居酒屋の厨房で光熱費を削減するには?電気・ガス・水道代の目安と節約方法を解説
居酒屋の厨房は、冷蔵・冷凍設備や調理機器を長時間稼働させる必要があるため、一般的な店舗と比べて光熱費の負担が大きくなりやすい場所です。近年の電気・ガス料金の値上がりも重なり、光熱費の削減は多くの居酒屋経営者にとって見過ごせない課題となっています。
この記事では、居酒屋の厨房でかかる光熱費の目安や、光熱費が高くなりやすい原因、電気・ガス・水道それぞれの節約方法、運用改善のポイントについてご紹介しています。厨房の光熱費を見直したい方は、ぜひ最後までご覧ください。
居酒屋の厨房でかかる光熱費の目安
まずは、居酒屋の厨房でかかる光熱費について、内訳や目安を見ていきましょう。
光熱費(電気・ガス・水道)の内訳
居酒屋の光熱費は、大きく電気代・ガス代・水道代の3つに分けられます。厨房では、冷蔵・冷凍設備や照明、空調に使う電気代に加えて、ガスコンロやフライヤーなどの調理機器で使うガス代、食材の下処理や食器洗浄で使う水道代がかかります。一般的には、この中でも電気代が占める割合が大きくなりやすい傾向があります。
売上に対する光熱費の適正割合
飲食店業界では、光熱費は売上高のおおむね5〜8%程度が目安とされることが多く、居酒屋の場合は5〜7%程度と言われることがあります。ただし、これはあくまで複数の業界情報で共通して見られる目安であり、公的機関による統一的な統計値ではないため、実際の割合は業態や店舗の状況によって変動する点に注意が必要です。
ドリンクの提供が多く仕込みに手間がかかる居酒屋では、他の業態と比べてやや高めになることもあります。
店舗規模や営業時間によって光熱費が変わる理由
光熱費は、店舗の坪数や座席数、営業時間の長さによっても変わります。厨房の設備台数が多い店舗や、深夜営業をおこなう店舗では、稼働時間が長くなる分、電気代やガス代もかさみやすくなります。
また、仕込みの時間帯や仕入れの量によって水道の使用量も変動するため、店舗ごとの営業スタイルに応じた光熱費の目安を把握しておくことが大切です。
居酒屋の厨房で光熱費が高くなりやすい原因
続いて、居酒屋の厨房で光熱費が高くなりやすい原因についてご紹介します。
冷蔵庫・冷凍庫など24時間稼働する設備
業務用の冷蔵庫・冷凍庫は、食材の品質を保つために24時間365日稼働させ続ける必要があります。営業時間外も止めることができない設備のため、店舗の電気代の中でも大きな割合を占めやすくなります。
ガスコンロ・フライヤー・食洗機など調理機器の使用
ガスコンロやフライヤー、食洗機といった調理機器は、営業時間中に頻繁に使用するため、ガス代や電気代がかさみやすい設備です。とくに揚げ物メニューが多い居酒屋では、フライヤーの油を温め続けるために多くのエネルギーを消費します。
空調設備による電力消費
厨房は調理機器の熱がこもりやすく、室温が上がりやすい環境です。快適な作業環境を保つために空調を強めに稼働させることが多く、その分電気代もかさみやすくなります。
営業時間外の待機電力や無駄なエネルギー消費
営業時間外であっても、コンセントに差し込まれたままの機器や、消し忘れた照明などは、待機電力として電気を消費し続けます。ひとつひとつは小さな消費量でも、毎日積み重なることで無視できない金額になる場合があります。
厨房の光熱費を削減する方法
ここからは、電気・ガス・水道それぞれの光熱費を削減する具体的な方法についてご紹介します。
電気代を抑えるポイント
LED照明・高効率機器へ更新する
資源エネルギー庁によると、蛍光灯をLED照明に交換することで、年間消費電力量の約50%の省エネが見込めるとされています。厨房や客席の照明をLEDに切り替えることは、比較的取り組みやすい電気代の削減方法のひとつです。
冷蔵・冷凍設備の温度管理とメンテナンスを行う
冷蔵・冷凍設備は、庫内の温度設定が適切か、パッキンの劣化などで冷気が漏れていないかを定期的に確認しましょう。また、庫内に食材を詰め込みすぎると冷気の循環が悪くなり、余分な電力を消費する原因になります。
電力会社・契約プランを見直す
電力自由化により、飲食店のような事業者も電力会社や料金プランを自由に選べるようになりました。契約している電力会社以外のプランも比較し、営業時間帯や使用量に合った契約先を検討してみましょう。
なお、契約電力によっては「高圧」区分での契約となる場合もあり、経済産業省の「電気設備に関する技術基準を定める省令」では、実務上契約電力50kW未満が低圧、50kW以上2,000kW未満が高圧として扱われています。高圧契約になると単価が抑えられる場合がある一方、キュービクル(受変電設備)の設置・維持費用が必要になるため、店舗の規模に応じて検討することが大切です。
ガス代を抑えるポイント
調理機器を効率よく使用する
鍋の底面が炎からはみ出さないようにする、複数の調理をまとめておこなうなど、ガスコンロを効率よく使う工夫によって、ガスの無駄な燃焼を抑えられます。フライヤーも、使用しない時間帯は保温温度を下げておくといった工夫が効果的です。
定期的な点検・清掃で燃焼効率を維持する
バーナー部分に汚れが溜まると、火力が不安定になり、燃焼効率が落ちることがあります。定期的に清掃・点検をおこない、ガス機器を常に良好な状態に保つことが、無駄なガス代を防ぐことにつながります。
水道代を抑えるポイント
節水機器やつけ置き洗いを活用する
節水コマや節水シャワーヘッドを蛇口に取り付けることで、同じ作業をしながら水の使用量を抑えられる場合があります。また、汚れがひどい食器や調理器具は、いきなり洗うのではなく、つけ置きしてから洗うことで、水を流し続ける時間を短縮できます。
水漏れや流しっぱなしを防ぐ
蛇口や配管からの水漏れは、気づかないうちに水道代を押し上げる原因になります。定期的に水回りを点検し、パッキンの劣化などがあれば早めに対処しましょう。また、洗い物の際に水を出しっぱなしにしないよう、スタッフ間で意識を共有することも大切です。
光熱費削減をさらに進めるための運用改善
最後に、光熱費の削減をより効果的に進めるための運用面の工夫についてご紹介します。
エネルギー使用量を「見える化」する
電気・ガス・水道の使用量を日々記録し、見える化することで、どの時間帯や作業でエネルギーを多く消費しているかを把握しやすくなります。使用量の変化に早く気づければ、設備の不具合や無駄な稼働にも対応しやすくなります。
スタッフ全員で節電・節水ルールを共有する
照明や空調のこまめな消灯・調整、水の出しっぱなしを防ぐといった基本的なルールは、スタッフ全員が共有することで初めて効果を発揮します。マニュアルやチェックリストを作成し、誰が担当しても同じ対応ができる仕組みを整えておきましょう。
設備更新とランニングコストのバランスを考える
古い設備を最新の省エネ機種に更新すると、電気代やガス代の削減が期待できます。一方で、設備更新にはまとまった初期費用が必要になるため、削減できる光熱費と初期費用を比較し、何年程度で投資を回収できるかという費用対効果を確認した上で判断することが大切です。
補助金や省エネ支援制度を活用する
省エネ設備の導入には、国や自治体の補助金制度を活用できる場合があります。たとえば環境省の「SHIFT事業」は、工場や事業場における既存設備を高い省CO2効果を持つ設備へ改修・更新する取り組みを支援する補助金事業であり、飲食店を含む幅広い事業者が対象に含まれます。補助金の活用を検討する際は、対象設備や申請要件、公募期間などを事前に確認しておきましょう。
まとめ
居酒屋の厨房の光熱費は、24時間稼働する冷蔵・冷凍設備や調理機器の使用、空調による電力消費など、さまざまな要因が重なって高くなりやすい傾向があります。まずは光熱費の内訳や使用量を把握した上で、電気・ガス・水道それぞれの節約方法や、スタッフ全員での運用改善を積み重ねることが、光熱費の削減につながります。
また、光熱費の見直しだけでなく、メニュー開発や仕込みの工夫、スタッフの育成など、飲食店の経営にはさまざまな課題がつきものです。おばんざい屋 永(トコシエ)では、飲食店をはじめとする食に関わる事業者向けに、経営や運用に役立つ情報を発信しています。お店づくりや運営に関するヒントを探している方は、ぜひチェックしてみてください。
エコモは各地を飛び回って、電力・エネルギーや地球環境についてお勉強中なんだモ!色んな人に電気/ガスのことをお伝えし、エネルギーをもっと身近に感じてもらいたいモ!

