続可能な経済を作り上げていくことを指します。
今、「里山資本主義」が注目されていることを皆様は知っているでしょうか。「里山資本主義」とは、簡潔に言えば、今まで金銭的価値のないと思われてきた「里山」にある資源を見直し、身近な資源を再発見することで、持続可能な経済を作り上げていくことを指します。
この「里山資本主義」は「マネー資本主義」と対比されます。「マネー資本主義」とは、いわゆる金融経済のことです。「マネー資本主義」である今、人々はすべてをお金に囚われてしまい、豊かな生活をすることができなくなっているのが現状と言えるでしょう。また、「マネー資本主義」は日本が現在抱えている少子化の問題にも関係しているとの意見もあります。日本は今、少子化が進んでおり、日本の人口がどんどん減っているという危機的状態にあります。人口が減ってしまうと消費者も減ってしまい、経済が回らなくなってしまいます。また、人々はお金に囚われるあまり、子どもを産むことを躊躇してしまう傾向もあるでしょう。経済成長を目指す今、日本はそのような「マネー資本主義」を脱却し、「里山資本主義」を目指すのも一つの手だと私は考えます。
里山の活用で最先端にいるのはオーストリアと言われています。オーストリアは、ヨーロッパのほぼ中央に位置しています。面積は約8.4万平方キロメートルで、北海道とほぼ同じ面積です。人口は約850万人であり、人口密度は北海道よりも少し高いです。オーストリアはあまり知られていないような国だと思われますが、実は里山の活用で大変活躍しているのです。
欧州にあるオーストリアは、隣国や中東などが危機的状況にあったとき、影響を受けてしまい経済的危機に陥ってしまいましたが、森林育成によってできた木くずによるエネルギー自給は経済的危機の解決に繋がりました。なんと、電力を100%自給することに成功したのです。また、建築にも木は活用されています。木造建築は断熱効果が高いため、冷暖房代も節約できるという大変エコな役割を担っているのです。また、集成材を使えば、火災にも強いというメリットがあります。また、オーストリアは、欧州ではじめて非核・反原発を憲法に書いた国でもあります。原子力発電の代わりにバイオマス発電などでエコで安全なエネルギーを自給する、そのような姿勢は日本も見習うべきだと思います。
現在、日本のエネルギー自給率はたったの6%であり、エネルギーのほとんどを他国に依存している状態です。日本国内で自立し、エネルギーを生み出す方法を考えることは重要だと思います。また、現在日本は脱原発が騒がれていますが、私も脱原発に賛成する者です。東日本大震災が起きた当時、福島原発事故が起きたとニュースで初めて報道した時、私の両親が急いで窓やドアの隙間という隙間をガムテープなどで塞ぎ、外気が入らないようにしていたことを今でも鮮明に覚えています。私は恥ずかしいことに当時原発や放射能の恐ろしさをあまり知らなかったのですが、両親の慌てた様子を見て、原発や放射能はそこまで恐ろしいものなのか、と思い知らされました。知識不足についてはメディアが原発の危険性についてあまり報道しなかったことも原因かもしれません。大学に進学してからは、チェルノブイリ原発事故について学んだり、原発反対を唱えている大学の教授の話を聞いたり書籍を読んでいるうちに、地震大国である日本では特に、安全性に欠ける原発を稼働させてはならない、と強く思い始めるようになりました。
九州電力は8月11日に川内原子力発電所1号機を再稼働させ、すべての原発が止まった「原発ゼロ」の状態が約2年ぶりに解消されました。しかし私はそれを知り、日本はチェルノブイリ原発事故や、東日本大震災による福島原発事故から何も学んでいないのか、と残念に思いました。原子力発電は確かに二酸化炭素を排出しないというエコな部分が大きいですが、安全性が欠けています。脱原発を実現できる鍵となるのが里山資本主義による木くずのバイオマス発電になる可能性も少なからずあり、これは日本が社会のあり方を今一度見直すいい機会になるのではないかと思っています。