エコキュートの寒冷地仕様とは?一般地仕様との違いや導入時の注意点を解説
一般的なエコキュートの場合、寒冷地で使用すると配管が凍結したり、効率が低下したりする可能性があります。そこで、冬場に気温が大きく下がる地域に向けて販売されているのが、寒冷地仕様のエコキュートです。
本記事では、エコキュートの寒冷地仕様とは何か解説したうえで、一般地仕様との違いや、導入時の注意点などをご紹介します。主要メーカーごとに製品の特徴もお伝えするため、エコキュートの機種選びで悩んでいる方も参考にしてみてください。
エコキュートの寒冷地仕様とは
エコキュートの寒冷地仕様とは、一般的なエコキュートと比較して、凍結防止対策や耐寒性能を強化したモデルです。エコキュートの主要メーカー各社が寒冷地仕様の製品を販売しており、一般地仕様のエコキュートと比べて、価格は数万円~十万円ほど高く設定されています。
寒冷地仕様の購入が推奨されているのは、北海道や東北、北陸といった降雪地帯や、標高の高い地域など、最低気温がマイナス10℃を下回る地域です。これらの地域で寒冷地仕様のエコキュートを購入することにより、外気温が低い地域でも安定してお湯を沸かしやすくなります。
寒冷地仕様が必要になる理由
寒冷地仕様のエコキュートが必要になる理由は、故障リスクを低減するためです。外気温が低い地域で通常仕様のエコキュートを使用すると、配管凍結や霜による故障リスクが高まります。本体が故障した場合、高額な修理費が発生するため、寒冷地仕様を購入するよう推奨されているのです。
また、雪や霜が熱交換器についた場合、エコキュートの効率が低下しやすくなることも、寒冷地仕様が必要になる理由のひとつです。せっかくの節電効果を無駄にしないためにも、冬場の気温がマイナス10℃を下回る地域では、寒冷地仕様のエコキュートを購入することをおすすめします。
寒冷地仕様と一般地仕様の違い
寒冷地仕様と一般地仕様の違いは、主に次の4点です。
- 凍結防止対策のレベルが違う
- 対応可能な外気温の範囲が違う
- 価格帯が異なる
- 設置に適した地域が異なる
<寒冷地仕様と一般地仕様の違い>
ここでは、それぞれのポイントを解説します。
凍結防止対策のレベルが違う
寒冷地仕様は、ヒーターや保温材が強化され、配管の凍結・破損を防ぐ設計になっていることが特徴です。一般地仕様にも基本的な機能は付帯しますが、寒冷地仕様にはドレンパンヒーターが標準装備されることが多いほか、貯湯ユニットにも凍結防止ヒーターが内蔵される場合があります。
対応可能な外気温の範囲が違う
一般地仕様で対応できる外気温はマイナス10℃程度までですが、寒冷地仕様はマイナス25℃程度まで対応可能です。ただし、マイナス15℃を下回る地域では、貯湯タンクを屋内に設置するよう求められる場合があります。念のため、メーカーや製品ごとの仕様を確認してから購入しましょう。
価格帯が異なる
寒冷地仕様は、一般地仕様より5〜10万円程度高くなる傾向にあります。寒冷地仕様には、より優れた凍結防止機能などが搭載される都合上、価格が割高になることは避けられません。ただし、寒さが原因で故障するリスクは大幅に低減するため、中長期的なコストパフォーマンスは高まるでしょう。
設置に適した地域が異なる
寒冷地仕様は、北海道・東北・北陸など、積雪や低温が厳しい地域向けです。東京や大阪といった地域で寒冷地仕様を選ぶと、オーバースペックとなる可能性が高いでしょう。地域ごとの最低気温や積雪量を確認し、メーカーの設置基準に合ったエコキュートを選びましょう。
寒冷地仕様のエコキュートを導入するメリット
寒冷地仕様のエコキュートには、次のようなメリットがあります。
- 電気温水器やガス給湯器よりも光熱費を抑えられる
- 断水・停電時でもタンクの水(お湯)を使える
<寒冷地仕様のエコキュートを導入するメリット>
それぞれのメリットを詳しく見てみましょう。
電気温水器やガス給湯器よりも光熱費を抑えられる
エコキュートは、空気の熱を利用してお湯を沸かす「ヒートポンプ方式」です。そのため、電気ヒーター式やガス式と比べて、ランニングコストを抑えやすいという特徴があります。パナソニックは、エコキュートと他の給湯器を比較した電気代の目安を、次のように公表しています。
【電気代の差額の目安】
| 使用する給湯器 | エコキュートと比較した電気代の差額 |
|---|---|
| 電気温水器 | エコキュートのほうが年間約121,200円の節約 |
| ガス給湯器 | エコキュートのほうが年間約28,000円の節約 |
| 石油給湯器 | エコキュートのほうが年間約56,400円の節約 |
※エコキュートの年間の平均的な電気代を36,000円とした場合
いずれの給湯器と比較しても、エコキュートを選んだほうが電気代は安くなる傾向にあります。電気温水器と比較すると年間で約12万円、1ヶ月あたり1万円も電気代を節約できます。
断水・停電時でもタンクの水(お湯)を使える
エコキュートは、大容量の貯湯タンクにお湯を貯える仕組みです。貯湯タンクに水が残っていれば、断水や停電が発生したとしても、災害時の生活用水として活用できます。
貯湯タンクから取り出したお湯は、手洗いや掃除、トイレの流し水などに使用できます。3~5人向けのエコキュートの場合、最大で約370Lのお湯を貯められるため、数日分の生活用水を確保できるでしょう。ただし、飲用水としての使用が推奨されていない点には注意が必要です。
寒冷地仕様のエコキュートを導入する際の注意点
寒冷地仕様のエコキュートの注意点は、次の3つです。
- 外気温マイナス20℃以下は屋内設置が必須になる
- 凍結防止機能だけに頼らず除雪・防雪対策も必要
- 給湯効率の低下により電気代が上がる可能性がある
<寒冷地仕様のエコキュートを導入する際の注意点>
それぞれのポイントを解説します。
外気温マイナス20℃以下は屋内設置が必須になる
屋外設置では凍結のリスクが高くなるため、地域によっては設置場所が制限される場合があります。外気温がマイナス20℃以下になる地域にお住まいの場合は、貯湯タンクを屋内に設置しなければなりません。購入前に貯湯タンクの高さや幅、搬入経路などを確認し、スペースを確保できるか確認しましょう。
凍結防止機能だけに頼らず除雪・防雪対策も必要
霜取りや積雪対策を怠ると、エラーや故障の原因になることにも注意が必要です。寒冷地仕様のエコキュートには凍結防止機能が付帯しますが、それだけで完全にトラブルを予防できるわけではありません。定期的な除雪・防雪対策を行い、エコキュートが正常に稼働するようにメンテナンスしましょう。
給湯効率の低下により電気代が上がる可能性がある
一般的なエコキュートと比較して、電気代が上がる可能性があることも注意点といえます。外気温が低いほどヒートポンプの効率が下がり、消費電力が増える傾向があるためです。ただし、エコキュートのランニングコストはその他の給湯器と比べて安く、現状よりも電気代を削減しやすいでしょう。
メーカー別の寒冷地仕様エコキュートの特徴
各メーカーは、寒冷地向けに独自の製品開発を進めています。同じ寒冷地仕様でも、メーカーによってエコキュートの特徴や強みが異なるため、ご家庭に合ったモデルを選ぶことが重要です。
ここでは、大手メーカー6社の寒冷地仕様エコキュートの特徴を解説します。
ダイキン
ダイキンでは、マイナス25℃の環境下でも85℃のお湯を作れる、パワフルなエコキュートを販売しています。ドレンパンヒーターが標準装備されているほか、外気温が0℃以下のときにファンを回転させて着雪を防止する機能や、必要に応じて自動で霜取りをする機能などが付帯することが特徴です。
また、製品の精度を高める目的で、最低気温がマイナス20℃を下回る北海道旭川市に「ダイキン旭川ラボ」を設営し、継続的に実験を行っています。購入相談窓口を用意するなど、カスタマーサポートも充実しているため、機種選びに悩んだとしても理想のエコキュートを見つけられるでしょう。
三菱電機
三菱電機では、寒冷地向けとして「Sシリーズ」「Vシリーズ」を販売しています。大きな特徴は、さまざまな機能を備えたモデルを用意していることです。湯はりから保温・足し湯をフルオートで行う「フルオートダブル追いだき」や、マイクロバブルで配管内の汚れを落とす「バブルおそうじ」機能などを利用できます。
また、ヒートポンプユニットへの雪の侵入を予防する防雪カバーや、設置位置を高くする防雪架台を別売で販売していることも特徴のひとつです。多様化する電力契約にも対応しており、長く安心して使い続けやすいエコキュートを購入できます。
パナソニック
パナソニックでは、最低気温がマイナス25℃までの地域に対応できる寒冷地向けのエコキュートを販売中です。「ウルトラ高圧フルオート」「高圧フルオート」「給湯専用」「耐塩害仕様」などラインナップが多様であり、好みや地域性にマッチするエコキュートが見つかるでしょう。
特徴的な機能のひとつに「AIエコナビ」があります。これは、保温時にセンサーが人の出入りに気づき、最適なエコを自動で考える機能です。最大約35%の省エネを実現できるため、ランニングコストの削減を目指す人にはぴったりでしょう。
日立
日立では、マイナス25℃までに対応できる寒冷地仕様のエコキュートを販売しています。ウレタン発泡充てん構造の貯湯ユニット「ウレタンク」を採用していることが、日立エコキュートの特徴です。業界初となる技術により、断熱性が高く、お湯が冷めにくい状況を維持できます。
また、約9分30秒という短時間で湯はりを実現する「高速湯はり」や、シチュエーションに応じて沸き上げ量を変化させる「来客時満タン沸き上げ」などの機能も搭載されています。日立特有のパワフルな給湯システム「ナイアガラ出湯」も健在で、水圧の強さを重視する人にもおすすめです。
コロナ
コロナでは、マイナス25℃に対応可能なエコキュートを販売中です。最低気温がマイナス20℃までの地域では、貯湯ユニットを屋外に設置できます。370L・460Lと2種類のタンク容量が用意され、最大7人まで余裕を持って使用できます。
省スペース・スリムタイプなど、設置性を重視したラインナップが豊富なため、設置スペースが限られていても購入しやすいでしょう。「学習機能付運転モード」を利用できるほか、アプリとの連携も可能なため、操作性を重視する人にもおすすめです。
長府
長府では、幅広いタンク容量や形状、機能性を持つ寒冷地仕様のエコキュートを販売中です。ラインナップは合計13種類にも及び、「耐重塩害」「減災対応」など、地域の特性や目的に合ったモデルを選択できます。
特徴的なのは、今まで捨てられていた浴槽の残り湯の熱を、貯湯タンクが回収する「ecoとく」機能です。残り湯の熱のうち最大約40%を回収し、無理のない節約を実現できます。
まとめ
エコキュートの寒冷地仕様とは、通常仕様と比べて、よりレベルの高い凍結防止対策が施されたモデルです。一般地仕様の対応可能な外気温がマイナス10℃までに限られることに対して、寒冷地仕様はマイナス25℃まで対応できます。
メリットとデメリットは、以下のとおりです。
【寒冷地仕様のエコキュートのメリットと注意点】
| メリット | 注意点 |
|---|---|
| ・電気温水器やガス給湯器よりも光熱費を抑えられる ・断水・停電時でもタンクの水(お湯)を使える |
・外気温マイナス20℃以下は屋内設置が必須になる ・凍結防止機能だけに頼らず除雪・防雪対策も必要 ・給湯効率の低下により電気代が上がる可能性がある |
寒冷地仕様のエコキュートは、主要メーカー各社が販売しています。メーカーやモデルによって特徴が異なるため、各社の仕様を確認したうえで、ご家庭にとって最適なエコキュートを選びましょう。
エコモは各地を飛び回って、電力・エネルギーや地球環境についてお勉強中なんだモ!色んな人に電気/ガスのことをお伝えし、エネルギーをもっと身近に感じてもらいたいモ!


















